なんで誰も使わないの!? 史上最強のアイテム『神の結石』を使って落ちこぼれ冒険者から脱却します!!

るっち

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第28話 1つの疑問

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「ねぇ、これからどこへ向かう予定なの?」

 セリーヌからの唐突な問い掛けに動揺するが、確かに当てもなく歩くわけにもいかず、本音を言えば行きたくはないが素直に答えた。

「え、えっと……ぼ、冒険者ギルド……かな……」

「えっ!? そうなの!? 丁度さ、私も向かうところだったの! じゃあ、このまま一緒に行こ?」

「あ、あぁ、そうだな……うん、そうしよう!」

「えへへっ、同じことを考えてたなんて……なんだか嬉しいなぁ」

(あぁ、セリーヌの笑顔を見ると癒されるなぁ……)

 セリーヌとの何気無い会話に僅かだが幸せを感じた気がする。
 でも今の俺達は恋人ではなく、ごく普通の幼馴染でただの冒険者仲間という関係なので、俺が幸せを感じるのはおかしな話なのもしれない。

(まぁ、セリーヌと5年も恋人でいられた時点で充分おかしな話なんだけどな……)

 そんなことを考える間にセリーヌから質問が。

「ねぇ、その右肩に乗せてるのって……」

「あぁ、モモのこと? ピンクモンキーのメスでモモっていうんだ。可愛いだろ?」

「えぇ! 物凄く可愛いわ! モモちゃん、こっちにおいで?」

「キキッ!」

 セリーヌが右腕を曲げながら差し出すと、モモは躊躇なく差し出された腕から肩へと登る。

(!? モモがセリーヌの元へ向かった!?)

 その光景を目の当たりにして思わず吃驚。
 何故なら、ピンクモンキーは人の感情や欲望にとても敏感であり、邪な考えを持つ者には一切近寄らないからである。
 つまり、セリーヌは邪な考えなど一切持っていないという結論に至るわけだ。

(やっぱり、あの瞬間に見たセリーヌの表情は見間違いなのか……? いや、まだ分からない……でも、モモがあんなに懐くほどだし……)

 昨夜の件で人からの目を異常なほど気にするようになり、どうしても疑わずにはいられない。
 だがそれでも心から信じたい気持ちが上回り、セリーヌを疑っていたことに対して恥じる。

「セリーヌ……勝手に疑っていて、ごめん……」

「えっ? 何が? 私、何か疑われていたの?」

「えっ!?」
(えっ!? 何故、疑っていたことを……もしかして、思っていたことを口に出してた!?)

 どうやら無意識に呟いていたようで、それを思うと急に心苦しくなってしまい、昨夜の件も含めて疑っていたことを正直に告白することに……



「なるほど、そういうわけなのね……そっか、それなら仕方ないかも……」

「ゔっ!?」
(ゔっ!? 胸が痛い……あの明るいセリーヌが、俺なんかのためにこれほど落ち込むなんて……)

 セリーヌの落ち込む姿を見た瞬間、俺の胸は張り裂けそうなほどの痛みを感じた。
 しかしそれと同時に、ふと1つの疑問が浮かび上がる。
 それは「何故、俺と破局する道を選んだのか」という疑問である。
 確かに俺は、セリーヌにとって相応しい恋人ではないのかもしれないが、特に喧嘩や浮気をしたわけでもない。なのに、何故……


(あぁ、死ぬほど怖い……でも……)

 セリーヌに今、その疑問の答えを聞こうと思う。
 たとえその答えにより深く傷つき、立ち直れなくなったとしても……
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