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1章
22.5 sideレオン その1 ~胸やけ~
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芋。
栽培しやすく、昔から国内に最も多く流通する食材。
家畜が魔物に狩られる被害が多くなった現在、少なくなった肉の代わりに腹が膨れる貴重な食料源である。
生まれてこの方、何度食べたことか、むしろいつも食べている芋が、こんな形で現れるとは思ってもいなかった。
フライドポテト。
食の改革だ。
なんだこれ、止まらない、と皆で食べまくったのが先程。
サラダと一緒に食べても、肉のタレと絡めて食べても、何をしても上手い。
アド君なんか、最後はスープに入れてふやかして、ぐちゃぐちゃに混ぜて食べていた。
「コンソメ味のポテトサラダみたいですね」
ソフィア嬢が言っていた。
なんだ? 芋がサラダになるそんな料理があるのか?
俺は客である手前、流石にやらなかったが、うまいうまいと食べるアド君が羨ましかった。
「ソフィアのいけずー! こんな技を隠していたとは! ツイストポテト揚げた方が美味しい! やってみる!」
と意気込んだアド君は、食後のサロンには来ず、調理場で『揚げ物料理』の実験にいそしんでいる。
露店料理が正式にバザーで出品されることになっても彼の探求は終わらないようだ。
可愛い顔して食に関しては男前だ。
食後の満腹感を友にサロンへ移動する。
胸が焼ける程皆でフライドポテトを食べてしまったのを見越したメイドが、薬膳茶を用意してくれる。
それを飲んで少し落ち着いた。
「揚げ物は食べ過ぎ厳禁なのですよ。あと、栄養価が高すぎてすぐに太ります」
小食のソフィア嬢だが、それでも少し胸にきているのか、大人しく薬膳茶を飲んでいた。
「でも、レオン様の調査のおかげで油の供給状況もわかりました。何より街に肉が少ないなら、代わり栄養価の高いお芋が美味しく食べられるようになればいいと思ったのです」
可愛らしい笑顔で「領民のため」と言っているが、これは料理の革命だよ。
直ぐに近隣にも知れ渡り、国内でブームになる事も考えられる。
調理法も簡単らしいしね。
「やっぱりシルエット家の料理のノウハウは商会に登録して販売する方がいいのでは?」
疑問を呈すると辺境伯が頷く。
「こうなるとソフィアのお披露目が過ぎればきっと勝手に広がって行ってしまうな。うちのお嬢様は止まってくれないから」
愛おしそうにソフィアを見つめる辺境伯だが、言葉の内容はお転婆認定だ。
「そうね、レシピのフォーマット、レシピ内容、調理器具のアレコレ、全て登録してしまいましょう。調理器具に関してはシルエットのマークを付けて売り出すのがいいわね」
夫人も乗り気だ。
すでにブレスの街にはシルエット家の料理法は多少流出していることもあり、ここで対策しておきたいのだろう。
勝手に流れた情報やまがい物の器具で、何かしらの事故やら問題が起きでもしたら適わない。
「せっかく領民にも作れるメニューをバザーで披露するのだから、露店メニューのレシピと計量カップなどの料理器具をセットにして売るのはどうかな?」
アレクも加わって、シルエット家のレシピと料理法公開に向けて話が盛り上がる。
ソフィア嬢を見ると何かうずうずしている。
これは、まだ何か隠していそうな予感だ。
「ソフィア嬢」
隣のソファーに移動してソフィア嬢の機嫌を窺がう。
うずうず、言いたいけど言えない、どうしよう。
そんな可愛らしい表情で自分を見つめ返してくれると、何とも幸せな気持ちになる。
一緒にいるだけで幸福感に満たされるのがこの子の不思議な魅力だ。
「どうしたの? まだ何かかくしているね?」
伯爵夫婦に聞こえないように小声で話しかけると、ソフィア嬢は人差し指を立てて
「シー、です」
と内緒にしていて欲しいという仕草をする。
うっ。
かわいい。
そのままソフィア嬢は俺の方に身を寄せて、小声で耳元に話しかけてくる。
「我が家の調理法は公開するには火力という欠点があるのです」
ふんふん。それは聞いている。火の魔道具を使うレシピだから、魔力の枯渇している街に公開しても意味がないと諦めた、と執事のセバスチャンが言っていた。
「そこで、明日、ぜひレオン様にも実験にお付き合い頂きたいのです」
続けられた言葉は細い暖かい息で、耳に当たって擽ったい。
なんだろう、この甘ったるさは。
まだ幼いソフィア嬢は俺のことを意識なんかしていないのに、特別に頼られている感がある。
うぬぼれか?
「なにこそこそ話してんだい?」
アレクの冷え切った声が俺とソフィア嬢を引き離した。
「ふふ、内緒です」
悪びれもせず可愛く言われてしまうと、兄であるアレクもそれ以上突っ込めない。
ここでソフィア嬢が照れた素振りひとつしないところが、俺のことを全く意識していない事を物語っている。
「恋愛結婚が条件です!」
と夫人に言われたんだよな。
前途多難だな。
思わずため息を吐き夫人を見てしまうと、少し申し訳なさそうにしていた。
栽培しやすく、昔から国内に最も多く流通する食材。
家畜が魔物に狩られる被害が多くなった現在、少なくなった肉の代わりに腹が膨れる貴重な食料源である。
生まれてこの方、何度食べたことか、むしろいつも食べている芋が、こんな形で現れるとは思ってもいなかった。
フライドポテト。
食の改革だ。
なんだこれ、止まらない、と皆で食べまくったのが先程。
サラダと一緒に食べても、肉のタレと絡めて食べても、何をしても上手い。
アド君なんか、最後はスープに入れてふやかして、ぐちゃぐちゃに混ぜて食べていた。
「コンソメ味のポテトサラダみたいですね」
ソフィア嬢が言っていた。
なんだ? 芋がサラダになるそんな料理があるのか?
俺は客である手前、流石にやらなかったが、うまいうまいと食べるアド君が羨ましかった。
「ソフィアのいけずー! こんな技を隠していたとは! ツイストポテト揚げた方が美味しい! やってみる!」
と意気込んだアド君は、食後のサロンには来ず、調理場で『揚げ物料理』の実験にいそしんでいる。
露店料理が正式にバザーで出品されることになっても彼の探求は終わらないようだ。
可愛い顔して食に関しては男前だ。
食後の満腹感を友にサロンへ移動する。
胸が焼ける程皆でフライドポテトを食べてしまったのを見越したメイドが、薬膳茶を用意してくれる。
それを飲んで少し落ち着いた。
「揚げ物は食べ過ぎ厳禁なのですよ。あと、栄養価が高すぎてすぐに太ります」
小食のソフィア嬢だが、それでも少し胸にきているのか、大人しく薬膳茶を飲んでいた。
「でも、レオン様の調査のおかげで油の供給状況もわかりました。何より街に肉が少ないなら、代わり栄養価の高いお芋が美味しく食べられるようになればいいと思ったのです」
可愛らしい笑顔で「領民のため」と言っているが、これは料理の革命だよ。
直ぐに近隣にも知れ渡り、国内でブームになる事も考えられる。
調理法も簡単らしいしね。
「やっぱりシルエット家の料理のノウハウは商会に登録して販売する方がいいのでは?」
疑問を呈すると辺境伯が頷く。
「こうなるとソフィアのお披露目が過ぎればきっと勝手に広がって行ってしまうな。うちのお嬢様は止まってくれないから」
愛おしそうにソフィアを見つめる辺境伯だが、言葉の内容はお転婆認定だ。
「そうね、レシピのフォーマット、レシピ内容、調理器具のアレコレ、全て登録してしまいましょう。調理器具に関してはシルエットのマークを付けて売り出すのがいいわね」
夫人も乗り気だ。
すでにブレスの街にはシルエット家の料理法は多少流出していることもあり、ここで対策しておきたいのだろう。
勝手に流れた情報やまがい物の器具で、何かしらの事故やら問題が起きでもしたら適わない。
「せっかく領民にも作れるメニューをバザーで披露するのだから、露店メニューのレシピと計量カップなどの料理器具をセットにして売るのはどうかな?」
アレクも加わって、シルエット家のレシピと料理法公開に向けて話が盛り上がる。
ソフィア嬢を見ると何かうずうずしている。
これは、まだ何か隠していそうな予感だ。
「ソフィア嬢」
隣のソファーに移動してソフィア嬢の機嫌を窺がう。
うずうず、言いたいけど言えない、どうしよう。
そんな可愛らしい表情で自分を見つめ返してくれると、何とも幸せな気持ちになる。
一緒にいるだけで幸福感に満たされるのがこの子の不思議な魅力だ。
「どうしたの? まだ何かかくしているね?」
伯爵夫婦に聞こえないように小声で話しかけると、ソフィア嬢は人差し指を立てて
「シー、です」
と内緒にしていて欲しいという仕草をする。
うっ。
かわいい。
そのままソフィア嬢は俺の方に身を寄せて、小声で耳元に話しかけてくる。
「我が家の調理法は公開するには火力という欠点があるのです」
ふんふん。それは聞いている。火の魔道具を使うレシピだから、魔力の枯渇している街に公開しても意味がないと諦めた、と執事のセバスチャンが言っていた。
「そこで、明日、ぜひレオン様にも実験にお付き合い頂きたいのです」
続けられた言葉は細い暖かい息で、耳に当たって擽ったい。
なんだろう、この甘ったるさは。
まだ幼いソフィア嬢は俺のことを意識なんかしていないのに、特別に頼られている感がある。
うぬぼれか?
「なにこそこそ話してんだい?」
アレクの冷え切った声が俺とソフィア嬢を引き離した。
「ふふ、内緒です」
悪びれもせず可愛く言われてしまうと、兄であるアレクもそれ以上突っ込めない。
ここでソフィア嬢が照れた素振りひとつしないところが、俺のことを全く意識していない事を物語っている。
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