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18.火龍の神殿
42.飲食ギルド。(その1)
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面倒事が起こった。
以前、飲食ギルドが俺のレストランの売り上げを調べ上げて文句を言ってきたので仕方なく飲食ギルドに加入したという事があった。
別に飲食ギルドに加入しなくても飲食店を営業して問題はない。現に街で営業している飲食店の半分はギルドに加入していない。
ただ、大規模に営業していない店が殆どなので、飲食ギルドに加入しなくても問題にはならなかったのだ。
俺の店の様に規模が大きくなると、面倒事が増えるのでお付き合いで加入した訳だが売り上げによって上納金を持ってこいと言い出す始末だ。
それでも我慢をしていたのだが、飲食ギルドとしてはもっと金を搾り取れると踏んだようだ。
俺が飲食ギルドに加入してから一度も顔も出さず、挨拶もせず、接待もしないため我慢できなかったようだ。
俺としては、お付き合いで加入したギルドの脂ぎったおやじ達の油の溜まった腹をさらに肥やすために頭を下げて接待をする必要が見いだせなかったというのが本音だ。
で、やつらはいろいろ面倒事をおこしてギルドを利用させることで、ギルドの利用価値があると思わせる作戦の出てきたのだ。
・チンピラや素行の悪い冒険者を使ってレストランの営業を妨害する。
・レストランの食材を購入している市場の問屋や店に圧力をかけて仕入れを妨害する。
・近隣の村から食材の配達を請け負っている人達が街に入る時に意味不明な関税をかけて街に入れないようにする。
"チンピラや素行の悪い冒険者を使ってレストランの営業を妨害する"件については、レストランでウエイトレスをやっているダークエルフのローザさんにお願いして対応してもらった。
店の前で客にいちゃもんをつけたり暴れるチンピラが出ると、ローザさんが剣を持って薙ぎ払いに行くのだ。
元々ローザさんは、前王の護衛を行っていたAクラスの冒険者だったので、そこいらの腕の立つ冒険者が剣を抜いても敵う相手ではなかった。
「おい、そこのチンピラ、店の前で何をしている。」
ローザさんはチンピラの前に出る前から既に剣を抜いていた。
「おいおい、ウエイトレスの服をきたねーちゃんが剣なんか抜いて大丈夫なのか。」
「それとも"俺の剣"で可愛がってやろうか。」
チンピラはにやにやした笑い顔で、自前の股間を突き出してローザをからかっていた。
「"俺の剣"というのは、その股間についてる"貧弱な豆"のことか、えらい小さな"豆"だな。そんな小さな豆では私の中に入ることもできんぞ。」
「なんだこのアマ、優しくしてればつけあがりやがって。」
チンピラ達は、そう言うとローザを囲んでナイフで威嚇し始めた。
「おい、まさかロングソード相手にその短剣で相手をするのか。お前達、人を殺したことないだろう。短剣でロングソードを相手にしたら命がいくつあっても足りないぞ。」
「口の減らないアマだ。やっちまえ。」
ローザを囲んだチンピラ達が一斉に飛び掛かろうとした時だった。
「雷撃。」
ローザが剣スキルを唱えた。すると剣に雷撃が纏わりつき、ローザを囲っていたチンピラ達が次々と感電して倒れていった。
「おー、榊殿が貸してくれたこの"神器"はすごいな。何もしないのに簡単に敵を葬れる。」
俺達がローザの元に駆け付けた時には、チンピラはローザによって全員縛られていた。
縛ったチンピラ達を家の裏に連れて行き、誰の命令でこんな事をしているのか聞いてみたが思いのほか口が堅かった。
するとアレスが満面の笑みを浮かべて縛られたチンピラの前へと歩み出した。
「あなた達、冒険者ギルドの壁に"ナンパ禁止"の張り紙がしてあるの知ってる?」
「ああ、有名な話だ。どこかの頭のイカレタ女をナンパすると一物をむしり取られるってやつだろ。」
「それ、私なの。あなた達、運がいいわ。最後に一物を使うのが私のためなんて。」
「まて、まて、まて、本当に待ってくれ、言う、言うから。俺達は、"ココ"マフィアの構成員だ。飲食ギルドに頼まれてレストランの営業を妨害しろと言われたんだ。さあ、話たんだからこの縄を
解いてくれ。」
俺は、アレスと立ち話をした後、アレスお得意のやつをやってもらった。
「そうね、せっかく話してくれたんだから逃がしてあげる。」
「阿行、吽行、彼らをオーガの巣の前に置いてきて。運が良ければ逃げ切れるはずよ。」
「ちょっと待て、オーガってなんだよ。ちょっと、あー。」
チンピラ達が阿行と吽行に連れられて森の奥のオーガの巣へとピクニックへと向かった。
その後も、何度かチンピラやら冒険者がレストランの前で暴れたが、そいつらはいつの間にか"ココ"の街から居なくなっていた。
それから何日かして"ココ"マフィアの頭から"詫状"と黄金色のお菓子が入った包みが送られてきた。当然、その黄金色のお菓子は、硬くて食べられる物ではなく金色に輝くお菓子だった。
詫状を広げてみると、以下の事が書いてあった。
「"ココ"マフィアは、本件から手を引く。今後は、そちらには一切の手出しをしない。」
俺も、マフィアが街でいろんな悪さをしているのは知っている。だが、それが必要な場合もあるのだ。だからあえて彼らと戦争をする気はなかった。マフィアの頭とは、今後いい茶飲み話の相手になってもらえると思う。
ある時、"ココ"の街の近くの村から食材運びを頼んでいる人達が、"ココ"の街に入ろうとすると関税と称して銀貨5枚を要求され始めた。
配達を行っていた人達は、仕方なく銀貨5枚を払ったが、配達をしている人達にとって銀貨5枚は大金だ。
さらに、市場でいつも仕入れを行っている問屋や店から食材の仕入れを拒否され始めた。
仕入れを拒否する理由はなかなか教えてくれなかったが、懇意にしているある店のおやじさんが教えてくれた。
「俺が教えたって言うなよ。飲食ギルドの連中が、あんたの店の売り上げが良いことに目を付けて、上納金をもっとふんだくろうとしているらしいぞ。」
「おやじさん、教えてくれてありがとう。」
俺はそう言うと、おやじさんの手に金貨を1枚つかませた。
「おいおい、こりゃいくらなんでも多すぎた。」
「いいよ、また買いに来るから、その時にサービスしてくれ。」
俺は、店のおやじさんに笑顔で挨拶をして別れた。
「クリス、飲食ギルドに行くぞ、一応"もめごと"はなしだ。ただ、話合いが決裂したら殺る。」
「はい、主様。」
あー、クリスの表情がものすごい笑顔に変わった。これは、やりたくてうずうずしている顔だ。
以前、飲食ギルドが俺のレストランの売り上げを調べ上げて文句を言ってきたので仕方なく飲食ギルドに加入したという事があった。
別に飲食ギルドに加入しなくても飲食店を営業して問題はない。現に街で営業している飲食店の半分はギルドに加入していない。
ただ、大規模に営業していない店が殆どなので、飲食ギルドに加入しなくても問題にはならなかったのだ。
俺の店の様に規模が大きくなると、面倒事が増えるのでお付き合いで加入した訳だが売り上げによって上納金を持ってこいと言い出す始末だ。
それでも我慢をしていたのだが、飲食ギルドとしてはもっと金を搾り取れると踏んだようだ。
俺が飲食ギルドに加入してから一度も顔も出さず、挨拶もせず、接待もしないため我慢できなかったようだ。
俺としては、お付き合いで加入したギルドの脂ぎったおやじ達の油の溜まった腹をさらに肥やすために頭を下げて接待をする必要が見いだせなかったというのが本音だ。
で、やつらはいろいろ面倒事をおこしてギルドを利用させることで、ギルドの利用価値があると思わせる作戦の出てきたのだ。
・チンピラや素行の悪い冒険者を使ってレストランの営業を妨害する。
・レストランの食材を購入している市場の問屋や店に圧力をかけて仕入れを妨害する。
・近隣の村から食材の配達を請け負っている人達が街に入る時に意味不明な関税をかけて街に入れないようにする。
"チンピラや素行の悪い冒険者を使ってレストランの営業を妨害する"件については、レストランでウエイトレスをやっているダークエルフのローザさんにお願いして対応してもらった。
店の前で客にいちゃもんをつけたり暴れるチンピラが出ると、ローザさんが剣を持って薙ぎ払いに行くのだ。
元々ローザさんは、前王の護衛を行っていたAクラスの冒険者だったので、そこいらの腕の立つ冒険者が剣を抜いても敵う相手ではなかった。
「おい、そこのチンピラ、店の前で何をしている。」
ローザさんはチンピラの前に出る前から既に剣を抜いていた。
「おいおい、ウエイトレスの服をきたねーちゃんが剣なんか抜いて大丈夫なのか。」
「それとも"俺の剣"で可愛がってやろうか。」
チンピラはにやにやした笑い顔で、自前の股間を突き出してローザをからかっていた。
「"俺の剣"というのは、その股間についてる"貧弱な豆"のことか、えらい小さな"豆"だな。そんな小さな豆では私の中に入ることもできんぞ。」
「なんだこのアマ、優しくしてればつけあがりやがって。」
チンピラ達は、そう言うとローザを囲んでナイフで威嚇し始めた。
「おい、まさかロングソード相手にその短剣で相手をするのか。お前達、人を殺したことないだろう。短剣でロングソードを相手にしたら命がいくつあっても足りないぞ。」
「口の減らないアマだ。やっちまえ。」
ローザを囲んだチンピラ達が一斉に飛び掛かろうとした時だった。
「雷撃。」
ローザが剣スキルを唱えた。すると剣に雷撃が纏わりつき、ローザを囲っていたチンピラ達が次々と感電して倒れていった。
「おー、榊殿が貸してくれたこの"神器"はすごいな。何もしないのに簡単に敵を葬れる。」
俺達がローザの元に駆け付けた時には、チンピラはローザによって全員縛られていた。
縛ったチンピラ達を家の裏に連れて行き、誰の命令でこんな事をしているのか聞いてみたが思いのほか口が堅かった。
するとアレスが満面の笑みを浮かべて縛られたチンピラの前へと歩み出した。
「あなた達、冒険者ギルドの壁に"ナンパ禁止"の張り紙がしてあるの知ってる?」
「ああ、有名な話だ。どこかの頭のイカレタ女をナンパすると一物をむしり取られるってやつだろ。」
「それ、私なの。あなた達、運がいいわ。最後に一物を使うのが私のためなんて。」
「まて、まて、まて、本当に待ってくれ、言う、言うから。俺達は、"ココ"マフィアの構成員だ。飲食ギルドに頼まれてレストランの営業を妨害しろと言われたんだ。さあ、話たんだからこの縄を
解いてくれ。」
俺は、アレスと立ち話をした後、アレスお得意のやつをやってもらった。
「そうね、せっかく話してくれたんだから逃がしてあげる。」
「阿行、吽行、彼らをオーガの巣の前に置いてきて。運が良ければ逃げ切れるはずよ。」
「ちょっと待て、オーガってなんだよ。ちょっと、あー。」
チンピラ達が阿行と吽行に連れられて森の奥のオーガの巣へとピクニックへと向かった。
その後も、何度かチンピラやら冒険者がレストランの前で暴れたが、そいつらはいつの間にか"ココ"の街から居なくなっていた。
それから何日かして"ココ"マフィアの頭から"詫状"と黄金色のお菓子が入った包みが送られてきた。当然、その黄金色のお菓子は、硬くて食べられる物ではなく金色に輝くお菓子だった。
詫状を広げてみると、以下の事が書いてあった。
「"ココ"マフィアは、本件から手を引く。今後は、そちらには一切の手出しをしない。」
俺も、マフィアが街でいろんな悪さをしているのは知っている。だが、それが必要な場合もあるのだ。だからあえて彼らと戦争をする気はなかった。マフィアの頭とは、今後いい茶飲み話の相手になってもらえると思う。
ある時、"ココ"の街の近くの村から食材運びを頼んでいる人達が、"ココ"の街に入ろうとすると関税と称して銀貨5枚を要求され始めた。
配達を行っていた人達は、仕方なく銀貨5枚を払ったが、配達をしている人達にとって銀貨5枚は大金だ。
さらに、市場でいつも仕入れを行っている問屋や店から食材の仕入れを拒否され始めた。
仕入れを拒否する理由はなかなか教えてくれなかったが、懇意にしているある店のおやじさんが教えてくれた。
「俺が教えたって言うなよ。飲食ギルドの連中が、あんたの店の売り上げが良いことに目を付けて、上納金をもっとふんだくろうとしているらしいぞ。」
「おやじさん、教えてくれてありがとう。」
俺はそう言うと、おやじさんの手に金貨を1枚つかませた。
「おいおい、こりゃいくらなんでも多すぎた。」
「いいよ、また買いに来るから、その時にサービスしてくれ。」
俺は、店のおやじさんに笑顔で挨拶をして別れた。
「クリス、飲食ギルドに行くぞ、一応"もめごと"はなしだ。ただ、話合いが決裂したら殺る。」
「はい、主様。」
あー、クリスの表情がものすごい笑顔に変わった。これは、やりたくてうずうずしている顔だ。
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