Destiny Children

中闇 京

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1学期

出会い③

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「気をつけ!礼!」

(はぁー、疲れた。早く帰って寝よ。)
そして、校門へ向かっていると

「涼くん!どこいってるの?」

と、今日の疲れの元凶が笑顔でこちらを向いている。

「今日はもう疲れたから家に帰ろうと思って」
「そうなんだ!そういえば涼くん部活は何してるの?」
「帰宅部だけど」

そういった瞬間彼女は目を丸くしてこちらを見る。

「えぇーー!!部活入ってないの?青春しようよ!高校生だよ!」
「どこのスポコンまんがだよ・・・ 第一、俺あんま人と協力するの得意じゃないし」
「丁度いいわ!今、部活動見学してるから一緒に行きましょう!」
「ちょっと?俺の話聞いてます?」
「それじゃ行くよ!」

そう言い体育館の方へ歩き出す。

「強制かよ・・・」

俺はため息をつき、トボトボと体育館の方へ向かっていった。



体育館はすごい熱気に満たされていた。「青春」という言葉を体現したようにキラキラと汗をかいている。

「今日の体育館の部活はバスケとバレーね。涼くん運動はできるの?」
「うーん、可もなく不可もなくってところかな、あかりさんは?」
「見た目通りパッとしないね!わたしは自分で言うのもおかしいけどそこそこできる方だと思うよ!」
「へぇー、そうなんだ。てか、笑顔で言えば何でも許されると思わないでね?」
「あははー、ごめんごめん。まぁ、涼くんいじりも終わったし校舎の方へ行きましょうか」

少しムスッとした表情の俺をあかりさんは笑いながら二人で校舎の方へ向かった。



「えーと、校舎の方で今日やってるのは文芸部と美術部とーーー」

と、あかりさんは部活動活動予定表を見ながら一人壁に向けて喋っている。

「あかりさん、運動得意なら運動部の方がいいんじゃない?」
「んー、まぁ確かにそうなんだけどね、一応いろんな部活見ておきたいし」
「ふーん、そうなんだ。ところでさ、俺、いなくちゃだめ?」
「何か用事でもあるの?」
「いや、そういうわけじゃないんだけどさ」

その時見慣れた灰色の髪が目の前の廊下を横切った。

「そうだ!俺ちょっと静に用事あるんだった!そういうわけでごめん、また明日!」

と、言うなりダッシュで灰色の髪を追いかけていった。



階段をかけあがり、灰色の髪を追う。

「静!」
「どうしたの?そんなに息を切らして。」
「今日さ、一緒に買い物行く約束してなかったっけ?」
「あぁ、ごめん。私今日文芸部で忙しくて行けないかも。それに、涼、疲れてるでしょ?また別の機会に行きたいんだけど。」
「そっか、忙しいならしかたないな。あと、よく俺が疲れてるなんてわかったな?」
「生まれたときからずっと涼を見てるんだよ?気付くのなんて当たり前。」
「ありがとな、心配してくれて」
「ううん、じゃまた明日ね。」
「おう、じゃあな」

(はぁ、やっぱ静と離すと落ち着くわ)
いつもと変わらない幼なじみに感謝しつつ、家路についた。



「ただいまー」

と、一人家の中へ呟く。すると、

「お・に・い・ち・ゃ・ん、おかえりーー!!」

満面の笑みでそこに妹が座っていた。
(うわー、嫌な予感がするー)

「や、やけに上機嫌だなあおい。何かあったのか?」

葵は俺の妹で俺とは似ても似つかない超かわいい妹だ、容姿は。性格は家では無愛想で、外や面倒事を人に頼むときなどは猫を被る。ちなみに、俺の家は葵と父と母の四人家族でこの築5年の2階建ての家に住んでいる。2階には俺と妹の部屋があり、妹の部屋には友だちがよく来ている。

「お兄ちゃん?お願いがあるんだけどさー」
「断る。断固断る。絶対断る。頑なに断る。」
「お兄ちゃん?何を言ってるの?葵が頼んでるんだよ?この超超かわいく、兄にいつも尽くす絵にかいたような完璧妹のお願いなんだよ?聞く以外の選択肢があるわけないでしょ、それにお兄ちゃんが持ってる変なDVDとかを学校にいってぶちまけてもいいんだよ?」

満面の笑みを崩さずに葵は言った。
(何で妹にこんな押されてるんだろ、いや、頼られてるんだよな?決して脅してるんじゃなくて頼ってるんだよな?じゃー仕方ないな。妹のためだしな、うん。)

「ごめんなさい、お兄ちゃんが悪かったです。何でもやります。」
「ほんと?お兄ちゃんありがとう!!やっぱり頼りになるねお兄ちゃんは。じゃ葵はテレビ見てるから宿題よろしくね!」

(葵には敵わないな、疲れていても容赦がない・・・)
そうして、俺は疲れた体にムチを叩き、妹と自分の課題を進めていった。

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