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後章
学園祭準備(何度目かの衝突)
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「ああ、ちょっと、私やること思い出したので戻りますね!失礼しまーす」
何かを察した蓮がそっとドアを閉めて去っていく音が、やけに大きく響いた。
「……っ!」
詩弦は弾かれたように彩里を振りほどき、ソファーから飛び退いた。
「何考えてんだ!ふざけんな!」
蓮だ去ってすぐ、詩弦は溜まっていた思いを彩里にぶつける。
「まあ、落ち着きなって」
「落ち着ける訳ないだろ! 二回、二回も、こんな!」
詩弦は言葉を詰まらせ、頬が熱くなるのを自覚しながらも怒鳴る。
「おまけに、蓮に見られて!ほんとどう責任とってくれる?!」
「責任?ハッ!笑わせんな」
彩里は立ち上がり、詩弦へと一歩踏み込む。
「二回とも、詩弦は抵抗しなかったくせに」
「っ!」
図星を刺され、言葉が喉に詰まる。
不意打ちに驚いて、体が言うことを聞かなかった。
そう言い訳したいのに、詩弦の口からは何も出てこない。
「ほら、黙る。図星ってことでいいよね」
彩里はにやりと笑い、だがその目には焦りが見え隠れしていた。
「私だって、流石にフリだけで止めようと思ったんだよ?でも、詩弦は拒まなかったから」
「黙れ!」
詩弦は叫んだ。
「私の気持ちを勝手に決めつけんな!」
言い合いはどんどん熱を帯びていく。
その時。
「何イチャついてんですか?」
ふいに投げ込まれた声に、二人同時に振り返る。
そこには、ドアの外で腕を組んで立つひいながいた。
「「……っ!」」
詩弦と彩里は同時に息をのむ。
いつから、どこまで聞かれていたのか。
「いやぁ、びっくりしました。蓮先輩が赤い顔で出てきたと思ったら、中ではこんなことになってたなんて」
ひいなは小首をかしげ、あえて無邪気な口調で言葉を重ねた。
「っていうか、ひいなお前!」
彩里の声が休憩室の空気が一気に張り詰めた。
「詩弦に何したんだよ」
ひいなは一歩も引かず、笑みを崩さない。
「何って、ちょっと可愛がっただけですよ。蓮先輩に悪い虫がつかないようにって」
彩里は無言で机を強くたたいた。
流石のひいなも、初めて見る先輩の姿に動揺を隠せない。
「可愛がる?度が過ぎてんだよ、詩弦をあんな状態にまで追いつめて!」
そこまで言って、彩里一つ深呼吸を挟んだ。
「お前が蓮を好いていて、蓮を誰にも取られたくないって気持ちはわかる。でもだからって、それが誰かを傷つけていい理由にはならない。私は詩弦が嫌がるようなことをしたお前が許せないんだよ」
「嫌がる?本当にそうですか?」
ひいなの瞳が鋭く光る。
「私がしたのはただのくすぐり攻撃ですよ?声を出して助けを呼んだり、身をよじって抵抗だってできたじゃないですか。それをしなかったってことは、詩弦先輩、心の奥じゃまんざらでもなかったんじゃないですか?」
「てめぇっ」
「やめろ!」
詩弦の声が割って入り、二人の間に立ちはだかる。
「なんでそこまで無機になる?意味が分からない」
ぼそりと訴えた小さな声に、彩里とひいなは動きを止めた。
詩弦の視線は彩里に向いた。
「もういい。ひいな、出てって」
詩弦が絞り出すように言うと、ひいなは「はいはい、邪魔者は退散しますよ~」と肩をすくめて笑った。
扉が閉まったあと、しばしの沈黙。
彩里は、まだ息を荒げたままこちらを見つめる詩弦と見つめあった。
対する詩弦は、胸の奥に残る問いをどうにも振り払えずにいた。
何かを察した蓮がそっとドアを閉めて去っていく音が、やけに大きく響いた。
「……っ!」
詩弦は弾かれたように彩里を振りほどき、ソファーから飛び退いた。
「何考えてんだ!ふざけんな!」
蓮だ去ってすぐ、詩弦は溜まっていた思いを彩里にぶつける。
「まあ、落ち着きなって」
「落ち着ける訳ないだろ! 二回、二回も、こんな!」
詩弦は言葉を詰まらせ、頬が熱くなるのを自覚しながらも怒鳴る。
「おまけに、蓮に見られて!ほんとどう責任とってくれる?!」
「責任?ハッ!笑わせんな」
彩里は立ち上がり、詩弦へと一歩踏み込む。
「二回とも、詩弦は抵抗しなかったくせに」
「っ!」
図星を刺され、言葉が喉に詰まる。
不意打ちに驚いて、体が言うことを聞かなかった。
そう言い訳したいのに、詩弦の口からは何も出てこない。
「ほら、黙る。図星ってことでいいよね」
彩里はにやりと笑い、だがその目には焦りが見え隠れしていた。
「私だって、流石にフリだけで止めようと思ったんだよ?でも、詩弦は拒まなかったから」
「黙れ!」
詩弦は叫んだ。
「私の気持ちを勝手に決めつけんな!」
言い合いはどんどん熱を帯びていく。
その時。
「何イチャついてんですか?」
ふいに投げ込まれた声に、二人同時に振り返る。
そこには、ドアの外で腕を組んで立つひいながいた。
「「……っ!」」
詩弦と彩里は同時に息をのむ。
いつから、どこまで聞かれていたのか。
「いやぁ、びっくりしました。蓮先輩が赤い顔で出てきたと思ったら、中ではこんなことになってたなんて」
ひいなは小首をかしげ、あえて無邪気な口調で言葉を重ねた。
「っていうか、ひいなお前!」
彩里の声が休憩室の空気が一気に張り詰めた。
「詩弦に何したんだよ」
ひいなは一歩も引かず、笑みを崩さない。
「何って、ちょっと可愛がっただけですよ。蓮先輩に悪い虫がつかないようにって」
彩里は無言で机を強くたたいた。
流石のひいなも、初めて見る先輩の姿に動揺を隠せない。
「可愛がる?度が過ぎてんだよ、詩弦をあんな状態にまで追いつめて!」
そこまで言って、彩里一つ深呼吸を挟んだ。
「お前が蓮を好いていて、蓮を誰にも取られたくないって気持ちはわかる。でもだからって、それが誰かを傷つけていい理由にはならない。私は詩弦が嫌がるようなことをしたお前が許せないんだよ」
「嫌がる?本当にそうですか?」
ひいなの瞳が鋭く光る。
「私がしたのはただのくすぐり攻撃ですよ?声を出して助けを呼んだり、身をよじって抵抗だってできたじゃないですか。それをしなかったってことは、詩弦先輩、心の奥じゃまんざらでもなかったんじゃないですか?」
「てめぇっ」
「やめろ!」
詩弦の声が割って入り、二人の間に立ちはだかる。
「なんでそこまで無機になる?意味が分からない」
ぼそりと訴えた小さな声に、彩里とひいなは動きを止めた。
詩弦の視線は彩里に向いた。
「もういい。ひいな、出てって」
詩弦が絞り出すように言うと、ひいなは「はいはい、邪魔者は退散しますよ~」と肩をすくめて笑った。
扉が閉まったあと、しばしの沈黙。
彩里は、まだ息を荒げたままこちらを見つめる詩弦と見つめあった。
対する詩弦は、胸の奥に残る問いをどうにも振り払えずにいた。
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