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8巻
8-3
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その時、ホールに出ていたジークが厨房に戻ってくる。
「……リサ?」
険しい顔で作業するリサの姿を、ジークは訝しげに見つめた。
そっと近づいて、鍋の中を覗き込む。
一口大に切られたムム芋やパニップ、くし形切りにされたニオル、上手に火が通った薄切りの肉。
スープに溶け出した油分がつやつやと光り、茶金色のスープからは食欲をそそる香りがしている。
同じものが入った鍋が二つ、コンロから下ろされ、調理台の上に放置されていた。
いずれもとてもおいしそうなのに、なぜリサが苦い表情をしているのか、ジークにはわからなかった。
「リサ……おい、リサ!」
彼に大きめの声で呼ばれて、リサはハッと我に返った。
「……大丈夫か?」
まるで夢の中にでもいたように呆然としながら、リサはジークを見上げる。
「……あ……」
手にムム芋を持ったままだと気付き、それを流し台に置いた。
ジークが心配そうな顔でリサに問いかける。
「なぜそんなに根を詰めているんだ?」
「なんでもないよ。ただ、ちょっとぼーっとしちゃって……」
リサは笑顔を取り繕って言った。
自分でもよくわからないが、どうしても母の味を再現しなければと思ったのだ。
カフェのメニューにするという目的も忘れ、ただただ自分が母のあの味をもう一度食べたくて、試作に没頭していた。
なんだかばつの悪さを感じて、リサはジークからさりげなく目を逸らす。
そんなリサの頭に、ジークがそっと手をのせた。
「メニューの試作に悩んでいるなら、いつでも相談にのるから」
ぽふぽふと頭を軽く叩かれて、リサは小さく頷いた。
第五章 原因はなんでしょうか?
閉店後、ジークは片付けをリサとヘクターに任せて店を出た。季節は春になったものの、夜はまだ肌寒く、薄手のコートが手放せない。
ジークは王都の中央広場を抜け、食品店が多く立ち並ぶ地区に入る。そして、とある店の前で足を止めた。
この冬の終わりにオープンしたばかりの、カフェ・おむすびの二号店だ。
入り口のドアには〝準備中〟と書かれた札が下がり、ガラス格子のドアにはカーテンが引かれている。
それを見たジークは、店の横にある細い路地を進み、裏口から中に入った。
明かりのついた厨房で、一人の青年が片付けをしている。
「お疲れ様」
そのジークの声に、青年がハッと顔を上げた。
「ジークさん! お疲れ様です!」
にかっと笑みを浮かべて近寄ってきたのは、アラン・トレイル。鶯色の天然パーマが特徴的な彼は、この二号店の店長を務めている。
以前は本店で働いていたのだが、二号店の出店が決まった時、料理の腕と人柄を買われてリサから店長に指名されたのだ。
最初は少し心配だったものの、生き生きと働くアランの様子を見る限り、上手くやっているようだとジークは安心する。
二人の話し声が聞こえたのか、ホールの方から一人の女性がやってきた。
「あ、ジークさん! お疲れ様です!!」
ジークを見るなりぱあっと表情を明るくしたのは、ヘレナ・チェスター。オレンジ色の髪をショートカットにし、スレンダーな体にカフェの制服を纏っている。
彼女も元は本店で働いていたが、今は二号店の副店長となり、アランと一緒に店を守り立てていた。
「他の二人は帰ったのか?」
二号店には他にマーヴィン・ウィーバリーという調理担当の男性と、テレーゼ・ラングリッジという接客担当の女性がいる。
彼らの姿が見えないことを疑問に思ったジークに、ヘレナが答えた。
「今日は早めに帰らせました。まだ慣れなくて毎日大変そうなので」
マーヴィンとテレーゼは、二号店を開店するにあたって新しく加わったメンバーだ。それぞれ似たような職種の経験者ではあるが、新しい環境に来れば慣れるまでは大変だろう。
ただでさえカフェ・おむすびは人気店。たくさんのお客さんに少数精鋭で応対しなければならないため、一人一人の負担は大きい。
「リサさんやジークさんが俺に料理を教えてくれたように、マーヴィンには俺から教えようと思ってます。教えるのも勉強になりますし」
アランは熱意のこもった目をジークに向けた。
「そうだな」
ジークはそう言って、鞄からあるものを取り出す。リサが試作していた肉じゃがのレシピである。
今日ジークが二号店にやってきたのは、このレシピを渡すためだった。
これまでカフェ・おむすびはどうしても洋食メニューに偏っていた。食材や調味料の関係と、この国の人たちに受け入れられやすいという理由からだ。
しかし、ライスや味噌、醤油などの調味料が普及し、お客さんも徐々に和食に慣れてきたため、これからは少しずつ和食のメニューを増やそうと考えている。
その一環として、これまでランチの脇役や賄い用に作っていた肉じゃがを、メイン料理の一つとして店で出すことになったのだ。
ジークから受け取ったレシピを、アランは真剣な顔で見つめている。頭の中に調理工程を思い浮かべているのか、右手の人差し指がぴくぴく動いていた。
彼とヘレナがレシピを見ている間に、ジークは上着を脱いで本店から持ってきたエプロンをつける。
レシピだけでは伝えられないこともあるので、これから実際に作ってみせるのだ。
「不明なところがあれば、今のうちに教えてくれ」
「はい!」
ジークが準備に入ったのを見て、アランも手伝うべく動き出す。事前に肉じゃがを作ると伝えていたため、既に材料は揃えてあるらしい。
ジークは手を洗い、必要な調理器具を用意した。
野菜の洗浄や皮剥きをアランと手分けして行うと、ジークが食材を切って大きさの見本を示す。そして煮込み、味付けといった調理工程も見せ、最後に試食して味を覚えてもらうのだ。
肉じゃがが出来たところで、ジークは他の作業をしていたヘレナを呼ぶ。こういう時は接客担当である彼女にも必ず試食してもらっていた。
「作り立てだから、あまり具材に味が馴染んでいないが、スープの濃さを覚えておいてくれ」
ジークの言葉を聞いて、他の二人はスープを舌でじっくりと味わう。
特に料理担当のアランには、しっかりと味を記憶してもらわなければならない。
レシピ通りに作れば大きな失敗はないはずだが、目指すべき味を知っているのとそうでないのとでは、仕上がりが違ってくるのだ。
肉じゃがに舌鼓を打つ二人に、ジークは少しためらいつつも付け加えた。
「……もし気になる点があるならば、この場で言ってほしい」
アランとヘレナはきょとんとした。
「えーっと、それはこのレシピを変えてもいいってことですか……?」
アランが戸惑ったように瞳を揺らしながら、ジークの顔色を窺う。
ジークはいつもの無表情のまま、ため息をこぼした。
「レシピを変えてもいいというのは少し語弊があるな……このレシピ、最初はリサが作っていたんだが、途中から俺が引き継いだんだ」
「え? リサさんに何かあったんですか!?」
血相を変えたヘレナに、ジークは首を横に振る。
「体調が悪いとか、そういうことではないんだ。ただ、今回の肉じゃがには、すごくこだわっているみたいで……。今まで作った肉じゃがよりもおいしく出来ているはずなのに、何度も作り直していた」
「単に、リサさんはもっとおいしく出来ると思ったんじゃないですか?」
それはリサの向上心の表れではないかとヘレナは考えたようだ。
「いや、それにしては鬼気迫るというか、妙に焦っているというか……」
いつも楽しそうに料理をしているリサが、何かに駆り立てられるように一心不乱に料理をしていた。心配になったジークは、半ば無理やり中断させたのだ。
「リサは試作品をいくつも作っていて、その中から俺とヘクターに選んでほしいと言ったんだ。俺たちの方がお客さんの舌に近いから……ともリサは言っていたが、何か引っかかるというか……」
それを聞いたアランとヘレナは、無言で顔を見合わせる。
「あっ!」
ヘレナが何かに気付いたように声を上げた。
「もしかしてリサさん、女性が結婚前によくなるっていう、あの状態なんじゃないですか?」
ヘレナの言う「あの状態」がわからず、ジークとアランは首を傾げる。
頭にクエスチョンマークを浮かべる二人に、ヘレナは呆れ顔で説明した。
「だから、マリッジブルーってやつですよ! 結婚式が近付くと、女性は情緒不安定になるものなんです! 環境が変わることへの不安や、家庭を持つことへの不安……きっとリサさんもそうなんじゃないですかね? でなかったら、あんなに料理好きなリサさんが、ジークさんが言ったような状態になるとは思えないんですけど……」
鬼気迫った様子で料理をするリサの姿が、ヘレナには想像できないらしい。
ジークはヘレナの言葉について、じっと考え込む。
今でも料理に打ち込みすぎて一人で突っ走ることはあったが、今回のリサは確かに違った。
「……まあ、それなら納得できる気がするな」
「じゃあ、ジークさんが支えてあげつつ、温かく見守るしかないですよ!」
これまでジークとリサの仲をたびたび取り持ってきたヘレナ。そんな彼女が、今回も力強く励ましてくれている。
その強引さに苦笑していたアランも、ジークに向かってにっこりと微笑んだ。
第六章 心配されています。
リサが肉じゃがを試作した日から一週間が経った。
時折、ジークや他のメンバーから気遣わしげな視線を向けられるので、リサはなるべく普段通りにしようと心がけている。けれど、ふとした瞬間に故郷のことが頭を過るのだ。
結婚式が近づくにつれ、それと比例して家族への気持ちがどんどん大きくなり、リサの頭の中はぐちゃぐちゃだった。
もちろん今も、ジークとの結婚を強く望んでいる。
しかしその一方で、彼と結婚したら目には見えない糸が切れ、元の世界との繋がりが失われるのではないかという漠然とした恐怖もあった。
この世界に来たばかりの時、元の世界には帰れないと知って、リサは吹っ切れたつもりだった。だが今振り返ってみると、ただ考えないように、気にしないようにして、自分の心を守っていただけなのかもしれない。
今日も閉店作業をしながらそんなことを考えていたら、オリヴィアに声をかけられた。
「リサさん、アシュリー商会さんへの注文ってまだ間に合うかしら? 追加で持ち帰り用の袋もお願いしたいのだけど……」
「追加する分には大丈夫だと思うよ。連絡、お願い出来る?」
「了解しました」
実は明日から十日間、カフェ・おむすび本店は臨時休業することになっている。
リサがカフェを開店してもうすぐ五年。その間に老朽化した箇所や、メンテナンスが必要な箇所がちらほらとある。
二号店も出来たことだし、本店は思い切ってしばらく休業し、直せるところは直してしまおうと考えたのだ。
臨時休業中、リサとジークは料理科の講師業に専念し、ヘクターはカフェ二号店で修業することになっている。オリヴィアとデリアはお休みを取り、それぞれ家族サービスに努める予定になっていた。
明日から修理業者が入るので、作業しやすいようみんなで店内を片付けた。休業明けに必要な食材や備品も、今日のうちに注文を済ませている。
入り口のドアに休業を知らせる貼り紙をした後、リサとジークは揃ってカフェを出た。
現在ジークはクロード家の離れに住んでいるので、こうして一緒に帰っているのだ。
街灯に照らされた夜の道を、二人並んで歩く。
「……なあ、リサも休みを取ったらいいんじゃないか?」
「え?」
リサは驚き、隣を歩くジークの顔を見上げた。
「いや、ここのところ何か悩んでるみたいだからな。今年入った講師たちもだいぶ慣れてきたし、料理科の方は俺たちだけでどうにかなる。式が目前に迫ったらもっと忙しくなるんだから、その前に休んでおいた方がいいと思うぞ」
気遣いを感じさせるジークの声に、リサは胸が痛んだ。
彼がリサの様子を気にしてくれていたのは知っていた。だからリサは心配かけまいと、なるべく普段通りに振る舞っていたつもりだった。
けれど、こうしてジークが休養を勧めてくるほど、リサの態度はおかしかったのだろう。
確かに今、元の世界のことで悩んでいる。しかし、それを正直に話すという選択肢はリサにはなかった。
なぜなら元の世界を恋しく思うということは、これから人生を共に歩いていくジークを裏切ることと同じだと考えているからだ。
――バジルちゃんが女神様に聞いてきてくれる。今はそれを待とう。
そう思うことで一旦気持ちを落ちけると、リサは努めて笑みを浮かべた。
「心配してくれてありがとう。うん、ちょっと考えてみるよ」
「……そう、か」
リサの言葉に頷くジーク。しかし、納得していないのがリサにはわかった。
とはいえ、これ以上言葉を重ねても、彼を納得させることは出来ないだろう。
沈黙したまま、帰路を進む二人。
リサもジークもそんなにおしゃべり好きではないので、二人の間には特に会話がないこともある。
だが、今のリサにとっては、この静けさがただただ気まずかった。
第七章 お客様がいらっしゃいました。
屋敷の庭でジークと別れたリサは、一人自室にいた。
夕食はカフェで食べてきたので、あとは入浴して寝るだけだ。
お風呂の準備をしようと思い、クローゼットを開けたところで、部屋のドアがノックされる。
「リサちゃん、今ちょっと大丈夫かしら~?」
ドアの向こうから聞こえてきたのは、リサの養母であるアナスタシアの声だった。
「はーい」
リサがひとまずクローゼットを閉めると、部屋のドアが開いてアナスタシアが顔を出す。
「こんな時間にごめんなさいね」
「いいえ、大丈夫ですよ」
「実はたった今、お客様がいらしたの。だからリサちゃんを呼びに来たのよ」
「え? こんな時間にお客様ですか?」
「道中でトラブルがあったらしくて到着が遅れたのよ。とりあえず一緒に来てくれないかしら?」
リサは頷くと、アナスタシアについて部屋を出た。
――お客様って誰だろう?
事前に伝えられてはいなかったし、特に思い当たる人物もいないので、リサは首を傾げる。
アナスタシアに連れられてやってきたのは、いくつかある応接室のうちの一つだった。その部屋はクロード家の人間が友人や親戚など、親しい人物をもてなす時に使っている。
リサがアナスタシアと共に部屋へ入ると、養父であるギルフォードと二人の男性がソファに座っていた。そのうちの一人が立ち上がり、リサに笑顔を見せる。
「おお、リサちゃん、久しぶりだね」
「ブライアンさん!」
「いやだな~、伯父さんと呼んでくれって、いつも言ってるじゃないか」
そう気さくに言った彼は、ブライアン・ハイド・クロード。
ギルフォードの兄で、フェリフォミア王国の南西部にあるクロード領の領主だ。
髪は金に近い茶色で、目はギルフォードと同じシルバーグレー。顔立ちもギルフォードとよく似ているが、ブライアンの目はギルフォードより少し切れ長だ。
彼は領主の仕事でたびたび王都に来るので、リサも何度か会ったことがある。
その隣に座っている老年の男性も、立ち上がってリサに微笑みかけた。
「リサさん、こんばんは」
おっとりした声で挨拶をしてくれたのは、クロード領の専属魔術師ギディオンだ。彼はギルフォードに魔術を教えた師匠でもある。
若い頃は黒髪だったらしいが、現在は年とともに灰色になった髪を長く伸ばしている。ゆったりとしたローブ姿で、リサが思い描く魔法使い像を体現する人物だった。
「ギディオンさん、お久しぶりです」
「おや、今日は精霊と一緒じゃないんですね」
ギディオンはリサの肩や頭の上を見ながら言った。
「……今は、ちょっとお出かけ中です」
少し間を空けて答えたリサを、ギディオンは探るようにじっと見つめる。けれど、すぐに頷き、にっこりと笑った。
「そうですか」
ここでなぜ笑顔になるのかわからず、リサは目を瞬かせる。
そこでブライアンが何かを思い出したような顔をした。
「ああ、そうだリサちゃん」
「なんですか?」
「料理のことで少し相談があるんだよ。だが、今日はもうこんな時間だし、後日相談させてもらってもいいかな?」
「もちろんです。私に出来ることなら」
料理のことならば、きっと助けになれるだろう。そう考えてリサが快諾すると、ブライアンは嬉しそうに破顔する。
「それは心強いな!」
その後、ブライアンとギディオンは少しだけ雑談してから、王都にある別邸へと戻っていった。
第八章 本音を打ち明けました。
翌日、リサはクロード家のサンルームで一人お茶を飲んでいた。
憂鬱な気持ちを明るくするため、日の当たる場所でのんびりしようと思ったのだ。
春の温かな日差しがガラスの天井と窓から差し込み、ついつい眠ってしまいそうになる。
一人がけのソファにゆったりと沈み、お茶のカップを両手で持ったまま、リサはぼーっと庭を眺めていた。
いつも話し相手になってくれるバジルはいないし、ジークは料理科で授業をしている。
リサ自身は今日は授業がなく、結婚式関係の予定も入っていなかった。かといって料理をする気も起きず、ただただ無為な時間を過ごしている。
「リサちゃん」
その声にハッと顔を上げると、アナスタシアがリサを覗き込むように見つめていた。
「私も一緒にお茶してもいいかしら?」
微笑みながら聞いてくるアナスタシアに、リサはこくりと頷く。
メイドに茶葉とお湯を新しく準備してもらったアナスタシアは、手ずからお茶を淹れ、リサのカップにも温かいお茶を注いでくれる。
そして淹れ立てのお茶を一口飲んでから、優しい声で問いかけた。
「最近あまり元気がないようだけど、結婚のことを悩んでいるの?」
リサは逡巡しつつも、ぽつりと呟く。
「結婚するのが嫌なわけではないんです。でも、結婚したら繋がりが失われてしまうんじゃないかって……」
かなり抽象的な言葉だったが、アナスタシアにはリサの言わんとしていることが伝わったらしい。
「元の世界の家族のことね?」
「……はい。なんだか急に恋しくなってしまって」
穏やかに聞かれて素直に返事をしたあと、リサはハッとする。
アナスタシアとギルフォードには、この世界に来たばかりの時から、とてもお世話になっている。本当の娘のように可愛がってもらった上に、アナスタシアは『大事な娘の晴れ舞台ですもの!』と言って結婚式の衣装を自ら作ってくれたのだ。
そんなアナスタシアに向かって、元の世界の家族が恋しいなどと言うのは、恩知らずもいいところではないか。
そう思って顔色を変えたリサに、アナスタシアは苦笑する。
「別に申し訳なく思う必要はないのよ。元の世界を恋しく思うのは当然だわ。リサちゃんがいなくなって、向こうのご家族も心配しているはずだもの。それについて、私にとやかく言う権利はないわ」
気にしないで、と言ってくれるアナスタシア。けれど、リサはばつの悪さを感じてしまう。
「……リサ?」
険しい顔で作業するリサの姿を、ジークは訝しげに見つめた。
そっと近づいて、鍋の中を覗き込む。
一口大に切られたムム芋やパニップ、くし形切りにされたニオル、上手に火が通った薄切りの肉。
スープに溶け出した油分がつやつやと光り、茶金色のスープからは食欲をそそる香りがしている。
同じものが入った鍋が二つ、コンロから下ろされ、調理台の上に放置されていた。
いずれもとてもおいしそうなのに、なぜリサが苦い表情をしているのか、ジークにはわからなかった。
「リサ……おい、リサ!」
彼に大きめの声で呼ばれて、リサはハッと我に返った。
「……大丈夫か?」
まるで夢の中にでもいたように呆然としながら、リサはジークを見上げる。
「……あ……」
手にムム芋を持ったままだと気付き、それを流し台に置いた。
ジークが心配そうな顔でリサに問いかける。
「なぜそんなに根を詰めているんだ?」
「なんでもないよ。ただ、ちょっとぼーっとしちゃって……」
リサは笑顔を取り繕って言った。
自分でもよくわからないが、どうしても母の味を再現しなければと思ったのだ。
カフェのメニューにするという目的も忘れ、ただただ自分が母のあの味をもう一度食べたくて、試作に没頭していた。
なんだかばつの悪さを感じて、リサはジークからさりげなく目を逸らす。
そんなリサの頭に、ジークがそっと手をのせた。
「メニューの試作に悩んでいるなら、いつでも相談にのるから」
ぽふぽふと頭を軽く叩かれて、リサは小さく頷いた。
第五章 原因はなんでしょうか?
閉店後、ジークは片付けをリサとヘクターに任せて店を出た。季節は春になったものの、夜はまだ肌寒く、薄手のコートが手放せない。
ジークは王都の中央広場を抜け、食品店が多く立ち並ぶ地区に入る。そして、とある店の前で足を止めた。
この冬の終わりにオープンしたばかりの、カフェ・おむすびの二号店だ。
入り口のドアには〝準備中〟と書かれた札が下がり、ガラス格子のドアにはカーテンが引かれている。
それを見たジークは、店の横にある細い路地を進み、裏口から中に入った。
明かりのついた厨房で、一人の青年が片付けをしている。
「お疲れ様」
そのジークの声に、青年がハッと顔を上げた。
「ジークさん! お疲れ様です!」
にかっと笑みを浮かべて近寄ってきたのは、アラン・トレイル。鶯色の天然パーマが特徴的な彼は、この二号店の店長を務めている。
以前は本店で働いていたのだが、二号店の出店が決まった時、料理の腕と人柄を買われてリサから店長に指名されたのだ。
最初は少し心配だったものの、生き生きと働くアランの様子を見る限り、上手くやっているようだとジークは安心する。
二人の話し声が聞こえたのか、ホールの方から一人の女性がやってきた。
「あ、ジークさん! お疲れ様です!!」
ジークを見るなりぱあっと表情を明るくしたのは、ヘレナ・チェスター。オレンジ色の髪をショートカットにし、スレンダーな体にカフェの制服を纏っている。
彼女も元は本店で働いていたが、今は二号店の副店長となり、アランと一緒に店を守り立てていた。
「他の二人は帰ったのか?」
二号店には他にマーヴィン・ウィーバリーという調理担当の男性と、テレーゼ・ラングリッジという接客担当の女性がいる。
彼らの姿が見えないことを疑問に思ったジークに、ヘレナが答えた。
「今日は早めに帰らせました。まだ慣れなくて毎日大変そうなので」
マーヴィンとテレーゼは、二号店を開店するにあたって新しく加わったメンバーだ。それぞれ似たような職種の経験者ではあるが、新しい環境に来れば慣れるまでは大変だろう。
ただでさえカフェ・おむすびは人気店。たくさんのお客さんに少数精鋭で応対しなければならないため、一人一人の負担は大きい。
「リサさんやジークさんが俺に料理を教えてくれたように、マーヴィンには俺から教えようと思ってます。教えるのも勉強になりますし」
アランは熱意のこもった目をジークに向けた。
「そうだな」
ジークはそう言って、鞄からあるものを取り出す。リサが試作していた肉じゃがのレシピである。
今日ジークが二号店にやってきたのは、このレシピを渡すためだった。
これまでカフェ・おむすびはどうしても洋食メニューに偏っていた。食材や調味料の関係と、この国の人たちに受け入れられやすいという理由からだ。
しかし、ライスや味噌、醤油などの調味料が普及し、お客さんも徐々に和食に慣れてきたため、これからは少しずつ和食のメニューを増やそうと考えている。
その一環として、これまでランチの脇役や賄い用に作っていた肉じゃがを、メイン料理の一つとして店で出すことになったのだ。
ジークから受け取ったレシピを、アランは真剣な顔で見つめている。頭の中に調理工程を思い浮かべているのか、右手の人差し指がぴくぴく動いていた。
彼とヘレナがレシピを見ている間に、ジークは上着を脱いで本店から持ってきたエプロンをつける。
レシピだけでは伝えられないこともあるので、これから実際に作ってみせるのだ。
「不明なところがあれば、今のうちに教えてくれ」
「はい!」
ジークが準備に入ったのを見て、アランも手伝うべく動き出す。事前に肉じゃがを作ると伝えていたため、既に材料は揃えてあるらしい。
ジークは手を洗い、必要な調理器具を用意した。
野菜の洗浄や皮剥きをアランと手分けして行うと、ジークが食材を切って大きさの見本を示す。そして煮込み、味付けといった調理工程も見せ、最後に試食して味を覚えてもらうのだ。
肉じゃがが出来たところで、ジークは他の作業をしていたヘレナを呼ぶ。こういう時は接客担当である彼女にも必ず試食してもらっていた。
「作り立てだから、あまり具材に味が馴染んでいないが、スープの濃さを覚えておいてくれ」
ジークの言葉を聞いて、他の二人はスープを舌でじっくりと味わう。
特に料理担当のアランには、しっかりと味を記憶してもらわなければならない。
レシピ通りに作れば大きな失敗はないはずだが、目指すべき味を知っているのとそうでないのとでは、仕上がりが違ってくるのだ。
肉じゃがに舌鼓を打つ二人に、ジークは少しためらいつつも付け加えた。
「……もし気になる点があるならば、この場で言ってほしい」
アランとヘレナはきょとんとした。
「えーっと、それはこのレシピを変えてもいいってことですか……?」
アランが戸惑ったように瞳を揺らしながら、ジークの顔色を窺う。
ジークはいつもの無表情のまま、ため息をこぼした。
「レシピを変えてもいいというのは少し語弊があるな……このレシピ、最初はリサが作っていたんだが、途中から俺が引き継いだんだ」
「え? リサさんに何かあったんですか!?」
血相を変えたヘレナに、ジークは首を横に振る。
「体調が悪いとか、そういうことではないんだ。ただ、今回の肉じゃがには、すごくこだわっているみたいで……。今まで作った肉じゃがよりもおいしく出来ているはずなのに、何度も作り直していた」
「単に、リサさんはもっとおいしく出来ると思ったんじゃないですか?」
それはリサの向上心の表れではないかとヘレナは考えたようだ。
「いや、それにしては鬼気迫るというか、妙に焦っているというか……」
いつも楽しそうに料理をしているリサが、何かに駆り立てられるように一心不乱に料理をしていた。心配になったジークは、半ば無理やり中断させたのだ。
「リサは試作品をいくつも作っていて、その中から俺とヘクターに選んでほしいと言ったんだ。俺たちの方がお客さんの舌に近いから……ともリサは言っていたが、何か引っかかるというか……」
それを聞いたアランとヘレナは、無言で顔を見合わせる。
「あっ!」
ヘレナが何かに気付いたように声を上げた。
「もしかしてリサさん、女性が結婚前によくなるっていう、あの状態なんじゃないですか?」
ヘレナの言う「あの状態」がわからず、ジークとアランは首を傾げる。
頭にクエスチョンマークを浮かべる二人に、ヘレナは呆れ顔で説明した。
「だから、マリッジブルーってやつですよ! 結婚式が近付くと、女性は情緒不安定になるものなんです! 環境が変わることへの不安や、家庭を持つことへの不安……きっとリサさんもそうなんじゃないですかね? でなかったら、あんなに料理好きなリサさんが、ジークさんが言ったような状態になるとは思えないんですけど……」
鬼気迫った様子で料理をするリサの姿が、ヘレナには想像できないらしい。
ジークはヘレナの言葉について、じっと考え込む。
今でも料理に打ち込みすぎて一人で突っ走ることはあったが、今回のリサは確かに違った。
「……まあ、それなら納得できる気がするな」
「じゃあ、ジークさんが支えてあげつつ、温かく見守るしかないですよ!」
これまでジークとリサの仲をたびたび取り持ってきたヘレナ。そんな彼女が、今回も力強く励ましてくれている。
その強引さに苦笑していたアランも、ジークに向かってにっこりと微笑んだ。
第六章 心配されています。
リサが肉じゃがを試作した日から一週間が経った。
時折、ジークや他のメンバーから気遣わしげな視線を向けられるので、リサはなるべく普段通りにしようと心がけている。けれど、ふとした瞬間に故郷のことが頭を過るのだ。
結婚式が近づくにつれ、それと比例して家族への気持ちがどんどん大きくなり、リサの頭の中はぐちゃぐちゃだった。
もちろん今も、ジークとの結婚を強く望んでいる。
しかしその一方で、彼と結婚したら目には見えない糸が切れ、元の世界との繋がりが失われるのではないかという漠然とした恐怖もあった。
この世界に来たばかりの時、元の世界には帰れないと知って、リサは吹っ切れたつもりだった。だが今振り返ってみると、ただ考えないように、気にしないようにして、自分の心を守っていただけなのかもしれない。
今日も閉店作業をしながらそんなことを考えていたら、オリヴィアに声をかけられた。
「リサさん、アシュリー商会さんへの注文ってまだ間に合うかしら? 追加で持ち帰り用の袋もお願いしたいのだけど……」
「追加する分には大丈夫だと思うよ。連絡、お願い出来る?」
「了解しました」
実は明日から十日間、カフェ・おむすび本店は臨時休業することになっている。
リサがカフェを開店してもうすぐ五年。その間に老朽化した箇所や、メンテナンスが必要な箇所がちらほらとある。
二号店も出来たことだし、本店は思い切ってしばらく休業し、直せるところは直してしまおうと考えたのだ。
臨時休業中、リサとジークは料理科の講師業に専念し、ヘクターはカフェ二号店で修業することになっている。オリヴィアとデリアはお休みを取り、それぞれ家族サービスに努める予定になっていた。
明日から修理業者が入るので、作業しやすいようみんなで店内を片付けた。休業明けに必要な食材や備品も、今日のうちに注文を済ませている。
入り口のドアに休業を知らせる貼り紙をした後、リサとジークは揃ってカフェを出た。
現在ジークはクロード家の離れに住んでいるので、こうして一緒に帰っているのだ。
街灯に照らされた夜の道を、二人並んで歩く。
「……なあ、リサも休みを取ったらいいんじゃないか?」
「え?」
リサは驚き、隣を歩くジークの顔を見上げた。
「いや、ここのところ何か悩んでるみたいだからな。今年入った講師たちもだいぶ慣れてきたし、料理科の方は俺たちだけでどうにかなる。式が目前に迫ったらもっと忙しくなるんだから、その前に休んでおいた方がいいと思うぞ」
気遣いを感じさせるジークの声に、リサは胸が痛んだ。
彼がリサの様子を気にしてくれていたのは知っていた。だからリサは心配かけまいと、なるべく普段通りに振る舞っていたつもりだった。
けれど、こうしてジークが休養を勧めてくるほど、リサの態度はおかしかったのだろう。
確かに今、元の世界のことで悩んでいる。しかし、それを正直に話すという選択肢はリサにはなかった。
なぜなら元の世界を恋しく思うということは、これから人生を共に歩いていくジークを裏切ることと同じだと考えているからだ。
――バジルちゃんが女神様に聞いてきてくれる。今はそれを待とう。
そう思うことで一旦気持ちを落ちけると、リサは努めて笑みを浮かべた。
「心配してくれてありがとう。うん、ちょっと考えてみるよ」
「……そう、か」
リサの言葉に頷くジーク。しかし、納得していないのがリサにはわかった。
とはいえ、これ以上言葉を重ねても、彼を納得させることは出来ないだろう。
沈黙したまま、帰路を進む二人。
リサもジークもそんなにおしゃべり好きではないので、二人の間には特に会話がないこともある。
だが、今のリサにとっては、この静けさがただただ気まずかった。
第七章 お客様がいらっしゃいました。
屋敷の庭でジークと別れたリサは、一人自室にいた。
夕食はカフェで食べてきたので、あとは入浴して寝るだけだ。
お風呂の準備をしようと思い、クローゼットを開けたところで、部屋のドアがノックされる。
「リサちゃん、今ちょっと大丈夫かしら~?」
ドアの向こうから聞こえてきたのは、リサの養母であるアナスタシアの声だった。
「はーい」
リサがひとまずクローゼットを閉めると、部屋のドアが開いてアナスタシアが顔を出す。
「こんな時間にごめんなさいね」
「いいえ、大丈夫ですよ」
「実はたった今、お客様がいらしたの。だからリサちゃんを呼びに来たのよ」
「え? こんな時間にお客様ですか?」
「道中でトラブルがあったらしくて到着が遅れたのよ。とりあえず一緒に来てくれないかしら?」
リサは頷くと、アナスタシアについて部屋を出た。
――お客様って誰だろう?
事前に伝えられてはいなかったし、特に思い当たる人物もいないので、リサは首を傾げる。
アナスタシアに連れられてやってきたのは、いくつかある応接室のうちの一つだった。その部屋はクロード家の人間が友人や親戚など、親しい人物をもてなす時に使っている。
リサがアナスタシアと共に部屋へ入ると、養父であるギルフォードと二人の男性がソファに座っていた。そのうちの一人が立ち上がり、リサに笑顔を見せる。
「おお、リサちゃん、久しぶりだね」
「ブライアンさん!」
「いやだな~、伯父さんと呼んでくれって、いつも言ってるじゃないか」
そう気さくに言った彼は、ブライアン・ハイド・クロード。
ギルフォードの兄で、フェリフォミア王国の南西部にあるクロード領の領主だ。
髪は金に近い茶色で、目はギルフォードと同じシルバーグレー。顔立ちもギルフォードとよく似ているが、ブライアンの目はギルフォードより少し切れ長だ。
彼は領主の仕事でたびたび王都に来るので、リサも何度か会ったことがある。
その隣に座っている老年の男性も、立ち上がってリサに微笑みかけた。
「リサさん、こんばんは」
おっとりした声で挨拶をしてくれたのは、クロード領の専属魔術師ギディオンだ。彼はギルフォードに魔術を教えた師匠でもある。
若い頃は黒髪だったらしいが、現在は年とともに灰色になった髪を長く伸ばしている。ゆったりとしたローブ姿で、リサが思い描く魔法使い像を体現する人物だった。
「ギディオンさん、お久しぶりです」
「おや、今日は精霊と一緒じゃないんですね」
ギディオンはリサの肩や頭の上を見ながら言った。
「……今は、ちょっとお出かけ中です」
少し間を空けて答えたリサを、ギディオンは探るようにじっと見つめる。けれど、すぐに頷き、にっこりと笑った。
「そうですか」
ここでなぜ笑顔になるのかわからず、リサは目を瞬かせる。
そこでブライアンが何かを思い出したような顔をした。
「ああ、そうだリサちゃん」
「なんですか?」
「料理のことで少し相談があるんだよ。だが、今日はもうこんな時間だし、後日相談させてもらってもいいかな?」
「もちろんです。私に出来ることなら」
料理のことならば、きっと助けになれるだろう。そう考えてリサが快諾すると、ブライアンは嬉しそうに破顔する。
「それは心強いな!」
その後、ブライアンとギディオンは少しだけ雑談してから、王都にある別邸へと戻っていった。
第八章 本音を打ち明けました。
翌日、リサはクロード家のサンルームで一人お茶を飲んでいた。
憂鬱な気持ちを明るくするため、日の当たる場所でのんびりしようと思ったのだ。
春の温かな日差しがガラスの天井と窓から差し込み、ついつい眠ってしまいそうになる。
一人がけのソファにゆったりと沈み、お茶のカップを両手で持ったまま、リサはぼーっと庭を眺めていた。
いつも話し相手になってくれるバジルはいないし、ジークは料理科で授業をしている。
リサ自身は今日は授業がなく、結婚式関係の予定も入っていなかった。かといって料理をする気も起きず、ただただ無為な時間を過ごしている。
「リサちゃん」
その声にハッと顔を上げると、アナスタシアがリサを覗き込むように見つめていた。
「私も一緒にお茶してもいいかしら?」
微笑みながら聞いてくるアナスタシアに、リサはこくりと頷く。
メイドに茶葉とお湯を新しく準備してもらったアナスタシアは、手ずからお茶を淹れ、リサのカップにも温かいお茶を注いでくれる。
そして淹れ立てのお茶を一口飲んでから、優しい声で問いかけた。
「最近あまり元気がないようだけど、結婚のことを悩んでいるの?」
リサは逡巡しつつも、ぽつりと呟く。
「結婚するのが嫌なわけではないんです。でも、結婚したら繋がりが失われてしまうんじゃないかって……」
かなり抽象的な言葉だったが、アナスタシアにはリサの言わんとしていることが伝わったらしい。
「元の世界の家族のことね?」
「……はい。なんだか急に恋しくなってしまって」
穏やかに聞かれて素直に返事をしたあと、リサはハッとする。
アナスタシアとギルフォードには、この世界に来たばかりの時から、とてもお世話になっている。本当の娘のように可愛がってもらった上に、アナスタシアは『大事な娘の晴れ舞台ですもの!』と言って結婚式の衣装を自ら作ってくれたのだ。
そんなアナスタシアに向かって、元の世界の家族が恋しいなどと言うのは、恩知らずもいいところではないか。
そう思って顔色を変えたリサに、アナスタシアは苦笑する。
「別に申し訳なく思う必要はないのよ。元の世界を恋しく思うのは当然だわ。リサちゃんがいなくなって、向こうのご家族も心配しているはずだもの。それについて、私にとやかく言う権利はないわ」
気にしないで、と言ってくれるアナスタシア。けれど、リサはばつの悪さを感じてしまう。
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