聖女として白龍の生贄になると思ったらなぜか騎士様と契約結婚することになって愛されています

鳥花風星

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騎士クロウと聖女ルルの馴れ初め(ロイ視点)

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 討伐祭の打ち合わせ兼顔合わせから二日が経ち、今日俺とリラはクロウとルルの屋敷を訪れていた。

「ギールと少し話したいことがあるんだ、今度リラを連れてクロウ達の屋敷に行こう」

 白龍ジュインにそう言われた時は正直戸惑った。

「ギールと話がしたいならジュインだけで行けばいいだろう。なんで俺とリラも一緒なんだ?それに向こうさんだって俺たちが来ても困るだけだろ」

 顔合わせで一度会っただけの騎士と聖女の屋敷に行くのはなかなか敷居が高い。しかもリラは強度の人見知りだ。あまりいいことのようには思えないのだが。

「先日見ての通り、クロウはまだ若いしルルは君と同じ位の年齢だ。ルルは年下の扱いが慣れているからね、リラも問題ないと思うんだ。それにクロウは騎士としてはまだまだ半人前だ。君が色々と教えてあげてくれると助かるとギールも言っていたんだよ」

 ジュインの美しい顔でにっこりと微笑まれると拒否しにくい。それに、白龍ギールがそう言うのであれば……。

 そうして、俺とリラは揃ってクロウ達の屋敷に出向いたというわけだ。





「ようこそおいでくださいました。またお会いできて光栄です」

 ルル様がスカートの裾の両端を掴んでふわりとお辞儀をした。顔合わせであった時にも思ったが、ルルは上品で育ちがそさそうに見える。

「こちらこそ訪問させていただきありがとうございます」

 こちらもお辞儀をすると、リラも俺の後ろに隠れながら小さくお辞儀をした。

「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。さ、どうぞ中へ」

 フワッと花が咲いたように微笑むルル様の笑顔を見て、リラが目を輝かせた。お、少し心がほぐれたか。

 ふとクロウと目が合うと、クロウは静かにお辞儀をしてルルの隣を歩き始める。まだ若いから緊張しているんだろうか。


「他の騎士様や聖女様とお会いすることが中々ないので、こうしてまたお二人に会えて嬉しいです。リラ様はケーキはお好きですか?」

 ルル様に言われてリラの目がまた輝き頷く。リラの様子を見てルル様はふふっと笑ってケーキを差し出してくれた。

「良かったな、リラ」

 そう言うと、リラは嬉しそうに笑ってケーキを頬張り始めた。一口頬張るとまた嬉しそうに笑う。なんだこの生き物、相変わらず可愛いという言葉がぴったりだな。思わず頬が緩んでいると、ルル様と目があった。

「お二人は仲がよろしいんですね」

 うふふ、とルル様が優しい眼差しで俺とリラを見つめる。その仕草があまりにも色っぽく美しくて思わずドキッとしたが、すぐに隣のクロウと目が合って気まずくなった。俺の様子に気づいたようでクロウの視線が痛い。いや、別にルル様をそういう目で見たわけじゃなくてだな……。

「そちらは三年くらいとお聞きしましたが、そうなると俺たちなんかよりもはるかに仲がよろしいのではないですか?」

 そう言うと、クロウは嬉しそうにルル様を見つめ、ルル様もそれに応えるように微笑んだ。

「そう、ですね。私の方が随分と年上ですし、クロウにはいつも申し訳ない気持ちなのですが」

「ルル、またそれを言うのですか。俺はあなたの年齢は気にしていませんし、あなたとこうして夫婦になれて良かったと思っていますよ」

 躊躇いがちに言うルル様の手をとってクロウははっきりと言い切った。お、なかなかいい男じゃないか。

「クロウ、ルル様のこと大好きなの、見ててわかるの」

 ケーキを片手にリラが嬉しそうにそう言うと、クロウはハッとして顔を赤らめる。こういうところはまだお子ちゃまだな。そんなクロウを見てルル様もほんのりと頬を赤らめる。

「リラ様は今おいくつなのですか?」

「リラでいいの、リラもルルと呼んでいい?」

 リラの問いにルル様はもちろん、と微笑んだ。

「リラは今十九なの」

「ええっ?!」

 そう言った瞬間、クロウとルルが一斉に声を上げる。まぁ、そうなるよな。リラの見た目はどう見ても十四・十五歳に見えるから仕方ない。

「俺よりも、年上?一つだけとは言えとてもそんな風には見えないな……本当ですか?!」

 クロウに聞かれて苦笑いをしながら頷く。ってことはクロウは十八歳か。ルルは俺と同じくらいと言っていたから、確かにルルが年齢を気にするのもわからなくはない。

「クロウ、と呼んでもいいか?あぁ、ありがとう。と言うことは、クロウは十五で白龍使いの騎士になったのか?」

 この国では十五歳で成人するとはいえ、成人してすぐに白龍使いの騎士になって契約結婚したことになるのか。リラの時も思ったが、クロウもなかなかにすごい人生だな。

「はい。俺は元々孤児院で過ごしていました。十五歳になった年に突然ギールが孤児院を訪れて、君は白龍使いの騎士になるんだと言われて」

 何が何だかわからないままこの屋敷に連れてこられ、ルルと対面したという。

「ルルは元々は貴族の御令嬢なんです。小さい頃に聖女の力を目覚めさせて以来教会に預けられていましたが、ギールがルルの元に定期的に通って聖女について教えていて、俺が白龍使いの騎士として二人の元に呼ばれたんです」

 この屋敷もルルの家が所有する土地の中にある一つなんだそうだ。なるほど、ルルの育ちが良さそうに見えたことにも納得だな。

「だから、俺は騎士としてはまだまだ未熟なんです。ロイ様、どうか俺に剣術と騎士としての心構えを教えてくれませんか」

 クロウが真剣な眼差しで言ってくる。ルルもお願いしますとお辞儀をしてきた。

「俺のことはロイでいい。俺なんかでよければもちろん教えるよ」

 そう言うとクロウはぱあっと目を輝かせてお礼を言ってくる。こういうところはまだ年相応で好感が持てるな。

「それじゃ、中庭にある広場でぜひ手合わせを」


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