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お出かけ
しおりを挟む街へ向かう為、ダグラスとサーシャは
馬車に揺られていた。
もちろん、朝迎えに行った時に
連れていきたいサーシャ対行きたくないシャーロンが邸のポーチで攻防を繰り返していたが
「今日はお姉様といる気分じゃありませんのよっ!!」
目に涙を溜めながら言い放ったシャーロン
その言葉を受けて石の様に固まったサーシャ
嘘……と呟いたサーシャにシャーロンも口を開きかけたがすぐにギュッと目を閉じてそれから私を見て
挨拶をしてくれた。
私が挨拶を返すと、彼女は「今日はお姉様をよろしくお願い致します。私はこれで失礼致します」と言ってから侍女と共に去って行った。
ショックを受けるサーシャに声をかけて
連れ出して数分も経てば………
「まだ子供なのに、遠慮して……いや、もしかしたら
騎士団長が怖いのかもしれませわ」
これである。
はぁ……と息を吐くサーシャリアは
馬車の窓を覗いた。
すると、タイミング良く御者から
「到着しました」と声が掛かり
私達は馬車から降りた。
「『転送』」
王家のお膝元と呼ばれる城下街に着いてから
目につく店全てで
妹である、シャーロン嬢へのお土産を買っているサーシャ。
お菓子はもちろん、髪飾りやネックレス、ブレスレットやブローチ
ダグラスにも兄が居るが兄にお土産を贈ろうなどと考えたことは無い……
姉妹とはこれが普通なのだろうか
「あら、これも、これも……困ったわ」
高価な宝石達を前に
頬に手を当て、今日初めての困惑顔を見せた
サーシャにようやく自分の出番かとダグラスは思った。
「私で良ければ、貴方にプレゼントを」
「ありがとうございます……でも、そうではなくて…困ったわ……」
何を悩んでるんだろう
さっきから即決だったのに
ダグラスがなんと声をかけようか迷っていると
「シャーロンには全て似合ってしまうものですから……ああもう…可愛すぎるのよシャーロン
全部身につけさせたい……っ!!」
ダグラスは悩んだことを少し後悔した。
「でも、いいわ……。」
決意したサーシャが店員に目配せすると
気付いた1人がこちらへやって来た
「ここから、ここまで包んで頂戴」
店員は本気か?と言うような表情で
ダグラスを見た
そりゃそうだろう。
この宝石達の支払いだけで騎士2人分の年収くらいある
「早くして頂ける?」
「は、はい!」
サーシャの言葉に店員が1つ1つ
説明し、確認する
「ええ、間違いないわ」
「畏まりました。少々お待ちくださいませ」
頭を下げた店員をサーシャが「待って」と止めた。
サーシャが店員と話している間に
彼女の側で色々見ていたダグラスも顔を上げる
「どうかしたのですか?」
ダグラスが声をかけると、サーシャはチラリと
ダグラスを見てからまた前を向いた。
「……あれも一緒に」
サーシャが指さす先にあったのは
ブラックオニキスが装飾されたブローチ
「こちらですか?」
店員が台座に乗せて、サーシャの前まで持ってくる
「ええ。お願い。でもそれは袋を分けて頂戴」
サーシャ自身の為に購入する物だと気付いた時には口が勝手に開いていた。
「待ってくれ、それを私からあなたへプレゼントさせて欲しい」
「え?」
「このままじゃ、あまりにかっこ悪いので」
これじゃただの付き添い人だ。
だが、彼女らしいといえば彼女らしい
「……ありがとう、ございます」
強請る気なんて更々無かったであろうことは
解っている
戸惑いながらも少し頬を赤らめたサーシャが
年相応な少女に見えて、ダグラスは嬉しくなった。
品物を受け取り、店を出ると
ちょうど昼時になっていた
騎士仲間に紹介してもらった
レストランにサーシャリアを連れていく
つもりでいたダグラスが急にソワソワし始めると
「……あれ、食べたいです」
「へ?え?あ、あれですか?」
サーシャが指さしたのは焼いたソーセージを
パンにサンドしケチャップとマスタードを
かけた物
屋台の看板にホットドッグと書いてある
「行きましょう。」
サッサっと歩き出したサーシャの横に並び
屋台の前に立つ
注文しようとする彼女を制して「2つくれ」
と言うと「あいよ!」と店主がニカッと笑う
「1つはマスタード抜きで頼む!」
目を輝かせたサーシャが言えば店主は
また「あいよ!」と言って優しく笑った。
「おおっ……!!」
ホットドッグ店が用意している小さな椅子とテーブルがある席に2人は座った。
焼きたてのソーセージから立ち上る湯気を前に
感動するサーシャは珍しくニコニコしている
ダグラスは驚きつつもその横顔を可愛いな
と思いながら眺めていた
「ホットドッグがお好きなのですか?」
「いえ!初めてです!」
360度ホットドッグを回転させながら嬉しそうにする姿は子供と変わらない。
「では、一緒にせーの!で!」
もしかしたらこれが本来の彼女なのだろうか……
ダグラスが頷くと、サーシャがガブっとホットドッグを頬張る
令嬢らしからぬ姿かもしれないが
それでもダグラスには可愛く映る。
「美味しい………」
「そうですね」
少しだけ彼女に近付けた気がして
ダグラスは嬉しかった。
__一方その頃、アルベル邸では
「キャーっっ!!またなの?!お姉様!」
転移魔法で次から次へと送られてくる
品物達に自室に居たシャーロンが悲鳴をあげた
「お金は大切にって前にも言ったのに!!」
シャーロンだって、姉が魔道士として
お給金を頂いて居ることはしっている
だから、それを姉が姉自身の為に使うなら
何も異論は無いのだが……
私、朝お姉様に酷いこと言ったのに……
それでも、甘い匂いに釣られて
「こ、このお菓子は……巷で噂の…あ!こっちも!!」
どうしても、お菓子の紙袋を覗いてしまう
「ダメよ!ダメよ!シャーロン!!こんな、ダメよ!!」
シャーロンの好みを熟知した姉が選ぶお菓子に
ハズレがあるわけが無い。
現に好物ばかりである。
「ん?いい匂い……」
香りがする方向に視線をやれば
パンにソーセージが挟まれた物がテーブルに置かれていた
「……ゴクリ」
ケチャップの甘酸っぱい匂いとソーセージの
湯気が、シャーロンを誘惑する
はしたないわ!!はしたないのよ!シャーロン
こんな事!許されてはいけないわ!!
でも、パンを包んだ紙に
食べてね。姉より
「…お、お水を!!お水を大至急!!」
そう言ってパクっと食べたシャーロンを見て
今度はそばに居たメイドが悲鳴をあげた
令嬢だとか、淑女だとかの前に私だって1人の人間!
美味しそうな物の前でば無条件降伏よ!!
「美味しい……さすが、お姉様………」
公爵家は今日も平和である。
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