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15.決裂した話合の先に
02.平和の代償。(その1)
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サッラ平原。
王都から馬で半日ほどのところにある山に挟まれた平原である。
反国王派の諸侯の軍勢は、平原の入り口側に5万が集結した。
現国王派となる旧中間派は平原の王都側に王都の防衛軍として3万の兵力を投入した。
数の上では、反国王派が優勢であった。
ただ、当初反国王派の諸侯の軍勢は、10万を越えるはずだった。
残りの反国王派の諸侯が率いる軍勢5万は、いつになっても現れなかった。
情勢を見極められない諸侯が二の足を踏んで高見の見物を決め込んでいると考えた。
反国王派の諸侯は、5万対3万でも十分に優勢でありこの戦に勝てば国王の椅子を奪還できると考えた。
反国王派の軍勢は、平原の中央に軍勢を進めた。
現国王派は、平原の中央に進出してきた反国王派の軍勢に相対するように平原から徐々に後退していった。
「マルタゴン伯、あやつらは我々の軍勢に押されて後退していきまずぞ。」
「所詮は、リーガル伯とオーレリアン伯がかき集めた弱小諸侯の軍勢など取るに足らぬ。やはり我らがこの国を治めるに相応しい。」
プラドミント子爵は、後退する現国王派を罵り反国王派の優勢をたたえた。
「子爵よ、我々は強いがやつらとてただ弱い訳ではないぞ。そこを見誤ると痛い目をみる。」
マルタゴン伯爵は、プラドミント子爵の物言いをたしなめた。
「マルタゴン伯、我ら反国王派は予定の半数も集まってはおりませぬが、それでもあやつらの倍の兵力ともなれば、負けることなど万にひとつもないと考えますが。」
プラドミント子爵は、いささか慎重な態度を取るマルタゴン伯は、腰が引けていると考えていた。
「そうだな、"バーラ"の城塞都市では、王国軍は3万足らずの兵で、40万の魔族軍に相対して負けなかった。」
「魔族軍からすれば、40万の軍勢で3万足らずの軍勢に勝てなかったのだ。」
「今、我らは魔族軍と同じ立場だとしたらどうする。」
「勝てる闘いに勝てなかったのは別の理由があるからだ。そこを考えて欲しい。」
「マルタゴン伯、それは"バーラ"の城塞都市で勇者殿でも敵わなかった魔族軍を追い返したという冒険者達のことを言っているのですか。」
「あの話は、いささか誇張されすぎの眉唾な話ではないですか。」
「いくら何でも、数名の冒険者で40万の魔族軍を追い返すなど御伽でも書けぬ話です。」
プラドミント子爵は、慎重さにさらに拍車をかけるオーレリアン伯爵の弱腰の度がすぎると思い始めた。
「お伽噺か。確かにそうだな。世もいささか負けぬ算段ばかりしておったので弱腰になっておった。すまぬ。忘れてくれ。」
反国王派の軍勢は、平原の中央に達した。
この先は、平原の幅が徐々に狭くなる。
そうなれば、数が多いこちらが不利になるが、ここで勝てば王都はもう目の前だ。
マルタゴン伯爵は、反国王派の軍勢の司令官として進軍を指示しようとした時だった。
「伝令、伝令、サッラ平原の入り口にベンデ伯爵様の率いる軍勢が到着しました。ファリダ子爵の旗も確認しました。数はおよそ5万。」
「やっとのお出ましか。リーガル伯とオーレリアン伯の懐柔工作に屈したのかと肝を冷やしましたぞ。」
「マルタゴン伯、これで負けぬ算段など不要になりましたな。」
「直ぐにベンデ伯爵へ伝令を出せ。合流して10万の軍勢でこの戦いに決着をつけるのだ。」
プラドミント子爵は、血気盛んに兵士に激を飛ばした。
平原の中央で反国王派は、ベンデ伯爵、ファリダ子爵らの5万の軍勢が合流するのを待った。
しかし、平原の入り口に陣取ったベンデ伯爵、ファリダ子爵らの5万の軍勢は動かなかった。
再度、伝令を送った。
2つの反国王派が合流すれば、総勢10万の軍勢となって現国王派の軍勢をなぎ倒して王都に雪崩込んで終わりだ。
1日でケリが付く筈だ。
しかし、伝令は帰ってこない。
もう一度、伝令を送った。
その伝令もいくら待っても帰ってこない。
「ベンデ伯へ送った伝令が帰ってきませんな。しかもベンデ伯の軍勢も平原の入り口から動く気配が全くないですな。何を悠長にしているのやら。勇猛果敢で王国内最強の騎士隊を従えるベンデ伯ともあろうお方の軍勢がこの体たらくでは先が思いやられる。」
プラドミント子爵は、平原の入り口から動こうとしないベンデ伯爵に焦りを見せた。
「…この戦い。…勝てぬ。ベンデ伯は懐柔工作に屈した。だから平原の中央には進軍してこないのだ。」
マルタゴン伯爵は、今になって現状を理解してしまった。
我々、反国王派は、平原の中央で"現国王派"に囲まれたのだ。
王都から馬で半日ほどのところにある山に挟まれた平原である。
反国王派の諸侯の軍勢は、平原の入り口側に5万が集結した。
現国王派となる旧中間派は平原の王都側に王都の防衛軍として3万の兵力を投入した。
数の上では、反国王派が優勢であった。
ただ、当初反国王派の諸侯の軍勢は、10万を越えるはずだった。
残りの反国王派の諸侯が率いる軍勢5万は、いつになっても現れなかった。
情勢を見極められない諸侯が二の足を踏んで高見の見物を決め込んでいると考えた。
反国王派の諸侯は、5万対3万でも十分に優勢でありこの戦に勝てば国王の椅子を奪還できると考えた。
反国王派の軍勢は、平原の中央に軍勢を進めた。
現国王派は、平原の中央に進出してきた反国王派の軍勢に相対するように平原から徐々に後退していった。
「マルタゴン伯、あやつらは我々の軍勢に押されて後退していきまずぞ。」
「所詮は、リーガル伯とオーレリアン伯がかき集めた弱小諸侯の軍勢など取るに足らぬ。やはり我らがこの国を治めるに相応しい。」
プラドミント子爵は、後退する現国王派を罵り反国王派の優勢をたたえた。
「子爵よ、我々は強いがやつらとてただ弱い訳ではないぞ。そこを見誤ると痛い目をみる。」
マルタゴン伯爵は、プラドミント子爵の物言いをたしなめた。
「マルタゴン伯、我ら反国王派は予定の半数も集まってはおりませぬが、それでもあやつらの倍の兵力ともなれば、負けることなど万にひとつもないと考えますが。」
プラドミント子爵は、いささか慎重な態度を取るマルタゴン伯は、腰が引けていると考えていた。
「そうだな、"バーラ"の城塞都市では、王国軍は3万足らずの兵で、40万の魔族軍に相対して負けなかった。」
「魔族軍からすれば、40万の軍勢で3万足らずの軍勢に勝てなかったのだ。」
「今、我らは魔族軍と同じ立場だとしたらどうする。」
「勝てる闘いに勝てなかったのは別の理由があるからだ。そこを考えて欲しい。」
「マルタゴン伯、それは"バーラ"の城塞都市で勇者殿でも敵わなかった魔族軍を追い返したという冒険者達のことを言っているのですか。」
「あの話は、いささか誇張されすぎの眉唾な話ではないですか。」
「いくら何でも、数名の冒険者で40万の魔族軍を追い返すなど御伽でも書けぬ話です。」
プラドミント子爵は、慎重さにさらに拍車をかけるオーレリアン伯爵の弱腰の度がすぎると思い始めた。
「お伽噺か。確かにそうだな。世もいささか負けぬ算段ばかりしておったので弱腰になっておった。すまぬ。忘れてくれ。」
反国王派の軍勢は、平原の中央に達した。
この先は、平原の幅が徐々に狭くなる。
そうなれば、数が多いこちらが不利になるが、ここで勝てば王都はもう目の前だ。
マルタゴン伯爵は、反国王派の軍勢の司令官として進軍を指示しようとした時だった。
「伝令、伝令、サッラ平原の入り口にベンデ伯爵様の率いる軍勢が到着しました。ファリダ子爵の旗も確認しました。数はおよそ5万。」
「やっとのお出ましか。リーガル伯とオーレリアン伯の懐柔工作に屈したのかと肝を冷やしましたぞ。」
「マルタゴン伯、これで負けぬ算段など不要になりましたな。」
「直ぐにベンデ伯爵へ伝令を出せ。合流して10万の軍勢でこの戦いに決着をつけるのだ。」
プラドミント子爵は、血気盛んに兵士に激を飛ばした。
平原の中央で反国王派は、ベンデ伯爵、ファリダ子爵らの5万の軍勢が合流するのを待った。
しかし、平原の入り口に陣取ったベンデ伯爵、ファリダ子爵らの5万の軍勢は動かなかった。
再度、伝令を送った。
2つの反国王派が合流すれば、総勢10万の軍勢となって現国王派の軍勢をなぎ倒して王都に雪崩込んで終わりだ。
1日でケリが付く筈だ。
しかし、伝令は帰ってこない。
もう一度、伝令を送った。
その伝令もいくら待っても帰ってこない。
「ベンデ伯へ送った伝令が帰ってきませんな。しかもベンデ伯の軍勢も平原の入り口から動く気配が全くないですな。何を悠長にしているのやら。勇猛果敢で王国内最強の騎士隊を従えるベンデ伯ともあろうお方の軍勢がこの体たらくでは先が思いやられる。」
プラドミント子爵は、平原の入り口から動こうとしないベンデ伯爵に焦りを見せた。
「…この戦い。…勝てぬ。ベンデ伯は懐柔工作に屈した。だから平原の中央には進軍してこないのだ。」
マルタゴン伯爵は、今になって現状を理解してしまった。
我々、反国王派は、平原の中央で"現国王派"に囲まれたのだ。
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