わがままな妹の正体は

Haru

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運命の人

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あれが、レオナルド・サジスタン様


リリーは自分の縁談相手に一目見て心を奪われた。
同じ学年なのに今まで目に入らなかったのが
不思議なくらい素敵な人。

友人に聞いたら、素晴らしい人よ!と教えてもらい
リリーは益々舞い上がっていた。

それに何より、今回は安心して愛を育む事が出来る

どんなにレイナが望もうとこの縁談は守ってみせる。

強い思いを胸にリリーはレオナルドの元へ向かう
リリーに気付いたレオナルドの友人が彼の肩を叩いた

そして視線が絡んだ瞬間、リリーは思ったのだ。
この方は私の運命の人だと。


それからの話は早かった
全ての事がトントン拍子に進んだのだ。

レイナが大人しかったのが少々気になるが
もしかしたら改心してくれたのかもしれないと
思い、刺激せずそっとして置くことに決めていた。


だが、事件は起きた
レオナルドとリリーが婚約して1ヶ月程経っていた。


「私、レオナルド様を好きになってしまいましたの」

屋敷でレイナに言われたリリーは頭が真っ白になった。

「どうして、今までそんな素振り無かったじゃない」

「私だってお姉様達を祝福するつもりでしたわ
でも、仲睦まじいお2人を見るうちに………ごめんなさい」

「渡さないわ。レオだけは、絶対に」

リリーの言葉に美しいレイナが微笑む

「私がお姉様から奪えなかったものなどあったかしら?」

パンっ!!

「どうして……!!どうしてよ!!」

リリーに叩かれた頬を抑えながら、レイナが答えた。

「お姉様が不釣り合いな物に惹かれるからですわ」





















痛い

普通に痛い

全部ぶちまけてやろうかと思ったわよ
アンタを好きになる男は皆変態なんだよっ!!って

レイナは赤くなった頬を冷やしながら
今日見た光景を思い出す。


それは偶然だった
昼食を軽く済ませ、学園の庭を散歩していると

「許せない!!リリー・リンロット!!」

怒気に満ちた女の声に、レイナは無視しようと決めた。
モテる男を夫にするのだ。
多少は仕方ないというものだ

「レオ様がお優しいのいい事に……顔しか取り柄が無いくせに!!」

過ぎ去ろうとしていた足が止まる。

顔だけ?リリーが?
恋愛に関しては少しアレな所があるが
他は顔も含めて優秀なはずだ。

何せ全てにおいて完璧なこの私の姉なのだから。


「居なくなればいいのに」


学園で話すという事は当人達に聞かれる恐れも有るのに
それを全く気にしてないのか、興奮していて忘れているのか

婚約してから一月も経っているのに、今更何故

レイナは自分に火の粉が降りかかるのは嫌いだ。
リリーに何かあれば、私の結婚にも影響が……
それに、レオナルド・サジスタンは自分から姉を婚約者にと指名したくせに最初こそ頻繁に来ていたが今ではあまり見かけなくなった。

随分と馬鹿にしてくれる
もちろん向こうの家格の方が上なのは分かってはいるが

リリーは彼に本気になっているようだし
また野放しにすればと変態を釣り上げてくる

ならば、少々強引にでもレオナルドに細工した方が早いだろう。

ふんっ!!感謝しなさい!リリー!!


こうしてレイナは姉と婚約者の間に割り込むことにしたのだった。




























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