1 / 10
プロローグ
しおりを挟む
気づくと扉の前に居た。どうやってここまで来たのか、どうしてこの前に立っているのかさっぱり分からない。見知らぬ街だが周りには人も居るし、建物だってある、なのにその扉だけがやけに目に付いた。特別なこともない木目の扉なのに俺を惹き付けてやまない何かがあり、気づくと何も考えないで俺はその扉のノブに手をかけていた。
おい、どうして俺は入ろうとしている?この先になにがあるのか知らないのに。どうして、どうして、思考と行動が一致しないまま扉を引いて中へと踏み出した。眩しくて目が開けられなくて俺は目を瞑る、でも何が眩しかったのか分からずに恐る恐る目を開く、そこにあったのはなんてことの無いカフェ。
どうして俺はあんなに眩しく感じたのだろう?客だってちらほら居るしおかしなところなんてなにもない。
なんだ。普通じゃないか。けれど自分で入っておきながら戸惑う。別に喉だって渇いていないし、そもそもカフェなんてしゃれた場所に俺はあまり入らない、なのになんでここに入ったんだ?
「いらっしゃいませ」
疑問に首を傾げていると給仕服を着た男性が声をかけてきて、どうしようかと迷う。別に目的があってここに来たわけじゃない、どうしよう。
「こちらへどうぞ」
俺が戸惑っている間もその男性はどんどん席へと案内する。ここで帰るのもおかしいので、コーヒー一杯くらいならいいかと考えつつ俺は案内された窓際の席へと座った。
「お客様、こちらへのご来店は初めてでございますか?」
男性の綺麗な声が俺へと問いかけた。
「え、は、はい」
戸惑いながら頷いて戸惑う、なにか特別なことがここのカフェでは必要なのだろうか。
「それではメニューのご説明をさせていただきますね」
そういうと何故かその給仕は俺の前の席へと座って更に戸惑う、普通店員は立っているものじゃないのか?どうして客と一緒に座ってるんだ?俺の動揺をよそに給仕は白の装丁をされたメニュー表を広げた。
おしゃれな文字で書かれているが、俺が思っていたメニュー表と違ってただ値段だけが並んでいる。上から500円コース、5000円コース、50000円コース、500000円コース、ってちょっと待て待て!どこまで値段が上がっていくんだよ!!500円の次が5000円しか無いなんてそんな馬鹿な!
「お客様が御覧になっていただいたとおり、こちらのコースがございます」
「はあ」
それしか返事できない。というかカフェでコースってどういうこと?ケーキセットのコースとか?全世界のコーヒーフルコースとか?
「当店はお客様の願いを叶えさせていただいております」
え?
「金額によりその願いの幅や質は変わってきますが、最低コースであろうともきちんと願いは達成されます。細やかなご要望があるようでしたら金額を上げていただければある程度の細かな願いも叶えることが出来ます」
え、なに、なんなの?新手の詐欺?
「注意事項と致しましては、多額の金額を積まれても「お金が沸いてくる泉を発見する」「魔法使いになる」「人の感情を歪めて欲しい」「人に害のある願い」、たとえば人を殺して欲しい、などという人を不幸にするような願いは受け付けられません。
他にも細かく叶えられない願いというものは存在しておりますが、そちらのご要望を聞き無理な場合は金額を払われる前に確実にこちらから伝えますので、お金を払ったのに願いが達成されていないなんてことにはなりませんのでご安心ください。
ただ値段設定を低くされて求めていた願いと食い違っているというようなことがございましても、わたくし共はそちらがおっしゃられた希望通りに願いを叶えていますので、その願いが達成されたとこちらが受理した後には対応できかねますのでご了承ください。何か質問はございますか?」
綺麗な声で色々と語ってくれて、質問はございますか?なんて質問されても俺にはさっぱり意味が分からない。
「え……えぇと、ここってなんですか?」
「お客様の願いを叶える場所です」
そうだ、初めにそんなことを言っていた。
まさか、とかそんな馬鹿な、詐欺か。とか色々な考えが浮かぶけれども俺の頭の中はほとんど真っ白だった。当然だろう、こんな非現実的なことああそうですかなんて簡単に信じられるほうがおかしい。
でもそうだな。5000円なんて大きな金額は出せないけれど(それ以上の金額は俺の金銭感覚には含まれていない多額の金である)500円くらいだったら騙されたっていいかもしれない。
「じゃあ。500円コース。でお願いします」
もしこれが詐欺だとしても500円ならあきらめがつく。
「分かりました。お客様の願いはなんですか?こちらの紙へどうぞお書きください」
願い事と随分ファンシーに書かれた紙を差し出されて俺は早くも後悔した。女子なら大喜びするかもしれない、女子っていうのは占いとか好きみたいだから。これもそういうものかもしれない。
でもはてと俺のペンは止まってしまう、ピンと来る願い事がない、願い事、願い事、どうしようか。
テストで100点?…そんなの願ってない、別に何点だってかまわない、お金持ちになる、うん素敵だ。でも金銭に関することは駄目だって言ってたな。
うーん、うーん……、あ、そうだ。俺はさらさらとペンを走らせる。願い事はこうだ。
素敵な恋人が出来ますように
うん。なかなかいい願い事だ。今まで恋人が欲しいなんて騒いだことはなかったけれど、かわいい女の子とデートするのはきっと楽しい、ふわふわしてて笑顔がかわいい素敵な女の子がいい、恋人が出来たらとても大切にしよう、相手の望んでいることを出来るだけかなえてあげたい。
でもなんだか少女染みた願い事で、恥ずかしい気持ちも沸いてきた。
俺の願い事を見た給仕の男性はにこりと微笑んだ。
「とても、素敵な願い事ですね」
そう言われて恥ずかしさが更に増す。
「あなたの願い事、承りました」
おい、どうして俺は入ろうとしている?この先になにがあるのか知らないのに。どうして、どうして、思考と行動が一致しないまま扉を引いて中へと踏み出した。眩しくて目が開けられなくて俺は目を瞑る、でも何が眩しかったのか分からずに恐る恐る目を開く、そこにあったのはなんてことの無いカフェ。
どうして俺はあんなに眩しく感じたのだろう?客だってちらほら居るしおかしなところなんてなにもない。
なんだ。普通じゃないか。けれど自分で入っておきながら戸惑う。別に喉だって渇いていないし、そもそもカフェなんてしゃれた場所に俺はあまり入らない、なのになんでここに入ったんだ?
「いらっしゃいませ」
疑問に首を傾げていると給仕服を着た男性が声をかけてきて、どうしようかと迷う。別に目的があってここに来たわけじゃない、どうしよう。
「こちらへどうぞ」
俺が戸惑っている間もその男性はどんどん席へと案内する。ここで帰るのもおかしいので、コーヒー一杯くらいならいいかと考えつつ俺は案内された窓際の席へと座った。
「お客様、こちらへのご来店は初めてでございますか?」
男性の綺麗な声が俺へと問いかけた。
「え、は、はい」
戸惑いながら頷いて戸惑う、なにか特別なことがここのカフェでは必要なのだろうか。
「それではメニューのご説明をさせていただきますね」
そういうと何故かその給仕は俺の前の席へと座って更に戸惑う、普通店員は立っているものじゃないのか?どうして客と一緒に座ってるんだ?俺の動揺をよそに給仕は白の装丁をされたメニュー表を広げた。
おしゃれな文字で書かれているが、俺が思っていたメニュー表と違ってただ値段だけが並んでいる。上から500円コース、5000円コース、50000円コース、500000円コース、ってちょっと待て待て!どこまで値段が上がっていくんだよ!!500円の次が5000円しか無いなんてそんな馬鹿な!
「お客様が御覧になっていただいたとおり、こちらのコースがございます」
「はあ」
それしか返事できない。というかカフェでコースってどういうこと?ケーキセットのコースとか?全世界のコーヒーフルコースとか?
「当店はお客様の願いを叶えさせていただいております」
え?
「金額によりその願いの幅や質は変わってきますが、最低コースであろうともきちんと願いは達成されます。細やかなご要望があるようでしたら金額を上げていただければある程度の細かな願いも叶えることが出来ます」
え、なに、なんなの?新手の詐欺?
「注意事項と致しましては、多額の金額を積まれても「お金が沸いてくる泉を発見する」「魔法使いになる」「人の感情を歪めて欲しい」「人に害のある願い」、たとえば人を殺して欲しい、などという人を不幸にするような願いは受け付けられません。
他にも細かく叶えられない願いというものは存在しておりますが、そちらのご要望を聞き無理な場合は金額を払われる前に確実にこちらから伝えますので、お金を払ったのに願いが達成されていないなんてことにはなりませんのでご安心ください。
ただ値段設定を低くされて求めていた願いと食い違っているというようなことがございましても、わたくし共はそちらがおっしゃられた希望通りに願いを叶えていますので、その願いが達成されたとこちらが受理した後には対応できかねますのでご了承ください。何か質問はございますか?」
綺麗な声で色々と語ってくれて、質問はございますか?なんて質問されても俺にはさっぱり意味が分からない。
「え……えぇと、ここってなんですか?」
「お客様の願いを叶える場所です」
そうだ、初めにそんなことを言っていた。
まさか、とかそんな馬鹿な、詐欺か。とか色々な考えが浮かぶけれども俺の頭の中はほとんど真っ白だった。当然だろう、こんな非現実的なことああそうですかなんて簡単に信じられるほうがおかしい。
でもそうだな。5000円なんて大きな金額は出せないけれど(それ以上の金額は俺の金銭感覚には含まれていない多額の金である)500円くらいだったら騙されたっていいかもしれない。
「じゃあ。500円コース。でお願いします」
もしこれが詐欺だとしても500円ならあきらめがつく。
「分かりました。お客様の願いはなんですか?こちらの紙へどうぞお書きください」
願い事と随分ファンシーに書かれた紙を差し出されて俺は早くも後悔した。女子なら大喜びするかもしれない、女子っていうのは占いとか好きみたいだから。これもそういうものかもしれない。
でもはてと俺のペンは止まってしまう、ピンと来る願い事がない、願い事、願い事、どうしようか。
テストで100点?…そんなの願ってない、別に何点だってかまわない、お金持ちになる、うん素敵だ。でも金銭に関することは駄目だって言ってたな。
うーん、うーん……、あ、そうだ。俺はさらさらとペンを走らせる。願い事はこうだ。
素敵な恋人が出来ますように
うん。なかなかいい願い事だ。今まで恋人が欲しいなんて騒いだことはなかったけれど、かわいい女の子とデートするのはきっと楽しい、ふわふわしてて笑顔がかわいい素敵な女の子がいい、恋人が出来たらとても大切にしよう、相手の望んでいることを出来るだけかなえてあげたい。
でもなんだか少女染みた願い事で、恥ずかしい気持ちも沸いてきた。
俺の願い事を見た給仕の男性はにこりと微笑んだ。
「とても、素敵な願い事ですね」
そう言われて恥ずかしさが更に増す。
「あなたの願い事、承りました」
1
あなたにおすすめの小説
君のスーツを脱がせたい
凪
BL
学生兼モデルをしている佐倉蘭とオーダースーツ専門店のテーラー加瀬和也は絶賛お付き合い中。
蘭の誕生日に加瀬はオーダースーツを作ることに。
加瀬のかっこよさにドキドキしてしまう蘭。
仕事、年齢、何もかも違う二人だけとお互いを想い合う二人。その行方は?
佐倉蘭 受け 23歳
加瀬和也 攻め 33歳
原作間 33歳
オレにだけ「ステイタス画面」っていうのが見える。
黒茶
BL
人気者だけど実は人間嫌いの嘘つき先輩×素直すぎる後輩の
(本人たちは気づいていないが実は乙女ゲームの世界である)
異世界ファンタジーラブコメ。
魔法騎士学院の2年生のクラウスの長所であり短所であるところは、
「なんでも思ったことを口に出してしまうところ。」
そして彼の秘密は、この学院内の特定の人物の個人情報が『ステータス画面』というもので見えてしまうこと。
魔法が存在するこの世界でもそんな魔法は聞いたことがないのでなんとなく秘密にしていた。
ある日、ステータス画面がみえている人物の一人、5年生のヴァルダー先輩をみかける。
彼はいつも人に囲まれていて人気者だが、
そのステータス画面には、『人間嫌い』『息を吐くようにウソをつく』
と書かれていたので、うっかり
「この先輩、人間嫌いとは思えないな」
と口に出してしまったら、それを先輩に気付かれてしまい・・・!?
この作品はこの1作品だけでも読むことができますが、
同じくアルファポリスさんで公開させていただいております、
「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」
「俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。」
とあわせて「乙女ゲー3部作」となっております。(だせぇ名前だ・・・笑)
キャラクターや舞台がクロスオーバーなどしておりますので、
そちらの作品と合わせて読んでいただけたら10倍くらい美味しい設定となっております。
全年齢対象です。
BLに慣れてない方でも読みやすいかと・・・
ぜひよろしくお願いします!
仲良くなったと思った相手は、どうやら友達なんて作りたくないらしい
たけむら
BL
仲良くなった相手は、どうやら友達なんて要らないっぽい
石見陽葵には、大学に入ってから知り合った友人・壬生奏明がいる。少し冷たそうな第一印象から周りの学生に遠巻きにされている奏明に、とある提案をしてみると、衝撃的な一言が返ってきて…?
青龍将軍の新婚生活
蒼井あざらし
BL
犬猿の仲だった青辰国と涼白国は長年の争いに終止符を打ち、友好を結ぶこととなった。その友好の証として、それぞれの国を代表する二人の将軍――青龍将軍と白虎将軍の婚姻話が持ち上がる。
武勇名高い二人の将軍の婚姻は政略結婚であることが火を見るより明らかで、国民の誰もが「国境沿いで睨み合いをしていた将軍同士の結婚など上手くいくはずがない」と心の中では思っていた。
そんな国民たちの心配と期待を背負い、青辰の青龍将軍・星燐は家族に高らかに宣言し母国を旅立った。
「私は……良き伴侶となり幸せな家庭を築いて参ります!」
幼少期から伴侶となる人に尽くしたいという願望を持っていた星燐の願いは叶うのか。
中華風政略結婚ラブコメ。
※他のサイトにも投稿しています。
ジャスミン茶は、君のかおり
霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。
大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。
裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。
困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。
その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。
恋じゃないと噓を歌う(仮)
万里
BL
堂本清一郎(どうもと・せいいちろう)は理学部の大学三年生。研究室と図書館を往復するだけの生活を送り、恋愛や社交を「非効率」と切り捨ててきた。そんな彼にとって学園祭は、研究の合間に訪れる束の間の休息にすぎなかった。
しかし偶然、軽音サークルのライブステージを目にした瞬間、彼の世界は揺らぐ。ステージに立つのは経済学部一年の東条奏(とうじょうかなで)。茶髪を揺らし、長身を使って観客を魅了するその姿と、伸びやかな歌声は、清一郎の心の奥底に眠っていた感情を震わせ、再構成しようとするかのように響いた。 紙皿を落としかけるほどの動揺――それは清一郎にとって、これまでの人生ではありえない「破滅的なミス」だった。だが同時に、それは彼が初めて感情に突き動かされる瞬間でもあった。
【完結】番になれなくても
加賀ユカリ
BL
アルファに溺愛されるベータの話。
新木貴斗と天橋和樹は中学時代からの友人である。高校生となりアルファである貴斗とベータである和樹は、それぞれ別のクラスになったが、交流は続いていた。
和樹はこれまで貴斗から何度も告白されてきたが、その度に「自分はふさわしくない」と断ってきた。それでも貴斗からのアプローチは止まらなかった。
和樹が自分の気持ちに向き合おうとした時、二人の前に貴斗の運命の番が現れた──
新木貴斗(あらき たかと):アルファ。高校2年
天橋和樹(あまはし かずき):ベータ。高校2年
・オメガバースの独自設定があります
・ビッチング(ベータ→オメガ)はありません
・最終話まで執筆済みです(全12話)
・19時更新
※なろう、カクヨムにも掲載しています。
沈黙のΩ、冷血宰相に拾われて溺愛されました
ホワイトヴァイス
BL
声を奪われ、競売にかけられたΩ《オメガ》――ノア。
落札したのは、冷血と呼ばれる宰相アルマン・ヴァルナティス。
“番契約”を偽装した取引から始まったふたりの関係は、
やがて国を揺るがす“真実”へとつながっていく。
喋れぬΩと、血を信じない宰相。
ただの契約だったはずの絆が、
互いの傷と孤独を少しずつ融かしていく。
だが、王都の夜に潜む副宰相ルシアンの影が、
彼らの「嘘」を暴こうとしていた――。
沈黙が祈りに変わるとき、
血の支配が終わりを告げ、
“番”の意味が書き換えられる。
冷血宰相×沈黙のΩ、
偽りの契約から始まる救済と革命の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる