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1完璧聖女の秘密
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「聖女様だわ、今日もやっぱりお美しい」
「いつ見ても完璧よね……太陽の光に当たって透けるような銀髪、紫水晶のような美しい瞳、均整の取れた体つき……女性なら誰もが羨むような見た目でうっとりしてしまう」
「聖女様と同じ空気を吸えるだなんて、生きていてよかった」
この国の聖女は、清楚で見た目も中身も美しく、誰もが羨む存在でなければいけない。聖女リリアは、ずっとみんなの理想の「聖女様」でいることに専念してきた。
「ごきげんよう」
リリアがにっこりと微笑んでゆっくりと挨拶をすれば、男女問わずみんな黄色い声をあげて喜ぶのだ。
そんな完璧聖女であるリリアの唯一の楽しみ、それは。
「ああー!開放されたー!」
王城から遥か彼方、遠く離れた森の中にある拓けた場所で、リリアは酒瓶を片手に大声をあげた。ここはリリアにとって、とっておきのお気に入りの場所。完璧な聖女が、唯一息抜きできる場所だ。
獰猛な魔獣が多く人の出入りはほとんどないが、結界をはっているので魔獣が近寄ってくることも襲ってくることもない。さらに、万が一人が近くを通ったとしてもステルス魔法でリリアの姿は見えない。魔力も徹底的に隠しているので見つかることはないのだ。
「はあ、今日もなんとか完璧な聖女でいられたわ。でも、やっぱり疲れちゃった」
リリアは酒瓶をそのまま口に持ってきて酒を喉へ流し込む。カッとした熱さが喉を通っていくのを感じて思わず嬉しくなってしまった。成人して聖女になってから数年が経つが、お酒を飲めるようになってからというもの、完璧な聖女を演じることが辛くなるたびにこうしてお酒を飲み、一時的にでも開放された気分を味わっているのだ。
この国の聖女は、国が開く式典以外での飲酒を禁じられている。なんでも、遥か昔に飲酒をした聖女が、騎士と間違いを起こして聖女の力を失ったらしい。聖女の力を失ったことで国は一時的に衰退し、大変な目にあったというその悪しき教訓から、聖女は個人的な飲酒を禁じられてしまっている。
(そもそも今までの聖女たちは結婚して子供を産んでるんだから、異性との交わりが聖女の力を失うわけではないはずなのに。飲酒で騎士と間違いを起こしたからってどうして聖女の力が失われたことになっているんだろう?ほんの少し飲むことも許されず、禁止するだなんて)
よく考えて見れば馬鹿馬鹿しいのだ。それでも、飲酒が見つかれば聖女であっても一ヶ月監禁され、毎日懺悔しなければいけない。だからこうして、リリアこっそりとバレないように飲酒をしている。
(ん?人の気配?しかも数人……これってまさか)
嫌な予感がする。浮遊魔法で木の上に登って座ると、足音が近くなって人の姿が見え始めた。
(ああ、やっぱり)
騎士が数人。国の騎士団だ。どうしてこんな所にいるのだろう。キョロキョロと辺りを見渡しているから、何かの任務だろうか。
(えっ!?なんでこっち見てるの?)
一人の騎士がリリアの方をジッと見ている。あれは確か騎士団長のセルだ。歳は二十代後半で、ふわりとした少し長めの茶髪にルビー色の瞳はほんの少し垂れ目がち、一見気だるげだ。だが、騎士としての腕は相当なもので、騎士団長として他の諸国にも名が知れ渡るほどだ。
(いや、待って。ステルス魔法かけてるんだからこっちには気づかないはずじゃ……)
「団長、ここにはいないようですね」
「ああ、お前たちはあっちを探せ。俺はもう少しここを調べてから向かう」
「わかりました!」
セルの言葉に、他の騎士たちはその場から去っていった。でも、セルはまだ残っているし、またリリアをジッと見つめている。
(え、なんで?なんでこっち見てるの?)
バレるはずがない。バレるはずないのだけど、セルとはばっちり目が合ってる。
「そこにいるのは誰だ?何をしている」
(ひっ!なんで!?)
セルは剣を抜くと、剣に魔力を込めてから剣を一振りした。あっという間に、ステルス魔法は解かれてしまう。
(そうだ、セルは騎士団の中でも剣だけでなく魔法にも長けているんだった。でも、まさか私の魔法をこんなに簡単に解いてしまうなんて!)
セルはリリアを見上げて眉を顰めた。そして、ポツリ、と一言呟く。
「……聖女、様?」
(な、んで?なんで私が聖女ってわかったの?だって、私は変身魔法で姿を変えているのに!)
「いつ見ても完璧よね……太陽の光に当たって透けるような銀髪、紫水晶のような美しい瞳、均整の取れた体つき……女性なら誰もが羨むような見た目でうっとりしてしまう」
「聖女様と同じ空気を吸えるだなんて、生きていてよかった」
この国の聖女は、清楚で見た目も中身も美しく、誰もが羨む存在でなければいけない。聖女リリアは、ずっとみんなの理想の「聖女様」でいることに専念してきた。
「ごきげんよう」
リリアがにっこりと微笑んでゆっくりと挨拶をすれば、男女問わずみんな黄色い声をあげて喜ぶのだ。
そんな完璧聖女であるリリアの唯一の楽しみ、それは。
「ああー!開放されたー!」
王城から遥か彼方、遠く離れた森の中にある拓けた場所で、リリアは酒瓶を片手に大声をあげた。ここはリリアにとって、とっておきのお気に入りの場所。完璧な聖女が、唯一息抜きできる場所だ。
獰猛な魔獣が多く人の出入りはほとんどないが、結界をはっているので魔獣が近寄ってくることも襲ってくることもない。さらに、万が一人が近くを通ったとしてもステルス魔法でリリアの姿は見えない。魔力も徹底的に隠しているので見つかることはないのだ。
「はあ、今日もなんとか完璧な聖女でいられたわ。でも、やっぱり疲れちゃった」
リリアは酒瓶をそのまま口に持ってきて酒を喉へ流し込む。カッとした熱さが喉を通っていくのを感じて思わず嬉しくなってしまった。成人して聖女になってから数年が経つが、お酒を飲めるようになってからというもの、完璧な聖女を演じることが辛くなるたびにこうしてお酒を飲み、一時的にでも開放された気分を味わっているのだ。
この国の聖女は、国が開く式典以外での飲酒を禁じられている。なんでも、遥か昔に飲酒をした聖女が、騎士と間違いを起こして聖女の力を失ったらしい。聖女の力を失ったことで国は一時的に衰退し、大変な目にあったというその悪しき教訓から、聖女は個人的な飲酒を禁じられてしまっている。
(そもそも今までの聖女たちは結婚して子供を産んでるんだから、異性との交わりが聖女の力を失うわけではないはずなのに。飲酒で騎士と間違いを起こしたからってどうして聖女の力が失われたことになっているんだろう?ほんの少し飲むことも許されず、禁止するだなんて)
よく考えて見れば馬鹿馬鹿しいのだ。それでも、飲酒が見つかれば聖女であっても一ヶ月監禁され、毎日懺悔しなければいけない。だからこうして、リリアこっそりとバレないように飲酒をしている。
(ん?人の気配?しかも数人……これってまさか)
嫌な予感がする。浮遊魔法で木の上に登って座ると、足音が近くなって人の姿が見え始めた。
(ああ、やっぱり)
騎士が数人。国の騎士団だ。どうしてこんな所にいるのだろう。キョロキョロと辺りを見渡しているから、何かの任務だろうか。
(えっ!?なんでこっち見てるの?)
一人の騎士がリリアの方をジッと見ている。あれは確か騎士団長のセルだ。歳は二十代後半で、ふわりとした少し長めの茶髪にルビー色の瞳はほんの少し垂れ目がち、一見気だるげだ。だが、騎士としての腕は相当なもので、騎士団長として他の諸国にも名が知れ渡るほどだ。
(いや、待って。ステルス魔法かけてるんだからこっちには気づかないはずじゃ……)
「団長、ここにはいないようですね」
「ああ、お前たちはあっちを探せ。俺はもう少しここを調べてから向かう」
「わかりました!」
セルの言葉に、他の騎士たちはその場から去っていった。でも、セルはまだ残っているし、またリリアをジッと見つめている。
(え、なんで?なんでこっち見てるの?)
バレるはずがない。バレるはずないのだけど、セルとはばっちり目が合ってる。
「そこにいるのは誰だ?何をしている」
(ひっ!なんで!?)
セルは剣を抜くと、剣に魔力を込めてから剣を一振りした。あっという間に、ステルス魔法は解かれてしまう。
(そうだ、セルは騎士団の中でも剣だけでなく魔法にも長けているんだった。でも、まさか私の魔法をこんなに簡単に解いてしまうなんて!)
セルはリリアを見上げて眉を顰めた。そして、ポツリ、と一言呟く。
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