『冷徹公爵との【愛なし契約結婚】は、溺愛の家族愛に変わりました~「地味で何の価値もない」と捨てた実家は、もう遅い

腐ったバナナ

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14話

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 公爵とエミリアが真の夫婦として愛を育み始めてから、数ヶ月が経過した。公爵邸は、エミリアの温かい心と、公爵の満たされた幸福感により、以前とは比べ物にならないほど明るく穏やかになっていた。アルフレッドは、エミリアを「ママ」と呼び、公爵もエミリアに甘えるように、執務室での作業中も常に彼女の傍にいるようになっていた。

 公爵夫妻は、契約結婚の期間が終わる頃に、改めて真の結婚の儀を行うことを計画し始めていた。

 しかし、この平穏な幸福を破ろうとする黒い影が、王都から近づいていた。

 ある日の午後、ロバート執事が、険しい表情でエミリアに一通の書状を手渡した。

「公爵夫人様。申し訳ございませんが、この書状は、ハーウェル伯爵家(エミリアの実家)からです。公爵様にはまだご覧いただいておりません」

 エミリアは書状を開いた。差出人は継母のイザベル。その内容は、エミリアの想像通り、実家の財政が完全に破綻したという報告だった。

 継母イザベルは、エミリアが公爵家に嫁いだ後、公爵家との繋がりを過信し、無謀な事業に手を出し、多額の借金を抱えていた。

 書状には、「エミリア、お前は公爵の妻なのだから、実家を救う義務がある。すぐに公爵様に掛け合い、借金を肩代わりさせろ」という、傲慢で強圧的な文章が綴られていた。

 エミリアの「心の声」の能力は、書状に込められたイザベルの「焦燥」「憎悪」「厚かましい期待」という醜い感情をはっきりと捉えた。

(あの地味な娘が、公爵家の富を独占しているなど許せない!公爵が愛してなどいるはずがない。さっさと金をよこせばいいのだ!)

 エミリアは、かつて自分を「何の価値もない娘」と断罪し、冷酷に追放した実家からの身勝手な要求に、冷たい怒りを覚えた。

 そこへ、執務を終えた公爵が、エミリアの傍にやってきた。

「どうした、エミリア。そんなに顔色を悪くして」

 公爵は、エミリアの不安な心の声を感じ取り、すぐに彼女を抱き寄せた。

 エミリアは、隠すことなく、公爵に書状を見せた。

 公爵は、書状の内容を一瞥すると、その顔から一切の表情を消した。彼の心の声は、「不愉快だ。私の大切な妻を傷つけた者たちが、何を要求している?この汚い要求を、私の妻に近づけさせたこと自体が許せない!」という、激しい怒りと庇護欲に満ちていた。

「エミリア。これは、君の心と、この公爵家を汚す要求だ。君が心配することはない。すべて私に任せろ」

 公爵は、エミリアを深く抱きしめたまま、ロバート執事に冷徹な命令を下した。

「ロバート。ハーウェル伯爵家との全ての関わりを断て。今後、彼らからの書状、使者、いかなる接触も、私の妻に近づけることを禁ずる」

 公爵は、エミリアに再び顔を向け、その優しい瞳を覗き込んだ。

「君は、もう彼らの道具ではない。君は、私とアルフレッドの、絶対的な温もりだ。その温もりを乱すものは、私が許さない。彼らは、君を追放した報いを、今から受けることになる」

 公爵は、エミリアを冷遇し、利用しようとした実家に対し、容赦のない反撃を開始することを決意した。エミリアは、公爵の重く冷酷なまでの愛情に、再び深い安堵を覚えた。彼女の選択は、間違いではなかった。
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