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01.お前は男に告白されるだろう
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気になることがある。
それは俺の顔を見るたびにきゃんきゃんと吼える隣家のジョセフィーヌとかふざけた名前のチワワ、では無く、お向かいさんが禿頭を光らせて、おいっちに、さんし!と叫びながら寒いのにも関わらず乾布摩擦をするおっさん、でもなく、新聞と一緒に入ってくる手紙。どこにでも売っている無地の封筒にハートのシールが貼られているシンプルなものに「磯城亮輔 様」と俺の名前が書かれている。
初めてもらった時にはラブレターかと心臓が跳ねあがったものだが、これがラブレターでないことは俺が一番よく知っている。これは
「不幸の手紙」だ
中身を知らなかった時はわくわくしながら開いたさ。でもそこにはたった一行のみ書かれていた。「弁当に嫌いなものが入っているだろう」拍子抜けした。ただ子供のいたずらかと思ったらそれが当たった。お袋は俺がピーマンを嫌いだって知っていて、食べずに捨てるのはもったいないと入れることはしなかったのに。この時点では偶然だろうと思っていたのに次の日の手紙には「ジョセフーヌに噛まれるだろう」これがまた現実になった。それも偶然だろうと思っていたのだけれど、それは毎日、毎日、毎日届く!!そのうえ不幸は必ず俺に降りかかってきた!!信じられん!!
何かトリックがあるとは思うのだが、さっぱり分からない、でも不幸な数々が起こっても小物じみたものばかり、気味は悪いけれど慣れてしまった。人間何事も慣れてしまうものだ、だから今日も俺は何の心の準備もしないで手紙を開いてしまった。
お前は男に告白されるだろう
…………ん?なに……?もう1度読み直してみよう、信じられないことが書いてあったような気がする。えと、男に、告白、される………
「なんじゃそりゃあああああぁあぁぁぁぁ!!」
絶叫した。
ジョゼフィーヌがいつも以上に大きく吼え、乾布摩擦のおっさんが手を止めて振り返った。おおおおおおおお、落ち着け俺!!ばくばくする心臓を押さえる。告白っていうのは、きっと一般的に使われている愛の告白ではない、これには「好き」と言われるとは書いていない!!うん、そうだ。違う告白に決まっている!!たとえば…そう、俺の親父が女装趣味だったとか(ちなみに俺の親父はお堅いことで知られている)そういう告白だ!そうでなくてはいけない!!は、はは。俺は乾いた笑いを零しながらも、家の中へと戻ると新聞を開くが、内容が全く頭に入ってなくて早々に諦め朝食を簡単に作って食べる。両親は今この家には居ない、親父が出張していて、お袋はお父さんは何も出来ないんだから!私が居ないと!!というクソウゼェことを言って付いて行った。俺としては2人が居ないほうがのびのびやっていけるからそのほうがありがたい。そうこうしているうちに学校へと向かう時間になり、掃きなれた靴を履いて学校へと足を進めた。
今日はさぼってもいい授業ばっかりだったから屋上に行こう。それにあまりうろうろしても危険だ。「男に告白されるだろう」意味が違うと信じているが、それでもしそうだったらという思いが払拭できず、寒気がしてしまうのを押さえられない。俺は断じて!そっちの人間ではない!!普通に女子が好き!下駄箱で、踵を踏みつぶしスリッパのようになってしまっている上履きに履き替えて、あまり人の居ない階段を上がっていく、と変なものとエンカウントした。いくつものダンボールが積み重なり、ふらふらとひとりで踊り場で踊っている。そんなわけあるか、自身につっこみを入れながらダンボールの下を見ると汚れ一つない真っ白な上履きがあった。自分よりも荷物を高く積み上げすぎて前が見えなくなっているというオチ。あの身長じゃ女子か。とはいえ、俺はここで見知らぬ女子に「大丈夫?手を貸そうか?」なんていう出来た人間ではないし、話しかけたところで怖がられるだけなので、そのまま横をすり抜けて通っていこうとした。
「わ、わわ」
そんな声とともに、ダンボールがぐらりと揺れ、俺のほうへと向かって落ちてきた。さすがに避けるわけにもいかず、俺は盛大に飛び込んできたそいつを支えた。どさどさと大きな音がして回りに散らばる荷物。俺の腕の中にいたのは女子ではなく、えらく小柄な男子だった。肩幅とかも狭くて、身体はほそっこい、声で男とは分かるけれど、あまりにも小さい。1年か?
「大丈夫か?」
俺にもたれかかったままの肩を掴んで引き剥がす、妙に綺麗な顔立ちをしていた。こいつ間違って男に生まれてきたんじゃないのか?
「え……あっ、磯城君っ」
俺を見上げるとそいつは、ぼっ!とか音を立てそうなほど一気に顔を赤く染めた。…なに、その反応。
「俺の事知ってんの?」
「え?何を言ってるのさ、僕達同級生だよ!!同じクラスだよ!去年も一緒だったのに!!」
首を傾げる、こんなのいたっけ?
「ほら!江藤神流 !!ぼく、磯城君に頼まれてお掃除変わったこともあったよ」
江藤、江藤……あぁ!思い出した。
「あの便利な江藤か」
「な、何その便利な江藤って!!」
ショックを受けたように江藤が言う、こいつは俺のクラスメイトで1年から同じ、だったらしいけど、あんま記憶は薄い。この江藤は、なんつーか、頭が足りないのか、ただのいい人なのかしらねぇけど、やたらと人から雑用を押し付けられている。掃除を変わってほしいと頼むといつも「いいよ~」と間延びした声で笑顔で言うものだから、みんなこいつに雑用を押し付ける。そんで俺もその一人。顔なんかろくに覚えてなかったけど、そういや、江藤に掃除代わってって言っといと人づてによく頼んでいる。
「ん、いや。いつもそーじごくろーな」
「え、えっと……うん。人の役に立つのは好きだから」
顔を赤らめて江藤は頷く、この反応の理由がよく分からないが、あまりにも自然に雑用を引き受けるから、改めてお礼を言われることがないせいかもしれないな。きっと。
「ふぅん、ま、がんばれよ」
俺は適当に言葉を並べて、さすがに無視することも出来ずに散らばったダンボールの中身を戻してやると、江藤は驚いたように俺を見た、そんなに意外か?全部をダンボールに詰め終えると江藤に別れを告げて足を屋上へと向けた。
鍵のかかっていない屋上に出ると音に驚いた鳥が冬の薄い空に飛んで行った。当たり前のように無人になった屋上。
「今日もよく寝れそうだ」
ごろりと横になって目を閉じる。昼飯になったらまた起きよう。
それは俺の顔を見るたびにきゃんきゃんと吼える隣家のジョセフィーヌとかふざけた名前のチワワ、では無く、お向かいさんが禿頭を光らせて、おいっちに、さんし!と叫びながら寒いのにも関わらず乾布摩擦をするおっさん、でもなく、新聞と一緒に入ってくる手紙。どこにでも売っている無地の封筒にハートのシールが貼られているシンプルなものに「磯城亮輔 様」と俺の名前が書かれている。
初めてもらった時にはラブレターかと心臓が跳ねあがったものだが、これがラブレターでないことは俺が一番よく知っている。これは
「不幸の手紙」だ
中身を知らなかった時はわくわくしながら開いたさ。でもそこにはたった一行のみ書かれていた。「弁当に嫌いなものが入っているだろう」拍子抜けした。ただ子供のいたずらかと思ったらそれが当たった。お袋は俺がピーマンを嫌いだって知っていて、食べずに捨てるのはもったいないと入れることはしなかったのに。この時点では偶然だろうと思っていたのに次の日の手紙には「ジョセフーヌに噛まれるだろう」これがまた現実になった。それも偶然だろうと思っていたのだけれど、それは毎日、毎日、毎日届く!!そのうえ不幸は必ず俺に降りかかってきた!!信じられん!!
何かトリックがあるとは思うのだが、さっぱり分からない、でも不幸な数々が起こっても小物じみたものばかり、気味は悪いけれど慣れてしまった。人間何事も慣れてしまうものだ、だから今日も俺は何の心の準備もしないで手紙を開いてしまった。
お前は男に告白されるだろう
…………ん?なに……?もう1度読み直してみよう、信じられないことが書いてあったような気がする。えと、男に、告白、される………
「なんじゃそりゃあああああぁあぁぁぁぁ!!」
絶叫した。
ジョゼフィーヌがいつも以上に大きく吼え、乾布摩擦のおっさんが手を止めて振り返った。おおおおおおおお、落ち着け俺!!ばくばくする心臓を押さえる。告白っていうのは、きっと一般的に使われている愛の告白ではない、これには「好き」と言われるとは書いていない!!うん、そうだ。違う告白に決まっている!!たとえば…そう、俺の親父が女装趣味だったとか(ちなみに俺の親父はお堅いことで知られている)そういう告白だ!そうでなくてはいけない!!は、はは。俺は乾いた笑いを零しながらも、家の中へと戻ると新聞を開くが、内容が全く頭に入ってなくて早々に諦め朝食を簡単に作って食べる。両親は今この家には居ない、親父が出張していて、お袋はお父さんは何も出来ないんだから!私が居ないと!!というクソウゼェことを言って付いて行った。俺としては2人が居ないほうがのびのびやっていけるからそのほうがありがたい。そうこうしているうちに学校へと向かう時間になり、掃きなれた靴を履いて学校へと足を進めた。
今日はさぼってもいい授業ばっかりだったから屋上に行こう。それにあまりうろうろしても危険だ。「男に告白されるだろう」意味が違うと信じているが、それでもしそうだったらという思いが払拭できず、寒気がしてしまうのを押さえられない。俺は断じて!そっちの人間ではない!!普通に女子が好き!下駄箱で、踵を踏みつぶしスリッパのようになってしまっている上履きに履き替えて、あまり人の居ない階段を上がっていく、と変なものとエンカウントした。いくつものダンボールが積み重なり、ふらふらとひとりで踊り場で踊っている。そんなわけあるか、自身につっこみを入れながらダンボールの下を見ると汚れ一つない真っ白な上履きがあった。自分よりも荷物を高く積み上げすぎて前が見えなくなっているというオチ。あの身長じゃ女子か。とはいえ、俺はここで見知らぬ女子に「大丈夫?手を貸そうか?」なんていう出来た人間ではないし、話しかけたところで怖がられるだけなので、そのまま横をすり抜けて通っていこうとした。
「わ、わわ」
そんな声とともに、ダンボールがぐらりと揺れ、俺のほうへと向かって落ちてきた。さすがに避けるわけにもいかず、俺は盛大に飛び込んできたそいつを支えた。どさどさと大きな音がして回りに散らばる荷物。俺の腕の中にいたのは女子ではなく、えらく小柄な男子だった。肩幅とかも狭くて、身体はほそっこい、声で男とは分かるけれど、あまりにも小さい。1年か?
「大丈夫か?」
俺にもたれかかったままの肩を掴んで引き剥がす、妙に綺麗な顔立ちをしていた。こいつ間違って男に生まれてきたんじゃないのか?
「え……あっ、磯城君っ」
俺を見上げるとそいつは、ぼっ!とか音を立てそうなほど一気に顔を赤く染めた。…なに、その反応。
「俺の事知ってんの?」
「え?何を言ってるのさ、僕達同級生だよ!!同じクラスだよ!去年も一緒だったのに!!」
首を傾げる、こんなのいたっけ?
「ほら!江藤神流 !!ぼく、磯城君に頼まれてお掃除変わったこともあったよ」
江藤、江藤……あぁ!思い出した。
「あの便利な江藤か」
「な、何その便利な江藤って!!」
ショックを受けたように江藤が言う、こいつは俺のクラスメイトで1年から同じ、だったらしいけど、あんま記憶は薄い。この江藤は、なんつーか、頭が足りないのか、ただのいい人なのかしらねぇけど、やたらと人から雑用を押し付けられている。掃除を変わってほしいと頼むといつも「いいよ~」と間延びした声で笑顔で言うものだから、みんなこいつに雑用を押し付ける。そんで俺もその一人。顔なんかろくに覚えてなかったけど、そういや、江藤に掃除代わってって言っといと人づてによく頼んでいる。
「ん、いや。いつもそーじごくろーな」
「え、えっと……うん。人の役に立つのは好きだから」
顔を赤らめて江藤は頷く、この反応の理由がよく分からないが、あまりにも自然に雑用を引き受けるから、改めてお礼を言われることがないせいかもしれないな。きっと。
「ふぅん、ま、がんばれよ」
俺は適当に言葉を並べて、さすがに無視することも出来ずに散らばったダンボールの中身を戻してやると、江藤は驚いたように俺を見た、そんなに意外か?全部をダンボールに詰め終えると江藤に別れを告げて足を屋上へと向けた。
鍵のかかっていない屋上に出ると音に驚いた鳥が冬の薄い空に飛んで行った。当たり前のように無人になった屋上。
「今日もよく寝れそうだ」
ごろりと横になって目を閉じる。昼飯になったらまた起きよう。
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