8 / 27
サキュバスのミントさん
それがミントさん
しおりを挟む
「こらー!! ミントぉ! 止めねぇか!! 豚朗君を引っ張るんぢゃない!! 出てきなさい!!」
モニタールームで事の顛末を見守っていた所、予想の斜め上を行く過程をもって予想通りの結果となり、豚朗君の命が危険と判断した俺と佐竹さんは、速やかに水入りすべくダッシュで現場に駆けつけたのだが、想像以上に悲惨な状況だった。
ベットの下に引き篭もったミントが、豚朗君のチンコを持ってガンガン引っ張り続けているおかげで、その隙間に入れない大きさの彼の体はガスガスとベッドに打ち付けられていた。
今なお吸精は続いているのだろう。頬はコケ全体的に干からびつつある彼の体は完全に脱力しており、ミントにされるがままだ。
早く分断して室外で待機している医療スタッフに引き渡さないと本気で不味い。
てか、これはもう、死んでるかもしれない・・・。やっべー・・・・・。
「この!この!出てこい!この!!」
「キシャー! フー!!」
ベッドの下を覗きこみ、調教鞭がギリギリ届く位置に居るミントをハリセンでぺちぺち叩くが、体勢が体勢なので叩くというより触ると表現した方が的確な状況ではどうにもならない。
そしてその行為に対して歯をむき出しにして威嚇するミント。
この有様は隙間に逃げ込んだネコと、それを棒でつついて追い出そうとする飼い主そのものだ。
違いがあるとすれば一つだけ、ネコはビビッて出て来ないものだが、こいつは餌を奪われまいとしてる事だ。
「むぅ、こうなったらしかたがねぇ、佐竹さん、エチルがあったら噴射してくれ!」
「えー! 常備してますけど、ホントにいいんですか??」
「この際かまわねぇよ! 盛大にぶっかけてやるぜ!」
「了解です! 取って来ます!!」
ばたばたと部屋から出て行く佐竹さん。
エチルとは魔物用の激薬の通称で、昆虫採集でマニアがクワガタなどを穴の中から追い出す時に使う酢酸エチルにヒントを得て開発された物だ。
元の発想が元だけに昆虫系のモン娘に使われる事が多いが、隙間に入り込んでる魔物全般に効果がある。
反面、固体も相応のダメージを負ってしまうので、よほどの事が無い限りブリーダーは使用を控える薬品だ。
ここん家みたいに大きいファームか、昆虫系のモン娘ブリーダーでも無い限り常備している事もまずないので、薬品そのもの存在や効能を知らないブリーダーも少なくない。
「持って来ました!」
息を切らせつつ、程なくして佐竹さんが戻って来た。ダッシュで行ってダッシュで帰って来た佐竹さん。まったくおつかれさんだな。
「ようし。鼻面に一発かましてやるぜ!」
この薬品はかなり長めのスプレーノズルがデフォになっているので、そぉ~っと顔付近までノズルを近づけて、力いっぱいスプレーの頭を押し込んでやった。
「ふん!」
ぶしゃぁぁぁぁ!!
っと、妖精が梨汁をぶっかける勢いでミントの顔面にエチル液が噴射される。とたん。
「くぁwせdrftgyふじこ!!!」
声にならない悲鳴を上げて、顔面を押さえながらベッド下から転げ出てくるウエディング姿のミント。
「目がー! 目がぁー!! 鼻がぁぁぁ!!」
室内をハデに転がりながら顔面を手で覆って悶絶しているミントはひとまずほっといて、即座に豚朗君を救出する。
ぐったりしているが、かろうじて息はあるようだ。
早々に佐竹ファームの医療班へと豚朗君を引き渡すと、担架でえっちらおっちらどこぞへと運ばれて行った。
家のバカ娘は未だに目がー!目がー!と転げ回っているが、懸念であったダメージは大してない様でこっちも一安心だ。
~~~~~~~
「しっかしあれだぞ、おまえ。いつまでも未経験じゃサキュバスとして不味いんぢゃねーの? ここで豚朗君との交尾が成功していれば無事初体験完了でお友達にも自慢できたっつーのにな(笑)」
エチルを食らって正気に戻ったものの、顔面に残った刺激でひーひー言ってたミントは、佐竹さん家の浴場でひと風呂浴びたら完全復活した。
なので皮肉たっぷりに挑発してみたんだが、きょとんとした表情の後、まったく想像していなかった爆絶発言をしやがった。
「え? なに言ってるのよ? いくら私でも流石にもう経験済みだよ。サキュバスで未経験が許されるのは小学生までだよ」
などと自慢気に胸を張って言うので、虚言や強がりの類ではないっぽい。
「え、えええ! いや、だってお前、家から出てねぇだろ? あんなポンコツファームでもお上がきっちり強力な結界張ってるから、俺の許可なく外出できねーし、俺がセッティングしない限りやる機会なんざないだろう!」
家に来てからの最初の健康診断で未経験であることは証明されてるので、来る前にこなしてたって事もないはずだ。
「んも~。なに言ってるのよぉ。私の初めての相手は長さんでしょう? いや~ん、なに言わせるのよぉ~えっち~」
爆絶発言パート2。なに言ってんだコイツ・・・。
「いやいやいや、そんな覚えねぇよ!! した記憶ねぇよ!! してねぇよ!! 嘘つくんぢゃねーよ!」
「そりゃ自覚はないよ。寝てる時にこっそりいただいたんだし。正確には毎晩いただいてるし」
な、な、なんだってぇ!! あっちゃんプリケツ過ぎる問題発言!!
「いやそれもおかしいぜ! 俺は断固抵抗させてもらうぜ! 俺の部屋にも魔物の進入を防ぐ簡易結界が張ってある! おいそれと進入できるもんぢゃねぇよ! こん嘘つきめがぁ! 強がってましたごめんなさいと言うなら今の内だぞー!」
「え~そっちこそ嘘よ。なにもなかったよぉ? 普通に毎晩ドアノブ捻ってお邪魔してるけど??」
なににににぃ! てかなんでコイツこんなに余裕しゃくしゃくなんだよ! なんで俺の方が負い詰められてる感じなんだよ!
「あの・・・ちょっといいですか?」
俺達の問答を静観していた佐竹さんが、挙手しながら控えめに質問してきた。
「うん? どうした佐竹さん?」
「いえ、先輩の部屋に張ってある結界って、どんな物なんですか??」
「どんな物って、そりゃ普通に売ってる簡易結界だよ。ホームセンターで売ってる奴。下っ端淫魔を弾くだけならそれで十分だろ?」
「あー、うん。そうですね、下っ端淫魔なら十分弾けますが・・・ミントちゃん、エルダーサキュバスじゃないですか? 上位種にとっては人間に蚊取り線香が効かないのと同じ理屈で、なんの効果もないんじゃないかと・・・」
!!!!
「そうだったぁぁぁぁ!! コイツ、エルダーサキュバスだったぁぁぁ! てか今日初めて知ったんだったぁぁぁぁ!! まずーい! そりゃあんな簡易結界意味ねーわ!! うおあああああああ!!!」
頭を抱えて悶える俺。
「くっくっく、さて牧場長。反論をどうぞ」
絶対的優位のドヤ顔でミントが反論を促すが、不味い。これは不味いぞ・・・なにが不味いって、普通のモン娘とやるのは別に問題ねーが、コイツはお上から「再教育」の必要有とされ、家で常識のお勉強をしつつまともな繁殖行為に走る様になるようにと政府から預かったモン娘だ。
その預かり先の家主とやっちまうなんて、本末転倒も良い所だ。役人連中が俺を叩く絶好の不祥事ぢゃねーか!!
「いや、まだだ・・・まだ終わらぬよ!! 今証明されたのは俺の部屋の結界がお前に対して無意味だったと言う事実のみ! お前が非処女であると言う証明にも! 俺を食ったという証明にもならねぇ!」
俺の抵抗に、ミントの奴はふむぅと口元に拳をあてつつ逡巡すると、ウエディングドレスの裾をたくし上げ、
「じゃあ、膜確認してみる?」
などとのたまった。
「おう。見せろや」
現物を確認すればはっきりする。至極当然の事だったので、俺はその提案を呑んで確認してみる事にした。
~しばしの間~
「ちっくしょう!! ねぇ!! なくなってやがるぅぅぅ!!」
佐竹ファームに響く今年一番の俺の慟哭。
一年前の健康診断ではきっちりあったもんが綺麗さっぱり無くなってやがった!! くそう! 俺が云々はさておき、魔物の雄を使ったバージンブレイクによる刷り込みがもうできないのは確定だ!
「くっ、ぐぬぅ、いいだろう。お前が非処女である事は認めよう。だがな!今証明されたのはお前が処女ではないと言う事だけだ! そのお相手が俺と決まったわけぢゃあねぇ!! もちろん見知らぬ誰かでもねぇ! そう!この場合の答えは1つだ!!」
俺は意を決して最後の抵抗を試みる。
「そう。お前は非処女であると自慢したいが為に、やってはならねぇ禁忌を冒してしまったのさ! お相手は禁断のアイテム、エロ玩具だ! お前は密かに購入した己のペットでブィィィと己を慰めたにすぎねぇ!!」
ビシィ! と人差し指を突きつけて言い放ってやったんだが・・・。
「えー、いくらなんでもそれはしないわよぅ。サキュバスの沽券に関わるし、それをやったら淫魔なんて名乗れないし・・・でも毎晩いただいてる事を今証明しろって言われても、できないのも事実。もう面倒だから真実は闇の中って事にしておこうか」
くっ、なんと言う勝者の貫禄・・・ぐぬぬぬぬ。
「え?普通にその子から旦那様の臭いするし、完全に食われちゃってるわよ? てか合意の上でやりまくってたとばかり思ってたから一安心ですわ」
びたーん! ビクン!ビクン!(←俺が直立したまま後ろにぶっ倒れた音&痙攣による描写音)
佐竹さんと共に静観していたエイチチのトドメで俺はハデにぶっ倒れてしまった。
初対面の同族が言うならもう抵抗の余地なんざない。いや、白状しよう。もうアイツの勝ち誇った態度からして、抵抗するだけピエロなんだって途中から気付いてた。
子泣き爺的にがっちり大好きホールドしてきたのも、妙に納得できてしまう。
「ちょ、エイチチ! そういう事は空気読んで言わないで! わかっても言わないで! お上にばれたら先輩が無職になるかもしれないデリケートな事案なんだよ?」
そう、仮に俺はやられた側なのだとしても、それすら込みで俺の責任なのだ。責任追及は免れない。
そんなブリーダー事情は百も承知な佐竹さんは、エイチチの容赦ないトドメに慌ててフォローしてくれるが、
「五月蝿いわねお財布! いい?良く考えてみなさい。あの方が無職になったらまず間違いなくあんたを頼る事になるのよ? 知り合いほとんど居ないんだから」
知り合いほとんど居なくて悪かったな・・・まぁ確かにそうなるけど。てか現時点でだいぶ頼っちまってるしな。
「ここに旦那様が居候することになれば、間違いなく私はヤルわ。もうすんごいヤル。堕とされる自信がある。てかもうヤル前から既に堕ちてるし。ほら、ね? あなたの望む展開でしょう? 先輩にNTRされるシチュが自宅で毎日見れるのよ? さっきは勘違いだったけど、あれが現実になるのよ?」
恐ろしい事を平然言う汚嫁の発言にしばし固まる佐竹さん。そして・・・。
「えっと・・・役所の電話番号いくつだったかなぁ・・・・」
うおおおーい! ちょっとぉぉ! 佐竹さん!! 電光石火で裏切ってるんぢゃないよぉぉぉぉ!
その妄想だけで股間の息子はズキューン!ズキューン!とにわかに反応してるし! この変態はどんだけ好きなんだよNTRシチュ!
そんなこんなで、のっぴきらない十字架を背負っていた事に気付かされるだけで終わった今回のカップリング。
お上にバレたら本気で辞職もんの案件なので、これから先、心中穏やかではいられないが、誤魔化し誤魔化しなんとかするしかねーか・・・。
モニタールームで事の顛末を見守っていた所、予想の斜め上を行く過程をもって予想通りの結果となり、豚朗君の命が危険と判断した俺と佐竹さんは、速やかに水入りすべくダッシュで現場に駆けつけたのだが、想像以上に悲惨な状況だった。
ベットの下に引き篭もったミントが、豚朗君のチンコを持ってガンガン引っ張り続けているおかげで、その隙間に入れない大きさの彼の体はガスガスとベッドに打ち付けられていた。
今なお吸精は続いているのだろう。頬はコケ全体的に干からびつつある彼の体は完全に脱力しており、ミントにされるがままだ。
早く分断して室外で待機している医療スタッフに引き渡さないと本気で不味い。
てか、これはもう、死んでるかもしれない・・・。やっべー・・・・・。
「この!この!出てこい!この!!」
「キシャー! フー!!」
ベッドの下を覗きこみ、調教鞭がギリギリ届く位置に居るミントをハリセンでぺちぺち叩くが、体勢が体勢なので叩くというより触ると表現した方が的確な状況ではどうにもならない。
そしてその行為に対して歯をむき出しにして威嚇するミント。
この有様は隙間に逃げ込んだネコと、それを棒でつついて追い出そうとする飼い主そのものだ。
違いがあるとすれば一つだけ、ネコはビビッて出て来ないものだが、こいつは餌を奪われまいとしてる事だ。
「むぅ、こうなったらしかたがねぇ、佐竹さん、エチルがあったら噴射してくれ!」
「えー! 常備してますけど、ホントにいいんですか??」
「この際かまわねぇよ! 盛大にぶっかけてやるぜ!」
「了解です! 取って来ます!!」
ばたばたと部屋から出て行く佐竹さん。
エチルとは魔物用の激薬の通称で、昆虫採集でマニアがクワガタなどを穴の中から追い出す時に使う酢酸エチルにヒントを得て開発された物だ。
元の発想が元だけに昆虫系のモン娘に使われる事が多いが、隙間に入り込んでる魔物全般に効果がある。
反面、固体も相応のダメージを負ってしまうので、よほどの事が無い限りブリーダーは使用を控える薬品だ。
ここん家みたいに大きいファームか、昆虫系のモン娘ブリーダーでも無い限り常備している事もまずないので、薬品そのもの存在や効能を知らないブリーダーも少なくない。
「持って来ました!」
息を切らせつつ、程なくして佐竹さんが戻って来た。ダッシュで行ってダッシュで帰って来た佐竹さん。まったくおつかれさんだな。
「ようし。鼻面に一発かましてやるぜ!」
この薬品はかなり長めのスプレーノズルがデフォになっているので、そぉ~っと顔付近までノズルを近づけて、力いっぱいスプレーの頭を押し込んでやった。
「ふん!」
ぶしゃぁぁぁぁ!!
っと、妖精が梨汁をぶっかける勢いでミントの顔面にエチル液が噴射される。とたん。
「くぁwせdrftgyふじこ!!!」
声にならない悲鳴を上げて、顔面を押さえながらベッド下から転げ出てくるウエディング姿のミント。
「目がー! 目がぁー!! 鼻がぁぁぁ!!」
室内をハデに転がりながら顔面を手で覆って悶絶しているミントはひとまずほっといて、即座に豚朗君を救出する。
ぐったりしているが、かろうじて息はあるようだ。
早々に佐竹ファームの医療班へと豚朗君を引き渡すと、担架でえっちらおっちらどこぞへと運ばれて行った。
家のバカ娘は未だに目がー!目がー!と転げ回っているが、懸念であったダメージは大してない様でこっちも一安心だ。
~~~~~~~
「しっかしあれだぞ、おまえ。いつまでも未経験じゃサキュバスとして不味いんぢゃねーの? ここで豚朗君との交尾が成功していれば無事初体験完了でお友達にも自慢できたっつーのにな(笑)」
エチルを食らって正気に戻ったものの、顔面に残った刺激でひーひー言ってたミントは、佐竹さん家の浴場でひと風呂浴びたら完全復活した。
なので皮肉たっぷりに挑発してみたんだが、きょとんとした表情の後、まったく想像していなかった爆絶発言をしやがった。
「え? なに言ってるのよ? いくら私でも流石にもう経験済みだよ。サキュバスで未経験が許されるのは小学生までだよ」
などと自慢気に胸を張って言うので、虚言や強がりの類ではないっぽい。
「え、えええ! いや、だってお前、家から出てねぇだろ? あんなポンコツファームでもお上がきっちり強力な結界張ってるから、俺の許可なく外出できねーし、俺がセッティングしない限りやる機会なんざないだろう!」
家に来てからの最初の健康診断で未経験であることは証明されてるので、来る前にこなしてたって事もないはずだ。
「んも~。なに言ってるのよぉ。私の初めての相手は長さんでしょう? いや~ん、なに言わせるのよぉ~えっち~」
爆絶発言パート2。なに言ってんだコイツ・・・。
「いやいやいや、そんな覚えねぇよ!! した記憶ねぇよ!! してねぇよ!! 嘘つくんぢゃねーよ!」
「そりゃ自覚はないよ。寝てる時にこっそりいただいたんだし。正確には毎晩いただいてるし」
な、な、なんだってぇ!! あっちゃんプリケツ過ぎる問題発言!!
「いやそれもおかしいぜ! 俺は断固抵抗させてもらうぜ! 俺の部屋にも魔物の進入を防ぐ簡易結界が張ってある! おいそれと進入できるもんぢゃねぇよ! こん嘘つきめがぁ! 強がってましたごめんなさいと言うなら今の内だぞー!」
「え~そっちこそ嘘よ。なにもなかったよぉ? 普通に毎晩ドアノブ捻ってお邪魔してるけど??」
なににににぃ! てかなんでコイツこんなに余裕しゃくしゃくなんだよ! なんで俺の方が負い詰められてる感じなんだよ!
「あの・・・ちょっといいですか?」
俺達の問答を静観していた佐竹さんが、挙手しながら控えめに質問してきた。
「うん? どうした佐竹さん?」
「いえ、先輩の部屋に張ってある結界って、どんな物なんですか??」
「どんな物って、そりゃ普通に売ってる簡易結界だよ。ホームセンターで売ってる奴。下っ端淫魔を弾くだけならそれで十分だろ?」
「あー、うん。そうですね、下っ端淫魔なら十分弾けますが・・・ミントちゃん、エルダーサキュバスじゃないですか? 上位種にとっては人間に蚊取り線香が効かないのと同じ理屈で、なんの効果もないんじゃないかと・・・」
!!!!
「そうだったぁぁぁぁ!! コイツ、エルダーサキュバスだったぁぁぁ! てか今日初めて知ったんだったぁぁぁぁ!! まずーい! そりゃあんな簡易結界意味ねーわ!! うおあああああああ!!!」
頭を抱えて悶える俺。
「くっくっく、さて牧場長。反論をどうぞ」
絶対的優位のドヤ顔でミントが反論を促すが、不味い。これは不味いぞ・・・なにが不味いって、普通のモン娘とやるのは別に問題ねーが、コイツはお上から「再教育」の必要有とされ、家で常識のお勉強をしつつまともな繁殖行為に走る様になるようにと政府から預かったモン娘だ。
その預かり先の家主とやっちまうなんて、本末転倒も良い所だ。役人連中が俺を叩く絶好の不祥事ぢゃねーか!!
「いや、まだだ・・・まだ終わらぬよ!! 今証明されたのは俺の部屋の結界がお前に対して無意味だったと言う事実のみ! お前が非処女であると言う証明にも! 俺を食ったという証明にもならねぇ!」
俺の抵抗に、ミントの奴はふむぅと口元に拳をあてつつ逡巡すると、ウエディングドレスの裾をたくし上げ、
「じゃあ、膜確認してみる?」
などとのたまった。
「おう。見せろや」
現物を確認すればはっきりする。至極当然の事だったので、俺はその提案を呑んで確認してみる事にした。
~しばしの間~
「ちっくしょう!! ねぇ!! なくなってやがるぅぅぅ!!」
佐竹ファームに響く今年一番の俺の慟哭。
一年前の健康診断ではきっちりあったもんが綺麗さっぱり無くなってやがった!! くそう! 俺が云々はさておき、魔物の雄を使ったバージンブレイクによる刷り込みがもうできないのは確定だ!
「くっ、ぐぬぅ、いいだろう。お前が非処女である事は認めよう。だがな!今証明されたのはお前が処女ではないと言う事だけだ! そのお相手が俺と決まったわけぢゃあねぇ!! もちろん見知らぬ誰かでもねぇ! そう!この場合の答えは1つだ!!」
俺は意を決して最後の抵抗を試みる。
「そう。お前は非処女であると自慢したいが為に、やってはならねぇ禁忌を冒してしまったのさ! お相手は禁断のアイテム、エロ玩具だ! お前は密かに購入した己のペットでブィィィと己を慰めたにすぎねぇ!!」
ビシィ! と人差し指を突きつけて言い放ってやったんだが・・・。
「えー、いくらなんでもそれはしないわよぅ。サキュバスの沽券に関わるし、それをやったら淫魔なんて名乗れないし・・・でも毎晩いただいてる事を今証明しろって言われても、できないのも事実。もう面倒だから真実は闇の中って事にしておこうか」
くっ、なんと言う勝者の貫禄・・・ぐぬぬぬぬ。
「え?普通にその子から旦那様の臭いするし、完全に食われちゃってるわよ? てか合意の上でやりまくってたとばかり思ってたから一安心ですわ」
びたーん! ビクン!ビクン!(←俺が直立したまま後ろにぶっ倒れた音&痙攣による描写音)
佐竹さんと共に静観していたエイチチのトドメで俺はハデにぶっ倒れてしまった。
初対面の同族が言うならもう抵抗の余地なんざない。いや、白状しよう。もうアイツの勝ち誇った態度からして、抵抗するだけピエロなんだって途中から気付いてた。
子泣き爺的にがっちり大好きホールドしてきたのも、妙に納得できてしまう。
「ちょ、エイチチ! そういう事は空気読んで言わないで! わかっても言わないで! お上にばれたら先輩が無職になるかもしれないデリケートな事案なんだよ?」
そう、仮に俺はやられた側なのだとしても、それすら込みで俺の責任なのだ。責任追及は免れない。
そんなブリーダー事情は百も承知な佐竹さんは、エイチチの容赦ないトドメに慌ててフォローしてくれるが、
「五月蝿いわねお財布! いい?良く考えてみなさい。あの方が無職になったらまず間違いなくあんたを頼る事になるのよ? 知り合いほとんど居ないんだから」
知り合いほとんど居なくて悪かったな・・・まぁ確かにそうなるけど。てか現時点でだいぶ頼っちまってるしな。
「ここに旦那様が居候することになれば、間違いなく私はヤルわ。もうすんごいヤル。堕とされる自信がある。てかもうヤル前から既に堕ちてるし。ほら、ね? あなたの望む展開でしょう? 先輩にNTRされるシチュが自宅で毎日見れるのよ? さっきは勘違いだったけど、あれが現実になるのよ?」
恐ろしい事を平然言う汚嫁の発言にしばし固まる佐竹さん。そして・・・。
「えっと・・・役所の電話番号いくつだったかなぁ・・・・」
うおおおーい! ちょっとぉぉ! 佐竹さん!! 電光石火で裏切ってるんぢゃないよぉぉぉぉ!
その妄想だけで股間の息子はズキューン!ズキューン!とにわかに反応してるし! この変態はどんだけ好きなんだよNTRシチュ!
そんなこんなで、のっぴきらない十字架を背負っていた事に気付かされるだけで終わった今回のカップリング。
お上にバレたら本気で辞職もんの案件なので、これから先、心中穏やかではいられないが、誤魔化し誤魔化しなんとかするしかねーか・・・。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
52
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる