なんで誰も使わないの!? 史上最強のアイテム『神の結石』を使って落ちこぼれ冒険者から脱却します!!

るっち

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第103話 今後の作戦

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「……うん? 誰か手を振ってる? えーっと……あっ、ムツコさんだ!」

 皆の所に戻っていると、500m以上先から手を高々と挙げながら大きく振るムツコの姿が。
 その姿を目にした途端、急に安堵感が込み上げる。それはムツコ達が無事だと知れたからだ。
 実を言うと、俺がいない間に魔物達が襲ってくるのでは? と内心穏やかではなかった。しかし、どうやらその考えは杞憂に終わったらしい。

「はぁ……やっぱり無茶苦茶ね……こんな遠くから人の顔が見えるとか……」

 再びため息を吐くイズナ。
 呆れているというよりも、驚きを通り越した故の反応のように思える。
 イズナには色々と規格外の魔法や行動を見せてしまっているので今更なのだろう。

「やっぱり凄い人♡ うん、絶対に堕としてみせるわ!」

 気合いを入れて不穏な言葉を呟くメイリン。
 誰にも聞こえていないと思っているのだろうが、残念ながら本人の耳に入ってしまっているのだ……うん、取り敢えずメイリンには気をつけよう……



「おかえりなさいです!」

 あれこれ考える間にムツコ達の元へ到着。その時に見せたムツコの満面の笑みにとても癒された。
 それに他の冒険者達も笑顔で迎えてくれて嬉しく思う。ただ、ザルマとその取り巻き2人は少し離れた場所で気不味そうにしている。静かで何よりだ。


「イズナ様も元気そうで嬉しいです!」

「えぇ、私もあなたが無事で嬉しいわ」

 2人は面識があるようだ……まぁ、2人とも同じBランカーなので当然と言えば当然か……だがそれよりも気になるのがイズナの口調だ。
 俺に向ける「アナタ」とムツコに向ける「あなた」がどうも違う気がする。俺への「アナタ」はどこか余所余所しくぎこちない。なんとなくだが無理をして言っているように感じられる。
 もしや「お前」や「貴様」などと呼びたかったりして? もしそうなら余程嫌われているということになるが、どうなのだろうか……?
 そんなことを考えながらイズナを見つめていると、怪訝な表情でイズナは口を開いた。

「……何よ」

「なっ、なんでもありません!」
(うっ、当たりが強い……)

 やはり嫌われている? しかし、先程までは普通に話せていたハズ……女性の気分は変わり易いということなのか……?

(うーん……幾ら考えても俺には分からなそうだし、今はそれよりも先に考えることがあるんだよな……)

 考えること……それは、今後どう動くかだ。
 各自どのように動けば街を守れるのかを考えたうえで行動しなければならず、要は無駄な動きを極力避けねば街は守れない。それほどまでに今回の戦いは厳しいということだ。
 俺1人で決めることではないので、皆の意見も是非聞こうと思う。

「そっ、それより! 今後の作戦を皆さんで考えませんか!?」

「……そうね」

「うっ……」
(ま、まだ怪訝な表情で見られてる……)

 もしかして、話をそらしたと思われたのか? だが全く違うとも言い切れないから言い訳ができない……うぅ、気不味い……


「そそ、そうです! 作戦を考えるです! みんなで街を守るです! ね? イズナ様?」

「……えぇ、そうね、そうしましょう」

(!! ムツコさん……)

 俺の心情を察してくれたムツコのお陰でイズナの表情は和らぎ、あの気不味い雰囲気は一気に消えた。
 そして、この場に皆を集めて今後の作戦を考えることとなった……
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