164 / 169
18.火龍の神殿
44.水神様の戯れ。(その1)
しおりを挟む
朝、皆の朝食を作るため俺は、台所に立って料理を作っていた。
「あっ、水神様。おはようございます。」
「おう、はようなのじゃ。」
んっ、…じゃ。それに水神様?龍神様の間違いじゃないのか、これはベティか。でも声が違うぞ。
俺が振り返るとそこには水神様とお付きの神官がふたり立っていた。
「ええっ、水神様おはようございます。でもこんな朝からどうしたんですか。」
「いやな、この前"龍殺しの一族"が攻めて来た時にお主らがチームで助けに来てくれたじゃろ。わしの国の兵士では全く相手にならなくて酷いありさまじゃったと聞かされてな、命の恩人にお礼を言いに来たのじゃ。」
「それなら言ってくれれば、こちらから出向いたんですよ。」
「それでは礼にならんじゃろう。わしの命も、子の命もお主が助けたのじゃ。子といってもわしは龍じゃから産んだのは卵だ。本当の意味で生まれるのはもう少し先じゃ。」
「水神様、朝ご飯はもう食べましたか、まだなら食べませんか。神殿のご飯に比べたら美味しくありませんが。」
「そうじゃな、旦那の手料理を食べるのもたまには良いかの。」
えっ、今なんか爆弾発言をされましたよ。俺は龍神様と結婚した覚えはありませんよ。
でも、子の父親は俺です。そうなると俺は水神様の旦那になるんですか。
水神様の旦那発言に場の空気が緊張した。
うちの神器組4人とサティがピリピリし始めた。
ただひとりベティを除いて。ベティは、朝ごはんの準備が出来るのを椅子に座って楽しそうに待っていた。
俺はあえて旦那発言をスルーした。
「すっ、水神様、そこの空いてる席に座ってください。」
神官のふたりには空いている席に座ってもらった。
俺がそう言うと、なぜか俺の隣りの席に座った。
そこは一番面倒くさいクリスの席だ。やってくれたぜ水神様。
クリスが氷の微笑で水神様の後ろに立っていた。微笑というより般若の顔だ。
「クリスとやら、空いてる席に座るのじゃ、でないと食事が始まらぬのじゃ。」
クリスは、般若のような顔をしていたが、俺が両手を合わせて謝る姿勢をしたところ、場の
空気を読んでくれたようで、仕方なく空いてる席へ座ってくれた。
みんなが席に座ったところで朝食が始まった。
俺は焼いたパンを千切って口に運ぼうとしたところ、横からパンが俺の顔の前に出てきた。
俺の顔の前にパンを出した手を見るとそれは水神様だった。
「どうしたのじゃ、旦那にパンを食べさせようとしておるだけじゃ。さあ、榊殿の嫁であるわしが食べさせるのじゃ、ゆっくりと咬んで食べるのじゃぞ。」
朝食の場にガラスの割れる音が本当に響いた。
最初はクリスだった。持っていたコップが粉々に割れていた。続いてアレス、レディ、ガーネ、サティの順に持っていたコップが割れていた。
俺は、水神様が手に持っていたパンを口に入れながら、体中から汗が噴き出していた。
どうしよう、水神様は本気だ。ここにいる女性全員と喧嘩をしに来たんだ。
クリス、アレス、レディ、ガーネ、サティも喧嘩を買う気満々だ。
やばい、やばいぞ。おれのハーレムが崩壊の危機にある。がんばれ、無い知恵を振り絞れ。
「そういえば水神様。セイランド王国の新しい女王様と大臣達が水神様に謁見したいと懇願しておりました。水神様への謁見が叶えば、セール王国の国王様への謁見も叶うとか。ぜひお願いできませんか。」
水神様は、俺にふたつ目のパンを千切って俺に食べさせようとしていたが、俺が面倒な話を振ったので、パンを持つ手を降ろして話始めた。
「無粋な連中じゃのう。しかしお主が住んでいる国の国王だしの。以前聞いた話では、お主がこの国の王の首を挿げ替えたようなものなんじゃろう。なら無碍にもできんな。その話はわしが国王に進言してみるのじゃ。旦那のお願いを聞くのも良き妻なら当然じゃ。」
ああっ、さっきよりかは良くなったが、まだ空気は最悪だ。
とっ、そこへレストランのコックが話があると食事中の食堂へと入ってきた。
えらい。おまえ偉いぞ。後でボーナス出す。
「ちょっとすみません。従業員が話があるとかで、ちょっと席を外します。」
俺は、いそいで席を立つとコックと一緒にレストランへと向かった。
「おい、偉いぞ。あの場にお前が来なかったら今頃血みどろの闘いになっていたぞ。」
俺は、財布から金貨を取り出してコックの手に握らせた。
「榊さん、何の事か分からないのですが、それにこの金貨はなんですか。」
「いいんだ、取っておけ。俺からの臨時の"こずかい"とでも思ってもらえばいいさ。でも他の従業員には言うなよ。」
「なんだかよく分かりませんが他の従業員には黙っておきます。」
「水神様、今日の態度はあからさますぎます。ここは皆で住んでいる家です。水神様の家ではありません。以後、お言葉にはご注意ください。」
クリスが皆の言葉を代弁するように話始めた。
「そうか、妻が旦那様と話すのじゃ。そんなに目くじらを立てる必要もなかろう。」
皆が水神様の顔を睨み始めた。
「なんじゃ、水神様が妻なら第1婦人かの。ならわしは第2夫人じゃ。」
突然、ベティがあらぬ事を言い始めた。
「榊殿は、水神様の角を掴んだのは事実じゃ、それは皆も目の前で見ておるじゃろう。それは龍神にしてみれば求婚をしたという意味じゃ、わしの角も榊殿は掴んでおる。じゃからわしも榊殿に求婚されたと思っても不思議ではないのじゃ。」
「でも、皆は榊殿に結婚してくれと言われた事はないはずじゃ。違うか。」
ベティが至極当然な事を言い出した途端、皆の顔が急に青くなりだした。
「水神様よ、水神様にも言い分はあるのは分かる。じゃがな、この家の中でそれを言い出すのはちと大人げないのじゃ。800年も生きておる水神様だからこそ、皆の気持ちを汲んで欲しいのじゃ。これはわしからのお願いじゃ。」
なんと、ベティがベティらしからぬ言葉で皆を説得していた。
「そうじゃな、わしも大人げなかった。それにわしはベティに助けられたし、皆にも助けられたのじゃ。その恩を仇で返すとは、わしは間違っておったのじゃ。すまぬ。」
ベティは、さっきまでの話の事などお構いなしに朝食のパンをバクバクと食べていた。
皆も、割れたコップを片付けて朝食を再開した。
その後は、水神様の"わしが第1夫人"発言もなく静かに朝食は終わった。
今日は、これから魔族の魔王様が出現させた転移門を移転させた村に皆で行く事を伝えた。
その村に出店させた店の前で、魔王様の馬車の車列を見学に行くという話をしたところ、水神様も一緒に行くといいだした。
「つまり、お主らが居る事を魔王に見せつけるんじゃな。なら龍神がふたりいた方がもっとアピールになるぞ。魔王もよもや龍神がふたりもいるところへ戦争などしかけぬじゃろう。きっと腰を抜かすぞ。」
魔王様が転移門を通って村に到着するのは、昼ごろなのでもう少し時間があった。
居間のソファに座って水神様と雑談をしていたところ、この街の冒険者ギルドのギルド長が昔、水神様と同じ冒険者チームに居たという話をしたところ、水神様は"にやり"と笑って立ち上がった。
「よし、まだ時間はある。今からその冒険者ギルドへ行くのじゃ。」
話をするんじゃなかった。悪い予感しかしない、きっと後悔することになるんだよ。
俺は、仕方なくこの街の冒険者ギルドへ水神様を案内することになった。
「あっ、水神様。おはようございます。」
「おう、はようなのじゃ。」
んっ、…じゃ。それに水神様?龍神様の間違いじゃないのか、これはベティか。でも声が違うぞ。
俺が振り返るとそこには水神様とお付きの神官がふたり立っていた。
「ええっ、水神様おはようございます。でもこんな朝からどうしたんですか。」
「いやな、この前"龍殺しの一族"が攻めて来た時にお主らがチームで助けに来てくれたじゃろ。わしの国の兵士では全く相手にならなくて酷いありさまじゃったと聞かされてな、命の恩人にお礼を言いに来たのじゃ。」
「それなら言ってくれれば、こちらから出向いたんですよ。」
「それでは礼にならんじゃろう。わしの命も、子の命もお主が助けたのじゃ。子といってもわしは龍じゃから産んだのは卵だ。本当の意味で生まれるのはもう少し先じゃ。」
「水神様、朝ご飯はもう食べましたか、まだなら食べませんか。神殿のご飯に比べたら美味しくありませんが。」
「そうじゃな、旦那の手料理を食べるのもたまには良いかの。」
えっ、今なんか爆弾発言をされましたよ。俺は龍神様と結婚した覚えはありませんよ。
でも、子の父親は俺です。そうなると俺は水神様の旦那になるんですか。
水神様の旦那発言に場の空気が緊張した。
うちの神器組4人とサティがピリピリし始めた。
ただひとりベティを除いて。ベティは、朝ごはんの準備が出来るのを椅子に座って楽しそうに待っていた。
俺はあえて旦那発言をスルーした。
「すっ、水神様、そこの空いてる席に座ってください。」
神官のふたりには空いている席に座ってもらった。
俺がそう言うと、なぜか俺の隣りの席に座った。
そこは一番面倒くさいクリスの席だ。やってくれたぜ水神様。
クリスが氷の微笑で水神様の後ろに立っていた。微笑というより般若の顔だ。
「クリスとやら、空いてる席に座るのじゃ、でないと食事が始まらぬのじゃ。」
クリスは、般若のような顔をしていたが、俺が両手を合わせて謝る姿勢をしたところ、場の
空気を読んでくれたようで、仕方なく空いてる席へ座ってくれた。
みんなが席に座ったところで朝食が始まった。
俺は焼いたパンを千切って口に運ぼうとしたところ、横からパンが俺の顔の前に出てきた。
俺の顔の前にパンを出した手を見るとそれは水神様だった。
「どうしたのじゃ、旦那にパンを食べさせようとしておるだけじゃ。さあ、榊殿の嫁であるわしが食べさせるのじゃ、ゆっくりと咬んで食べるのじゃぞ。」
朝食の場にガラスの割れる音が本当に響いた。
最初はクリスだった。持っていたコップが粉々に割れていた。続いてアレス、レディ、ガーネ、サティの順に持っていたコップが割れていた。
俺は、水神様が手に持っていたパンを口に入れながら、体中から汗が噴き出していた。
どうしよう、水神様は本気だ。ここにいる女性全員と喧嘩をしに来たんだ。
クリス、アレス、レディ、ガーネ、サティも喧嘩を買う気満々だ。
やばい、やばいぞ。おれのハーレムが崩壊の危機にある。がんばれ、無い知恵を振り絞れ。
「そういえば水神様。セイランド王国の新しい女王様と大臣達が水神様に謁見したいと懇願しておりました。水神様への謁見が叶えば、セール王国の国王様への謁見も叶うとか。ぜひお願いできませんか。」
水神様は、俺にふたつ目のパンを千切って俺に食べさせようとしていたが、俺が面倒な話を振ったので、パンを持つ手を降ろして話始めた。
「無粋な連中じゃのう。しかしお主が住んでいる国の国王だしの。以前聞いた話では、お主がこの国の王の首を挿げ替えたようなものなんじゃろう。なら無碍にもできんな。その話はわしが国王に進言してみるのじゃ。旦那のお願いを聞くのも良き妻なら当然じゃ。」
ああっ、さっきよりかは良くなったが、まだ空気は最悪だ。
とっ、そこへレストランのコックが話があると食事中の食堂へと入ってきた。
えらい。おまえ偉いぞ。後でボーナス出す。
「ちょっとすみません。従業員が話があるとかで、ちょっと席を外します。」
俺は、いそいで席を立つとコックと一緒にレストランへと向かった。
「おい、偉いぞ。あの場にお前が来なかったら今頃血みどろの闘いになっていたぞ。」
俺は、財布から金貨を取り出してコックの手に握らせた。
「榊さん、何の事か分からないのですが、それにこの金貨はなんですか。」
「いいんだ、取っておけ。俺からの臨時の"こずかい"とでも思ってもらえばいいさ。でも他の従業員には言うなよ。」
「なんだかよく分かりませんが他の従業員には黙っておきます。」
「水神様、今日の態度はあからさますぎます。ここは皆で住んでいる家です。水神様の家ではありません。以後、お言葉にはご注意ください。」
クリスが皆の言葉を代弁するように話始めた。
「そうか、妻が旦那様と話すのじゃ。そんなに目くじらを立てる必要もなかろう。」
皆が水神様の顔を睨み始めた。
「なんじゃ、水神様が妻なら第1婦人かの。ならわしは第2夫人じゃ。」
突然、ベティがあらぬ事を言い始めた。
「榊殿は、水神様の角を掴んだのは事実じゃ、それは皆も目の前で見ておるじゃろう。それは龍神にしてみれば求婚をしたという意味じゃ、わしの角も榊殿は掴んでおる。じゃからわしも榊殿に求婚されたと思っても不思議ではないのじゃ。」
「でも、皆は榊殿に結婚してくれと言われた事はないはずじゃ。違うか。」
ベティが至極当然な事を言い出した途端、皆の顔が急に青くなりだした。
「水神様よ、水神様にも言い分はあるのは分かる。じゃがな、この家の中でそれを言い出すのはちと大人げないのじゃ。800年も生きておる水神様だからこそ、皆の気持ちを汲んで欲しいのじゃ。これはわしからのお願いじゃ。」
なんと、ベティがベティらしからぬ言葉で皆を説得していた。
「そうじゃな、わしも大人げなかった。それにわしはベティに助けられたし、皆にも助けられたのじゃ。その恩を仇で返すとは、わしは間違っておったのじゃ。すまぬ。」
ベティは、さっきまでの話の事などお構いなしに朝食のパンをバクバクと食べていた。
皆も、割れたコップを片付けて朝食を再開した。
その後は、水神様の"わしが第1夫人"発言もなく静かに朝食は終わった。
今日は、これから魔族の魔王様が出現させた転移門を移転させた村に皆で行く事を伝えた。
その村に出店させた店の前で、魔王様の馬車の車列を見学に行くという話をしたところ、水神様も一緒に行くといいだした。
「つまり、お主らが居る事を魔王に見せつけるんじゃな。なら龍神がふたりいた方がもっとアピールになるぞ。魔王もよもや龍神がふたりもいるところへ戦争などしかけぬじゃろう。きっと腰を抜かすぞ。」
魔王様が転移門を通って村に到着するのは、昼ごろなのでもう少し時間があった。
居間のソファに座って水神様と雑談をしていたところ、この街の冒険者ギルドのギルド長が昔、水神様と同じ冒険者チームに居たという話をしたところ、水神様は"にやり"と笑って立ち上がった。
「よし、まだ時間はある。今からその冒険者ギルドへ行くのじゃ。」
話をするんじゃなかった。悪い予感しかしない、きっと後悔することになるんだよ。
俺は、仕方なくこの街の冒険者ギルドへ水神様を案内することになった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる