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第104話 再開の約束
しおりを挟む「それでは、今後の作戦を伝えます。意見がある場合は遠慮なく言ってください。では先ずーー」
この場に皆を集め、全員の状態を把握すると、イズナが中心となって各自の行動及び役割を伝えることになった。
本来なら指揮者であるムツコが中心となるのだが、イズナに任せた方が円滑に進むと判断したムツコがこっそりとお願いしたらしい。
確かにイズナは交戦時のあの状態を除けば物凄く頼りになるので俺も納得できる。
そして特に反論の声も上がらず、そのまま話は進んでいき……
「ーー以上が今後の作戦となります。もし不測の事態が起きた場合は自己判断で行動しても構いません。但し、生き残ることを最優先でお願いします」
イズナの真剣な表情に対し、皆も真剣な表情で返す。
北門を死守できたからといって気を抜く者は誰一人としていない。
それはこの先、より熾烈な戦いとなることが分かっているからだろう。俺も更に気を引き締めて臨まなければ。
「ーーそれでは、また会いましょう……解散!」
イズナの号令後、早速皆は動き出す。勿論、俺達も……
「……ではムツコさん、行きましょう」
「はいです!」
現在、街の北西に位置する場所に俺達はおり、長距離移動に長けた俺とムツコはそのまま南下して南門の支援をすることになった。
「ほらっ、私達も行くわよ」
「はぁ、本当はキュロス様と一緒がよかったけど仕方ないわね」
イズナとメイリン、そしてメイリン家族の男3人は東門の支援に向かうことになり、残る9人は北門付近にいる他の冒険者達と合流して北門防衛と東門の支援に分かれる手筈となっている。
因みにザルマとその取り巻き2人には北門防衛を頼んではあるが、指示通りに動くかは微妙なところだ。
「それじゃあ、またあとで」
「えぇ、それではまた」
イズナ達と再開の約束を交わし、同時に出発を開始。その後、誰一人として振り返ることはなかった。
「ギン、よろしくです!」
ムツコがギンの背に跨るとギンは巨大化し、俺の移動速度に合わせて駆け進む。
魔法補助の無い状態ではギンの方が速く、走りに余裕が見える。いや、たとえ疾駆を駆使しても届かないだろう。それほどまでにギンの脚力は凄い。
こうしてマジマジとギンを見ているうちに聞きたいことを思い出したため、早速だがムツコに質問してみる。
「あの、ギンはなんという魔獣なんですか?」
「ふぇっ!? えっ、あっ、ギンはシルバーフェンリルです!」
突然の質問に驚かせてしまい申し訳ない……と反省つつも、驚いた姿を見て可愛らしいと思ってしまった。
だがそれ以上にギンへの探究心が勝り、そのまま話を続けることに。
「シルバーフェンリル……?」
「はいです! 脅威ランクSの狼系魔獣になるです!」
「!? らっ、ランクSだって!?」
これには流石に驚いた。
まさか脅威ランクSの魔物をこの目で見れるとは思ってもみなかったからだ。
それは今までに熟読した魔物辞典にも脅威ランクSの魔物までは記載されていなかったため、そのような超高ランクの魔物が現存するのかも疑わしかったからである。
しかし、実際に見てしまった以上疑う余地はなくなり、寧ろもっと知りたいという衝動に駆られてしまう。
「ムツコさん! シルバーフェンリルについて詳しく教えてください!!」
そう口にした瞬間、ムツコの瞳がキラリと輝いたように見えた……
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