誰にでもできる簡単なお仕事です。

純粋どくだみ茶

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18.火龍の神殿

16.戯れ(その2)

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ベティが風魔法"フライ"で神殿の前へと降り立つと、神官達が集まってきた。

「ベティ様、今までどこに行っていたんですか。皆、心配しているんですよ。」

「そうです。行先くらい言ってください。」

「なんなら私達も同行します。」

神官達が口々にベティに勝手に出歩くなと遠回しに言ってきた。
ベティは、腕を組んで考え込んだ後こう言った。

「今、飛竜達と遊んできたのじゃ。お主達が飛竜と互角以上の闘いができると言うならついてきても一向に構わんぞ。」

「ただな、あやつらは、この辺りの魔獣では一番強い。皆が阿奴らと互角以上に戦えるとは知らなんだ。神官とはそれほどまでに強いのだな。」

神官達は、言葉が出ず黙り込んでしまった。

「そうじゃ、今夜あたり裸の男が来たら、わしに会わせるのじゃ。」

「お前たち、裸の男を見たからと言って騒ぐでないぞ。」

「結婚すれば、男の裸など毎日見ることになるからの。ハハハ。」

ベティは、笑って神殿内へと入って行った。
神官達もベティの後を追って神殿内へと向かった。



その夜遅くに、ベティが言ったように裸の男が神殿を訪ねてきた。
神官は、一瞬悲鳴をあげそうになったが、ベティに言われたことを思い出して、悲鳴を上げそうになった口に手をあてて塞いだ。

「ベティ様がお待ちです。こちらへぞうぞ。」

神官は、ベティに言われた通りに裸の男を礼拝堂の角にある椅子に座って待つように伝えた。
ふたりの神官が裸の男の側に立ってベティが現れるのを待った。
神官は、裸の男が座っている側で静かに待っていた。

だが、男っ気のない神殿に寝泊まりする乙女達にとって裸の男を見る機会など皆無だった。
なので、目線が泳いでいた。ついつい男の裸の方へと目線だけが向いていた。



しばらくして礼拝堂にベティが現れると、裸の男の前にベティが立ちこう言った。

「おい、飛竜の長よ。来るのがちと遅いではないか。待ちくたびれたぞ。」

裸の男は、礼拝堂の床にひれ伏してベティに言った。

「あなたが昼間の火龍様ですね。私は飛竜族の長をしている者です。」

「どうかお願いです。私の命を捧げます。ですから飛竜達を皆を食べないでください。」

「あの地を火龍様の縄張りにするのであれば、即刻あの地を明け渡します。」

「どうかお願いします火龍様。」

裸の男は、礼拝堂の床に頭を付けてベティに懇願した。



「わしは、おぬし達を食べる気はないし、あの地を縄張りにする気もないのじゃ。」

「今日は、お前たちへの挨拶に行ったまでじゃ。」

裸の男は、ベティが何を言っているのか分からなかった。

「なんじゃ信用できんのか。ならもう一度言うぞ。」

「わしは、おぬし達を食べる気はないし、あの地を縄張りにする気もない。」

「あの地は、お前達のものじゃ。好きにしろ。」

「ただな、ふたつだけ約束をして欲しいのじゃ。」

ベティは、しゃがみ込むと床に頭を付けてひれ伏している裸の男へと言った。

「ひとつは、この神殿を餌場にしないことじゃ。ここは、わしの縄張りじゃ。この地を汚したものがいたら、一族全てわしのブレスで炭にしてくれる。」

「もうひとつは、わしが助けを求めたら応じるのじゃ。なに、おぬし達に助けを求めることなぞ無いかもしれんがの。まあ、気楽に考えてくれればよいのじゃ。」

裸の男は、床から顔を上げてベティに言った。

「たったそれだけですか。そんな事でよろしいのですか。」

「今日は、わしがこの神殿にいることをお主達に伝えたかっただけなのじゃ。そんなに深刻な
顔をするでない。ただの余興じゃ。」

「だいたい、お前達の肉は筋が多くて固くてな、不味くて食えんのじゃ。お前達を好んで食ったりはせぬわ。」

裸の男の側に立っていた神官達は思った。"ベティ様、飛竜を食べたことあるんだ"と。

「火龍様。ありがとうございます。あなた様の側にいられることを誇りに思います。」

裸の男はそう言うと、ベティに礼を言って神殿の外へと向かった。
ベティと神官達が神殿の外へと出ると、裸の男は人化の魔法を解いて飛竜の姿へ戻り数回羽をばたつかせると夜空へと消えて行った。



「ベティ様、あの者は飛竜だったんですね。」

「そうじゃ、遠くの山に住まう飛竜達の長じゃ。」

「わしは、あやつらにこの神殿の主になったことを伝えに行ったのじゃ。」

「飛竜らがこの神殿に来る信徒や観光客を餌と間違えて食ったりせぬようにな。」

神官達は、影で動いてくれたベティに感謝した。



いきなりベティは、神官達にこんなことを言いだした。

「ここは、男がいないしお前達は若いので男との経験が無さそうじゃから言っておくぞ。」

「あの裸の男の股間にぶら下がっておったものじゃがな、女が結婚するとあれが大きく膨らんでお前達の腹の中に入るのじゃ。それも毎晩じゃぞ。そして子種を注がれて子を孕むのじゃ、どうじゃ嬉しかろう。」

ベティは、にやにやしながら初心な神官達に話始めた。
神官達は、裸の男の股間の"もの"を見て見ぬふりをしていたことを思い出して顔を赤らめていた。

「ベティ様、そんな生々しく言わないでください。もっと言い方というものがあるでしょう。」

「わしは口が悪いのじゃ。」

ベティは、偉そうな事を宣ったが、男との経験は一度もなかったのでした。
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