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理解者
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言いようのない不安と違和感を抱えてフィオディークは私室に戻った。
城内でこれ以上民の声を聞くことは難しそうだった。フィオディークの足取りは重い。
他の場所を探すしかないが、これで締め付けがきつくなるかもしれない。フィオディークはため息をこぼした。
フィオディークは自室の前に見覚えのある姿を見つけた。
背が高く、くすんだ金の角に白銀の髪、澄んだ青緑の瞳の竜人。神経質そうな顔立ちに顎髭を生やした姿はどこか威圧感がある。
「ティルフィア様」
「フィオディーク殿」
そこにいたのは、大臣のティルフィアだった。何人かいる大臣たちの中でも一番位が高く、年も上だ。ティルフィアは多忙でまだ話をしたことはない。
まさかティルフィアの方から訪ねてきてくれるとは思わなかった。フィオディークも話をしなくてはいけないと思っていたところだった。
「どうされましたか」
まさか余計なことをするなと怒られるのだろうかと、フィオディークは怯えながら様子を窺った。しかし、ティルフィアはフィオディークに向き直ると表情を和らげた。
「お話ししたいことが。預言のことです」
「は、はい」
フィオディークの声が上擦る。
「今のこの国には、必要なものです。よくぞ届けてくださいました」
深々と頭を下げるティルフィアの声には切実さが滲んでいた。
他の者たちとは明らかに違う反応に、身構えていたフィオディークは肩透かしを食らった気分だった。
「お顔を上げてください、ティルフィア様」
フィオディークが感じたのは安堵だった。預言に対して、こんなにも真摯な反応を返してくれる者がいることを嬉しく思う。
温度差を感じるばかりだったフィオディークはようやく現れた理解者に安堵した。
王宮にやってきてから話をした中では一番話も通じそうな相手だった。
「私も手を尽くしてはいますが、今の王を正すのはなかなかに手がかかる。これで、王が変わってくれればいいのですが」
「私にできることなら、何でもします」
フィオディークを駆り立てるのは使命感だった。神から力を与えられ、トルヴァディアからは預言を授かった。それはフィオディークの胸に火を灯した。
「その、私はこの国のことを何も知りません。民の声を聞くこともできない。どうかこの国のことを、民のことを教えていただけませんか」
他に縋れるものはない。フィオディークはティルフィアの目を見た。これでだめならばまた探さなければならない。
「構いませんよ。私の執務室に地図があります。そちらで話をしましょう」
ティルフィアの微笑みはフィオディークに安堵を与えてくれた。孤独には慣れていたが、慣れない王宮で疲弊した心にはティルフィアの存在は温かく染み渡った。
ティルフィアの後に続いて王宮を歩く。すれ違う者たちは皆、深く頭を下げていく。ティルフィアの位だけではない、人柄がそうさせているように思えた。
「こちらです」
通されたのは、フィオディークの部屋よりも一回り広い部屋だった。
執務室というだけあって、大きな机があり、応接用の椅子と机がある。そして、壁には大きな地図があった。
フィオディークの目の前には、広大な大地の地図が広がる。黄昏の大陸だけではない。世界の描かれた地図を目にするのは初めてだった。
ぼんやりとした知識しかなかったフィオディークは、目を瞠り、言葉を失う。
世界はこんなにも広いのか。
「地図をご覧になるのは初めてですか」
「はい」
ため息のような声を漏らすのがやっとだった。
呆けるフィオディークを見て、ティルフィアは眉を下げて笑った。
広い地図の左端にある大陸の前でティルフィアが足を止めた。
「ここが我々の住む黄昏の大地です」
ティルフィアの持ち上げた手が示すのは、大陸の中程だった。
「ここが王都リウストラ。周囲は広い平地が広がり、農業が盛んです。そして、ここから南西には鉱石の産地エンダール、東には港町エウノア。エウノアには外国からの船もやってきます」
ゆっくりと地図の上をなぞるティルフィアの指先をフィオディークは目で追う。
「外国から」
「ええ。この大陸の外には、七つの島があります。創世の大戦で引き裂かれたと言われている、七つの大地です。各地に国があり、貿易のために船がやってきます。この地図も貿易でこの大陸にもたらされたものです」
知らないことだらけだ。フィオディークはじっと地図を見つめた。
「北部は、あなたも知る霊峰アンティウムがある。麓にはいくつか村があります」
先程の荷馬車もそこから来たものだ。フィオディークもこの辺りには行ったことがある。
「その西に広がるウェルバ大森林のさらに奥には、王弟殿下の治める北西の都レシェラーテがあります。そちらは古くから安定した統治が続いています。そして、南方。こちらは小国がひしめき、主君が変わるたびに小競り合いが絶えません。今も、戦乱の中にあります」
この大陸だけでもそれだけの地域があるのだ。名前は知っていても、訪れたことのない土地は多い。フィオディークにはそこがどう言った土地なのか、知識はなかった。
「前王は聡明でした。南の戦乱も抑えることができておりましたが、今は」
ティルフィアは悔しそうに言葉を切った。
フィオディークは南の戦乱のことは知らなかった。
「若くして王になったので仕方ないと言う者もおります。しかし、前王を知るものは皆、あれは暗君だと言います」
フィオディークも、前王の治世は知っている。前王は聡明だったと思う。
前王から王位を継いだのが今の王だった。第一王子だった王は頭は良いが、品位と誠実さに欠けると神殿にいた頃耳にした覚えがある。
今はただ見守るしかないのかもしれないが、ティルフィアが言いたいこともわかる。
「今の民は、幸せだとは言えません。課せられるものが重過ぎる。このままでは、この国は内部から腐り落ちます」
ティルフィアの言葉は重い。フィオディークの、脳裏に蘇った、みすぼらしいに馬車を思い出す。
「先程、荷下ろし場で荷馬車を見ました。北の村からの荷馬車でした」
「粗末な荷馬車だったでしょう」
「どうして、それを」
「余計なことをするなと、王の命です。荷馬車は荷が運べればよい。見てくれなどどうでもよいと。それだけならばよかったのですが、王は荷馬車の見てくれを良くする余裕があるのならばと税を課しました」
「そんな」
ティルフィアは目を伏せた。
「この国は病んでいます。だからあのような預言が与えられたのでしょう。長く預言を与えることのなかった竜王様があなたに預言を託したのも、きっとそういうことでしょう」
ティルフィアの言葉は続いた。フィオディークはじっとその声に耳を傾けた。
トルヴァディアは気まぐれに預言を与えないと言われていたが、そうではなかったのだろう。
フィオディークはトルヴァディアの物言いを思い出す。意地悪なところはあるが、賢く、情けも持っている。
預言を与えるまでもなく国が安定していたから、トルヴァディアは使いを帰らせた。
だが、今は違う。だからフィオディークは預言を授けららたのだ。
「どうか、共に王を支えていただきたいのです。預言は国の安寧と繁栄のための礎となるもの。これを軽んじて、国が栄えることはできません」
フィオディークは深く頭を下げた。己に課せられたものを噛み締める。何も知らない自分がどこまでできるのか、フィオディークはできる限りの力を尽くそうと思えた。
ティルフィアは信じるに足る存在だということはよくわかった。不安だった王宮での暮らしに意義と光がようやく見えた気がした。
城内でこれ以上民の声を聞くことは難しそうだった。フィオディークの足取りは重い。
他の場所を探すしかないが、これで締め付けがきつくなるかもしれない。フィオディークはため息をこぼした。
フィオディークは自室の前に見覚えのある姿を見つけた。
背が高く、くすんだ金の角に白銀の髪、澄んだ青緑の瞳の竜人。神経質そうな顔立ちに顎髭を生やした姿はどこか威圧感がある。
「ティルフィア様」
「フィオディーク殿」
そこにいたのは、大臣のティルフィアだった。何人かいる大臣たちの中でも一番位が高く、年も上だ。ティルフィアは多忙でまだ話をしたことはない。
まさかティルフィアの方から訪ねてきてくれるとは思わなかった。フィオディークも話をしなくてはいけないと思っていたところだった。
「どうされましたか」
まさか余計なことをするなと怒られるのだろうかと、フィオディークは怯えながら様子を窺った。しかし、ティルフィアはフィオディークに向き直ると表情を和らげた。
「お話ししたいことが。預言のことです」
「は、はい」
フィオディークの声が上擦る。
「今のこの国には、必要なものです。よくぞ届けてくださいました」
深々と頭を下げるティルフィアの声には切実さが滲んでいた。
他の者たちとは明らかに違う反応に、身構えていたフィオディークは肩透かしを食らった気分だった。
「お顔を上げてください、ティルフィア様」
フィオディークが感じたのは安堵だった。預言に対して、こんなにも真摯な反応を返してくれる者がいることを嬉しく思う。
温度差を感じるばかりだったフィオディークはようやく現れた理解者に安堵した。
王宮にやってきてから話をした中では一番話も通じそうな相手だった。
「私も手を尽くしてはいますが、今の王を正すのはなかなかに手がかかる。これで、王が変わってくれればいいのですが」
「私にできることなら、何でもします」
フィオディークを駆り立てるのは使命感だった。神から力を与えられ、トルヴァディアからは預言を授かった。それはフィオディークの胸に火を灯した。
「その、私はこの国のことを何も知りません。民の声を聞くこともできない。どうかこの国のことを、民のことを教えていただけませんか」
他に縋れるものはない。フィオディークはティルフィアの目を見た。これでだめならばまた探さなければならない。
「構いませんよ。私の執務室に地図があります。そちらで話をしましょう」
ティルフィアの微笑みはフィオディークに安堵を与えてくれた。孤独には慣れていたが、慣れない王宮で疲弊した心にはティルフィアの存在は温かく染み渡った。
ティルフィアの後に続いて王宮を歩く。すれ違う者たちは皆、深く頭を下げていく。ティルフィアの位だけではない、人柄がそうさせているように思えた。
「こちらです」
通されたのは、フィオディークの部屋よりも一回り広い部屋だった。
執務室というだけあって、大きな机があり、応接用の椅子と机がある。そして、壁には大きな地図があった。
フィオディークの目の前には、広大な大地の地図が広がる。黄昏の大陸だけではない。世界の描かれた地図を目にするのは初めてだった。
ぼんやりとした知識しかなかったフィオディークは、目を瞠り、言葉を失う。
世界はこんなにも広いのか。
「地図をご覧になるのは初めてですか」
「はい」
ため息のような声を漏らすのがやっとだった。
呆けるフィオディークを見て、ティルフィアは眉を下げて笑った。
広い地図の左端にある大陸の前でティルフィアが足を止めた。
「ここが我々の住む黄昏の大地です」
ティルフィアの持ち上げた手が示すのは、大陸の中程だった。
「ここが王都リウストラ。周囲は広い平地が広がり、農業が盛んです。そして、ここから南西には鉱石の産地エンダール、東には港町エウノア。エウノアには外国からの船もやってきます」
ゆっくりと地図の上をなぞるティルフィアの指先をフィオディークは目で追う。
「外国から」
「ええ。この大陸の外には、七つの島があります。創世の大戦で引き裂かれたと言われている、七つの大地です。各地に国があり、貿易のために船がやってきます。この地図も貿易でこの大陸にもたらされたものです」
知らないことだらけだ。フィオディークはじっと地図を見つめた。
「北部は、あなたも知る霊峰アンティウムがある。麓にはいくつか村があります」
先程の荷馬車もそこから来たものだ。フィオディークもこの辺りには行ったことがある。
「その西に広がるウェルバ大森林のさらに奥には、王弟殿下の治める北西の都レシェラーテがあります。そちらは古くから安定した統治が続いています。そして、南方。こちらは小国がひしめき、主君が変わるたびに小競り合いが絶えません。今も、戦乱の中にあります」
この大陸だけでもそれだけの地域があるのだ。名前は知っていても、訪れたことのない土地は多い。フィオディークにはそこがどう言った土地なのか、知識はなかった。
「前王は聡明でした。南の戦乱も抑えることができておりましたが、今は」
ティルフィアは悔しそうに言葉を切った。
フィオディークは南の戦乱のことは知らなかった。
「若くして王になったので仕方ないと言う者もおります。しかし、前王を知るものは皆、あれは暗君だと言います」
フィオディークも、前王の治世は知っている。前王は聡明だったと思う。
前王から王位を継いだのが今の王だった。第一王子だった王は頭は良いが、品位と誠実さに欠けると神殿にいた頃耳にした覚えがある。
今はただ見守るしかないのかもしれないが、ティルフィアが言いたいこともわかる。
「今の民は、幸せだとは言えません。課せられるものが重過ぎる。このままでは、この国は内部から腐り落ちます」
ティルフィアの言葉は重い。フィオディークの、脳裏に蘇った、みすぼらしいに馬車を思い出す。
「先程、荷下ろし場で荷馬車を見ました。北の村からの荷馬車でした」
「粗末な荷馬車だったでしょう」
「どうして、それを」
「余計なことをするなと、王の命です。荷馬車は荷が運べればよい。見てくれなどどうでもよいと。それだけならばよかったのですが、王は荷馬車の見てくれを良くする余裕があるのならばと税を課しました」
「そんな」
ティルフィアは目を伏せた。
「この国は病んでいます。だからあのような預言が与えられたのでしょう。長く預言を与えることのなかった竜王様があなたに預言を託したのも、きっとそういうことでしょう」
ティルフィアの言葉は続いた。フィオディークはじっとその声に耳を傾けた。
トルヴァディアは気まぐれに預言を与えないと言われていたが、そうではなかったのだろう。
フィオディークはトルヴァディアの物言いを思い出す。意地悪なところはあるが、賢く、情けも持っている。
預言を与えるまでもなく国が安定していたから、トルヴァディアは使いを帰らせた。
だが、今は違う。だからフィオディークは預言を授けららたのだ。
「どうか、共に王を支えていただきたいのです。預言は国の安寧と繁栄のための礎となるもの。これを軽んじて、国が栄えることはできません」
フィオディークは深く頭を下げた。己に課せられたものを噛み締める。何も知らない自分がどこまでできるのか、フィオディークはできる限りの力を尽くそうと思えた。
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