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冒険者と依頼人
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(ムサカの視点)
孤児院を出てから、約1週間。俺達は東部の中でもギルド中心で構成された都市『アガータ』を目指しその手前の『マナタイヤ』という村で商店兼ギルド出張所の依頼案内板の前にいた。
「これ、なんて読むの?」
やはりヤマトの姿はどこにいても目を引くらしく、商店の主も興味深く見ていた。
「これは同行依頼だな。しかも仮登録でも構わないってさ」
俺達の今の状態は、本登録前の仮登録で依頼内容によっては受けられないものもあるが、大陸人からすれば、どちらでも冒険者にはかわりないので仕事には影響は少ない。
「内容はどんな?」
場所は、アガータに向かう途中にある。話だけなら聞いたことがある。
「『回想の森』っていうところでな、その入口まで案内してくれって」
しかも、内容に対して報酬が多い。ということは…。
「オレはいいと思うけど、ムサカは?」
「それじゃ手続きするか」
アガータに向かう道すがらの依頼だから、悪くはない。ただ、気になることがないわけではない。
翌日、待ち合わせの場所に現れたのは髪の長い女性だった。身綺麗ではあるが、覇気のなさが気になった。
彼女の名前は『フェリス』質素な洋服に持ち物は小さな手提げ一つ。行程に2日はかかるのに荷物としては少ない。
「初めまして、よろしくお願いします」
落ち着いた人物で、年齢は俺より10歳位上か。左手の指輪がやけに豪華なのが不釣り合いに見える。
「俺達はムサカとヤマト。人数的には頼りないかもしれませんが、同行依頼させてもらいます」
「それじゃこれを」
そう言って渡されたのは森の周辺地図。森林地図は需要が少ないので、高価で枚数が少ない。俺の所持金では用意できないので、詳細は諦めていたが、まさか用意してくれるとは思わなかった。
「…ムサカ、それ、そんなに面白いの?」
ヤマトの声で、ふと我に帰る。
「悪い、ちょっと珍しいものでな」
「5分くらい固まったままだったから、びっくりしたんだけど」
5分…一人で行動してるわけじゃないんだから、気を付けてないとな。
「それじゃ行きましょうか」
初日は、村を出て森の手前の宿まで。移動手段は馬車と徒歩でなんとかなるだろう。同行依頼の基本は移動手段の経費は依頼人が出すことになっている。人数が増えればそれだけ経費が嵩むわけだが、彼女が即決したのは俺達が二人だったということもあるんだろう。
『回想の森』
名前は付いているが、見た目はただの鬱蒼とした森だと商店の主は言っていた。
「あんたら冒険者には縁のないところだがね」
冒険者には縁がない場所、そこに大金を払って行きたがる彼女。
まあ、多分理由は聞くまでもない。
馬車の旅は気楽なもので、昼間の間は危険も少ない。しかも、この馬車の運営元はギルドで盗賊に襲われることもない。
ギルドの馬車を襲うことは、その後ギルド側からの報復があるからだ。
「私、村から出たことがなくて…急なお願いを引き受けていただいただけでなく、馬車の手配まで…」
別に、彼女が珍しいわけではない。大陸人と呼ばれる人々は仕事や家があれば、定住して生涯を終える。
この大陸は身を守る手段を持たないものが、気軽に旅することができるほど安全ではない。獣や魔物、盗賊など上げればキリがない。だから冒険者という職業が成立するのだろうが。
冒険者の役割の大半は、人害に対処すること。魔物討伐なんかが、これにあたる。あとは資源採取や、探索、警護、護衛やら色々と多岐にわたる。
仕事をする上で欠かせないのはギルドの存在で、冒険者の記録管理、依頼の斡旋、報酬の支払いなどの事務的な作業を請け負っている。
つまり、ギルドがなければ冒険者として成り立たないわけだ。その為の条件や掟、心得などがあるが、最も重要視されるのが
『冒険者であれ』
一見どうとでもとれる言葉だが、冒険者の最大の誉が、『神の門』をくぐり、二つ名を得ること。それは人生に一度しか挑むことが出来ないが、誰でも挑めるわけではない。
ギルドが認める最高峰の戦力と、相応しい実力を証明しなければならない。それに値する者の品格が塵では、冒険者の地位が揺らぐ。
冒険者はただの仕事ではなく、ある程度の地位を得ると、期待と羨望の的になる。
冒険者としての、誇りと義務を果たすための
『冒険者であれ』
ということなのだろう。全ての冒険者に該当するわけではないけどな。中には、盗賊と変わらない行動をするものもいるって話もある。
それに、挫折する奴だって…。
「ムサカ、どうかした?」
ヤマトに声をかけられ、我に帰る。馬車は安全な街道をのんびりと北上していた。
次の目的地は『ルイナ村』地図上では森の入口から5キロほど離れた小さな村だ。今日の宿があるところだが、街道からは少し離れているので、そこが徒歩になる。
「そういえば、昼飯まだだったな。簡単なもので悪いが、ほら」
朝、宿の厨房を借りて作った携帯食。ヤマトの国では弁当というらしい。
「やった!ちょうどお腹すいてたから」
「フェリスさんもどうぞ」
彼女は初めて見る形状の弁当に、戸惑いながら受け取った。
まあ、他人が作ったものを食べるのが苦手な人もいるだろうから、別に捨てても構わないが。
「食べないの?美味しいよ?」
ヤマトは意外と人見知りをしない。他人との距離感を計るのが上手いというか、手慣れた感じがする。まずは容姿がいいというのもあるんだろうがな。
黙っていれば人形のように整った顔立ち、流れるような蒼い髪、線が細いからか女の子にも間違われてこの1週間で、3度も男から言い寄られたようだった。
彼女はヤマトの顔をじっと見て、
「綺麗な顔…」
何だか変な空気だな。
「食べないの?」
「要らないわ…」
「なら、返して。ムサカの料理を無駄にするのはやだから」
ヤマトは食べ物を大事にするように育てられている。食事の所作もきちんとした環境で教育されていたという片鱗が見える。
「私も貴方みたいに綺麗だったら、ちゃんと愛されたのかしら…」
まるで、うわ言のように呟く。だんだんと森が近くなってこともあるのか、彼女の言動が不安定になってきているような気がする。
依頼人の事情に踏み込むようなことはしないのがマナーだが、それはあくまで自分達に危険が及ばなければということで…だが、この感じがとても嫌な予感がする。
「これ、どういうこと?」
ヤマトが言った。
宿に着いた後、彼女は早く休みたいと部屋に入り、俺達は明日からの予定も確認するため食事をしたあと、宿に戻り彼女の部屋を訪ねた。
部屋は誰もおらず、陽が暮れてからもう2時間は過ぎて、灯りなしではとても歩ける明るさじゃない。
「なんていうか、そういうこと」
というには、あまりに唐突な行動だと思った。テーブルの上には手紙と左手にしていた指輪が置いてあった。
『案内ありがとうございました。依頼は達成とさせていただきます。指輪は追加報酬として差し上げます。さようなら』
淡々とした文面に彼女の最期の覚悟が見えた気がした。
手紙をヤマトに渡し、読み終えるのを待つ。
「依頼はもういいってこと?」
「内容だけなら、そういうことだな」
「こんな時間に森に行ったってこと?」
こんな時間に動くということに意味がある。
「『回想の森』はな、冥界に繋がってる。冥界には加護は届かない」
彼女は最初から、終わらせる為に依頼してきたのだと。少ない荷物、多額の依頼金、虚ろな表情は自分から生きることを捨てた者の空気をまとっていた。
「彼女は自分で選んだんだよね」
「そうなるんだろうな」
ふと、ヤマトを見ると無表情というにはあまりにも人間離れした、それこそ人形のような仮面が顔に張り付いたような印象を受けた。これが15やそこいらの子供のする表情なのか。
「じゃ、終わりで」
ヤマトはそのまま自分の部屋に戻って、ベッドに入った。
その知らせは翌日の昼過ぎだった。街道脇の森の中で女の死体が見つかったと。魔物に襲われたらしく、身体の欠損部分が多く、身元が分かるようなものもなかったので、発見者がその場に埋葬してきたということだった。
『回想の森』まであと200メートルほどの距離だったと。
「ムサカ、行こう」
それが彼女だったのか、それとも他の誰かだったのか。俺もヤマトもあえて確めることはやめた。彼女を止める権利はないし辿り着けたのならば彼女の目的だし、そうでなくても依頼を切り上げられた冒険者にできることはない。
冷たいようだが、それが依頼人と冒険者の関係と言ってしまえばそこまでなのかもしれない。
「ヤマト?」
「オレは理解しようなんて思わないから」
自ら死を選ぶ者の思考を、
「俺もだ」
すると、ヤマトはポンポンと、小走りで俺の前に出て振り返り、
「ムサカなら、そういうと思った」
そう言って笑った。
そして俺達は再びアガータを目指して移動を始めた。
孤児院を出てから、約1週間。俺達は東部の中でもギルド中心で構成された都市『アガータ』を目指しその手前の『マナタイヤ』という村で商店兼ギルド出張所の依頼案内板の前にいた。
「これ、なんて読むの?」
やはりヤマトの姿はどこにいても目を引くらしく、商店の主も興味深く見ていた。
「これは同行依頼だな。しかも仮登録でも構わないってさ」
俺達の今の状態は、本登録前の仮登録で依頼内容によっては受けられないものもあるが、大陸人からすれば、どちらでも冒険者にはかわりないので仕事には影響は少ない。
「内容はどんな?」
場所は、アガータに向かう途中にある。話だけなら聞いたことがある。
「『回想の森』っていうところでな、その入口まで案内してくれって」
しかも、内容に対して報酬が多い。ということは…。
「オレはいいと思うけど、ムサカは?」
「それじゃ手続きするか」
アガータに向かう道すがらの依頼だから、悪くはない。ただ、気になることがないわけではない。
翌日、待ち合わせの場所に現れたのは髪の長い女性だった。身綺麗ではあるが、覇気のなさが気になった。
彼女の名前は『フェリス』質素な洋服に持ち物は小さな手提げ一つ。行程に2日はかかるのに荷物としては少ない。
「初めまして、よろしくお願いします」
落ち着いた人物で、年齢は俺より10歳位上か。左手の指輪がやけに豪華なのが不釣り合いに見える。
「俺達はムサカとヤマト。人数的には頼りないかもしれませんが、同行依頼させてもらいます」
「それじゃこれを」
そう言って渡されたのは森の周辺地図。森林地図は需要が少ないので、高価で枚数が少ない。俺の所持金では用意できないので、詳細は諦めていたが、まさか用意してくれるとは思わなかった。
「…ムサカ、それ、そんなに面白いの?」
ヤマトの声で、ふと我に帰る。
「悪い、ちょっと珍しいものでな」
「5分くらい固まったままだったから、びっくりしたんだけど」
5分…一人で行動してるわけじゃないんだから、気を付けてないとな。
「それじゃ行きましょうか」
初日は、村を出て森の手前の宿まで。移動手段は馬車と徒歩でなんとかなるだろう。同行依頼の基本は移動手段の経費は依頼人が出すことになっている。人数が増えればそれだけ経費が嵩むわけだが、彼女が即決したのは俺達が二人だったということもあるんだろう。
『回想の森』
名前は付いているが、見た目はただの鬱蒼とした森だと商店の主は言っていた。
「あんたら冒険者には縁のないところだがね」
冒険者には縁がない場所、そこに大金を払って行きたがる彼女。
まあ、多分理由は聞くまでもない。
馬車の旅は気楽なもので、昼間の間は危険も少ない。しかも、この馬車の運営元はギルドで盗賊に襲われることもない。
ギルドの馬車を襲うことは、その後ギルド側からの報復があるからだ。
「私、村から出たことがなくて…急なお願いを引き受けていただいただけでなく、馬車の手配まで…」
別に、彼女が珍しいわけではない。大陸人と呼ばれる人々は仕事や家があれば、定住して生涯を終える。
この大陸は身を守る手段を持たないものが、気軽に旅することができるほど安全ではない。獣や魔物、盗賊など上げればキリがない。だから冒険者という職業が成立するのだろうが。
冒険者の役割の大半は、人害に対処すること。魔物討伐なんかが、これにあたる。あとは資源採取や、探索、警護、護衛やら色々と多岐にわたる。
仕事をする上で欠かせないのはギルドの存在で、冒険者の記録管理、依頼の斡旋、報酬の支払いなどの事務的な作業を請け負っている。
つまり、ギルドがなければ冒険者として成り立たないわけだ。その為の条件や掟、心得などがあるが、最も重要視されるのが
『冒険者であれ』
一見どうとでもとれる言葉だが、冒険者の最大の誉が、『神の門』をくぐり、二つ名を得ること。それは人生に一度しか挑むことが出来ないが、誰でも挑めるわけではない。
ギルドが認める最高峰の戦力と、相応しい実力を証明しなければならない。それに値する者の品格が塵では、冒険者の地位が揺らぐ。
冒険者はただの仕事ではなく、ある程度の地位を得ると、期待と羨望の的になる。
冒険者としての、誇りと義務を果たすための
『冒険者であれ』
ということなのだろう。全ての冒険者に該当するわけではないけどな。中には、盗賊と変わらない行動をするものもいるって話もある。
それに、挫折する奴だって…。
「ムサカ、どうかした?」
ヤマトに声をかけられ、我に帰る。馬車は安全な街道をのんびりと北上していた。
次の目的地は『ルイナ村』地図上では森の入口から5キロほど離れた小さな村だ。今日の宿があるところだが、街道からは少し離れているので、そこが徒歩になる。
「そういえば、昼飯まだだったな。簡単なもので悪いが、ほら」
朝、宿の厨房を借りて作った携帯食。ヤマトの国では弁当というらしい。
「やった!ちょうどお腹すいてたから」
「フェリスさんもどうぞ」
彼女は初めて見る形状の弁当に、戸惑いながら受け取った。
まあ、他人が作ったものを食べるのが苦手な人もいるだろうから、別に捨てても構わないが。
「食べないの?美味しいよ?」
ヤマトは意外と人見知りをしない。他人との距離感を計るのが上手いというか、手慣れた感じがする。まずは容姿がいいというのもあるんだろうがな。
黙っていれば人形のように整った顔立ち、流れるような蒼い髪、線が細いからか女の子にも間違われてこの1週間で、3度も男から言い寄られたようだった。
彼女はヤマトの顔をじっと見て、
「綺麗な顔…」
何だか変な空気だな。
「食べないの?」
「要らないわ…」
「なら、返して。ムサカの料理を無駄にするのはやだから」
ヤマトは食べ物を大事にするように育てられている。食事の所作もきちんとした環境で教育されていたという片鱗が見える。
「私も貴方みたいに綺麗だったら、ちゃんと愛されたのかしら…」
まるで、うわ言のように呟く。だんだんと森が近くなってこともあるのか、彼女の言動が不安定になってきているような気がする。
依頼人の事情に踏み込むようなことはしないのがマナーだが、それはあくまで自分達に危険が及ばなければということで…だが、この感じがとても嫌な予感がする。
「これ、どういうこと?」
ヤマトが言った。
宿に着いた後、彼女は早く休みたいと部屋に入り、俺達は明日からの予定も確認するため食事をしたあと、宿に戻り彼女の部屋を訪ねた。
部屋は誰もおらず、陽が暮れてからもう2時間は過ぎて、灯りなしではとても歩ける明るさじゃない。
「なんていうか、そういうこと」
というには、あまりに唐突な行動だと思った。テーブルの上には手紙と左手にしていた指輪が置いてあった。
『案内ありがとうございました。依頼は達成とさせていただきます。指輪は追加報酬として差し上げます。さようなら』
淡々とした文面に彼女の最期の覚悟が見えた気がした。
手紙をヤマトに渡し、読み終えるのを待つ。
「依頼はもういいってこと?」
「内容だけなら、そういうことだな」
「こんな時間に森に行ったってこと?」
こんな時間に動くということに意味がある。
「『回想の森』はな、冥界に繋がってる。冥界には加護は届かない」
彼女は最初から、終わらせる為に依頼してきたのだと。少ない荷物、多額の依頼金、虚ろな表情は自分から生きることを捨てた者の空気をまとっていた。
「彼女は自分で選んだんだよね」
「そうなるんだろうな」
ふと、ヤマトを見ると無表情というにはあまりにも人間離れした、それこそ人形のような仮面が顔に張り付いたような印象を受けた。これが15やそこいらの子供のする表情なのか。
「じゃ、終わりで」
ヤマトはそのまま自分の部屋に戻って、ベッドに入った。
その知らせは翌日の昼過ぎだった。街道脇の森の中で女の死体が見つかったと。魔物に襲われたらしく、身体の欠損部分が多く、身元が分かるようなものもなかったので、発見者がその場に埋葬してきたということだった。
『回想の森』まであと200メートルほどの距離だったと。
「ムサカ、行こう」
それが彼女だったのか、それとも他の誰かだったのか。俺もヤマトもあえて確めることはやめた。彼女を止める権利はないし辿り着けたのならば彼女の目的だし、そうでなくても依頼を切り上げられた冒険者にできることはない。
冷たいようだが、それが依頼人と冒険者の関係と言ってしまえばそこまでなのかもしれない。
「ヤマト?」
「オレは理解しようなんて思わないから」
自ら死を選ぶ者の思考を、
「俺もだ」
すると、ヤマトはポンポンと、小走りで俺の前に出て振り返り、
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