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18.火龍の神殿
27.火龍神殿の攻防。(その2)
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ゴーレムに剣を突き刺した男達は、今まで戦っていた者達とは明らかに力量が違った。
「あれー。私のゴーレムが倒されてしまいました。あの方達、相当強いですね。」
レディが他人事のようにゴーレムを倒した男達の力量を感じて賞賛していた。
「これでは、ゴーレムを何体出しても倒されるだけですね。主様どうします。」
「この広場に隕石を落とす訳にも行かないしなあ。」
俺が考えあぐねている横で、サティは覇者の弓から矢を大量に連射を続けていたが、サティのゴーレムを倒した男達は、矢を剣で薙ぎ払いながら神殿の入り口を守る阿行と吽行に向かって歩き始めた。
もう男達は、姿も気配も消す気はないようだ。
龍殺しの一族の男達は、堂々とした姿で阿行と吽行の前に並んだ。
並んだ男達の中から2人が進み出ると阿行と吽行の前で剣を構えて対峙した。
「えーと、8人か。まだかなりいるな。神殿の入り口が突破されるのも直ぐだね。」
俺は、並んだ男達の数を数えると、神殿の屋根の上から鐘を8回鳴らした。
「主様、緊張感が足りません。」
「そうですよ。ベティさんが殺されるかもしれないんですよ。」
俺の緊張感の無さにサティとレディが抗議の声を上げた。
「だって、俺は剣もまともに振れないし、強力な魔法もろくに撃てないから、状況分析くらいしか出来ることがないんだよ。俺の唯一の楽しみを取らないでおくれ。」
「おっ、そろそろ敵さん動くよ。おそらく阿行と吽行の前に出た2人を残して、他の6人は神殿内に突入するからね。」
後は、クリス、ガーネ、ローザが神殿内で何人討ち取れるかにかかっている。
まあ、クリスとガーネは、ほぼ互角の力量ということなので心配ないでしょう。
ローザさんは、王の護衛を務めていたくらいだし、魔剣を渡してあるので大丈夫でしょう。
「さて、俺達は神殿の屋根から降りてベティの所に向かいますか。」
「はい。」
俺は、サティとレディを抱きかかえて風魔法フライで飛び、神殿の屋根に空いている補修用の窓から神殿内に入った。
神殿の入り口では、相変わらず阿行と吽行の前で2人の男達が剣を構えて対峙していた。
男達は、ゆっくりとした足さばきで阿行と吽行に近づくと、2人同時に阿行と吽行に飛び掛かり剣を振った。
その瞬間、後ろに控えていた男達が2方向に分かれて、阿行と吽行の左右から神殿内へと突入していった。
阿行と吽行は、神殿内に突入した男達を追うことはせず、目の前の男達にのみ意識を集中していた。
また、2人の男達が阿行と吽行に向けて剣を構えた。
すると、今度は阿行と吽行も全身に力を込めて突撃の姿勢を取った。
先に動いたのは、龍殺しの一族の2人の男達だった。
男達は、上段に構えた剣を渾身の力を振り絞って阿行と吽行に振り下ろした。
が、剣を振り下ろした咲に阿行と吽行の姿はなかった。
男達は次の瞬間に見たものは、阿行と吽行の手の平だった。
もう男達の目の前まで巨大な手のひらが近づいていた。
男達は振り下ろした剣をその手のひらに向かって振り上げた。
だが遅かった。男達の顔に向かって放たれた巨大な手のひらは男達の顔を直撃した。
しかも、阿行と吽行が両方から2人の男達を挟み込むように手のひらを放ったので、男達は阿行と吽行の手のひらに潰される形となった。
阿吽の呼吸だった。
阿行と吽行が巨大な手のひらを引き払うと、頭と顔から血を流して事切れた2人の男が地面に沈んでいった。
6人の男達が神殿内へと突入した。
まず最初にローザがひとりの男と剣を交え、続いてクリスとガーネも剣を交えた。
残る3人は、3人に見向きもせずに神殿のさらに奥へと突き進んだ。
ローザは、久しぶりの剣技に酔っていた。
「私は剣士だ。決してウエイトレスではない。ああ。楽しい。なんて楽しいんだ。もっと剣を振って見せてくれ。私を闘いの場に呼び戻してくれ。ああ。なんて楽しい世界だ。」
ローザは、小声でブツブツを言いながら男と剣を交えていた。
ローザと対峙した男はあせった。力量が拮抗していれば、闘いの最中に話すなどという余裕は生まれないはずなのだ。
それが、前の前にいるダークエルフの女は、ブツブツとひとり言を永遠と話しているのだ。
男とローザは何度か剣を交わすと少し距離を取った。
するとローザがぼそりと呟いた。
「もっと強いと思ったがそうでもないか。残念だ。実に残念だ。」
男は、龍殺しの一族の中でも上位の剣技を持った剣士だ。
その男の前で対峙する敵が"残念だ"と言ったのだ。
思わず剣を握る手に力が入り、ローザに向かって全力で剣を振り下ろした。
ローザは、男の剣を榊から預かった魔剣で受け止めると、さっきまでとはまるで違う静かな声で言い放った。
「面白かったよ。龍殺しの一族とやらの剣士さん。」
ローザは、そう言うと男の剣を自身の剣で押し返して目にも止まらぬ速さで男の胸へと剣を振り下ろした。
男は、あまりの剣の速さに対応しきれずローザの剣を胸に受けた。
男は、胸から大量に血を流し、口からは血を吐いていた。
しかし、倒れることはなかった。
「まだだ、もう一撃浴びせてやる。」
男は、よろよろとしながらもローザの前でもう一度上段の構えを見せた。
「お前はもう無理だ。その体では剣は振れぬ。」
そう言うとローザは、体から力を抜いて剣を構える姿勢を解いた。その代わり魔剣に向かって魔力を込めはじめた。
「雷撃。」
ローザがそう呟くと、魔剣に稲妻が纏わりつき男に向かって稲妻が飛んだ。
男の体に稲妻が到達するや男は全身を振わせた。やがて体のあちこちから煙を吹き出しながら神殿の床へと倒れていった。
「榊め。面白い剣をくれたな。これは、楽しいぞ。」
ローザは、床に倒れた男に向かってこういった。
「悪いな、お前に恨みがあった訳ではないが戦った以上はどちらかが死ぬ。今回は、力量が少し足りなかったお前だっただけだ。次は私かもな。でも殺られるなら強いやつに倒されたいものだ。」
ローザは、剣を鞘に戻した後神殿の奥へと走りだした。
「あれー。私のゴーレムが倒されてしまいました。あの方達、相当強いですね。」
レディが他人事のようにゴーレムを倒した男達の力量を感じて賞賛していた。
「これでは、ゴーレムを何体出しても倒されるだけですね。主様どうします。」
「この広場に隕石を落とす訳にも行かないしなあ。」
俺が考えあぐねている横で、サティは覇者の弓から矢を大量に連射を続けていたが、サティのゴーレムを倒した男達は、矢を剣で薙ぎ払いながら神殿の入り口を守る阿行と吽行に向かって歩き始めた。
もう男達は、姿も気配も消す気はないようだ。
龍殺しの一族の男達は、堂々とした姿で阿行と吽行の前に並んだ。
並んだ男達の中から2人が進み出ると阿行と吽行の前で剣を構えて対峙した。
「えーと、8人か。まだかなりいるな。神殿の入り口が突破されるのも直ぐだね。」
俺は、並んだ男達の数を数えると、神殿の屋根の上から鐘を8回鳴らした。
「主様、緊張感が足りません。」
「そうですよ。ベティさんが殺されるかもしれないんですよ。」
俺の緊張感の無さにサティとレディが抗議の声を上げた。
「だって、俺は剣もまともに振れないし、強力な魔法もろくに撃てないから、状況分析くらいしか出来ることがないんだよ。俺の唯一の楽しみを取らないでおくれ。」
「おっ、そろそろ敵さん動くよ。おそらく阿行と吽行の前に出た2人を残して、他の6人は神殿内に突入するからね。」
後は、クリス、ガーネ、ローザが神殿内で何人討ち取れるかにかかっている。
まあ、クリスとガーネは、ほぼ互角の力量ということなので心配ないでしょう。
ローザさんは、王の護衛を務めていたくらいだし、魔剣を渡してあるので大丈夫でしょう。
「さて、俺達は神殿の屋根から降りてベティの所に向かいますか。」
「はい。」
俺は、サティとレディを抱きかかえて風魔法フライで飛び、神殿の屋根に空いている補修用の窓から神殿内に入った。
神殿の入り口では、相変わらず阿行と吽行の前で2人の男達が剣を構えて対峙していた。
男達は、ゆっくりとした足さばきで阿行と吽行に近づくと、2人同時に阿行と吽行に飛び掛かり剣を振った。
その瞬間、後ろに控えていた男達が2方向に分かれて、阿行と吽行の左右から神殿内へと突入していった。
阿行と吽行は、神殿内に突入した男達を追うことはせず、目の前の男達にのみ意識を集中していた。
また、2人の男達が阿行と吽行に向けて剣を構えた。
すると、今度は阿行と吽行も全身に力を込めて突撃の姿勢を取った。
先に動いたのは、龍殺しの一族の2人の男達だった。
男達は、上段に構えた剣を渾身の力を振り絞って阿行と吽行に振り下ろした。
が、剣を振り下ろした咲に阿行と吽行の姿はなかった。
男達は次の瞬間に見たものは、阿行と吽行の手の平だった。
もう男達の目の前まで巨大な手のひらが近づいていた。
男達は振り下ろした剣をその手のひらに向かって振り上げた。
だが遅かった。男達の顔に向かって放たれた巨大な手のひらは男達の顔を直撃した。
しかも、阿行と吽行が両方から2人の男達を挟み込むように手のひらを放ったので、男達は阿行と吽行の手のひらに潰される形となった。
阿吽の呼吸だった。
阿行と吽行が巨大な手のひらを引き払うと、頭と顔から血を流して事切れた2人の男が地面に沈んでいった。
6人の男達が神殿内へと突入した。
まず最初にローザがひとりの男と剣を交え、続いてクリスとガーネも剣を交えた。
残る3人は、3人に見向きもせずに神殿のさらに奥へと突き進んだ。
ローザは、久しぶりの剣技に酔っていた。
「私は剣士だ。決してウエイトレスではない。ああ。楽しい。なんて楽しいんだ。もっと剣を振って見せてくれ。私を闘いの場に呼び戻してくれ。ああ。なんて楽しい世界だ。」
ローザは、小声でブツブツを言いながら男と剣を交えていた。
ローザと対峙した男はあせった。力量が拮抗していれば、闘いの最中に話すなどという余裕は生まれないはずなのだ。
それが、前の前にいるダークエルフの女は、ブツブツとひとり言を永遠と話しているのだ。
男とローザは何度か剣を交わすと少し距離を取った。
するとローザがぼそりと呟いた。
「もっと強いと思ったがそうでもないか。残念だ。実に残念だ。」
男は、龍殺しの一族の中でも上位の剣技を持った剣士だ。
その男の前で対峙する敵が"残念だ"と言ったのだ。
思わず剣を握る手に力が入り、ローザに向かって全力で剣を振り下ろした。
ローザは、男の剣を榊から預かった魔剣で受け止めると、さっきまでとはまるで違う静かな声で言い放った。
「面白かったよ。龍殺しの一族とやらの剣士さん。」
ローザは、そう言うと男の剣を自身の剣で押し返して目にも止まらぬ速さで男の胸へと剣を振り下ろした。
男は、あまりの剣の速さに対応しきれずローザの剣を胸に受けた。
男は、胸から大量に血を流し、口からは血を吐いていた。
しかし、倒れることはなかった。
「まだだ、もう一撃浴びせてやる。」
男は、よろよろとしながらもローザの前でもう一度上段の構えを見せた。
「お前はもう無理だ。その体では剣は振れぬ。」
そう言うとローザは、体から力を抜いて剣を構える姿勢を解いた。その代わり魔剣に向かって魔力を込めはじめた。
「雷撃。」
ローザがそう呟くと、魔剣に稲妻が纏わりつき男に向かって稲妻が飛んだ。
男の体に稲妻が到達するや男は全身を振わせた。やがて体のあちこちから煙を吹き出しながら神殿の床へと倒れていった。
「榊め。面白い剣をくれたな。これは、楽しいぞ。」
ローザは、床に倒れた男に向かってこういった。
「悪いな、お前に恨みがあった訳ではないが戦った以上はどちらかが死ぬ。今回は、力量が少し足りなかったお前だっただけだ。次は私かもな。でも殺られるなら強いやつに倒されたいものだ。」
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