なんで誰も使わないの!? 史上最強のアイテム『神の結石』を使って落ちこぼれ冒険者から脱却します!!

るっち

文字の大きさ
27 / 128

第27話 共に……

しおりを挟む

「……なぁ、セリーヌ?」

「うん? なに?」

 俺の呼び掛けに振り向くセリーヌ。
 対面したセリーヌの表情を観察する俺。

(……何か企んでいるのかと思ったけど、特に怪しいところは無い……俺の見間違いか……?)

 観察中の俺にセリーヌが問い掛ける。

「えっ、なに? 私の顔に何か付いてる?」

「い、いや、何も付いてないよ……」

「じゃあ、なんで私の顔をジッと見てたの?」

「そ、それは、セリーヌだなぁと思って……」

「プッ、何よそれ? 相変わらず変なんだからぁ」

 笑いながら再び前方へ振り向くセリーヌ。
 どうにか誤魔化し苦笑いをする俺。
 そして前方を見ると、西門の目の前まで来ていたことに気づく。


(うぅ、ダメだ……怖い……)

 俺が恐怖心から足を止めるとそれに気づいたセリーヌも足を止め、一言。

「私がいるから大丈夫! ほらっ、手を繋いで行こ!」

 そう言うとセリーヌは、俺の左手を手に取り西門の中へと進み出す。

(……セリーヌ……やっぱり格好良いなぁ……)

 恐怖心が和らぎ、昔からセリーヌに憧れを抱いていることを思い出した。


「お疲れ様です」

「お、お疲れ様でス!」

「おお、お疲れ様でス!」

 セリーヌが2人の門兵達に挨拶するとその門兵達はセリーヌのファンらしく、とても緊張している様子で挨拶を返す。

(セリーヌはAランク冒険者のうえ、ギルドの広告塔でもあるからファンがいるのも当然だよな……)

 同時期に冒険者となった俺達だが1ヶ月後には既に差が付き始めていた。
 どうにか追いつこうとしたが、差はどんどん広がるばかり……まさしく、雲泥の差というやつだ。

(セリーヌは雲で俺は泥か……今の俺にはピッタリだな……)

 落ち込みながらも門兵達にお辞儀をする。
 しかし門兵達からの返しはなく、それどころか門兵達は俺に怪訝な目を向けながら陰口を叩く。

「なぁ、セリーヌさんはなんであんな奴と一緒にいるんだ?」

「さぁ? 荷物持ちかなんかだろ?」

「だよな? じゃなきゃあんな落ちこぼれとは一緒にいたくないよな?」

「あぁ、あんな無能と一緒は勘弁だもんな!」

「「あはははっ!」」

 笑いながら見下してくる門兵達に俺は俯き気づかぬフリをし、悔しさに耐えるため歯を食いしばり、密かに右手の拳を握り締める。
 そして、まさか20歳にも満たない若者にまで見下されるとは思っておらず、悔しさとそれ以上の惨めさに苛まれては更に落ち込んでしまう。

(あぁ、こんなことなら来なければよかった……もう耐えられない……引き返そう……)

 来たことに後悔して門外へ引き返そうとしたその時、笑い見下す門兵達に向けてセリーヌが口を開く。

「……は? あんた達にキュロスの何が分かるの? はぁ……キュロスのことを何も分かってないくせに勝手なことを言うな!!」

「「ひぇっっっ!?」」

 突如セリーヌに怒鳴られて、唖然とする門兵達。
 俺は胸が熱くなり、涙ぐむが流さぬよう頑張って堪えた。


「……セリーヌ……ありがとう……」

 興奮するセリーヌに向けて感謝の言葉を述べると、セリーヌは優しく微笑み返答した。

「だって、私が悔しかったんだもん! ……ねぇ、それより早く行こ?」

 急ぐセリーヌに手を引っ張られながらも西門を通過し、そして街の中へと共に歩むのであった……
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...