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暴走する力
しおりを挟む目の前で我が子が連れ去られたアルベル夫妻は
狼狽え、夫人が倒れた。
場は騒然とし、見せしめのように
いたぶる様に何人かの貴族達が首を切り落とされた
我々騎士団は陛下達を安全な場所へ護衛する
犯人を追いかける為魔道士達が飛び出したが
奇襲に連携も指示も上手く通らない
『シャーロン……シャーロン……』
まだ新米だった俺は顔を真っ青にして立ち尽くす
サーシャリアに気付き、逃がそうと近付いたが
彼女がその場から離れようとせず
抱えて逃げようとした時だ
『っ……許さない__』
突然、サイクロンが現れ敵だけを巻き込むように
暴れ始めた
『_一体』
一体何が起こったのか
『返せ!!シャーロンを返せ!!』
彼女の言葉に反応し、庭園を彩る花達が
動き出し、敵の手足に巻き付く
薔薇は恐ろしい武器となり、容赦なく身体を貫いていく
『ダメだ!!殺すな!!』
ギロリと向けられたのは
目の中の白い部分が黒く覆われ
怒りに燃える紫の瞳だった。
背中が冷え、足が竦んだ
『妹君をどこに連れていったか吐かせるんだ!』
その言葉に一瞬、ハッとした彼女が敵を見据え
『吐かせろ_』
6歳の少女から出た声とは思えなかった
紅い薔薇が黒や紫へと変色し
その棘で敵の喉を刺した
先程までは確かに゙剣゙だった棘が
゙毒針゙へと姿を変える
敵が何度も叫ぶ
自分達のアジトを
別の奴らも、裏切り者の名や自分達の国
そこの貴族の秘密
だが、今は攫われたシャーロン嬢を助けるのが
先でそいつらの証言は魔道士団により
水晶で記録され、すぐに転移魔法で我々が向かった
当然、サーシャリアは連れていかなかった
だが俺達は遅かった
シャーロン嬢の腕は切り落とされ
既にぐったりしていて
血塗られた剣を持つ男がその体を乱暴に床へと
投げ付ける
彼女の側には血が着いたクマのぬいぐるみが
落ちていた
『何故………』
そして、その一部始終を置いてきたはずの
サーシャリアが見てしまった
転移魔法は行先の情景が分からなければ
来れないはず
令嬢である彼女がこんな山奥を知っているとは
思えなかったが、彼女は我々より先に来ていた
『シャーロン………』
力なくサーシャが呟くと彼女はスっと
両手を前に突き出す
『何だガキ』
ニヤリと笑った男は勝ち誇った様な顔をしている
『_獄門』
サーシャが呟き、ギュっと手を握った瞬間
黒い影が現れ、空間が歪む
俺や仲間たちは放出された魔力に耐えれず
膝を着いて、我が身を守ることしか出来ない
数多の悲鳴や助けを乞う声が聞こえ、奴らの仲間が隠れていた事を知る
無理やり目を開けば、その影に人が吸い込まれ
消えゆく所だった。
それと同時に身体が軽くなり、ゆっくりと立ち上がり周囲を見ると俺達とシャーロン嬢、そしてサーシャリアを残して
アジトだったであろう建物も、生い茂っていた周りの木々も……全て、消えていた
『闇魔法だ』
一緒に来ていた魔道士が言うと、何人かがゴクリと
唾を飲む音が聞こえる。
サーシャリアはまっすぐシャーロン嬢に
駆け寄った
『シャーロン…ごめんね、こわかったね
もう大丈夫よ。シャーロン』
血塗れの妹を抱きしめ、涙を流す姿に
俺達は我に返り慌てて近付く
『サーシャリア様、後は我々に』
騎士団長が声をかけるが
サーシャリアはシャーロンを抱きしめたまま
離さない
『シャーロン……シャーロン……』
まだ3歳の子
大人でも耐えられる物では無いのに
……助からないだろう
『シャーロン……』
サーシャの瞳から溢れた涙が光り始める
そして、ぽたぽたと落ちる涙はやがて光の粒へと変わりシャーロン嬢を包んだ
__奇跡だと思った
確かに失われた腕が再生し
そして
『おねーさま……』
小さな身体から綺麗に全ての傷が
消えていたのだから
その後、消されたはずの男達が地下牢にいると
サーシャリアが言った。
我々がサーシャリアに言われて向かった時には
彼らの身体は左側だけがボロボロになっていた。
陛下に報告すると、サーシャリアの為に
魔道士団で魔力を操れるように教えてやれと言うことになり彼女は見習いとして入団した
監視の意味もあったのだろうが、陛下は姪であるサーシャリアへの態度を今も変えていない。
シャーロン嬢は知らない
彼女の身に起こったそれをサーシャリアが
消したし皆それどころじゃなかった。
あの事件で家族を失った者も居たが
誰一人陛下を責めなかったのは
日頃の人徳だけではない……と思う
内通していた貴族は当然処刑され
その国から首謀者である第二王子が引き渡された
当然、刺客達が散々喋った内部情報も有意義に使わせて貰った。
理由は王位継承問題
野心家だった第二王子が戦争から
復興途中の我が国なら簡単に潰せると思ったらしい
シャーロン嬢を誘拐したのは
内通した貴族が王家と公爵家いっぺんに崩せると言ったかららしかった
仲のいい兄弟に亀裂をいれさせたかったのだろう
シャーロン嬢を攫い、囮にし言うことを聞かせるつもりが刺客の1人が助けに来たサーシャリアや
俺たちを見て勝手に焦りシャーロン嬢に危害を加えた。
第二王子はその点については心から謝罪していたと当時の直属の上司が教えてくれた。
だからって許されるわけないが
俺は目の前の少女に目を向けた。
こちらに向かってくる少女を見つけ
その瞳を愛しい者を見るように細める
まるで、母が我が子を見ているような
「ダグラス・リードン騎士団長様」
「なんだ」
「今回のお話、前向きに検討致しますわ」
「!!」
そう言って前に1歩進んだ彼女の目にはもう
妹、シャーロンしか映って居なかった。
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