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第6話
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四月七日。暖かな太陽。舞い散る桜。澄み渡った空。
こんな素晴らしい春に心を躍らせながら学校に初登校! なんてわけにもいかず……
「美々ちゃ~ん……」
わたしは公園で待ち合わせをしていた美々ちゃんのところに駆け寄る。
「うわっ! 由衣それどうしたの!」
「さっき転んだ~……」
わたしの膝からは血が細く流れている。
わたしの特技の一つ、何もない所で転ぶが登校初日早々に炸裂してしまった。
「ちょっ、とりあえず止血しないと!」
そう言って、美々ちゃんがカバンからティッシュをとり取り出してわたしの膝を押さえてくれる。
白いティッシュにわたしの赤い血がじわっと滲む様子はいつ見てもちょっと気持ち悪い。
「はあ…… 良かった、止まった……」
「美々ちゃんありがとう……」
「でもあとで保健室行かないと。消毒してもらわなきゃ」
「うん…… 美々ちゃんもついてきてくれる?」
「あー、うんうん、行くよ行くよ」
この女の子、美々ちゃんとは、わたしの友達の青葉美々ちゃん。
ダメ人間なわたしのお世話をよくやいてくれている小学生からの幼なじみ。
美々ちゃんはものすごく器用で、美々ちゃんのできないことをわたしは見たことがない。
勉強も運動も裁縫も料理もなんでもできるスーパーなお友達なのだ!
「ありがとう、ママ~」
「ママ言うな!」
そんな美々ちゃんをわたしは親しみを込めてよくママと呼んでいる。
言うと、ちょっと怒られちゃうけど。
美々ちゃんはわたしの友達兼ママだ。
「あ、そういえば、由衣、新しい家族はどうだった?」
「ああ!」
美々ちゃんにはずっと前から新しい家族ができることを伝えていた。
逐一連絡をとりあって、わたしの近況を報告している。
「それがね…… 妹がね! ほんとめっちゃ可愛いの!」
あれから何日か一緒に過ごしたけど、みんなの可愛いが増すばかりだった。
楓ちゃんは二人になったときにわたしによくくっついてくれるし、茅ちゃんはまだあんまりだけど、話しかけたら答えてくれる。柚ちゃんは言わずもがな、ずっと可愛い。
この数日間で順調にみんなと少しずつ仲良くなっている気がする。
「ふーん、良かったじゃん。それで長女は上手くやれそうなの?」
「うーん、今のところ、何もミスはしてないと思うんだよね……」
ただ怖いのはわたしの感覚がズレてて、実はやっちゃってましたってこと……
「まあ由衣のことだから、すぐバレるでしょ」
「そ、そんなことないよ! たぶん……」
「たぶんって。そもそもそんなに長女ってことにこだわる必要ないよ思うんだけどなあ」
「でも長女だよ? やっぱりしっかりしてないと嫌じゃない? 長女が『うわーん、美々ちゃん助けて~!』とか言ってるんだよ?」
「それはなんとかして欲しいけど……」
「だよねー……」
楓ちゃん、茅ちゃん、柚ちゃんの三人とも今日からわたしと同じ学校に通う。
茅ちゃんと柚ちゃんは学年が違うけど、楓ちゃんは同じ二年生。
だから必然的に楓ちゃんとは学校で関わる機会が一番多くなる。
といっても、さすがに姉妹で同じクラスにはならないだろうから、なんとかいけるはず!
「とにかく今年も美々ちゃんと一緒のクラスになれますように! それが一番!」
「今年も先生に言ったの?」
「すごく言った!」
ラッキーなことに、わたしの中学でも高校でも、いつも担任の先生が来年同じクラスになりたい人を聞いてくれた。
自分の要望が必ずしも通るわけではないけど、わたしはとにかく美々ちゃんがいいですと力説している。
力説しすぎて、若干先生にひかれたこともあったけど……
でもそんな努力の結果、中学二年生のとき以外全て同じクラスになれている。
小学生のときはそもそも一クラスしかなくて、クラス替えなんてものはなかったから実質、中二のときの一回だけだ。
今年もなんとかお願いします! 佐藤先生!(去年の担任)
「わたしも先生に言っておいたけど、どうなるかなー」
「美々ちゃんと一緒のクラスになれますようにー!」
わたしは澄んだ空に向かって、強く手を合わせた。
こんな素晴らしい春に心を躍らせながら学校に初登校! なんてわけにもいかず……
「美々ちゃ~ん……」
わたしは公園で待ち合わせをしていた美々ちゃんのところに駆け寄る。
「うわっ! 由衣それどうしたの!」
「さっき転んだ~……」
わたしの膝からは血が細く流れている。
わたしの特技の一つ、何もない所で転ぶが登校初日早々に炸裂してしまった。
「ちょっ、とりあえず止血しないと!」
そう言って、美々ちゃんがカバンからティッシュをとり取り出してわたしの膝を押さえてくれる。
白いティッシュにわたしの赤い血がじわっと滲む様子はいつ見てもちょっと気持ち悪い。
「はあ…… 良かった、止まった……」
「美々ちゃんありがとう……」
「でもあとで保健室行かないと。消毒してもらわなきゃ」
「うん…… 美々ちゃんもついてきてくれる?」
「あー、うんうん、行くよ行くよ」
この女の子、美々ちゃんとは、わたしの友達の青葉美々ちゃん。
ダメ人間なわたしのお世話をよくやいてくれている小学生からの幼なじみ。
美々ちゃんはものすごく器用で、美々ちゃんのできないことをわたしは見たことがない。
勉強も運動も裁縫も料理もなんでもできるスーパーなお友達なのだ!
「ありがとう、ママ~」
「ママ言うな!」
そんな美々ちゃんをわたしは親しみを込めてよくママと呼んでいる。
言うと、ちょっと怒られちゃうけど。
美々ちゃんはわたしの友達兼ママだ。
「あ、そういえば、由衣、新しい家族はどうだった?」
「ああ!」
美々ちゃんにはずっと前から新しい家族ができることを伝えていた。
逐一連絡をとりあって、わたしの近況を報告している。
「それがね…… 妹がね! ほんとめっちゃ可愛いの!」
あれから何日か一緒に過ごしたけど、みんなの可愛いが増すばかりだった。
楓ちゃんは二人になったときにわたしによくくっついてくれるし、茅ちゃんはまだあんまりだけど、話しかけたら答えてくれる。柚ちゃんは言わずもがな、ずっと可愛い。
この数日間で順調にみんなと少しずつ仲良くなっている気がする。
「ふーん、良かったじゃん。それで長女は上手くやれそうなの?」
「うーん、今のところ、何もミスはしてないと思うんだよね……」
ただ怖いのはわたしの感覚がズレてて、実はやっちゃってましたってこと……
「まあ由衣のことだから、すぐバレるでしょ」
「そ、そんなことないよ! たぶん……」
「たぶんって。そもそもそんなに長女ってことにこだわる必要ないよ思うんだけどなあ」
「でも長女だよ? やっぱりしっかりしてないと嫌じゃない? 長女が『うわーん、美々ちゃん助けて~!』とか言ってるんだよ?」
「それはなんとかして欲しいけど……」
「だよねー……」
楓ちゃん、茅ちゃん、柚ちゃんの三人とも今日からわたしと同じ学校に通う。
茅ちゃんと柚ちゃんは学年が違うけど、楓ちゃんは同じ二年生。
だから必然的に楓ちゃんとは学校で関わる機会が一番多くなる。
といっても、さすがに姉妹で同じクラスにはならないだろうから、なんとかいけるはず!
「とにかく今年も美々ちゃんと一緒のクラスになれますように! それが一番!」
「今年も先生に言ったの?」
「すごく言った!」
ラッキーなことに、わたしの中学でも高校でも、いつも担任の先生が来年同じクラスになりたい人を聞いてくれた。
自分の要望が必ずしも通るわけではないけど、わたしはとにかく美々ちゃんがいいですと力説している。
力説しすぎて、若干先生にひかれたこともあったけど……
でもそんな努力の結果、中学二年生のとき以外全て同じクラスになれている。
小学生のときはそもそも一クラスしかなくて、クラス替えなんてものはなかったから実質、中二のときの一回だけだ。
今年もなんとかお願いします! 佐藤先生!(去年の担任)
「わたしも先生に言っておいたけど、どうなるかなー」
「美々ちゃんと一緒のクラスになれますようにー!」
わたしは澄んだ空に向かって、強く手を合わせた。
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