19 / 48
夜街迷宮
ひとりの夜と嵐*
しおりを挟む
ルイのホテルを出て、ユーシーが部屋に帰ってきたのは夜になってからだった。さすがに三日もルイの部屋に入り浸っていると、家に置いたままの電話のことが気になった。
ベッドサイドのキャビネットの上、無造作に放られた小銭の側で充電コードに繋がったままのスマートフォンは、静かなものだった。画面のロックを解除したが特に通知は届いておらず、ユーシーは安堵してその身をベッドに投げ出した。
ジンに連絡用にと持たされたスマートフォンは、いつも部屋に置いたままだった。失くしたり壊したりすれば怒られるし、操作もあまり得意ではなかったのであまり触りたくなかった。だから、よほどのことがない限りはベッドの側のキャビネットの上が定位置になっていた。
ひとまず帰ってきた目的であるスマートフォンの確認が何事もなく済んで、ユーシーはぼんやりと天井を見上げた。
三日間たっぷりとルイに愛された身体からは、ずっと触れ合っていたせいか、微かにルイの匂いがする。同じシャンプーを使っていたので髪も同じ匂いで落ち着かない。
ユーシーはそんな甘いざわめきを振り切るように起き上がると腕立て、腹筋、背筋、スクワットをして、ランニングに出た。
いつの間にか通り雨でも降ったのか、街には無数の水溜まりができていた。
日が暮れてなお湿度の高い街を、人の少ない道を選んで走る。
路上のあちこちにできた水溜りは輝くネオンを眩く反射していた。
横切った大通りは深夜なのに人が多かった。
ざわめきの絶えない夜の街。消えないネオン看板が空を覆い、賑やかに街を彩る。
雨上がりの街は、水溜まりに乱反射するネオンのせいでいつもより眩しい。
喧騒を聞きながら一時間ほどのランニングから戻ると、すっかり汗だくだった。
ルーティンを終えたユーシーはシャワーを浴びて、ベッドに寝そべる。
ルイに愛される快感を、身体はまだ鮮明に覚えていた。甘えるような低い声、温かな手のひら、弾力のある唇。
身体が覚えているルイの記憶を探るたびに腹の奥が疼く。
ユーシーはベッドサイドのキャビネットからローションのボトルとシリコン製のディルドを手探りで取り出した。
後孔を指で解して、ローションを塗り込め、シリコン製のディルドにローションをまぶして後孔に擦り付ける。
「っあ、ルイ、して」
声が止められない。乳首が尖り、性器は腹につきそうなくらいに反ってカウパーをだらだらと零す。
ディルドを押し込むと、蕾はひくつきながら簡単に飲み込んでいく。
「ルイ、うあ」
潜り込んだディルドは窄まった肉襞に引っかかる。捏ね回しているうちに、肉襞を捲り上げ、シリコン製の弾力のあるディルドが最奥まで埋まった。
最奥の肉壁を、ディルドの先端が小突く。
「ひ、あ」
喉が引き攣り、視界が白く弾けた。
腹に熱い飛沫が散る。
甘い快感が背筋を駆け上がり、脳まで甘く痺れる。
それでも物足りなさを感じるのは、腹の奥に放たれるものがないからだとわかっていた。
どうせ孕む心配のない身体なのだ。思い切りぶちまけてほしい。腹の中を満たす熱い質量も最奥を熱く濡らす迸りも何もかもが足りない。
ひくひくと震える腹筋。
中で快感を貪りながら、ユーシーは物足りなさに身体を捩る。
「っあ、るい、るい……ッ」
甘く鼓膜を震わせる低音が恋しい。自分だけに向けられる温かな笑みが恋しい。
名前を口にするだけで、身体が熱くなって、胸が痛んだ。
はあ、と深く息を吐く。
吐精の後の気怠さが全身にまとわりついている。思考はぼんやりと霞んで、何も考えられない。
ユーシーは後孔に咥え込んだままのディルドをゆっくりと引き抜く。
「ん、ぅ」
萎えることのないそれは出て行く時も容赦なく中をこそいでいく。漏れる喘ぎを噛み殺しながら全部引き抜いて、ユーシーはようやく脱力した。
今から片付けをしようという気にはならなかった。全部明日やろうと思いながら、足元に丸まったタオルケットを引き寄せる。
空調とは別の、自分一人で過ごす夜の寒さにユーシーは小さく身震いした。
一人の夜をどう過ごしていたか思い出せない。こんなに冷たく、寂しいものだっただろうかと、ユーシーはぼんやり考える。
名前を呼ぶとまた寂しくなる気がして、ユーシーは黙ったままごわつくタオルケットにくるまって目を閉じた。
それから数日、部屋と地下闘技場を往復する日が続いた。
ルイは忙しいのか、地下闘技場で顔を合わせることもなかった。
たまにジンの部屋に顔を出しても、部下がいるだけでジンの姿はなかった。部下にジンの行方を訊いても忙しいの一点張りで、何も教えてもらえなかった。
ユーシーは渋々家に帰って一人で過ごした。
胸がざわつく。
寂しいからではなかった。静かなのに、自分から見えない場所で力の及ばない何かが動いているような、そんな感じだった。
淡い焦燥感が、胸を炙る。
ルイも、ジンも、レイもいない。
嵐が来るような、そんな胸騒ぎを感じながら眠りに落ちて、起き出した夕暮れ前の窓の外は薄曇りだった。
それでもなんとなく誰かに会いたくて、ユーシーは家を出て、ディアーナのスタジオへ向かった。
夜へ向かう街は、闇が迫る中、ざわめきが濃くなり始める。ユーシーは歩き慣れた裏通りの道を辿り、ディアーナのスタジオのドアを開けた。
「あら、いらっしゃい」
ドアベルが涼やかに鳴り、次いでディアーナの明るい声がした。
暗いブラウンの内装で統一された上品な雰囲気のスタジオには、ディアーナの姿があるだけだった。
長身のすらりとした体躯に、長い髪はハーフアップ にされている。はっきりとした整った顔立ちには華やかな化粧が施され、中性的な雰囲気を作っている。
いつもなら日が暮れても客が誰かしらいるのだが、珍しく今日は誰もいなかった。
ディアーナは快くユーシーを招き入れてくれた。
「今日はもう店仕舞いだから、ゆっくりしていって」
通されたのは、ウェイティング用の応接セットだった。ヴィンテージ風のソファに座って待っているとディアーナはチャイを出してくれた。マグカップに注がれた湯気の踊るチャイ。ユーシーはディアーナの作るチャイが好きだった。
「どうぞ、ユーシー。熱いから気をつけて。最近みんな忙しいみたいで、あたしも暇だったのよ」
ディアーナはユーシーの向かいに座った。
「例の人とは順調?」
話題はもちろんルイのことだった。前に会ってから、ディアーナには会っていなかった。だから、ちゃんとルイの話をするのは今回が初めてだ。
「うん、まぁね」
ユーシーはチャイを一口飲んだ。スパイスの香りが鼻に抜ける。ディアーナの作るチャイの香りが好きだった。ほんのり感じる甘味が喉に優しく染み渡る。
「ならよかったわ」
「俺、話したんだ。殺し屋だって。でも、あいつ、それでも、好きだって」
「愛されてるのね、そこまで言ってくれるなら、絶対捕まえときなさい。大当たりよ」
「うん」
それからしばらく、他愛無い話をした。ジンの愚痴だったり、飲み屋で出会した変な客の話だったり。辺りがすっかり暗くなっても、話が途切れることはなかった。
ひとしきり話し終えた頃には、三杯目のチャイヲ飲み終えて、外はすっかり夜の色に染まっていた。
「またね、ユーシー。嵐が来るみたいだから、気をつけて」
「うん、ディアーナも」
ユーシーは晴々とした気分で手を振ってディアーナと別れた。久しぶりにたくさん人と話した気がする。いい気分転換になった。
このところ感じていた息苦しい閉塞感のようなものが無くなった気がした。
それから三日後、街に嵐がやってきた。
ユーシーは家に閉じこもったまま、過ぎ去るのを待った。
轟々と唸る風の音、窓ガラスに打ち付ける硬い雨粒の音。
ベッドの上でひとりで丸まっていると、昔のことを思い出す。
風の音に怯えた夜。
空腹に耐えた夜。
心臓が煩く鳴って、なのに、胸の奥は恐ろしく冷たい。胸に鉛でも詰まったみたいに、息がうまくできない。
「……っ、う、やだぁ」
苦しくて、涙が零れた。
ずっとほったらかしにしていた身体が熱を持っている。
早く会いたい。
「るい……」
涙を溢しながら、ユーシーはか細い声でルイを呼んだ。
嵐の夜をひとりで越えることなんて、なんでもないと思っていた。布団を被って眠ってしまえば大丈夫だと思っていた。
だから、こんなふうになるなんて、思いもしなかった。
ルイに会いたい。
溢れた涙が、タオルケットに染み込んでいく。
ユーシーは身体を小さく丸めて涙に濡れた目を閉じた。
ベッドサイドのキャビネットの上、無造作に放られた小銭の側で充電コードに繋がったままのスマートフォンは、静かなものだった。画面のロックを解除したが特に通知は届いておらず、ユーシーは安堵してその身をベッドに投げ出した。
ジンに連絡用にと持たされたスマートフォンは、いつも部屋に置いたままだった。失くしたり壊したりすれば怒られるし、操作もあまり得意ではなかったのであまり触りたくなかった。だから、よほどのことがない限りはベッドの側のキャビネットの上が定位置になっていた。
ひとまず帰ってきた目的であるスマートフォンの確認が何事もなく済んで、ユーシーはぼんやりと天井を見上げた。
三日間たっぷりとルイに愛された身体からは、ずっと触れ合っていたせいか、微かにルイの匂いがする。同じシャンプーを使っていたので髪も同じ匂いで落ち着かない。
ユーシーはそんな甘いざわめきを振り切るように起き上がると腕立て、腹筋、背筋、スクワットをして、ランニングに出た。
いつの間にか通り雨でも降ったのか、街には無数の水溜まりができていた。
日が暮れてなお湿度の高い街を、人の少ない道を選んで走る。
路上のあちこちにできた水溜りは輝くネオンを眩く反射していた。
横切った大通りは深夜なのに人が多かった。
ざわめきの絶えない夜の街。消えないネオン看板が空を覆い、賑やかに街を彩る。
雨上がりの街は、水溜まりに乱反射するネオンのせいでいつもより眩しい。
喧騒を聞きながら一時間ほどのランニングから戻ると、すっかり汗だくだった。
ルーティンを終えたユーシーはシャワーを浴びて、ベッドに寝そべる。
ルイに愛される快感を、身体はまだ鮮明に覚えていた。甘えるような低い声、温かな手のひら、弾力のある唇。
身体が覚えているルイの記憶を探るたびに腹の奥が疼く。
ユーシーはベッドサイドのキャビネットからローションのボトルとシリコン製のディルドを手探りで取り出した。
後孔を指で解して、ローションを塗り込め、シリコン製のディルドにローションをまぶして後孔に擦り付ける。
「っあ、ルイ、して」
声が止められない。乳首が尖り、性器は腹につきそうなくらいに反ってカウパーをだらだらと零す。
ディルドを押し込むと、蕾はひくつきながら簡単に飲み込んでいく。
「ルイ、うあ」
潜り込んだディルドは窄まった肉襞に引っかかる。捏ね回しているうちに、肉襞を捲り上げ、シリコン製の弾力のあるディルドが最奥まで埋まった。
最奥の肉壁を、ディルドの先端が小突く。
「ひ、あ」
喉が引き攣り、視界が白く弾けた。
腹に熱い飛沫が散る。
甘い快感が背筋を駆け上がり、脳まで甘く痺れる。
それでも物足りなさを感じるのは、腹の奥に放たれるものがないからだとわかっていた。
どうせ孕む心配のない身体なのだ。思い切りぶちまけてほしい。腹の中を満たす熱い質量も最奥を熱く濡らす迸りも何もかもが足りない。
ひくひくと震える腹筋。
中で快感を貪りながら、ユーシーは物足りなさに身体を捩る。
「っあ、るい、るい……ッ」
甘く鼓膜を震わせる低音が恋しい。自分だけに向けられる温かな笑みが恋しい。
名前を口にするだけで、身体が熱くなって、胸が痛んだ。
はあ、と深く息を吐く。
吐精の後の気怠さが全身にまとわりついている。思考はぼんやりと霞んで、何も考えられない。
ユーシーは後孔に咥え込んだままのディルドをゆっくりと引き抜く。
「ん、ぅ」
萎えることのないそれは出て行く時も容赦なく中をこそいでいく。漏れる喘ぎを噛み殺しながら全部引き抜いて、ユーシーはようやく脱力した。
今から片付けをしようという気にはならなかった。全部明日やろうと思いながら、足元に丸まったタオルケットを引き寄せる。
空調とは別の、自分一人で過ごす夜の寒さにユーシーは小さく身震いした。
一人の夜をどう過ごしていたか思い出せない。こんなに冷たく、寂しいものだっただろうかと、ユーシーはぼんやり考える。
名前を呼ぶとまた寂しくなる気がして、ユーシーは黙ったままごわつくタオルケットにくるまって目を閉じた。
それから数日、部屋と地下闘技場を往復する日が続いた。
ルイは忙しいのか、地下闘技場で顔を合わせることもなかった。
たまにジンの部屋に顔を出しても、部下がいるだけでジンの姿はなかった。部下にジンの行方を訊いても忙しいの一点張りで、何も教えてもらえなかった。
ユーシーは渋々家に帰って一人で過ごした。
胸がざわつく。
寂しいからではなかった。静かなのに、自分から見えない場所で力の及ばない何かが動いているような、そんな感じだった。
淡い焦燥感が、胸を炙る。
ルイも、ジンも、レイもいない。
嵐が来るような、そんな胸騒ぎを感じながら眠りに落ちて、起き出した夕暮れ前の窓の外は薄曇りだった。
それでもなんとなく誰かに会いたくて、ユーシーは家を出て、ディアーナのスタジオへ向かった。
夜へ向かう街は、闇が迫る中、ざわめきが濃くなり始める。ユーシーは歩き慣れた裏通りの道を辿り、ディアーナのスタジオのドアを開けた。
「あら、いらっしゃい」
ドアベルが涼やかに鳴り、次いでディアーナの明るい声がした。
暗いブラウンの内装で統一された上品な雰囲気のスタジオには、ディアーナの姿があるだけだった。
長身のすらりとした体躯に、長い髪はハーフアップ にされている。はっきりとした整った顔立ちには華やかな化粧が施され、中性的な雰囲気を作っている。
いつもなら日が暮れても客が誰かしらいるのだが、珍しく今日は誰もいなかった。
ディアーナは快くユーシーを招き入れてくれた。
「今日はもう店仕舞いだから、ゆっくりしていって」
通されたのは、ウェイティング用の応接セットだった。ヴィンテージ風のソファに座って待っているとディアーナはチャイを出してくれた。マグカップに注がれた湯気の踊るチャイ。ユーシーはディアーナの作るチャイが好きだった。
「どうぞ、ユーシー。熱いから気をつけて。最近みんな忙しいみたいで、あたしも暇だったのよ」
ディアーナはユーシーの向かいに座った。
「例の人とは順調?」
話題はもちろんルイのことだった。前に会ってから、ディアーナには会っていなかった。だから、ちゃんとルイの話をするのは今回が初めてだ。
「うん、まぁね」
ユーシーはチャイを一口飲んだ。スパイスの香りが鼻に抜ける。ディアーナの作るチャイの香りが好きだった。ほんのり感じる甘味が喉に優しく染み渡る。
「ならよかったわ」
「俺、話したんだ。殺し屋だって。でも、あいつ、それでも、好きだって」
「愛されてるのね、そこまで言ってくれるなら、絶対捕まえときなさい。大当たりよ」
「うん」
それからしばらく、他愛無い話をした。ジンの愚痴だったり、飲み屋で出会した変な客の話だったり。辺りがすっかり暗くなっても、話が途切れることはなかった。
ひとしきり話し終えた頃には、三杯目のチャイヲ飲み終えて、外はすっかり夜の色に染まっていた。
「またね、ユーシー。嵐が来るみたいだから、気をつけて」
「うん、ディアーナも」
ユーシーは晴々とした気分で手を振ってディアーナと別れた。久しぶりにたくさん人と話した気がする。いい気分転換になった。
このところ感じていた息苦しい閉塞感のようなものが無くなった気がした。
それから三日後、街に嵐がやってきた。
ユーシーは家に閉じこもったまま、過ぎ去るのを待った。
轟々と唸る風の音、窓ガラスに打ち付ける硬い雨粒の音。
ベッドの上でひとりで丸まっていると、昔のことを思い出す。
風の音に怯えた夜。
空腹に耐えた夜。
心臓が煩く鳴って、なのに、胸の奥は恐ろしく冷たい。胸に鉛でも詰まったみたいに、息がうまくできない。
「……っ、う、やだぁ」
苦しくて、涙が零れた。
ずっとほったらかしにしていた身体が熱を持っている。
早く会いたい。
「るい……」
涙を溢しながら、ユーシーはか細い声でルイを呼んだ。
嵐の夜をひとりで越えることなんて、なんでもないと思っていた。布団を被って眠ってしまえば大丈夫だと思っていた。
だから、こんなふうになるなんて、思いもしなかった。
ルイに会いたい。
溢れた涙が、タオルケットに染み込んでいく。
ユーシーは身体を小さく丸めて涙に濡れた目を閉じた。
7
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる