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秘めやかに注ぐあい1
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イザナギから生まれた神々のうち、マガツヒだけが一際異質だった。
黄泉の国の穢れから生まれたからか、姿も性質も、他に似通うものはいなかった。
穢れを纏い厄災を齎すそれに、イザナギとナオビだけが触れられた。
しかし実のところは、イザナギはナオビ以外が触れるのを決して許さなかった。
マガツヒ興味を示す者はいたが、イザナギはそれを許さず、マガツヒはイザナギの宮にそっと隠されるようになった。
白く烟る視界が何を映しているのか、マガツヒには分からなかった。
寝台の上、向かい合うように抱かれてイザナギの温もりを感じながら、マガツヒはその身体を揺すられていた。胎の奥から湧き上がる悦楽に、イザナギと繋がっていることを教えられる。
過ぎた快感にマガツヒの身体が跳ねると、宥めるように白い手が夜の色の肌を這う。
「マガツヒ」
しっとりと情欲に濡れた声が吹き込まれ、身体中が火を灯したように熱くなる。
「いざなぎさま」
啜り泣くような声を漏らし、マガツヒはイザナギに抱えられて胎の中を掻き回された。逞しい熱の塊が解れきった窄まりを目一杯拡げ、最奥までぴったりと埋める。
イザナギの肉槍がゆったりと出入りすると、中はどこを擦られても気持ちがよくて、マガツヒはぐずるようにイザナギの白い胸元に縋りついた。
「あう、また、ぅ、くる、イザナギ、さま」
小さく跳ねる身体を押さえつけるように優しく抱きしめ、イザナギは熱い鋒でマガツヒの柔い最奥を抉った。
「っひ、あ、ーーッ」
引き攣ったマガツヒの喉からは、掠れた、悲鳴じみた声が上がる。
背骨の浮き出た背を弓形にしならせ、マガツヒは言葉もなく悦楽の中にあることを訴えた。
虚空を仰いだ金色の双眸は涙で濡れて、薄い唇が力なく開閉を繰り返す。口の端からは涎がとろりと垂れた。
「ぃ、んぁ」
マガツヒの弛んだ唇が何かを告げようと蠢くが、うまく音にならない。
「かわいいよ、マガツヒ」
深く貪るような口づけに、マガツヒの密やかな声は容易く掻き消えた。
マガツヒがイザナギの寝所に連れてこられてから随分と日が経っていた。
ナオビはマガツヒを起こし、湯浴みをさせ、手入れをして寝所に戻す役目を任されていた。
寝台の上、くったりと横たわるマガツヒの姿を見るのは何度目だろうかとナオビは思った。
血の河のような長い髪が寝台に散っている。もう何度も手入れをした長い赤い髪は、ここへ来てすぐの頃とは比べ物にならないくらいに柔らかく艶やかになった。
しかし、夜の色の痩せた身体を丸めて眠るマガツヒはあまりに静かで、少し心配になった。初めて見た時よりも、背中に見える骨の凹凸が目立つように思う。
マガツヒは食事をしない。もう魂は身体に馴染んでいるだろうに、何も食べたがらず、ナオビが持ってきたものに、首を横に振るばかりだった。
口に含ませても、飲み込めずにすぐに吐いてしまう。
「どこか痛いのか」
ナオビが訊いても、マガツヒは首を横に振るばかりだった。
そうなってしまうとナオビにはなす術なかった。
見かねてイザナギに相談すると、イザナギは苦笑いした。
「私も何か食べさせてみるよ」
ナオビには、マガツヒは随分とイザナギに懐いているように見えた。イザナギならばなんとかしてくれるのではないか。ナオビはそんな期待を抱いていた。
黄泉の国の穢れから生まれたからか、姿も性質も、他に似通うものはいなかった。
穢れを纏い厄災を齎すそれに、イザナギとナオビだけが触れられた。
しかし実のところは、イザナギはナオビ以外が触れるのを決して許さなかった。
マガツヒ興味を示す者はいたが、イザナギはそれを許さず、マガツヒはイザナギの宮にそっと隠されるようになった。
白く烟る視界が何を映しているのか、マガツヒには分からなかった。
寝台の上、向かい合うように抱かれてイザナギの温もりを感じながら、マガツヒはその身体を揺すられていた。胎の奥から湧き上がる悦楽に、イザナギと繋がっていることを教えられる。
過ぎた快感にマガツヒの身体が跳ねると、宥めるように白い手が夜の色の肌を這う。
「マガツヒ」
しっとりと情欲に濡れた声が吹き込まれ、身体中が火を灯したように熱くなる。
「いざなぎさま」
啜り泣くような声を漏らし、マガツヒはイザナギに抱えられて胎の中を掻き回された。逞しい熱の塊が解れきった窄まりを目一杯拡げ、最奥までぴったりと埋める。
イザナギの肉槍がゆったりと出入りすると、中はどこを擦られても気持ちがよくて、マガツヒはぐずるようにイザナギの白い胸元に縋りついた。
「あう、また、ぅ、くる、イザナギ、さま」
小さく跳ねる身体を押さえつけるように優しく抱きしめ、イザナギは熱い鋒でマガツヒの柔い最奥を抉った。
「っひ、あ、ーーッ」
引き攣ったマガツヒの喉からは、掠れた、悲鳴じみた声が上がる。
背骨の浮き出た背を弓形にしならせ、マガツヒは言葉もなく悦楽の中にあることを訴えた。
虚空を仰いだ金色の双眸は涙で濡れて、薄い唇が力なく開閉を繰り返す。口の端からは涎がとろりと垂れた。
「ぃ、んぁ」
マガツヒの弛んだ唇が何かを告げようと蠢くが、うまく音にならない。
「かわいいよ、マガツヒ」
深く貪るような口づけに、マガツヒの密やかな声は容易く掻き消えた。
マガツヒがイザナギの寝所に連れてこられてから随分と日が経っていた。
ナオビはマガツヒを起こし、湯浴みをさせ、手入れをして寝所に戻す役目を任されていた。
寝台の上、くったりと横たわるマガツヒの姿を見るのは何度目だろうかとナオビは思った。
血の河のような長い髪が寝台に散っている。もう何度も手入れをした長い赤い髪は、ここへ来てすぐの頃とは比べ物にならないくらいに柔らかく艶やかになった。
しかし、夜の色の痩せた身体を丸めて眠るマガツヒはあまりに静かで、少し心配になった。初めて見た時よりも、背中に見える骨の凹凸が目立つように思う。
マガツヒは食事をしない。もう魂は身体に馴染んでいるだろうに、何も食べたがらず、ナオビが持ってきたものに、首を横に振るばかりだった。
口に含ませても、飲み込めずにすぐに吐いてしまう。
「どこか痛いのか」
ナオビが訊いても、マガツヒは首を横に振るばかりだった。
そうなってしまうとナオビにはなす術なかった。
見かねてイザナギに相談すると、イザナギは苦笑いした。
「私も何か食べさせてみるよ」
ナオビには、マガツヒは随分とイザナギに懐いているように見えた。イザナギならばなんとかしてくれるのではないか。ナオビはそんな期待を抱いていた。
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