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「本日よりお嬢様の侍女になりました。ムリス男爵家三女のモイスチュアでございます。よろしくお願いいたします」
そうご挨拶し、顔を上げて目の前のお嬢様を見る。
そこには、吹けば飛ぶほど細い細い女性が立っていた。青白い顔でいかにも病弱なんですと言わんばかりのオーラが出ている。
背中は丸まり、猫さん何匹背負ってんの?ってくらい姿勢悪い…。顔も痩せこけ眼下も窪んで…某デ◯ズニー映画に出てきたガイコツの…名前出てこないわ。
「お母様から、お話は聞きました。あなたの手は神の手だと。わたくしのこの…この…さ、ささやかな胸も、どうにかなるのでしょうか…」
そう言われ、お嬢様の自称ささやかな胸へ視線を向ける。ささやかというか、ないっていうか。
そりゃそうです。不必要なお肉も、必要なお肉さえも無いくらい、痩せこけてしまってるんですもの。
「辺境伯夫人よりご紹介いただきました。私の技術と知識で、どうにかするために一緒に頑張りましょう!!さてお嬢様、最近まともにお食事をされたのはいつでしょうか?」
「食事ですか?そうですね…覚えていませんわ…いつも木の実を一つ二つ摘む程度ですもの…」
「よくそれで生きてますね!?体が悲鳴をあげてますよ!どうしてお食事をきちんと摂られないのでしょうか?」
「わ…わたくし、胃腸が弱い小心者なのです。ストレスが胃腸にくるので、すぐに食べれなくなってしまうのです…」
「なるほど。わかりました。そのストレスをまず取り除き、少しずつ食事をしていただきましょう。そして必要なお肉をつけていきましょう。ささやかなお胸の改善はその後です!なぜなら、お胸は脂肪だから。余分なお肉もない状態だと、お胸に肉を移動させることもできませんわ!」
「お…お胸に肉を移動!?そ、そんな事が可能ですの??」
「当然です。脂肪は流動性なので。動くんです。いえ、動かすんです!!ですが、まだその段階ではありません。一度お胸のことは忘れましょう。今できることから少しずつ頑張りましょう!!料理長とも相談し、少しの量でも栄養価の高い食材を選んでお出しいたします。そして少しずつでもお食事の量を増やしていけるようにいたしましょう。きちんと全て食べるようにしましょう!」
「わかりましたわ。頑張りますので、よろしくお願いいたしますわ」
そう言い、お嬢様はない胸の前で手を組み、落ち窪んだ目をこちらに向け、キラキラさせながら期待を私にぶつけてきた。
いや、普通に怖いって…
目がキラキラしてるから余計怖いってば。
まずはお嬢様のストレスの元を取り除くことね。何に対してストレスを感じているのかを観察することにした。よく気をつけて見ていると、何もないところで突然ビクッとする。
「お嬢様?今何かありましたか?些細なことでもいいので、なんでもおっしゃってください」
「い…今…何か…聞こえたでしょう??ほら、また!!」
「?何でしょう??何か聞こえますか?」
「グルルルルと獣の唸るような…」
耳を澄ませて聞いてみる。いや、聞こえませんけど?なに?何の音??
グルルルルルル
「!!ほら!今!」
「あ。申し訳ございませんお嬢様。私のお腹の音です。もうお昼ですし、お腹空きますよね!さぁ、食事ですよ!」
「えっ?お腹の音??」
「ええ、私とお嬢様の、お腹の音ですね!お腹が鳴るということは、内臓がきちんと動いている証拠です。いいことですねー!」
まさかのお腹の音。耳が良すぎるから神経質になってるのね。少しの物音で敏感に反応してしまってのストレスなのか。なるほど。このお屋敷が静かすぎるのもよくないのかも。他のことで気を紛らわせるようにしましょうか。
そうご挨拶し、顔を上げて目の前のお嬢様を見る。
そこには、吹けば飛ぶほど細い細い女性が立っていた。青白い顔でいかにも病弱なんですと言わんばかりのオーラが出ている。
背中は丸まり、猫さん何匹背負ってんの?ってくらい姿勢悪い…。顔も痩せこけ眼下も窪んで…某デ◯ズニー映画に出てきたガイコツの…名前出てこないわ。
「お母様から、お話は聞きました。あなたの手は神の手だと。わたくしのこの…この…さ、ささやかな胸も、どうにかなるのでしょうか…」
そう言われ、お嬢様の自称ささやかな胸へ視線を向ける。ささやかというか、ないっていうか。
そりゃそうです。不必要なお肉も、必要なお肉さえも無いくらい、痩せこけてしまってるんですもの。
「辺境伯夫人よりご紹介いただきました。私の技術と知識で、どうにかするために一緒に頑張りましょう!!さてお嬢様、最近まともにお食事をされたのはいつでしょうか?」
「食事ですか?そうですね…覚えていませんわ…いつも木の実を一つ二つ摘む程度ですもの…」
「よくそれで生きてますね!?体が悲鳴をあげてますよ!どうしてお食事をきちんと摂られないのでしょうか?」
「わ…わたくし、胃腸が弱い小心者なのです。ストレスが胃腸にくるので、すぐに食べれなくなってしまうのです…」
「なるほど。わかりました。そのストレスをまず取り除き、少しずつ食事をしていただきましょう。そして必要なお肉をつけていきましょう。ささやかなお胸の改善はその後です!なぜなら、お胸は脂肪だから。余分なお肉もない状態だと、お胸に肉を移動させることもできませんわ!」
「お…お胸に肉を移動!?そ、そんな事が可能ですの??」
「当然です。脂肪は流動性なので。動くんです。いえ、動かすんです!!ですが、まだその段階ではありません。一度お胸のことは忘れましょう。今できることから少しずつ頑張りましょう!!料理長とも相談し、少しの量でも栄養価の高い食材を選んでお出しいたします。そして少しずつでもお食事の量を増やしていけるようにいたしましょう。きちんと全て食べるようにしましょう!」
「わかりましたわ。頑張りますので、よろしくお願いいたしますわ」
そう言い、お嬢様はない胸の前で手を組み、落ち窪んだ目をこちらに向け、キラキラさせながら期待を私にぶつけてきた。
いや、普通に怖いって…
目がキラキラしてるから余計怖いってば。
まずはお嬢様のストレスの元を取り除くことね。何に対してストレスを感じているのかを観察することにした。よく気をつけて見ていると、何もないところで突然ビクッとする。
「お嬢様?今何かありましたか?些細なことでもいいので、なんでもおっしゃってください」
「い…今…何か…聞こえたでしょう??ほら、また!!」
「?何でしょう??何か聞こえますか?」
「グルルルルと獣の唸るような…」
耳を澄ませて聞いてみる。いや、聞こえませんけど?なに?何の音??
グルルルルルル
「!!ほら!今!」
「あ。申し訳ございませんお嬢様。私のお腹の音です。もうお昼ですし、お腹空きますよね!さぁ、食事ですよ!」
「えっ?お腹の音??」
「ええ、私とお嬢様の、お腹の音ですね!お腹が鳴るということは、内臓がきちんと動いている証拠です。いいことですねー!」
まさかのお腹の音。耳が良すぎるから神経質になってるのね。少しの物音で敏感に反応してしまってのストレスなのか。なるほど。このお屋敷が静かすぎるのもよくないのかも。他のことで気を紛らわせるようにしましょうか。
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