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第85話 降臨
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三年前、アンノウンは記憶を失った状態で財団に保護された。
記憶喪失の原因は、アンノウン自身の超能力によるものであり、これを解決するためにはアンノウンは自分の超能力を制御し、超能力によって記憶を取り戻すため、進化する必要があった。
財団はアンノウンの記憶を取り戻すことを報酬に、対価としてアンノウンは財団の実験に協力することになった。
その計画こそがOver Level Shift計画。
⋯⋯と、いうのはアンノウンに財団が与えた情報である。
「⋯⋯超能力『不解概念』。彼のその超能力は、私たちが求める編纂者に相応しかった。が、彼はO.L.S.計画に協力するような破綻者ではなかった。彼は一般的な善性を持つ少年だった」
ミース学園に展開されていた結界は今、破裂した。
よって、外部からそれを視認することができるようになった。
その要因は、おそらく二つ。
そして内一つは、アンノウンによるものだ。
ミリアは、超能力者第一位、アンノウンについて語る。誰も聞いていないが、誰もが彼の状態について疑問に思い、恐れていたから。
「私たちは彼に計画を遂行させるため、記憶を失わせ、無垢な彼を歪めた。⋯⋯だが、それにはもう一つの目的があった」
ミース学園を中心に、世界が歪んでいる。ノイズが走っている。全てが修正されていく。全てが変容していく。
「アンノウン。彼のその力は、超能力であると同時に異能の性質を持っていた。つまり、私たちは彼を財団本来の職務に従い、収容しようとしていた。⋯⋯収容する必要性は、見ての通りだよ」
アンノウンの本質は、世界そのものの編纂。
正常であった世界を改変し、それこそ正常であるとして世界を、人類を騙す。
もし、彼の超能力に別名を与えるのならそれは再定義となるだろう。
最もオーバーレベルに近く、最も神に近い権能を持つ少年。
それこそがアンノウンという少年だ。
「⋯⋯アインドラ殿、彼の力に魔術的特性は?」
「⋯⋯なに? オースティン職員統括、それはどういうことだい?」
「アンノウン。彼は超能力者であるはず。そしてあの空間の歪みも、超能力による影響でしょう。⋯⋯しかし、同時に魔術的特徴が見られます。魔力反応があるのです」
ミリアは少し考え込む。──彼には科学的に不可解なことが多過ぎた。どう解析しても理解不可能な事が多過ぎた。
その大半は、彼がアノマリーであるから。アノマリーを科学的に理解することはできない。だからアノマリー。
しかし──、
「⋯⋯⋯⋯そうか! ⋯⋯だとしたら⋯⋯オースティンさん、今すぐB&Dとそこの魔術師をあそこに派遣させてほしい!」
「え?」
「アンノウンの中でも特に理解不能だった部分。それは人間として常軌を逸した計算能力⋯⋯いや、情報処理能力。もしそれが魔術的な力だとすれば、少なくともその範疇にある権能なら⋯⋯あの歪みは──超能力というより魔術的な要素を多分に含む異常である確率が最も高い⋯⋯! 私たちでは⋯⋯対処できない!」
世界を騙す、世界を改変するような力は、人間である限り不可能だ。にも関わらず、アンノウンはそれを可能とした。
財団はこれの理由をただ、アノマリーであるから、としてきた。
だがここに、魔術的要素が含まれているのだとしたら。
根拠はない。が、直感が伝えている。
他のアノマリーと思しき部分は、解析不能でも違和感はなかった。
しかし、アンノウンの情報処理能力の部分のみ、ずっと引っかかりがあったのだ。
「──いいや、止めておいたほうがいいよ。最早あの状態になった彼は、キミたちじゃどうしようもない」
突然、声がした。振り返るとそこには、エストが立っていた。
「⋯⋯エスト。なぜここに?」
「なぜ? あれ見てあの場に居るはずないでしょ。下手したら私も巻き込まれてたし。あ、他の皆は助けておいたよ。近くの仮眠室で寝てる」
エストはミリアとアベルの横まで歩いてくる。
「今のアンノウンは暴走している。大方、ジョーカー⋯⋯色彩が余計なことして彼を殺しかけたんでしょ。まあ暴走してくれたからあの異常空間から逃げられたんだけど⋯⋯まあいい」
「待て。何を言っているのかな?」
「独り言。じゃ、重要なこと話すね。⋯⋯まず、あのアンノウンは放っておく。というかそれしかできない、今はね」
──その時だ。女性のように甲高い声、しかし人間のものとは思えない声がした。
本能的な恐怖を煽るような声。音。ここに居る人間たちでさえ、一瞬、動けなくなるほどの声色だった。
「⋯⋯そして次、どうやら私たちはシャフォン教団にアレの降臨を許してしまったようだ」
「⋯⋯あれは。⋯⋯まさか」
真っ白な異常実体。
それはミース学園に伝わる神の姿によく似ていた。
名を『白神』。
真っ白な手足のない胎児のようなシルエットの小さな生命。その一メートル程度の小さな背中からは、全長八メートルはあるだろう半透明の天使のような翼が六対生えている。
白い胎児には目があり、それは今、閉じているようだ。
「⋯⋯あれが『白神』なんだ。⋯⋯てっきり、喚ぶならモナーチの方だと思ったんだけど?」
海のように深く、広い知識を持つエストでさえ知らないものはある。
これは流石に予想外、といったふうに彼女は苦笑いしていた。
「シャフォン教は『白神』の存在を否定したわけではない。人の形をした神の存在を主張していただけ。むしろ、シャフォン教も『白神』を信仰していたんだよ。モナーチを創ったのは『白神』だ、と言うくらいにはね」
ミリアが答える。
「⋯⋯なるほど。じゃああれは、シャフォン教が、自らの信仰は正しかったと証明しに来たわけだ。全く、傍迷惑だこと。⋯⋯あっ、てことはあの白い巨人がモナーチか」
白い髪は、その巨大な天使の翼を開いた。今にも飛び上がりそうだったが、どうやらその意図は違うらしい。
「⋯⋯そう来たか」
古い時計が時刻を示す。
頭上に赤い天使の輪が浮かぶ。
世界を創る。
十二の使徒よ。十二の宣教師よ。
目覚めよ。そして主君に仕えよ。
さあ、始まり時だ。
──天空より赤い十字の光が降りる。
それら赤い光は、十二の使徒に降り注ぐ。
動かなくなったその肉体は、今、万全となる。
「⋯⋯我々財団は、あの実体をクラスA神格実体と推定する⋯⋯この反応は、神だ」
ミリアは『白神』を目視した瞬間から、これの解析を財団職員に命じた。
そして今、解析結果が出た。
財団が収容及び破壊したことのある全てのアノマリーの中には、神格実体と定義されるオブジェクトが存在する。
神格実体にはその神性によってクラス分けがされており、DからAまである。クラスAは最高クラスの神性を持つということである。
「最悪だ。神格実体の完全顕現。予想はできたが阻止はできなかった。⋯⋯こうなっては、我々では、最早どうすることもできない」
ミリアは表情一つ変えていないよう見られるが、明らかに動揺し、絶望に近い感情を抱いている、と、分かる雰囲気が漂っていた。
そんな中、アベルはまだ、魔術師として、GMCの代表者として、諦めていなかった。
「⋯⋯ウィルム、魔術知識に富んでいるあなたに聞きます。アレは、何ですか」
GMC脅威対策部門第三課『明るき右手』課長、一級魔術師ウィルム。
彼はアベル・オースティンの護衛と魔術師らの指揮のために派遣された。
黒い仮面を付けた、黒コートを初め、全身が黒を基調とした服装をしている高身長の男だ。
「⋯⋯少々言葉足らずなところがある。答えづらいな。アレは、何か、か。⋯⋯そうだな、アインドラ殿が言ったように、アレは神に近いものだろう。神格特有の魔力を感じる」
「神格特有⋯⋯」
ウィルムの経歴を知っているアベルからすれば、その発言には信憑性がある。
ミリア、ウィルムの両名が、アレは十中八九、神だと推定している。
「⋯⋯分かりました。⋯⋯それで、どうしますか。諦めてここで死を待ちますか。それとも、最期まで足掻きますか?」
「無論。私たち魔術師に悔いのない死などない。だが、今日はその日ではない。⋯⋯シュヴァリエ課長、オースティン統括と、ここの警護、そして現場の魔術師の指揮を君に任せても構わないか?」
金髪の美しい女性、ジャンヌ・シュヴァリエ──脅威対策部門第一課『B&D』の課長である彼女に、ウィルムは自らの権限を譲渡した。
つまりそれは、ウィルムはあの神に挑むということだ。
一見無謀。だが、ウィルムはレジェンドとまで呼ばれた魔術師だ。単純な強さで言えば、彼は特級魔術師含むGMCでも五本指に入る。
「分かりました。ウィルムさん、どうかあなたに神の御加護があらんことを」
ジャンヌは祈りを捧ぐ。
「私に神の加護など過ぎたものだ。尤も、死ぬつもりなどないが。⋯⋯西園寺とエインズワース、ホタルを頼んだ。そして彼らを決して⋯⋯特にホタルは、ここから動かさないでくれ」
「⋯⋯善処しましょう」
ウィルムはその場から離れようとした。
誰もが彼が死ににいくつもりはないと思っていたが、誰もが彼は死ぬかもしれないとも思った。
「なら私も同行しようかな」
声を上げたのは、やはり、エストだ。
「⋯⋯君は、エスト一級魔術師か」
「キミに名を覚えられていたとは驚いたよ。⋯⋯キミはどうやら神殺しか神を見たことあるようだけど、一人で行くのはただの自殺行為だ。なら、私の力はかなり役立つはずさ」
「私一人のほうが都合がいい」
「問題ないよ。キミは自由に動くといい」
「好きにしろ」
「好きにさせてもらうよ」
ウィルムは影に溶け込み、エストは瞬く間に消失した。
二人揃ってテレポートという稀有な能力持ちだが、だからこそ、彼らでないと対抗もできないだろう。
今度の相手、クラスA神格実体と推定される異常存在、『白神』は、それほどの脅威だ。
◆◆◆
00:00、『白神』降臨の儀式は完遂された。
同時にミース学園を覆っていた大規模結界が破壊する。
現在、『白神』は微動だにしない。が、その目は段々と開きつつある。
復活した巨人たちは『白神』の周囲に立っている。神を守るように。
「⋯⋯ふうん。あれが神か」
ヴィーテとの戦闘後、すぐに復活したギーレは、崩壊する『裏都市』から無事に逃げ切ることができた。
ただし、戦闘続行などできるはずがないほど消耗している。
「私の大嫌いなモノを体現したような存在だね。思ったより面白くなさそうだ、が⋯⋯まあいい。所詮舞台装置だ」
ギーレはその場を立ち去ろうとした。が、ある用事を思い出した。
「そういえばあの銀髪の少女⋯⋯やけに気に掛かる。⋯⋯殺しておくべきかな? 魔力の反応的に⋯⋯あっちか──」
ギーレは転移系の魔力を持つ魔獣を用いて、リエサの所に飛ぼうとした。しかし、その瞬間だった。
「──っ!?」
ギーレは、イア・スカーレットを何より恐れている。彼女がいつ開放されるかも分からなかったから、その封印魔導具は地中の遥か下に転送した。その上で、周囲に警戒用の魔獣を配置していた。
だが今この瞬間、イア・スカーレットは解き放たれた。
圧倒的な殺意を感じる。
「魔獣は死んでいない⋯⋯? どうやって⋯⋯」
「どうやって、だと思う?」
聞きたくもない声が背後からした。振り返りたくもないし、振り返った瞬間、死ぬ気がした。
「言ったでしょ。一週間と経たずして、お前を殺す、と」
「まさか三時間弱で出てくるなんて予想もしていなかったがね。⋯⋯そうか。君の主か」
「私のご主人様は結界術。特に封印系結界術のプロフェッショナルでね。本気出せば私の力も完全封印できると思うよ。お前なんかじゃ、私が無抵抗どころか封印しやすくしてあげてもできないことができるのさ」
「あの魔導具には、封印対象の魔力を奪う性質があったはずだ。今の君に、戦えるだけの魔力はない」
「⋯⋯そうね。でも、お前も同じじゃない。大魔族の魔力量はいつから二、三級の魔獣程度になったの?」
「⋯⋯ははは。もう十分だ。少々、不測はあったけれど、大方私の思うように事は進んだみたいだね」
「よく喋るな、害獣」
「君こそ。私に喋らせているんだろう? なら少し話していこうじゃないか」
今のイアに、ギーレを殺せるだけの余力はない。
特級魔導具『六鏡』には、封印対象から魔力を奪う性質がある。その影響から、封印解除直後だと対象は魔力が空の状態となる。
魔力がなければ、魔族であるギーレを殺すことはできない。精々足止めが限界だ。
対してギーレも、イア・スカーレットとの戦闘は面倒極まりない。足止めされ、他の特級魔術師や上位の一級魔術師が来てしまえば、最悪ここで命を落とす可能性もある。
つまり互いにとって、ここで暫く話すことは、悪くない落とし所だ。
「⋯⋯いいだろう。⋯⋯お前の目的は何だ。何がしたくてこんなことをしたの?」
「いきなりそれ聞くかい? もっと順序を、だね。⋯⋯まあいい。単純だよ。種のして進化を目指すことは、生物として当然だろう? 私は種族の為に、働いているのさ」
「ほう。⋯⋯家畜を勝手に殺し、畑を無意味に荒らしておいて、恨まれない、裁かれない奴がいるとは、私には到底思えない」
「はは。違うね。根本から違うよ。これは進化の為だ。新たなる夜明けの為には、犠牲が必要不可欠だ。とっくの昔に止まってしまった歯車を動かせば、擦れて錆が落ちるだろ? それが君たちであり、そして魔族だ」
「つまり、お前は同族や、果ては自分を死なせてでも改革を起こしたい、と? 何をしでかすつもりかは知らないが、それを他の魔族が黙って見ているはずがない」
「ああ。私の敵は最早人間だけではない。魔族にさえ首を狙われている。だが、それが何だというのかね? それに私に付く魔族も居る。無論、人間さえ、ね。私一人でやるわけじゃあないのさ」
「そうか。そうか。⋯⋯じゃあ全員殺してやる。お前も、お前のお仲間さんも、お前に組みする全てを殺し尽くして、その計画を止めてやるよ」
「やってみせなよ、最強。君にはそれを実行できるだけの力と責任がある。だが私は君のような存在への対策は何より優先し、幾つも考えてきた。その意味がわかるかい?」
「さあ。弱者が何を弄しようと、最強には通用しない」
「下克上、ってやつだよ。『弄する』? いいや違うね。れっきとした打倒計画さ。たかが十数年生きた小娘には分からないさ。──君の目の前にいるのは、千年以上生きた魔術師だ」
ギーレを中心とし、広範囲に渡り影が展開された。
そして次の瞬間、数多、無数、多種多様の魔獣が産まれ落ちる。
いや、これは魔獣なのか? イアは違和感を覚えた。
「プレゼントだ、イア・スカーレット。私の望む新世界を、少しだけ見せてあげよう」
「これは⋯⋯魔獣でも、人間でもない⋯⋯」
性質は魔獣に近い。が、肉体の構成は通常の生命に近い。魔力によって過半数以上が構成されていない肉体だ。
いうなれば半魔。ただし、ハーフではない。混合ではなく統合と言うべきか。
「新人類、だよ。まあなんとでも呼べば良いが⋯⋯私はこれを、ノース、と呼んでいる」
「造られた生命、か⋯⋯?」
「はは。冗談かい? 面白いね。確かに私はこれらが誕生する切っ掛けを作った。だがそこまでだ。私が造れば、それの可能性は私の域を出ない。私から離れたものでなくてはならないのだよ」
ノースたちはイアを襲うことはなく、散開する。
目的はそれぞれ。捕食対象を見つける。住処を見つける。交配相手を探す。
なんであれ、それらは生きるために活動し、数を増やすことを目的とする普遍的な生き物だ。
「魔獣ではないが、これらと共に魔獣、魔族の存在は世間に認知される。『白神』の影響もあって、この世界は混沌に満ちるだろう。⋯⋯さて、そろそろ御暇させてもらおうか。君も、魔力が回復して来る頃だろうし」
「⋯⋯⋯⋯」
「『白神』によって人間共が蹂躙され、ノースたちが台頭し世界的な恐慌状態になってもいい。君たちがこの悲劇を食い止め、被害をミース学園の壊滅で済ませてもいい。⋯⋯だがどちらにせよ、これは幕開けに過ぎない。爪痕はもう残された。日輪は昇り始めたんだ。さあ、始めさせてもらうよ、新たなる人類の歴史を。その夜明けを」
蔓延るノースたちに隠れて、イアはギーレを見失った。彼を探し出すことはできなくなった。
「⋯⋯全部殺す。全部殺して、なんとか鎮圧する。⋯⋯聞いてた? アリストリア? ──命令を」
感覚及び思考の共有によって、ギーレとイアの会話をアリストリアはずっと聞いていた。
あまりの内容に言葉を失っていたが、しかし、イアの言葉で改める。
『⋯⋯全敵対反応の処理。見敵必殺。私は既に、注文を済ましてあるはずよ、イア』
「⋯⋯それもそうだった。でもさ、アリス。あの『白神』どうするの?」
イアは魔力はない状態とは言え、それでも並の一級魔術師より強いだろう。
しかし、『白神』をどうにかすることは、はっきり無理だと言える。
「例え私が万全だったとしても、アレをどうにかすることは文字通り骨が折れるくらいしんどいと思う」
『あなたの主人が誰か忘れたの? ⋯⋯五分、いや二分でいい。アレを完全に停止させて。ついでに周りの巨人も退かせるか始末して頂戴。あとは私が何とかする』
「何か打開策でも?」
『うん。あの『白神』と呼ばれるものは、シャフォン教が招来させた神格。招来の魔術で呼び寄せたもの⋯⋯。さっき、降臨の儀式の場にあった術式を解析したんだよ。多分このタイプなら、隙さえあればいつでも退散の魔術を行使できる』
召喚や創造ではなく、招来の魔術は比較的難易度の低い魔術形式である。
その発動原理ゆえに、ものによっては退散の魔術は容易に行うことができる。
「わかった。流石、私のアリス様」
『いいから。さっさとやらないと、不味くなる一方だよ』
「分かってるよ。⋯⋯じゃ、やろっか」
記憶喪失の原因は、アンノウン自身の超能力によるものであり、これを解決するためにはアンノウンは自分の超能力を制御し、超能力によって記憶を取り戻すため、進化する必要があった。
財団はアンノウンの記憶を取り戻すことを報酬に、対価としてアンノウンは財団の実験に協力することになった。
その計画こそがOver Level Shift計画。
⋯⋯と、いうのはアンノウンに財団が与えた情報である。
「⋯⋯超能力『不解概念』。彼のその超能力は、私たちが求める編纂者に相応しかった。が、彼はO.L.S.計画に協力するような破綻者ではなかった。彼は一般的な善性を持つ少年だった」
ミース学園に展開されていた結界は今、破裂した。
よって、外部からそれを視認することができるようになった。
その要因は、おそらく二つ。
そして内一つは、アンノウンによるものだ。
ミリアは、超能力者第一位、アンノウンについて語る。誰も聞いていないが、誰もが彼の状態について疑問に思い、恐れていたから。
「私たちは彼に計画を遂行させるため、記憶を失わせ、無垢な彼を歪めた。⋯⋯だが、それにはもう一つの目的があった」
ミース学園を中心に、世界が歪んでいる。ノイズが走っている。全てが修正されていく。全てが変容していく。
「アンノウン。彼のその力は、超能力であると同時に異能の性質を持っていた。つまり、私たちは彼を財団本来の職務に従い、収容しようとしていた。⋯⋯収容する必要性は、見ての通りだよ」
アンノウンの本質は、世界そのものの編纂。
正常であった世界を改変し、それこそ正常であるとして世界を、人類を騙す。
もし、彼の超能力に別名を与えるのならそれは再定義となるだろう。
最もオーバーレベルに近く、最も神に近い権能を持つ少年。
それこそがアンノウンという少年だ。
「⋯⋯アインドラ殿、彼の力に魔術的特性は?」
「⋯⋯なに? オースティン職員統括、それはどういうことだい?」
「アンノウン。彼は超能力者であるはず。そしてあの空間の歪みも、超能力による影響でしょう。⋯⋯しかし、同時に魔術的特徴が見られます。魔力反応があるのです」
ミリアは少し考え込む。──彼には科学的に不可解なことが多過ぎた。どう解析しても理解不可能な事が多過ぎた。
その大半は、彼がアノマリーであるから。アノマリーを科学的に理解することはできない。だからアノマリー。
しかし──、
「⋯⋯⋯⋯そうか! ⋯⋯だとしたら⋯⋯オースティンさん、今すぐB&Dとそこの魔術師をあそこに派遣させてほしい!」
「え?」
「アンノウンの中でも特に理解不能だった部分。それは人間として常軌を逸した計算能力⋯⋯いや、情報処理能力。もしそれが魔術的な力だとすれば、少なくともその範疇にある権能なら⋯⋯あの歪みは──超能力というより魔術的な要素を多分に含む異常である確率が最も高い⋯⋯! 私たちでは⋯⋯対処できない!」
世界を騙す、世界を改変するような力は、人間である限り不可能だ。にも関わらず、アンノウンはそれを可能とした。
財団はこれの理由をただ、アノマリーであるから、としてきた。
だがここに、魔術的要素が含まれているのだとしたら。
根拠はない。が、直感が伝えている。
他のアノマリーと思しき部分は、解析不能でも違和感はなかった。
しかし、アンノウンの情報処理能力の部分のみ、ずっと引っかかりがあったのだ。
「──いいや、止めておいたほうがいいよ。最早あの状態になった彼は、キミたちじゃどうしようもない」
突然、声がした。振り返るとそこには、エストが立っていた。
「⋯⋯エスト。なぜここに?」
「なぜ? あれ見てあの場に居るはずないでしょ。下手したら私も巻き込まれてたし。あ、他の皆は助けておいたよ。近くの仮眠室で寝てる」
エストはミリアとアベルの横まで歩いてくる。
「今のアンノウンは暴走している。大方、ジョーカー⋯⋯色彩が余計なことして彼を殺しかけたんでしょ。まあ暴走してくれたからあの異常空間から逃げられたんだけど⋯⋯まあいい」
「待て。何を言っているのかな?」
「独り言。じゃ、重要なこと話すね。⋯⋯まず、あのアンノウンは放っておく。というかそれしかできない、今はね」
──その時だ。女性のように甲高い声、しかし人間のものとは思えない声がした。
本能的な恐怖を煽るような声。音。ここに居る人間たちでさえ、一瞬、動けなくなるほどの声色だった。
「⋯⋯そして次、どうやら私たちはシャフォン教団にアレの降臨を許してしまったようだ」
「⋯⋯あれは。⋯⋯まさか」
真っ白な異常実体。
それはミース学園に伝わる神の姿によく似ていた。
名を『白神』。
真っ白な手足のない胎児のようなシルエットの小さな生命。その一メートル程度の小さな背中からは、全長八メートルはあるだろう半透明の天使のような翼が六対生えている。
白い胎児には目があり、それは今、閉じているようだ。
「⋯⋯あれが『白神』なんだ。⋯⋯てっきり、喚ぶならモナーチの方だと思ったんだけど?」
海のように深く、広い知識を持つエストでさえ知らないものはある。
これは流石に予想外、といったふうに彼女は苦笑いしていた。
「シャフォン教は『白神』の存在を否定したわけではない。人の形をした神の存在を主張していただけ。むしろ、シャフォン教も『白神』を信仰していたんだよ。モナーチを創ったのは『白神』だ、と言うくらいにはね」
ミリアが答える。
「⋯⋯なるほど。じゃああれは、シャフォン教が、自らの信仰は正しかったと証明しに来たわけだ。全く、傍迷惑だこと。⋯⋯あっ、てことはあの白い巨人がモナーチか」
白い髪は、その巨大な天使の翼を開いた。今にも飛び上がりそうだったが、どうやらその意図は違うらしい。
「⋯⋯そう来たか」
古い時計が時刻を示す。
頭上に赤い天使の輪が浮かぶ。
世界を創る。
十二の使徒よ。十二の宣教師よ。
目覚めよ。そして主君に仕えよ。
さあ、始まり時だ。
──天空より赤い十字の光が降りる。
それら赤い光は、十二の使徒に降り注ぐ。
動かなくなったその肉体は、今、万全となる。
「⋯⋯我々財団は、あの実体をクラスA神格実体と推定する⋯⋯この反応は、神だ」
ミリアは『白神』を目視した瞬間から、これの解析を財団職員に命じた。
そして今、解析結果が出た。
財団が収容及び破壊したことのある全てのアノマリーの中には、神格実体と定義されるオブジェクトが存在する。
神格実体にはその神性によってクラス分けがされており、DからAまである。クラスAは最高クラスの神性を持つということである。
「最悪だ。神格実体の完全顕現。予想はできたが阻止はできなかった。⋯⋯こうなっては、我々では、最早どうすることもできない」
ミリアは表情一つ変えていないよう見られるが、明らかに動揺し、絶望に近い感情を抱いている、と、分かる雰囲気が漂っていた。
そんな中、アベルはまだ、魔術師として、GMCの代表者として、諦めていなかった。
「⋯⋯ウィルム、魔術知識に富んでいるあなたに聞きます。アレは、何ですか」
GMC脅威対策部門第三課『明るき右手』課長、一級魔術師ウィルム。
彼はアベル・オースティンの護衛と魔術師らの指揮のために派遣された。
黒い仮面を付けた、黒コートを初め、全身が黒を基調とした服装をしている高身長の男だ。
「⋯⋯少々言葉足らずなところがある。答えづらいな。アレは、何か、か。⋯⋯そうだな、アインドラ殿が言ったように、アレは神に近いものだろう。神格特有の魔力を感じる」
「神格特有⋯⋯」
ウィルムの経歴を知っているアベルからすれば、その発言には信憑性がある。
ミリア、ウィルムの両名が、アレは十中八九、神だと推定している。
「⋯⋯分かりました。⋯⋯それで、どうしますか。諦めてここで死を待ちますか。それとも、最期まで足掻きますか?」
「無論。私たち魔術師に悔いのない死などない。だが、今日はその日ではない。⋯⋯シュヴァリエ課長、オースティン統括と、ここの警護、そして現場の魔術師の指揮を君に任せても構わないか?」
金髪の美しい女性、ジャンヌ・シュヴァリエ──脅威対策部門第一課『B&D』の課長である彼女に、ウィルムは自らの権限を譲渡した。
つまりそれは、ウィルムはあの神に挑むということだ。
一見無謀。だが、ウィルムはレジェンドとまで呼ばれた魔術師だ。単純な強さで言えば、彼は特級魔術師含むGMCでも五本指に入る。
「分かりました。ウィルムさん、どうかあなたに神の御加護があらんことを」
ジャンヌは祈りを捧ぐ。
「私に神の加護など過ぎたものだ。尤も、死ぬつもりなどないが。⋯⋯西園寺とエインズワース、ホタルを頼んだ。そして彼らを決して⋯⋯特にホタルは、ここから動かさないでくれ」
「⋯⋯善処しましょう」
ウィルムはその場から離れようとした。
誰もが彼が死ににいくつもりはないと思っていたが、誰もが彼は死ぬかもしれないとも思った。
「なら私も同行しようかな」
声を上げたのは、やはり、エストだ。
「⋯⋯君は、エスト一級魔術師か」
「キミに名を覚えられていたとは驚いたよ。⋯⋯キミはどうやら神殺しか神を見たことあるようだけど、一人で行くのはただの自殺行為だ。なら、私の力はかなり役立つはずさ」
「私一人のほうが都合がいい」
「問題ないよ。キミは自由に動くといい」
「好きにしろ」
「好きにさせてもらうよ」
ウィルムは影に溶け込み、エストは瞬く間に消失した。
二人揃ってテレポートという稀有な能力持ちだが、だからこそ、彼らでないと対抗もできないだろう。
今度の相手、クラスA神格実体と推定される異常存在、『白神』は、それほどの脅威だ。
◆◆◆
00:00、『白神』降臨の儀式は完遂された。
同時にミース学園を覆っていた大規模結界が破壊する。
現在、『白神』は微動だにしない。が、その目は段々と開きつつある。
復活した巨人たちは『白神』の周囲に立っている。神を守るように。
「⋯⋯ふうん。あれが神か」
ヴィーテとの戦闘後、すぐに復活したギーレは、崩壊する『裏都市』から無事に逃げ切ることができた。
ただし、戦闘続行などできるはずがないほど消耗している。
「私の大嫌いなモノを体現したような存在だね。思ったより面白くなさそうだ、が⋯⋯まあいい。所詮舞台装置だ」
ギーレはその場を立ち去ろうとした。が、ある用事を思い出した。
「そういえばあの銀髪の少女⋯⋯やけに気に掛かる。⋯⋯殺しておくべきかな? 魔力の反応的に⋯⋯あっちか──」
ギーレは転移系の魔力を持つ魔獣を用いて、リエサの所に飛ぼうとした。しかし、その瞬間だった。
「──っ!?」
ギーレは、イア・スカーレットを何より恐れている。彼女がいつ開放されるかも分からなかったから、その封印魔導具は地中の遥か下に転送した。その上で、周囲に警戒用の魔獣を配置していた。
だが今この瞬間、イア・スカーレットは解き放たれた。
圧倒的な殺意を感じる。
「魔獣は死んでいない⋯⋯? どうやって⋯⋯」
「どうやって、だと思う?」
聞きたくもない声が背後からした。振り返りたくもないし、振り返った瞬間、死ぬ気がした。
「言ったでしょ。一週間と経たずして、お前を殺す、と」
「まさか三時間弱で出てくるなんて予想もしていなかったがね。⋯⋯そうか。君の主か」
「私のご主人様は結界術。特に封印系結界術のプロフェッショナルでね。本気出せば私の力も完全封印できると思うよ。お前なんかじゃ、私が無抵抗どころか封印しやすくしてあげてもできないことができるのさ」
「あの魔導具には、封印対象の魔力を奪う性質があったはずだ。今の君に、戦えるだけの魔力はない」
「⋯⋯そうね。でも、お前も同じじゃない。大魔族の魔力量はいつから二、三級の魔獣程度になったの?」
「⋯⋯ははは。もう十分だ。少々、不測はあったけれど、大方私の思うように事は進んだみたいだね」
「よく喋るな、害獣」
「君こそ。私に喋らせているんだろう? なら少し話していこうじゃないか」
今のイアに、ギーレを殺せるだけの余力はない。
特級魔導具『六鏡』には、封印対象から魔力を奪う性質がある。その影響から、封印解除直後だと対象は魔力が空の状態となる。
魔力がなければ、魔族であるギーレを殺すことはできない。精々足止めが限界だ。
対してギーレも、イア・スカーレットとの戦闘は面倒極まりない。足止めされ、他の特級魔術師や上位の一級魔術師が来てしまえば、最悪ここで命を落とす可能性もある。
つまり互いにとって、ここで暫く話すことは、悪くない落とし所だ。
「⋯⋯いいだろう。⋯⋯お前の目的は何だ。何がしたくてこんなことをしたの?」
「いきなりそれ聞くかい? もっと順序を、だね。⋯⋯まあいい。単純だよ。種のして進化を目指すことは、生物として当然だろう? 私は種族の為に、働いているのさ」
「ほう。⋯⋯家畜を勝手に殺し、畑を無意味に荒らしておいて、恨まれない、裁かれない奴がいるとは、私には到底思えない」
「はは。違うね。根本から違うよ。これは進化の為だ。新たなる夜明けの為には、犠牲が必要不可欠だ。とっくの昔に止まってしまった歯車を動かせば、擦れて錆が落ちるだろ? それが君たちであり、そして魔族だ」
「つまり、お前は同族や、果ては自分を死なせてでも改革を起こしたい、と? 何をしでかすつもりかは知らないが、それを他の魔族が黙って見ているはずがない」
「ああ。私の敵は最早人間だけではない。魔族にさえ首を狙われている。だが、それが何だというのかね? それに私に付く魔族も居る。無論、人間さえ、ね。私一人でやるわけじゃあないのさ」
「そうか。そうか。⋯⋯じゃあ全員殺してやる。お前も、お前のお仲間さんも、お前に組みする全てを殺し尽くして、その計画を止めてやるよ」
「やってみせなよ、最強。君にはそれを実行できるだけの力と責任がある。だが私は君のような存在への対策は何より優先し、幾つも考えてきた。その意味がわかるかい?」
「さあ。弱者が何を弄しようと、最強には通用しない」
「下克上、ってやつだよ。『弄する』? いいや違うね。れっきとした打倒計画さ。たかが十数年生きた小娘には分からないさ。──君の目の前にいるのは、千年以上生きた魔術師だ」
ギーレを中心とし、広範囲に渡り影が展開された。
そして次の瞬間、数多、無数、多種多様の魔獣が産まれ落ちる。
いや、これは魔獣なのか? イアは違和感を覚えた。
「プレゼントだ、イア・スカーレット。私の望む新世界を、少しだけ見せてあげよう」
「これは⋯⋯魔獣でも、人間でもない⋯⋯」
性質は魔獣に近い。が、肉体の構成は通常の生命に近い。魔力によって過半数以上が構成されていない肉体だ。
いうなれば半魔。ただし、ハーフではない。混合ではなく統合と言うべきか。
「新人類、だよ。まあなんとでも呼べば良いが⋯⋯私はこれを、ノース、と呼んでいる」
「造られた生命、か⋯⋯?」
「はは。冗談かい? 面白いね。確かに私はこれらが誕生する切っ掛けを作った。だがそこまでだ。私が造れば、それの可能性は私の域を出ない。私から離れたものでなくてはならないのだよ」
ノースたちはイアを襲うことはなく、散開する。
目的はそれぞれ。捕食対象を見つける。住処を見つける。交配相手を探す。
なんであれ、それらは生きるために活動し、数を増やすことを目的とする普遍的な生き物だ。
「魔獣ではないが、これらと共に魔獣、魔族の存在は世間に認知される。『白神』の影響もあって、この世界は混沌に満ちるだろう。⋯⋯さて、そろそろ御暇させてもらおうか。君も、魔力が回復して来る頃だろうし」
「⋯⋯⋯⋯」
「『白神』によって人間共が蹂躙され、ノースたちが台頭し世界的な恐慌状態になってもいい。君たちがこの悲劇を食い止め、被害をミース学園の壊滅で済ませてもいい。⋯⋯だがどちらにせよ、これは幕開けに過ぎない。爪痕はもう残された。日輪は昇り始めたんだ。さあ、始めさせてもらうよ、新たなる人類の歴史を。その夜明けを」
蔓延るノースたちに隠れて、イアはギーレを見失った。彼を探し出すことはできなくなった。
「⋯⋯全部殺す。全部殺して、なんとか鎮圧する。⋯⋯聞いてた? アリストリア? ──命令を」
感覚及び思考の共有によって、ギーレとイアの会話をアリストリアはずっと聞いていた。
あまりの内容に言葉を失っていたが、しかし、イアの言葉で改める。
『⋯⋯全敵対反応の処理。見敵必殺。私は既に、注文を済ましてあるはずよ、イア』
「⋯⋯それもそうだった。でもさ、アリス。あの『白神』どうするの?」
イアは魔力はない状態とは言え、それでも並の一級魔術師より強いだろう。
しかし、『白神』をどうにかすることは、はっきり無理だと言える。
「例え私が万全だったとしても、アレをどうにかすることは文字通り骨が折れるくらいしんどいと思う」
『あなたの主人が誰か忘れたの? ⋯⋯五分、いや二分でいい。アレを完全に停止させて。ついでに周りの巨人も退かせるか始末して頂戴。あとは私が何とかする』
「何か打開策でも?」
『うん。あの『白神』と呼ばれるものは、シャフォン教が招来させた神格。招来の魔術で呼び寄せたもの⋯⋯。さっき、降臨の儀式の場にあった術式を解析したんだよ。多分このタイプなら、隙さえあればいつでも退散の魔術を行使できる』
召喚や創造ではなく、招来の魔術は比較的難易度の低い魔術形式である。
その発動原理ゆえに、ものによっては退散の魔術は容易に行うことができる。
「わかった。流石、私のアリス様」
『いいから。さっさとやらないと、不味くなる一方だよ』
「分かってるよ。⋯⋯じゃ、やろっか」
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