神様を育てることになりました

菻莅❝りんり❞

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30 流行り病の終息と・・・

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俺はマスターに薬草の特徴と効能を書いて、全国のギルドにこれを共有してほしい事を手紙にした。
国にはセドリックさん達が働きかけるだろう。

場所は変わって、薬草を変質させた森に騎士達を率いて来ているけど、薬草が生え揃うまで半日ある。

その事を思い出した俺は今、冷や汗をかきながら騎士達が総出で薬草探しをしているのを見ている。

『ここだけでも今、生やせない?』

今日のこの短時間で何度目かのため息をラグ達は吐いた。

『計画性なしなの』

『初めて合ったときは頼りがいがあると思ったのにな』

『それね。でも蓋を開ければ行き当たりばったり』

『・・・・』

言い返せないのが辛いが、ラグよ!この際ラグもなんか言ってくれ!無言が一番傷つく!

なんだかんだ言っても、この森だけ薬草を生やしてくれたラグ達に、お詫びに何でも好きなものも食べさせようと心に決めて、俺も薬草取りをした。

ある程度取ると、それを二人の騎士に託し、二人の騎士は急いで邸に戻り薬草を預けると、またこちらに戻ってきて薬草を取る。また別の騎士が邸に薬草を届けて戻ってくるを繰り返す。

そして日が傾き、夕闇が空を覆う頃に全員で邸に戻った。

森を駆け回った俺たちは泥だらけで帰宅したけど、セドリックさんとクリスさんは笑顔で出迎えてくれた。

「お帰りなさいませ。沢山の薬草をありがとうございます。邸の者だけでなく、街の人達にも薬が行き渡りました。お風呂の準備もしてあります。夕食までごゆっくりしてくだいませ。団長達もご苦労様です」

「ヨミ、そして団長達もありがとう。本当に何て言っていいのか、兎に角ありがとう。リアや子供達を初め、邸の者も街の人達の症状も落ち着いてきた。団長達も今日はもう上がっていい、ゆっくり休め。ヨミも体を休めてくれ」

騎士達は、セドリックさんに礼をとり解散した。俺も言葉に甘えて部屋で休むことにした。

「はぁ~、つっかれた~」

今すぐ横になりたいけど、汚れたままなので、軽く自分にクリーンをかけソファに座った。

ラグ達にもクリーンをかけてテーブルの上に乗せると、それぞれの好物を並べていった。そして、深々と頭を下げ

「今日は大変助かりました。心ばかりですが、お詫びも兼ねてどうぞ召し上がってください」

とそれぞれの好物をこれでもかと出した。

それに飛び付くように食べ始めたラグ達を見てから、俺は用意されたお風呂へ向かった。

一日の汚れを落とし、疲れた体を湯船に沈めて、いつもより少し長めのお風呂から上がると、ちょうどクリスさんが夕食の準備が出来たと訪ねてきた。

俺は机を片付け、ラグ達をまとめて抱き上げてクリスさんについていった。

まだまだ療養が必要なリアさん達は食堂に居なくてなんか寂しく思ったけど、セドリックさんの晴れやかな顔を見れただけで、ここに戻ってきてよかったと思った。

それから数週間、リアさん達の体調が完全に戻って、アリアちゃん達とラグ達が楽しく庭で遊び、俺も殴り書いた手紙の事でギルドに呼び出されるなど慌ただしい中、夜になるといつも同じ夢を見て、朝起きると内容は覚えていないを繰り返していた。


「なぁ、この頃見る夢なんだけど、レティがなんかしてるのか?」

レティは頭を傾げて

「夢ってなんの事?」

俺はあれ?っと思いながら、この頃見ている夢の話をした。

「内容は覚えていないんだけど、最近はイライラしていたり、八つ当たりをされているの感じは体感とし覚えてるんだよな」

不思議だと最後は呟くように言った。

そんな俺の話にラグ達は慌てたように

「ちょっとそれって同胞がヨミに助けを求めているのよ!多分、夢渡りでヨミに自分の置かれている状況を知らせているの!なんでもっと早く教えなかったのよ!」

「早く行くなの!すぐ行くなの!」

ラグ達に急かされながら

「わかったわかったから!ちょっと待って!セドリックさん達やギルドにまた出かけるって言わないと。いきなり居なくなったらセドリックさん達に迷惑かけるし、アリアちゃん達が悲しむよ?それに薬草の事でギルドに呼び出されているし」

近くにいた使用人の人に、クリスさん経由でセドリックさんに連絡してもらい見回りから帰ってきてもらった。

「と言うわけで、この後すぐ出掛けます。まさかリアさん達が外出中とは、アリアちゃん達に急でごめんなさいと伝えてください」

「アリア達の事は気にしなくていい。その
友達が無事だといいな。ケガに気をつけて」

急いで帰ってきてくれたのか、着崩した格好のままで会ってくれたセドリックさんやクリスさん達に挨拶をして、ギルドに向かい、マスターにも急に出かけることになった事を伝え、いつものように人影のない所まで行き、転移した。







「全く、なにかやってンだよ!遅すぎる!さっさと助けに来てくれ!」
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