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家族になった人族のポムと魔族のポム
22.水牛の名前はみのたうろす
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今日の配達も無事終わりました。
ミノタウロスに襲われたけど、悪魔さんが魔法で水牛に変えられてしまったので、ろっとくん
の代わりに水牛が荷馬車を引いています。
村に帰ってきたら皆が大騒ぎをしていました。
「ポムくん達は無事だったんだね。心配したよ。隣り村にミノタウロスが出たんだ。」
「今、騎士や兵隊の皆さんが街道を警備して回ってるんだよ。」
「無事だったという事は、ミノタウロスにあわなかったんだね。」
「そういえば、荷馬車を引いていたのはロバだったよね。こいつは…水牛だね。」
村長さんは、いろいろ話をして冷静になったことで、荷馬車を引いていたのがロバではなく
水牛だったことに気が付きました。
「うん、街道でミノタウロスに襲われて大変だったんだ。」
「でも、このお兄さんが助けてくれたんです。」
「ミノタウロスに襲われたって!じゃあ、ロバは食べられちゃったのかい。」
村長さんは血相を変えてポムくんに事の真相を聞いてきました。
あっ、しまったとポムくんは思いました。
ろっとくんは、悪魔さんに戻っているのでろっとくんの姿をしたロバはいません。
「実は、ろっとくんはケガをしてしまって、"ココ"の街で預かってもらっているんです。」
「じゃあ、水牛はケガをしたロバの代わりなんだね。」
「でも、この水牛大きくて力がありそうだね。」
「名前はなんていうんだい。」
村長さんが水牛の名前を聞いてきたのでポムくんは、思わず言ってしまいました。
「"みのたうろす"って言います。」
「えっ。ははは。ポムくんは、面白いことを言うね。水牛に"みのたすろす"って名前を付ける
なんて、きっとミノタウロスにも負けないよ。ははは。」
村長さんは、腹を抱えて笑っていました。
「まあ、冗談話はおいておいて。ミノタウロスがこの辺りにも出るかもしれんから、数日の間は
村に兵隊さんが居るからね。」
「そうだ、ポムくんの家は大丈夫か。何なら村に泊まっていってもいいよ。」
ポムくんの家は、村から少し離れた草原中にある林の木の上にあります。
「村長さん、僕の家は木の上だからミノタウロスは登ってこれないから大丈夫だよ。」
ポムくんがあっけらかんとしています。
「ポムくんがそう言うならいいけど、もし何かあったら言ってくれよ。」
「それに、ポムくんが食材運びをしている榊さんとの商売なんだが、この村にとってはかなりの
収入になっているんだ。榊さんは、ポムくんの事をえらく気に入っているようだから、ポムくん
に何かあると村も大変なんだ。だから気を付けてくれ。」
えっ、僕って村にとって大事な仕事をしていたんだ。
今になって仕事の重要さを理解したポムくんでした。
畜舎に戻って、牧場のおじさんに牛用の荷馬車がないか聞いてみました。
「おっ。今度は水牛か。しかもかなり大きいな。これならどんな荷物も運べそうだ。」
「そうだな、畜舎の裏に古い牛用の荷馬車があったはず、あっ、これだ。」
「幌も付いているんだが、使ってないから穴やほつれがあるから修理しないと使えないぞ。」
牧場のおじさんが荷馬車を見せてくれました。
「おじさん、この荷馬車をぼくに譲ってもれませんか。」
「いいぞ、ロバの荷馬車競争で優勝したポムくんだから金はいらんよ。」
牧場のおじさんは、気前よく牛用のに荷馬車をポムくんに譲ってくれました。
すると、悪魔さんが荷馬車の幌を外し始めました。
「悪魔さん、その幌をどうするの。」
「ポム様、この穴だらけの幌では雨風は防ぐことはできません。私が直してさしあげます。」
「だって、そんなに大きな幌を直せるの。」
幌を直すと言っている悪魔さんにポムくんはビックリです。
「悪魔をなめてもらっては困ります。私にできないことなどありませんよ。」
悪魔は荷馬車から幌を取ると肩に担ぎました。
水牛を畜舎に入れて、干し草と水を与えて後に"バイバイ"と挨拶をすると水牛も"ぶもー"と
鳴いていました。
「悪魔さん、あの水牛の魔法は解けたりしない。」
ポムくんはやっぱり心配でした。
「大丈夫ですよ。100年は水牛のままです。でも困ったことにあの魔法をかけられてしまうと、
100年は生きることになります。そこがこの魔法の欠点ですね。」
「なんか、すごい魔法なんだね。」
「いえいえ、こんな魔法は我ら悪魔族なら小さな子供でもできるんですよ。」
「どこかの小さな女の子とは違います。」
悪魔さんは、魔法でミノタウロスに歯が立たなかったポムさんの事を言っているようです。
「むう。なんかバカにされた。でもミノタウロスに魔法が効かなかったのは本当だし。反論
できない。」
ポムさんは頬を膨らませて悪魔さんに抗議していましたが、悪魔さんは全く気にしていません
でした。
「ポム様、まだ日も高いですしこれから夕飯の食材探しに草原に行ってみませんか。探せば、
いろんな食材があるはずです。」
「女の子は、荷物持ちについてきなさいよぉ。」
悪魔さんは、わざとポムさんの癪に障るような言い方をしているようです。
「きー、悔しい。でもいちいち反論できないからもっと悔しい。」
最近のポムさんは、悪魔さんに"いじられ"てばかりでした。
ミノタウロスに襲われたけど、悪魔さんが魔法で水牛に変えられてしまったので、ろっとくん
の代わりに水牛が荷馬車を引いています。
村に帰ってきたら皆が大騒ぎをしていました。
「ポムくん達は無事だったんだね。心配したよ。隣り村にミノタウロスが出たんだ。」
「今、騎士や兵隊の皆さんが街道を警備して回ってるんだよ。」
「無事だったという事は、ミノタウロスにあわなかったんだね。」
「そういえば、荷馬車を引いていたのはロバだったよね。こいつは…水牛だね。」
村長さんは、いろいろ話をして冷静になったことで、荷馬車を引いていたのがロバではなく
水牛だったことに気が付きました。
「うん、街道でミノタウロスに襲われて大変だったんだ。」
「でも、このお兄さんが助けてくれたんです。」
「ミノタウロスに襲われたって!じゃあ、ロバは食べられちゃったのかい。」
村長さんは血相を変えてポムくんに事の真相を聞いてきました。
あっ、しまったとポムくんは思いました。
ろっとくんは、悪魔さんに戻っているのでろっとくんの姿をしたロバはいません。
「実は、ろっとくんはケガをしてしまって、"ココ"の街で預かってもらっているんです。」
「じゃあ、水牛はケガをしたロバの代わりなんだね。」
「でも、この水牛大きくて力がありそうだね。」
「名前はなんていうんだい。」
村長さんが水牛の名前を聞いてきたのでポムくんは、思わず言ってしまいました。
「"みのたうろす"って言います。」
「えっ。ははは。ポムくんは、面白いことを言うね。水牛に"みのたすろす"って名前を付ける
なんて、きっとミノタウロスにも負けないよ。ははは。」
村長さんは、腹を抱えて笑っていました。
「まあ、冗談話はおいておいて。ミノタウロスがこの辺りにも出るかもしれんから、数日の間は
村に兵隊さんが居るからね。」
「そうだ、ポムくんの家は大丈夫か。何なら村に泊まっていってもいいよ。」
ポムくんの家は、村から少し離れた草原中にある林の木の上にあります。
「村長さん、僕の家は木の上だからミノタウロスは登ってこれないから大丈夫だよ。」
ポムくんがあっけらかんとしています。
「ポムくんがそう言うならいいけど、もし何かあったら言ってくれよ。」
「それに、ポムくんが食材運びをしている榊さんとの商売なんだが、この村にとってはかなりの
収入になっているんだ。榊さんは、ポムくんの事をえらく気に入っているようだから、ポムくん
に何かあると村も大変なんだ。だから気を付けてくれ。」
えっ、僕って村にとって大事な仕事をしていたんだ。
今になって仕事の重要さを理解したポムくんでした。
畜舎に戻って、牧場のおじさんに牛用の荷馬車がないか聞いてみました。
「おっ。今度は水牛か。しかもかなり大きいな。これならどんな荷物も運べそうだ。」
「そうだな、畜舎の裏に古い牛用の荷馬車があったはず、あっ、これだ。」
「幌も付いているんだが、使ってないから穴やほつれがあるから修理しないと使えないぞ。」
牧場のおじさんが荷馬車を見せてくれました。
「おじさん、この荷馬車をぼくに譲ってもれませんか。」
「いいぞ、ロバの荷馬車競争で優勝したポムくんだから金はいらんよ。」
牧場のおじさんは、気前よく牛用のに荷馬車をポムくんに譲ってくれました。
すると、悪魔さんが荷馬車の幌を外し始めました。
「悪魔さん、その幌をどうするの。」
「ポム様、この穴だらけの幌では雨風は防ぐことはできません。私が直してさしあげます。」
「だって、そんなに大きな幌を直せるの。」
幌を直すと言っている悪魔さんにポムくんはビックリです。
「悪魔をなめてもらっては困ります。私にできないことなどありませんよ。」
悪魔は荷馬車から幌を取ると肩に担ぎました。
水牛を畜舎に入れて、干し草と水を与えて後に"バイバイ"と挨拶をすると水牛も"ぶもー"と
鳴いていました。
「悪魔さん、あの水牛の魔法は解けたりしない。」
ポムくんはやっぱり心配でした。
「大丈夫ですよ。100年は水牛のままです。でも困ったことにあの魔法をかけられてしまうと、
100年は生きることになります。そこがこの魔法の欠点ですね。」
「なんか、すごい魔法なんだね。」
「いえいえ、こんな魔法は我ら悪魔族なら小さな子供でもできるんですよ。」
「どこかの小さな女の子とは違います。」
悪魔さんは、魔法でミノタウロスに歯が立たなかったポムさんの事を言っているようです。
「むう。なんかバカにされた。でもミノタウロスに魔法が効かなかったのは本当だし。反論
できない。」
ポムさんは頬を膨らませて悪魔さんに抗議していましたが、悪魔さんは全く気にしていません
でした。
「ポム様、まだ日も高いですしこれから夕飯の食材探しに草原に行ってみませんか。探せば、
いろんな食材があるはずです。」
「女の子は、荷物持ちについてきなさいよぉ。」
悪魔さんは、わざとポムさんの癪に障るような言い方をしているようです。
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最近のポムさんは、悪魔さんに"いじられ"てばかりでした。
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