訳あり未亡人と、年下の騎士様 ~私はもう、恋なんてしないはずでした~

腐ったバナナ

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10話

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 クロードが重傷を負ってから、侯爵城は一晩中、緊迫した空気に包まれた。幸い、魔術を込めた短剣は致命傷には至らなかったものの、クロードは大量に出血し、意識を失っていた。

 フィオナは、クロードの病室から一歩も離れなかった。彼の血で汚れた衣服もそのままに、治療師の指示に従い、熱心に彼の看病にあたった。

(私は、彼にまた孤独な死を迎えさせてしまうところだった……)

 過去の夫は、孤独の中で死んだ。そしてフィオナ自身も、愛のない人生を送り孤独に死んだ。しかし、今、クロードが命を懸けて自分を守ったことで、フィオナは愛を失うことの本当の痛みを知った。

「愛を信じられない」と理性を盾にしていた過去の自分は、愛を失うという真の恐怖を理解していなかった。

 フィオナは、静かに眠るクロードの頬に触れた。

「貴方が私にしてくれたように、今度は私が貴方を守る番です。もう二度と、孤独になどさせません」

 フィオナの瞳には、後悔ではなく、愛と決意の炎が宿っていた。彼女の心を満たすのは、亡き夫への過去の傷ではなく、目の前の愛しい騎士を救いたいという切実な願いだけだった。彼女は、心のトラウマを完全に乗り越えたのだ。

 翌朝、夜明けと共にクロードは意識を取り戻した。

「フィオナ様……ご無事、ですか」

 彼の第一声は、自分の容態ではなく、フィオナの安全を案じるものだった。

 フィオナは安堵の涙を流しながら、クロードの手を握りしめた。

「ええ、私は無事です。貴方が守ってくれた。貴方は、私の最強の盾です」

 フィオナは、もう理性の壁を一切作らなかった。彼女の視線は愛に満ちていた。

「クロード殿。目を覚ましてくれて、本当にありがとう。貴方の愛は、私の過去の恐怖を打ち砕きました」

「私はもう、貴方を道具として扱いません。貴方は、私の愛する人です」

 フィオナは、俯いていたクロードの顔を両手で包み込み、優しく、しかし確かな愛の誓いのキスを落とした。

「貴方が私を裏切る日など、永遠に来ないことを知っています。私は、貴方を永遠に愛します。だから、どうか生きて、私の傍にいてください」

 クロードは、フィオナからの剥き出しの、真実の愛の告白に、全身が震えるのを感じた。彼は、フィオナの心の氷が溶け、自分と同じ熱量で愛してくれていることを理解した。

「フィオナ様……貴女の愛があれば、私は死にません。私は、貴女の傍で生き続けます」

「私は、契約も義務も関係なく、貴女を愛している。そして、貴女こそが、私にとって侯爵家の名誉や王都の爵位よりも遥かに価値のあるものだ」

 クロードは、フィオナの手を握りしめた。

「フィオナ様。貴女は私だけのものです。そして、私は、貴女だけの騎士です」

 二人は、命の危機を乗り越え、愛と信頼の絆をさらに強固なものにした。フィオナは、クロードの看病に専念しつつ、残された最後の務めを果たす決意を固めた。それは、愛するクロードが命を懸けて守り抜いた侯爵家の名誉と、彼らの未来を守り抜く戦いだった。
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