キック・THE・ボール

しゅうごろう

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劇的の勝利

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「北栄高校のお相手はどこの高校になるでしょうか」
Jカップ予選抽選会場は大盛り上がりだった。

「3 2 1 どうぞ」
結果は、隣町の南河原高校と一回戦で戦うことになった。強いか弱いのかもわからない。
ちなみに強豪南栄高校のお相手は、西栄高校。
もう勝負は決まっている。そう思った俺はつい笑ってしまった。
Jカップ予選は面白くなりそうだ。

俺はそのあとサッカー部のメンバーとミーティングを行った。
題材は南河原高校について。
南河原高校には地区トレセンに選ばれているメンバーが5人もいる。地区トレセンだから都道府県トレセンに比べたらそうでもない。
だから勝てるなんて思ってしまった。

「南河原高校のエースストライカー 宮川 尚にどう対応するか考えていこう」
宮川 尚は南河原高校の得点源でもあるのだ。

「そのエースストライカーには二人マークに付けば良いのではないでしょうか」

「中に入らせないようにがんばるしかないと思うんですけど」
たくさんの意見が挙がった。俺はキャプテンとしてとても嬉しかった。

「宮川の強さを考慮して二人マークにつこう」
無茶な話だかそのまま通ってしまう。
何しろキャプテンの命令でもある。
早速慶一朗を宮川に見立てて練習に励んだ。
中々の仕上がり。光が射した。
南河原高校撃破も夢でもない。


ーー翌日
今日は南栄高校と西栄高校の試合が行われる。
まあ勝負は始まる前から決まっている。
当然、南栄高校。

「ピッ」
試合開始のホイッスル。

まずは南栄高校の攻撃。MFからのスルーパスでFWがペナルティエリアに進入。
先制点は南栄高校と思ったその時ーー

「バァーン!」
ポストに当たる音がした。
ボールはいつの間にか西栄高校のボールになっていた。何が起こったかわからなかった。
相川によるとシュートがポストに当たりそれで跳ね返ったボールが西栄のMFに繋がったらしい。
西栄高校の反撃。南栄のディフェンスはあいにく3枚しかなかった。4対3で西栄が有利な状況に立った。これはヤバい。すると西栄のFWがMFにバックパスをしたその時ーー

「スパァーン!」
光のようにボールがゴールに突っ込む。

入ってしまった。強豪南の南栄高校からゴールを奪った。このことから西栄はものすごく練習を頑張ったことがわかる。

このあと南栄高校の反撃が開始されるも点は入らない。
その時DFからのロングパスでFWがボレーシュート。

「スパァーン!」
ゴールなボールが突き射した。
しかし、
「ピッ!」
ゴールのホイッスルかと思ったがゴールの時はならない。何かと思うとオフサイドのホイッスルだったのだ。俺は唖然とした。

このまま1対0のまま前半が終わった。
西栄高校の勝利の可能性が高まってきた。
 
「ピッ」
後半開始のホイッスル。西栄ボールから始まる。
西栄のエース杉原が仕掛ける。独走。
そしてシュート!
だかこれは南栄のGKがファインセーブ。
惜しくもシュートは決まらず。
 
ゴールキックから始まり、南栄の攻撃が始まる。
こちらもエース小鳥遊が仕掛けるもシュートまではいかなかった。
南栄にとってとても辛い状況である。
救世主が現れた。後半85分の時選手交代があっ
た。エース小鳥遊に代わり前田が出場。

「一点取り返しにいこう」

「おぉー」

アディショナルタイム3分。
南栄にチャンスが到来する。
右サイドからのクロス。綺麗なカーブ。
そのに前田がヘディングーー
時間が止まったような気がした。
前田のヘディングは決まっていなかった。
何故だ何故だこんなことあるわけない。

「ピッピッピー」
そのまま後半は終わり西栄高校の勝利に終わった。劇的の勝利。

「シャーーーーー」

「絶対二回戦勝つぞー」
会場は西栄の声で包まれた。
西栄にとっては夢のまた夢のまた夢の勝利だ。

またまた異例なことが起きて、俺はますますわくわくしてきた。
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