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爆音
しおりを挟む「どこから無いんですか? 記憶」
「う~ん。そう言われると難しいな。自分のことに関することは真っ白、というところか」
「それなのに何でこんなに落ち着き払っているんだろうか、この人」と、ルキシエンスは恨めしく思った。
「真っ白」
「ああ、真っ白」
「………」
(誰か助けて)
そんなことを本気で願ったのは、もしかしたら人生で初めてのことかも知れない。
「すまない」
「……え?」
うなだれたルキシエンスに、竜王は頭を下げた。視線を落とし、白銀の麗人は儚さを増しながら続ける。
「君を、困らせるつもりはなかったんだが……」
「……っ」
―――色っぽい。少し潤んだ瞳とか、噛み締められた唇とか、辛そうに寄せられた細い眉毛とか、サラリと項を流れる髪とか。何か、色々、やばい。
(――――そうじゃないッ!!)
ルキシエンスはいかがわしい思考を振り払うように、頭を振った。
不甲斐ない。まだ不確定とはいえ、惚れた人を不安にさせるような男であって良いのか。
「大丈夫ですっ!」
彼はかばりと竜王を抱きしめる。
「絶対、何とかなります」
ルキシエンスの腕の中にすっぽりと収まった竜王は、驚いて紫水晶の瞳を瞬いた後、ふっと口元を綻ばせ、彼の片口に額をこすりつけた。
「…………うん」
陽だまりの匂いがする。
竜王――――ツェリは、ルキシエンスの背中に手を回し、ギュッと彼の服を握った。
「ありが――――」
ゴォオオオォン―――――ッ!!
「―――ッ!?」
爆音が辺りに鳴り響いたのは、ルキシエンスの心臓がうるさくなってきた、その時だった。
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