なんで誰も使わないの!? 史上最強のアイテム『神の結石』を使って落ちこぼれ冒険者から脱却します!!

るっち

文字の大きさ
85 / 128

第85話 2つの雷電

しおりを挟む

「なっ、何よ! 何がおかしいの?! さっきから笑って!」

 イズナは何がおかしいのかを理解できずにいたので、実は全く同じ提案をしようとしていた旨を伝えたところ「えっ、そうだったの!?」と驚きの表情を見せる。
 その驚きの表情がまた可愛く見えるものだから自然と顔が微笑んでしまい、それに気づいたイズナは再び誤魔化そうと、今度は魔法を唱え始めた。

「はっ、早く助けに行かなきゃ! て、纏雷! ……ほらっ、アナタも魔法を唱えなさいよ!」

「……」
(あぁ、可愛らしいな……って、ダメだ! 俺にはセリーヌが! ……いや、もう恋人じゃないからいいのか……?)

 イズナの顔を見つめつつ、そんなことを考えていると、当のイズナは瞬時に俺の目の前まで来て一言。

「ねぇ、どうしたの? 私の顔に何か付いてる?」

 確か、以前にも似た状況があったような……
 なんとなく既視感を覚えたが何かまでは思い出せず、この状況に照れては狼狽える。

「だっ、大丈夫です! ただ考え事をしてただけなので!」

「ふーん、大丈夫ならいいんだけど……それより魔法は?」

「そ、そうでした、すみません……ふぅ、それじゃあ魔法を唱えます! 纏雷!」

「えっ、えぇぇぇーっ!?」

 気持ちを切り替えて纏雷を唱えた途端、目が飛び出るかと思うほどに驚くイズナ。
 ある程度の想定はしていたが、その想定を遥かに上回るほどの驚きようであったため、俺の方は寧ろ冷静になれた。

「さぁ、早く行きましょう!」

「え、えぇ……」

 今一つ腑に落ちないといった表情を見せるイズナではあるが、それでも遅れることなく俺に付いてきており、結果的には時間を掛けずに魔物の群れの最後尾まで辿り着けた。
 どうやら魔物の群れは縦に伸びているようで、そのことも相まって早く辿り着けたのだろう。

「ねぇ、これからどうするのよ……さっきより倍以上いるわよ、魔物……」

「そうですね……さっきの3倍はいますし……だけど、なんとかしてみせます!」

「凄い自信ね……分かった、アナタに任せるわ!」

 イズナからの信頼を得ることができ、魔物達をどう倒すか思案していると、いつの間にか最後尾を追い抜いて中間辺りまで辿り着いていた。
 てっきり魔物達に襲われるものかと思ったが、そんな事態にはならず、魔物達はひたすら前だけを見据えて駆けている様子。

「並行に走ってても襲われないのか……それなら、遠慮なく倒させてもらう! 雷牙らいが!」

 俺の周囲に短刀を象った雷電が次々と発生し、100本に達したのを見計らい広範囲に放つ。
 すると、雷牙に直撃した魔物は雷撃により倒れ、それに触れた魔物も感電して雷撃を浴び、そのように次々と連鎖していくうちに、僅かな時間で中間より後方にいた魔物達を倒すことができた。

「凄い! これならイケるんじゃない?!」

「いや、まだです……まだ半分残っています……」

 決して油断などせず、再び魔物の群れを追いかけていくと、中間より少し前方にいた魔物達は異変を感じて急停止する。
 その数はおよそ50匹で、残りの100匹ほどは止まらずに5人の冒険者達を追ったままだ。

「やっとこっちを向いたか……でも、倒させてもらう!」

 そう呟いたあと、即座に足を止めて左手を前方へ突き出すのであった……
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった

ぐうのすけ
ファンタジー
無才・貧乏・底辺高校生の稲生アキラ(イナセアキラ)にゲームの悪役貴族が憑依した。 悪役貴族がアキラに話しかける。 「そうか、お前、魂の片割れだな? はははははは!喜べ!魂が1つになれば強さも、女も、名声も思うがままだ!」 アキラは悪役貴族を警戒するがあらゆる事件を通してお互いの境遇を知り、魂が融合し力を手に入れていく。 ある時はモンスターを無双し、ある時は配信で人気を得て、ヒロインとパーティーを組み、アキラの人生は好転し、自分の人生を切り開いていく。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...