2 / 5
既視感
しおりを挟む在るはずがない記憶。
今でもこの日が一年で一番嫌いな日。
5月の始め、世間は祝日の連続で、日常からは少し離れていた。時間は11時過ぎ。
「綾人の誕生日って何日?」
ふいに問われて、すんなり答えられなかった。
「何でだよ?」
「お祝いしたいもん」
お祝いって…。まぁ、別に隠すことでもないか。
「6月29日」
「いいね、6月生まれ」
いいねって、よくわからない。
「雨ばっかでよくないよ。お前は?」
「9月3日。まだちょっと先だね」
秋生まれはちょっと意外だった。あれ…誰かも確か近い日に誕生日だったような気が…。
「…小夜が…」
思わず口から出て、はっとなる。
「綾人、大丈夫?」
また、心配させた。どうしていつも、こう…。
「何でもないよ。昼飯何がいい?」
どれだけ話題を変えたとしても、意味がないことはわかってる。
ロクはあれから一人暮らしをしている。父親は、ほとんど家に帰ることはないらしく、母親は、あの一件以来とある施設に入ったと。事も無げに言った。ないわけはないけど、ロクがそう受け止めて、行動すると決めたのなら俺としては出来る限りのことをしてあげたいと思った。
これはただの同情…なのだと思う。過去の経験則だから、俺の場合は実の母親ではなかったけれど、似たような目にあった。だから、ロクが抱えてる淋しい気持ちも少しだけれど、理解はできる。
「また、難しいこと考えてる?」
両手で、顔を挟まれる。こいつ、手がいつもあったかい。なんでだろうな、こんなに綺麗な指してるのに。
「お前、手綺麗だよな」
「な…何、いきなり誉め殺し?」
「それに、あったかい」
「うーんとね、それは綾人の体温が低いからだと思うよ」
そういうと、急に抱き締められた。
「こういうことは、女の子にしてあげるもんだろ」
ロクは俺の頭の上にあごを乗せ、
「違うよ。好きな人にすることだよ」
こういうことを臆面もなく言えることが、若さというかなんというか。受け流すように離れる。
「あーはいはい。さてと、昼飯作るからそっちに座って」
「また、話逸らしたー!」
逸らすも何も、まともに受け取ってたら身が持たない。ただ、いつも思うのは、今まで俺の周りにはいなかったタイプだということだろうか。見た目も中身も他人から好かれる人間。俺とは正反対だな。
シンクで手を洗っていると、すぐそばにロクが立って顔を覗き込んで、
「ねぇ」
「なんだよ」
「さやって、どんな人?」
聞こえてたのか。
「どんなって…」
「綾人から、女の人の名前って珍しいから」
「変わり者だよ。それでも明るくて、前向きでたくさんの人に好かれてて、煙草が…」
また、目眩が…。
「落ち着いて、深呼吸…できる?」
気が付くと、しっかりと両腕で支えられていた。
「…あぁ、ごめん」
「身体、まだ調子悪いみたいだから、あんまり無理しないでね」
身体のことは、あんまり話題にはしたくなかった。どんなに割り切ったようにしていても、必ず彼女と結び付いてしまうから。それは俺にとっても、ロクにとっても今はあまり触れたくはないものだった。
小夜のことなんてしばらくは、思い出すこともしてなかったのにどうして、今日に限ってこんなに思い出すんだろうか。大好きだった人なのに。
あの日は雨が、降っていた。小学校三年生だった俺は、狭いアパートの一室で小夜の帰りを待っていた。20時には帰ると約束してくれたのに、何時までたっても小夜は帰って来なかった。大粒の雨が、窓を叩き続け不安な気持ちに拍車をかけた。そしてアパートのドアが叩かれ、
『……』
突然、目が覚める感覚。ここはベッドの中…なんで…。
「気分はどう?」
ロクの手が額に触れる。
「…なんで…」
「目眩起こしてあと、急に倒れたの。一応熊先生には連絡したら、様子みて明日には来いって」
覚えてない。いや、正確には目眩を起こしたところまでは覚えてる。そのあとが…。
「水…」
頭がぼーっとしてる。
「はい、ボトル」
身体を起こしてボトルを受けとる。あれ…?握力が…。するりとベッドの上に落ちる。
「我慢、してね」
我慢…?何を…。
「…っん…」
口移しで、薬…飲まされた。力が入らないのは、体温が上がって正常な判断が…。
「おやすみ」
また、落ちる。
元々、自慢するほど丈夫ではなかったが、最近は本当に身体が弱ってるのが自分でもよくわかる。ロクがいなかったらどうなっていたか…。ただ、頼りすぎるのもよくないことはわかってる。原因は、それなりにわかってるつもりなんだ。
目が覚めると、夜になっていた。寝室の枕元には水と薬があって…。ロクの姿はない。あいつ、なんか慣れてたなああいう風に飲まされるとは…。おかげで、熱も下がってし身体も動く。シャワー浴びたいと浴室に移動する。服を脱ぎ、鏡を見る。貧弱な身体におおげさなガーゼが腹と肩に張り付いてる。腹のほうは仕方ないが、肩のほうは熊爺がしばらく外すなと念を押された。傷は古いのに見た目と深さが心も抉り続けてるって…自分じゃよくわからない。
髪もボサボサだし、陽にも当たってないからなんか青い…鏡に近付くと首元に痕?腕の内側に、太ももにまで点々と…。なんの嫌がらせなんだか…。
「…ま、いいか…」
呟いて、シャワーを浴びて身体を洗う。左手が、つる感じが動かしにくいのに、手…自分ではない手の感じ。あいつは簡単にどこにでも触れる気がする。あまり、他人に触ることに抵抗がないのは羨ましくもある。俺にはできない。
当たり前に、毎日のようにロクは部屋に来る。一人だった世界に新しい風が吹いた。同じことを繰り返していただけの日常は変わった。それははっきりしてる。今まで忘れていた、誰かと食事する楽しさと、あたたかさを手離せるのだろうか。ただ、いつかはそんな日が来る。それは間違いなく、確実に。俺と、ロクを繋いでるものは確実なものなど、何一つないのだから。
連休が終わり、制服を着て出ていくロクを見送った。何を着てもよく似合う。どんなに大勢の中に入っても目立つなぁと。改めて認識したのはそれから三時間後だった。
11時過ぎ、買い物に出かけると駅前広場に学生の集団。少し離れた歩道橋の上から見ていた。演奏会のデモンストレーションらしく、会場の設営やら準備を学生だけで行っていた。指示出し、人員の配置、慣れではなく、必要なことをしっかりとこなす。まわりの女の子が、熱い視線を送ってるのはこんなに離れててもわかる。
「会長ー!」
会長って、あいつ、学年…新品の生徒手帳だったような。
「今いくから、そっちから人ひっぱって…」
声が、部屋で寛ぐ雰囲気と違って、頼りにされてるのを理解してる、出来る男って感じ。いつまでもここで見てると不審者だろうから、そろそろ行くか。キラキラしてる、学生の時間をあいつには楽しんで欲しいと心から思う。
夕方、食事の支度をしているとインターホンが鳴る。
「開いてるぞー」
応対に出ず、声だけかける。この時間に来るのはロクくらいだから。
「重いよぉー」
玄関から声だけ聞こえる。重いって何が…。見に行くと、ビニール袋に大量のじゃがいもと、寝転んでいる高校生。
「どうした?」
「吹奏楽部の親御さんから差し入れ。でもみんなで分けてもいっぱいだから、綾人なんとかしてぇ」
「はいはい、でも美味しそうなじゃがいもだな。なんかリクエストは?」
「ポテチ食べたい!」
やっぱりこういうところは子どもってな。
「ほら、運ぶの手伝え」
「あー!オレ持って行くから、置いてて」
「これくらなら大丈夫だって」
心配性だな、これくらいでどうなるものでもないってのに。
「今日出掛けてたでしょ?ほら、証拠写真」
携帯の画面に歩道橋の写真。添付だから、自分で撮ったものではないんだろうけど。
「買い物だよ、でもなんで写真?」
「友達が、綺麗な人がいたって見してくれたので、写真もらった。友達プロ目指してるから目は確かだもん」
綺麗って、なんの話だ?いつ撮られたのかも気づかなかったのは俺が鈍いからだけどな。
「あーやっぱり重い、ロク持って」
「綾人ーかわいー」
こいつのこういう言葉の意味がわからない。
「はいはい、かわいーほら、いつまでも転がってんな」
急にばたばたと立ち上がって、そのまま抱き上げられる。
「綾人、軽ーい」
楽しそうな姿に、少し嬉しくなる。ロクは好き嫌いなく何でもよく食べる。だから一緒に食事するようになってからは以前のように痩せすぎるようなことはなくなった。効率がいいのか、太るのではなく、しなやかに筋肉になってるのは羨ましい。俺にないものがロクには全て備わっているようだ。
「制服、着替えてきていい?」
「あぁ、飯まだ、時間かかるからいいよ」
なんで、バルコニーに行くんだ?お前は玄関から入って来ただろうが。いつの間に…梯子なんか用意したんだ?まぁ飛び降りるよりはいいけど…。
ロクは制服を着てないと、高校生には見えない。よくて大学生以上に見えるほど大人びている。本人もそれを望んでいるのか、早く大人になりたいようだ。理由は、まぁなんとなく。
『偽物じゃない、自分の場所が欲しい』
これはあくまで、俺が子供の頃に思っていたこと。安心して帰れる場所が欲しかった。小学校六年生の時、祖父母に引き取られるまで毎日苦しかった。それでも逃げ出すことも出来なくて、このまま生きられなくなると…あの、雨の日がなかったら俺は今ここにはいない。必ず、自分でどこかで終わらせていた。でも、今ここにいるから、この選択は間違っていないと信じてる。
「綾人は、自覚ないよね」
食事を終えて片付けをしていると、洗い物をしながらなんとなく聞いていた。
「何の自覚だよ」
「他人がどう見てるか」
確かに、あんまり気にしたことない。っていうか、誰も俺なんか見てない。ロクみたいに、魅力的ならどこでも視線は気になるだろうが。
「お前と違って、俺は凡人だからな」
「その言い方は、嫌い」
凡人?そんなに気にすることか?ロクの口が一文字になってる。あんまりしない表情だが、本当に嫌だとこう、なってる。
「そんな顔すんな」
「綾人はオレの顔好き?」
おっと、急に来たな。皿落とすかと思った。
「綺麗っていうのは、お前のことをいうんだよ」
「…っ…」
顔が、真っ赤になってる。照れてる…のか?こんなこと言われ慣れてると思ってた。じゃなかったら、顔が好きなんてこと聞かないだろ。
「ほら、手拭いてそっちで座ってろ」
タオルを渡した。何気ないいつものこと、のつもりだった。ロクの手が顔に触れ、そのまま引き寄せられる。
「なんの…」
冗談…。とは思えない、本気で頭の奥がしびれるようなキス。
こいつなんで、こんなに上手…。だめだ、流されたら…。
「…だ…」
両手で何とか押し返す。まともに顔が見れない。
「…ごめん」
足音が、聞こえないほど鼓動が早くて、自分が今どんな顔をしているのかわからなかった。ロクはどんな感情で、側にいたのか。俺はロクに何をしてしまったんだろうか。だらしなく、一人になったキッチンにへたりこむ。
「ごめんって…なんだよ」
謝るなら、何もしないでいい。何もされなきゃ、俺は鈍いからきっと何も気が付かない。気が付かなければ、同じでいられたのだろうか。同じ…それは俺にとって楽な答えで、ロクにとってのものとは違う。俺は、いつも逃げてばかりだ。
「…あ…っ……」
この座りかた…傷に負担かかるから、ダメだって…また、傷口…
「…っ…た…」
携帯…身体がしびれる。押さえた右手が赤くなってる。こんな時なのにまるで実感がわかない。痛くはない、それよりもロクを傷つけた。謝らせたかったわけじゃない。ただ、驚いたのは本当だ。聞いてみたい、なんでキスしたのか。それだけ…。
なんで、こんな時に身体は動かないんだろう。いつも、大事なときほど俺は役立たずだ。
あの日、俺よりも小夜のほうが楽しそうだった。学校に行く前に一枚のカードをもらった。
『帰ってきたら、待っててね』
小夜の字はとても綺麗で好きだった。サプライズ好きな小夜は言わなかったけど、自分の誕生日を忘れるわけがない。でも約束してくれていたプレゼントは、ちゃんと用意しててくれた。ただ、俺のもとには届かなかった。
深夜1時過ぎ、正確な時間はわからなかった。アパートのドアが激しく叩かれ目が覚めた。目を擦りながらドアを開けると知らない男の人が立ってた。服が濡れてて、
「小夜が…殺された」
音が耳をすり抜けて、頭の中に入らない。コロサレタ…?理解出来ないまま病院みたいなところに連れて行かれた。それからは記憶が曖昧で、ほとんど覚えてない。
気が付くと、手を引かれて歩いていた。乱暴に、掴まれた手首が痛くて、
「痛い…」
呟くとそいつは俺の髪を鷲掴みにして、
「面倒かけるな、役立たず」
そのまま床に押し付けられた。なんでこんな目に合わなきゃいけないのか。
「助けて…小夜…」
この日から、地獄のような時間が始まった。
なんで今更、こんな夢見るんだろう。顔に触れるとやっぱり、涙が…胸も苦しい。首を動かすと、ここは熊爺の病院のベッドだ。頭が痛い。目がまわる。起き上がれそうにもない。吐き気…
「…っ…」
血の味…が気持ち悪い。自分が吐き出したもので窒息しそうだ。
「こっち、向いて」
声と同時に身体の向きを変えられる。タオルで口元を拭われようやく楽になる。
「枕、取り替えるね」
なんで、そんなに普通なんだ。
新しい枕、じゃなくて、なんでロクが世話をしてくれてるのか。俺にはそんな権利はない。
「な…んで…」
ひどい声、また何日も眠ってたんだろう。
「オレ、順番バラバラだったって気付いたの」
順番?なんのだろうか。
「ずっと、ずっと好きだったから、舞い上がってた。一緒にいてくれるだけで最高に幸せなのに、近付けば近付くほどに綾人のこと傷つけた」
ずっとって、何時からの話なんだろうか。俺にとってロクの記憶はまだ一月程しかない。
「綾人は多分覚えてないと思うけど、四年前にオレと会ってるんだよ」
四年前…まだ、家を探していた頃だ。仕事をしながら週末に祖父母と生活する家を見て回っていた。
なかなか希望の所が見つからなくて、駅からの距離とか、住みやすさとか、色々考え出すと余計にわからなくなった。でも、ロクのようなインパクトのある見た目なら忘れるはずはない。
「お前みたいな…綺麗な…」
あれ?四年前って…。
「にゃー!思い出さないでぇー!」
顔が真っ赤になってる。
あれは、確か水色のドレスを着た女の子が、俺の目の前で転んだ。ヒールが片方脱げて、びたーんて感じだった。その姿がやけに可愛かったけど、本人は恥ずかしいらしく、倒れたまま微動だにしなかった。俺は靴を拾い、女の子の両脇を掴んで一気に立たせ、靴を履かせた。その時、初めて目があった。緑色の美しく宝石のような瞳に魅せられた。
「あれは、女の子だと…」
「まだ、ちっちゃかったから、いとこたちが悪のりして、かつらとか化粧とか…」
まるで、お伽噺のなかから飛び出してきたお姫様かと思った。俺のほうが、先に惹かれてた。見たこともないような美しい瞳に。ロクと出会って初めて瞳を見たとき感じた既視感は、間違いでなはなかった。
「ロク、こっちきて」
手が届くところまで呼び寄せる。
「なに…」
右手で、顔を引き寄せる。
「俺が、先か?」
ロクの顔が疑問を感じてる。それもそうか。質問の意図が分からない。俺もそうだから。
「綾人、大丈夫?」
「大丈夫じゃないなら、責任とってくれるのか?」
これはきっと、俺のわがままなんだとおもう。ちゃんとした思考で、筋道をたてて話すべきなんだろうけど、今はそれが出来る気がしない。
「責任…とるよ。いや、違うな。これはオレにとって義務であり、願望でもあるから。綾人が許してくれるなら、オレの全てで綾人を満たしたい」
…すごいことを、平然と言うんだな。
「お前、自分で何言ってるか分かってる?」
「冗談は言ってない」
「冗談でも、別にいいけど」
「オレはいくない!」
いくないって、変な言葉。子供が駄々こねてるみていだ。
「でっかい子供」
「子供でいいもん。綾人のそばにいられるなら」
単純で率直な言葉に少し安心する。今はその言葉を信じてみようと。
0
あなたにおすすめの小説
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?
キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。
知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。
今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど——
「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」
幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。
しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。
これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。
全8話。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる