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純粋どくだみ茶

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18.火龍の神殿

08.温泉。(その2)

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神殿の温泉の噂が広まりはじめた。
この世界には、風呂に入る習慣は殆どないが、一回でも温泉に入るとその気持ちよさから病みつきになり何度も温泉に入りに来る人が増えたのだ。

最初は、魔獣退治を行った村の人々がお礼にといって神殿に来た時に温泉に入っていたが、最近は温泉に入ることを目的にした人が増え始めた。
なので、榊殿にお願いして温泉に入りに来た人々を受け入れる休憩所を温泉の隣りに建ててもらった。

観光客も温泉だけに入って帰るというのも心苦しいというので、温泉に入った後に神殿に参拝して心付けを置いて帰る人々が徐々に増えた。

温泉には名前など付けてはいなかったが、いつのまにか火龍温泉という名前が定着するようになった。
しかも最近は、温泉に入る順番待ちの長い列ができる始末で、人手が殆ど無い神殿は手が回らなくなっていた。



「榊殿、最近温泉に入りにくる信徒が増えてな、あの風呂では狭くて長い行列ができるのだ。」

「できれば、50人、いや100人くらい入れる温泉風呂を作ってはくれぬか。」

ベティは、榊にまたおねだりを始めた。

「おい、最初と話が違うぞ。」

榊は、こうなることが分かっていたが、あえて最初から大きな温泉施設を作らなかった。

「なんなら、クリスやガーネやアレスやレディが毎夜、榊殿と行っているあれをわしがやってもよいぞ。」

ベティがとんでもないことを言いだした。

「おまえ、子供のくせに偉そうなこと言いやがって。」

「子供とはなんだ。これでも100年以上生きているぞ。火龍をなめるな。」

確かにそうなんだ。俺達の中でベティが一番歳を取っている。でも人化した時は人の歳で14歳程度なのだ。

「わかった。わかったから。」

結局、レディにお願いして新たに温泉施設を作ることになった。
それと、大工の棟梁にもお願いして内装工事をお願いしておこう。

もう火龍の神殿は、火龍を祭る神殿というよりも火龍温泉の方が有名になってしまったようだ。
ただ、さすがに新しい温泉施設は規模が大きいので、レディが現地に行ってパッと作る訳にもいかず、俺が図面をひいてレディと大工の棟梁と綿密な打ち合わせを行ってから作ることになった。

神殿の裏山から湧き出す湯は、殆ど川に流れていってしまうので、新しい温泉に引き込んでも問題はなかった。



数ヶ月後、新しい温泉施設ができた。
既に火龍の神殿の信徒なのか観光客なのか分からない人々で温泉には長蛇の列ができていた。
皆、こんな山奥の神殿にここまで人が溢れるとは思っていなかった。
もう神官達ではどうする事もできなくなっていたので、近隣の村から温泉施設用に従業員を雇い入れることになった。
この辺りでは、あまり仕事がないので、従業員の募集をした後すぐに人は集まった。
従業員の数は20人にもなった。従業員の宿泊先は神殿内。神殿への参道の整備も進み、年寄りや子供も多く訪れるようになっていた。

さらに火龍神殿で神官になりたいと言う人も増えてきたので、少しずつ神官見習いを増やすことになった。
クレア、デルナ、ステラは、神官達に仕事を教える立場となり、いつのまにか上級神官に格上げされていた。この神殿の神官の最古参はこの3人だけだった。いつかじゃんけんで神官長を選ぼうと笑う毎日だった。



久しぶりにベティと神官で麓の村へ行ってみた。
村長さんに魔獣が出て困っていないか訪ねてみたが、魔獣はあれ以来見ていないそうだ。

しかし、村に入ってあることに気がついた。
村の形が変わっていたというか建物がかなり増えていた。さらに旅装束の人々の往来が多くなり、複数の馬車がひっきりなしに往来していた。
見ると以前の村には無かった宿屋、食堂、土産物屋が多数あった。

「神殿に来る信徒様や観光客が多くなって、村の集会場に泊めるのも限界になったので、村総出で宿屋や食堂を始めたのです。それでも宿泊する人が多すぎて人手が足りず他の村から人を雇い入れています。今では村人の数が以前の倍近くになりました。これも火龍様のおかげです。」

村長が揉み手で話はじめた。村長の人となりがいつの間にか商売人に様変わりしていた。
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