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14話
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(……天国。ここは天国だわ。冷蔵庫……じゃなくて、愛しの旦那様と二人きりのデートなんて!)
宝飾品盗難事件を解決したご褒美として、私たちは平民の服に着替え、街へと繰り出しました。 ギルバート様は眼鏡をかけ、髪を少し崩していますが、隠しきれないオーラが「超絶美形の近衛騎士」といった雰囲気を醸し出しています。
(あぁ……眼鏡男子。最高。私の脳内プロジェクター、今すぐこの姿を録画して100回再生したい。……よし、せっかくのデートだし、ちょっと『禁断の遊び』をしちゃおうかしら)
「アリア、さっきからニヤついて何を考えている」
「いえ、何でもございませんわ。ただ、旦那様があまりに素敵なので……」
(ふふふ、実はね。脳内で『旦那様に前世の軍服を着せてみたビジョン』を投影して、現実のあなたに重ねて見てるのよ! 視界が幸せすぎて、鼻血が出そう!)
「……軍服? ……ほう、お前の世界の服か。……なんだ、その妙に短い丈のジャケットは。動きやすそうだが……少し、腰回りが強調されすぎではないか?」
(ひっ! また無意識に映像が漏れてた! 旦那様、見ないで! 私の『趣味全開コスプレ大会』を勝手に鑑賞しないで!)
そんな恥ずかしいやり取りをしながら、私たちは活気ある市場を歩いていました。 すると、路地裏のベンチに座り、一心不乱に「何か」をスケッチしている一人の青年が目に留まりました。
(……え? あの、独特のペンの持ち方。それに、あの独特の「猫の絵」……)
私の足が、凍りついたように止まりました。 その青年が描いていたのは、この世界には存在しないはずの、某有名アニメキャラクターに酷似した二等身の猫だったのです。
(嘘でしょ……。まさか、私以外にも「向こう側」から来た人がいるの……!?)
「アリア? 急にどうした」
ギルバート様が心配そうに顔を覗き込んできますが、私はその青年に釘付けでした。 その時、私の動揺に反応したのか、脳内プロジェクターが暴走を始めました。 空中には、前世の日本の風景――満員電車、コンビニ、そして私が生前大好きだった「推しキャラ」の映像が、走馬灯のように次々と映し出されます。
「……っ!!」
スケッチをしていた青年が顔を上げ、空中に浮かぶ映像を見て、絶句しました。 彼はガタガタと椅子を鳴らして立ち上がり、信じられないものを見る目で私を見つめました。
「君……その映像、まさか……『あっち』の記憶なのか……?」
(――ビンゴ。やっぱり同郷だわ!)
「お前、何者だ。アリアから離れろ」
ギルバート様が瞬時に私の前に立ち、抜剣せんばかりの鋭い視線で青年を威嚇しました。 彼の「心の声」感知能力が、青年の内側にある「強烈な違和感」を敏感に察知したのです。
「待ってください、ギルバート様! この人は、多分……」
「アリア、下がっていろ。……こいつの『声』は、この世界の誰とも違う。……不気味なほど、お前の『声』と似た響きがするんだ」
ギルバート様の独占欲と警戒心が、最大級に跳ね上がります。 前世の絆か、今世の愛か。 せっかくのデートは、謎の「転生者」との遭遇によって、波乱の幕開けとなったのでした。
宝飾品盗難事件を解決したご褒美として、私たちは平民の服に着替え、街へと繰り出しました。 ギルバート様は眼鏡をかけ、髪を少し崩していますが、隠しきれないオーラが「超絶美形の近衛騎士」といった雰囲気を醸し出しています。
(あぁ……眼鏡男子。最高。私の脳内プロジェクター、今すぐこの姿を録画して100回再生したい。……よし、せっかくのデートだし、ちょっと『禁断の遊び』をしちゃおうかしら)
「アリア、さっきからニヤついて何を考えている」
「いえ、何でもございませんわ。ただ、旦那様があまりに素敵なので……」
(ふふふ、実はね。脳内で『旦那様に前世の軍服を着せてみたビジョン』を投影して、現実のあなたに重ねて見てるのよ! 視界が幸せすぎて、鼻血が出そう!)
「……軍服? ……ほう、お前の世界の服か。……なんだ、その妙に短い丈のジャケットは。動きやすそうだが……少し、腰回りが強調されすぎではないか?」
(ひっ! また無意識に映像が漏れてた! 旦那様、見ないで! 私の『趣味全開コスプレ大会』を勝手に鑑賞しないで!)
そんな恥ずかしいやり取りをしながら、私たちは活気ある市場を歩いていました。 すると、路地裏のベンチに座り、一心不乱に「何か」をスケッチしている一人の青年が目に留まりました。
(……え? あの、独特のペンの持ち方。それに、あの独特の「猫の絵」……)
私の足が、凍りついたように止まりました。 その青年が描いていたのは、この世界には存在しないはずの、某有名アニメキャラクターに酷似した二等身の猫だったのです。
(嘘でしょ……。まさか、私以外にも「向こう側」から来た人がいるの……!?)
「アリア? 急にどうした」
ギルバート様が心配そうに顔を覗き込んできますが、私はその青年に釘付けでした。 その時、私の動揺に反応したのか、脳内プロジェクターが暴走を始めました。 空中には、前世の日本の風景――満員電車、コンビニ、そして私が生前大好きだった「推しキャラ」の映像が、走馬灯のように次々と映し出されます。
「……っ!!」
スケッチをしていた青年が顔を上げ、空中に浮かぶ映像を見て、絶句しました。 彼はガタガタと椅子を鳴らして立ち上がり、信じられないものを見る目で私を見つめました。
「君……その映像、まさか……『あっち』の記憶なのか……?」
(――ビンゴ。やっぱり同郷だわ!)
「お前、何者だ。アリアから離れろ」
ギルバート様が瞬時に私の前に立ち、抜剣せんばかりの鋭い視線で青年を威嚇しました。 彼の「心の声」感知能力が、青年の内側にある「強烈な違和感」を敏感に察知したのです。
「待ってください、ギルバート様! この人は、多分……」
「アリア、下がっていろ。……こいつの『声』は、この世界の誰とも違う。……不気味なほど、お前の『声』と似た響きがするんだ」
ギルバート様の独占欲と警戒心が、最大級に跳ね上がります。 前世の絆か、今世の愛か。 せっかくのデートは、謎の「転生者」との遭遇によって、波乱の幕開けとなったのでした。
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