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17話
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「――穢れた魔女よ、その姿を現し、天の裁きを受けるがいい!」
禁忌の森を切り裂くように、白銀の法衣を纏った一団が離宮へと迫っていました。聖教国の審問官たち、そして中央に立つのは「神の愛子」と謳われる聖女・クラリス。
彼らが掲げる聖杯から放たれるのは、あらゆる闇を焼き払う「浄化の光」。 それは、レオンハルト様の闇の魔力で形を保っている私にとって、毒以外の何物でもありませんでした。
「くっ……ああぁっ!」
地下の隠し部屋で、私は胸を押さえて崩れ落ちました。 紋章が、焼かれるように熱い。 浄化の光が森に満ちるたび、私の体は実体を失い、ボロボロと崩れる砂のように透けていきます。
(レオンハルト、様……助けて……消えてしまう……!)
心の中で叫んだその時。 扉を蹴破り、血の匂いを纏ったレオンハルト様が飛び込んできました。
「エリス!!」
彼は私を抱きしめ、自身のマントで光を遮ろうとします。けれど、聖教国の力はかつての皇子とは異質でした。彼の闇の結界さえも、聖なる光がじわじわと浸食していきます。
「閣下……私、もう……形が保てません……」
私の指先が、光に触れて粒子となって消えていく。 絶望に目を見開いたレオンハルト様が、狂ったように自身の血管を切り、その血を私の紋章に注ぎ込もうとした――その瞬間でした。
私の腹部の奥底から、眩いばかりの「極彩色の光」が溢れ出したのです。
「な……これは……?」
レオンハルト様の動きが止まりました。 私の体から溢れる光は、聖教国の白い光を撥ね退け、逆にそれを取り込んで、さらに強く、美しく輝き始めました。 それは「認識阻害」でも「闇」でもない。それら全てを融合させた、まったく新しい魔力の奔流。
「エリス……お前の体の中に、もう一つの『核』がある」
レオンハルト様が震える手で、私の腹部に触れました。 そこには、小さな、けれど確かな鼓動がありました。 彼の魔力と私の魔力が、数年の歳月をかけて混ざり合い、結晶化した――新しい命。
「……私たちの、子供……?」
その事実に気づいた瞬間、私の中の「母性」という名の本能が覚醒しました。 「消えたくない」という弱気な願いは消え、「この子を守るために、ここにある」という強烈な存在証明へと変わったのです。
「――我が子を、そして俺の妻を傷つける者は、神だろうと容赦はしない」
レオンハルト様の瞳が、黄金から完全な深紅へと変色しました。 彼は立ち上がり、私の溢れ出す光を自身の剣に纏わせると、離宮の外へと一歩踏み出しました。
「聖女よ、貴様らが『浄化』と呼ぶその光で、俺たちの愛を裁けると思うな」
窓の外で、絶叫が響きました。 聖女が誇る「無敵の結界」が、レオンハルト様の一振りでガラス細工のように砕け散ります。 愛が生んだ新しい命の力が、死神に「神殺し」の力を与えたのです。
私は、熱を帯びたお腹を愛おしげに撫でながら、外で繰り広げられる「聖なる断罪」への逆襲を、穏やかな微笑みを浮かべて見つめていました。
禁忌の森を切り裂くように、白銀の法衣を纏った一団が離宮へと迫っていました。聖教国の審問官たち、そして中央に立つのは「神の愛子」と謳われる聖女・クラリス。
彼らが掲げる聖杯から放たれるのは、あらゆる闇を焼き払う「浄化の光」。 それは、レオンハルト様の闇の魔力で形を保っている私にとって、毒以外の何物でもありませんでした。
「くっ……ああぁっ!」
地下の隠し部屋で、私は胸を押さえて崩れ落ちました。 紋章が、焼かれるように熱い。 浄化の光が森に満ちるたび、私の体は実体を失い、ボロボロと崩れる砂のように透けていきます。
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心の中で叫んだその時。 扉を蹴破り、血の匂いを纏ったレオンハルト様が飛び込んできました。
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彼は私を抱きしめ、自身のマントで光を遮ろうとします。けれど、聖教国の力はかつての皇子とは異質でした。彼の闇の結界さえも、聖なる光がじわじわと浸食していきます。
「閣下……私、もう……形が保てません……」
私の指先が、光に触れて粒子となって消えていく。 絶望に目を見開いたレオンハルト様が、狂ったように自身の血管を切り、その血を私の紋章に注ぎ込もうとした――その瞬間でした。
私の腹部の奥底から、眩いばかりの「極彩色の光」が溢れ出したのです。
「な……これは……?」
レオンハルト様の動きが止まりました。 私の体から溢れる光は、聖教国の白い光を撥ね退け、逆にそれを取り込んで、さらに強く、美しく輝き始めました。 それは「認識阻害」でも「闇」でもない。それら全てを融合させた、まったく新しい魔力の奔流。
「エリス……お前の体の中に、もう一つの『核』がある」
レオンハルト様が震える手で、私の腹部に触れました。 そこには、小さな、けれど確かな鼓動がありました。 彼の魔力と私の魔力が、数年の歳月をかけて混ざり合い、結晶化した――新しい命。
「……私たちの、子供……?」
その事実に気づいた瞬間、私の中の「母性」という名の本能が覚醒しました。 「消えたくない」という弱気な願いは消え、「この子を守るために、ここにある」という強烈な存在証明へと変わったのです。
「――我が子を、そして俺の妻を傷つける者は、神だろうと容赦はしない」
レオンハルト様の瞳が、黄金から完全な深紅へと変色しました。 彼は立ち上がり、私の溢れ出す光を自身の剣に纏わせると、離宮の外へと一歩踏み出しました。
「聖女よ、貴様らが『浄化』と呼ぶその光で、俺たちの愛を裁けると思うな」
窓の外で、絶叫が響きました。 聖女が誇る「無敵の結界」が、レオンハルト様の一振りでガラス細工のように砕け散ります。 愛が生んだ新しい命の力が、死神に「神殺し」の力を与えたのです。
私は、熱を帯びたお腹を愛おしげに撫でながら、外で繰り広げられる「聖なる断罪」への逆襲を、穏やかな微笑みを浮かべて見つめていました。
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