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ランス様の気持ち
「その、あの、ですね、……ランス様に他に思う人がいらっしゃって、私とキスしたことでその方に悪いと思っているのではないかと」
私は今、ランス様のお部屋でランス様に質問をしている。
昼間にベル様からランス様とちゃんと話をした方がいいと言われて、帰ってきてからもずっとそのことで頭がいっぱいだった。ランス様に話しかけるタイミングを見計らっていたけれど、いざ話そうとするとなかなかうまくいかなくて結局いつも通りたわいもない話をしてそのまま就寝時間になってしまった。
一度はもう寝てしまおうと思ったけれど、このままじゃいけないと意を決してランス様のお部屋に突撃訪問してみた。そして、話をしながら冒頭の質問に至ったわけである。
私の質問にランス様はすごく驚いた顔をしている。そしてそんな相手はいないという。でも、だったらどうしてキスした後にずっと考え込んだような様子だったのだろう。そんなことをまた考えていたらランス様に顔を覗き込まれ、目が合って思わず反らしてしまった。あぁ、いつもこう。どうして私はこうなんだろう。
「セシル、何か誤解しているようだ。俺にはセシル意外に思う人なんていないよ。俺があの日塞ぎ込んでるように見えたのなら、それは別のことを考えていたからなんだ」
「別の、こと?」
ランス様の方を見上げると、ランス様は優しく微笑んだ。
「あの日俺が考えていたのは、君とのキスが嫌だったからじゃない。その逆だよ。君のことを大切に思っているからこそ、力分けのためにキスをしなければいけないのが申し訳なかったんだ。それに」
そう言ってランス様は私の髪の毛にそっと触れて耳にかける。触れられる手が熱い。
「もしもミゼルと君がキスをするなんてことになったらと思うと、嫉妬で苦しくて許せなくてどうにかなりそうなんだ」
そう言ってランス様はゆっくりため息をついた。え、今なんておっしゃいました?嫉妬?苦しい?
「白龍に対して嫉妬だなんて、みっともないだろう。白龍使いの騎士としても問題なんじゃないかと考えていたんだ。それにまだ出会って間もない、そして契約結婚でしかない相手にそんなこと言われても困るだけだよね」
眉をハの字にして悲しげにそういうランス様。いえ、はい?私は今何を言われているのだろうか??いや、待って、ここで私が混乱してランス様に何も言わないでいたら、ランス様はまたきっと自分を卑下してしまう。
「あ、あの、急すぎて頭がちょっとアレなのですが、あの、ランス様にそんな風に言ってもらえるのは嫌ではありません!むしろ、嬉しいです!だから、そんな悲しいお顔なさらないでください」
とりあえずランス様が卑下してしまわないように精一杯伝えようとしたら、すごく頭の悪い表現になってしまった。これはこれでやっぱり恥ずかしい。なんて私はこうなんだろう。
私の慌てっぷりに驚いたのだろうか、ランス様は目を見開いている。そうですよね、こいつ何を言ってるんだろうって思いましたよね、私自身思ってますとも、ええ。
「そう、か。嬉しいと思ってくれるんだ」
驚いていたと思ったら、急に顔を片手で覆って俯いている。よく見ると耳が赤い。あれ?照れてる?
「君に嫌われたんじゃなくてよかった」
そう言ってこちらを見てふんわりと優しく微笑むランス様。その笑顔は私の大好きな、暖かいお日様のような向日葵が咲いたようなキラキラ輝く笑顔だった。その笑顔を見た瞬間、また私の心臓が大きく高鳴る。どうしよう、また射抜かれてしまった……!
うわ~!その笑顔はダメですって!思わず両手で顔を隠して俯いてしまう。持っていた枕は膝の上に落ちたけどそんなことはどうでもいい。ダメだ、顔が熱い、絶対に赤い!
それに、ランス様は私とのキスが嫌でもなく、他に思う人がいるわけではなかった。むしろ、私のことを大切に思ってくれていて、ミゼル様に嫉妬していて……?
それって、それって……?
「……ランス様って、もしかして私のこと、好きなんですか?」
顔を覆っていた両手を下ろして両手を呆然と見ながらポツリ、と呟いてから我に返った。私、今思ったことそのまま口に出してた?!
ランス様の方を見ると、顔を真っ赤にして片手で口元を覆うランス様の顔がそこにあった。
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