追放されたけどFIREを目指して準備していたので問題はない

君山洋太朗

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35話 勝利の余韻

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魔獣の大群が撃退された後の街は、狂喜の渦に包まれていた。中央広場では、酒が注がれ、勝利の歌が響き渡る。一見すると、ガイウスを中心とした元パーティーが英雄として称えられているように見える。

だが、裏方で真の立役者を知る関係者たちは違っていた。防衛会議で見せた俺の戦略的分析、商人ネットワークを駆使した資材調達、そして戦場での決定的な「価値転換」。街の有力者たちは、この危機を乗り越えた本当の立役者を理解していた。

マーカス・ヴィルヘルムは、俺に微笑みかけた。王都随一の商会の代表は、今回の危機対応における俺の貢献を熟知していた。ギルドマスターのロドリグも、遠くから敬意に満ちた視線を送っている。

「レオン!」

背後から聞こえたのは、ソフィアの声だ。彼女は真っ直ぐに俺に歩み寄ってくる。

「危険な真似はもうしないでください!」

ソフィアの怒りは、まるで嵐のようだった。

彼女は両手を腰に当て、睨みつける。

「あなた、本当に命知らずね!」

叱責の言葉の裏には、明らかな心配が込められていた。俺は彼女を見つめる。

「リスクは全て計算済みだ」

「計算?」

ソフィアは眉をつり上げる。

「本当に危険だったのよ」

彼女は続ける。

「あなたが飛び出していった瞬間、私は心臓が止まりそうだったわ」

俺は彼女の怒りに、微妙な対処法を模索していた。機嫌を取るには何が効果的だろうか。彼女が喜ぶものといえば…。

(お菓子?いや、今はそんな場合じゃない。)

(父の店の話?少し微妙かもしれない。)

(エレナさんの手作りクッキーを差し入れる?)

頭の中で作戦を練りながら、ソフィアの叱責に耳を傾ける。

「あの戦場で、あなたは自分の命をどれだけ軽く考えていたの!」

彼女の瞳には本気の怒りと心配が光っていた。

最終的に俺は、幼少期にソフィアの機嫌を取っていた方法を思い出した。

「ソフィア」

俺は慎重に言葉を選ぶ。

「落ち着いたら街の視察に行こう。どこに商売のタネがあるか分からないからな。...二人で買い物でもしながら」

俺が照れくさそうにそう言うと彼女の表情が、微かに和らいだ。

周囲では、元パーティーの冒険者たちが英雄として祝福されていた。だが、彼らでさえ、今回の戦いでレオンの貢献がなければ勝利はなかったことを、心の中で理解していた。

ガイウスは遠くから俺に視線を向け、微かにうなずいた。かつてのパーティーリーダーは、今回の戦いで俺の真価を認めたのだ。

魔獣との戦いは終わった。だが、俺にとってこれはまた新たな始まりにすぎない。
城壁の補修、投石器の修理、今回のような事態に備えてさらに防衛力を強化する提案も良い。俺は頭の中で次の展開を考えていた。
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