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2.実家に帰る
しおりを挟む「フィオナお嬢様!!この度は大変でございましたね…。お疲れでしょう?」
侍女のマリナが出迎えてくれる。
「ありがとう。本当、疲れたわ…。でも、先にお父様とお母様に報告へ行ってるくるわ。」
「かしこまりました。湯浴みの準備をしておきますね。」
「ありがとう。嬉しいわ。」
マリナはいつも気遣いが素晴らしい。
(1年ぶりに帰ってきたのね。)
感情に浸る暇もなく、両親の元へ向かう。
「お久しぶりです。フィオナです。」
「フィオナ!!災難だったわね!私は初めからゴードンは気に入らなかったのよっ!」
「お母様…。」
「ふんっ。出戻りだなんて恥ずかしくてもう他所に出せんわ!!」
「お父様…。」
「こらアナタっ!またそんな言い方をして!!フィオナ。貴女のお父様は、"こんな辛い思いをさせるくらいならもうどこにも嫁には出さない!"と言っているわ。」
「分かっていますお母様。それよりもお父様、その手はどうされたのですか??」
父の両手が包帯でぐるぐる巻きになっているのだ。
父が明らかにぎくっ!と肩を揺らした。
すかさず母が答える。
「これはね、先日フィオナから離縁されたと手紙が届いた際、この人ったら怒り狂って壁を殴ったり蹴ったり叫んだり…。大変だったのよ。"だからゴードンにはフィオナを嫁に出したくなかったんだー!"とか…。"息の根を止めてやるー!"とか…。」
父を見ると真っ赤な顔をしてそっぽ向いている。
「その、なんだ。部屋の中に、む、虫がいただけだ…。」
その様子を見て、母と顔を見合わせてクスクス笑ってしまう。
笑うのは久しぶりだ。この家を出てから心から笑う事は一度も無かったように思える。
「ご、ごほん。フィオナはそのみすぼらしい格好をとっとと何とかしたらどうだ。」
「疲れているだろうから、湯浴みをしてゆっくりしなさい。と言っているわ!」
瞬時に母の通訳が入る。これは昔からだ。
父はいつも憎まれ口をたたいているが、母を誰よりも大切にして家族を愛している。
(こんな夫婦になりたかったわ。)
そう思いながら礼をし、部屋に帰り湯浴みをするのだった。
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