神様を育てることになりました

菻莅❝りんり❞

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31 保護、、したくないなぁ

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アケルの森よりも紅葉している森に、無事に転移できたことにマップで今の位置を確認すると、プロヴィゾーリシュ国のアインスと言う街近くの森だと言うことがわかった。

「この街に居るのか?」

「そうね、神気を辿るとここだわ。でも、邪心の気配はないわね?」

俺が確認するとレティが答えた。
しかし、神気は感じるけど邪心は感じないとの事。

「うん?それは良いことなんじゃないのか?」

俺の疑問にルルが

「確かに良いことなの。でも、ヨミの話ではイライラしていて、ヨミに八つ当たりをしているなの」

「それを踏まえて考えれば、すでに邪心に飲まれていると思い、ヨミを急がせたのだ」

ルルの言葉の後をジェムが引き継ぐように答えた。そして

「だけど邪心の気配はない。つまり、ここにいる候補は今の状況に不満はあるけど、邪心を抱くほど闇に落ちてはいないということだよ」

つまり・・・

「元々の性格が、じゃなくて、性質に少々難ありって事?」

「そんな身も蓋もないことを、、。でもまぁ、そんな所よ」

レティの肯定に、俺が渋い顔をしていると

「そんな顔をしないの。ほら、行くわよ。多少邪心に耐性があっても絶対じゃないのよ。そんな神ほど邪神になれば厄介なの、今の内に助けるわよ」

ほらほらと急かされて、俺は重い足を動かし、トボトボと歩きだしたのだった。






街に入り、ギルドには寄らずにそのまま、ラグ達の案内にしたがって行くと、一軒の邸の前に来た。

「はぁ。やっぱり貴族が関わってるのか」

アルフの時といい、録でもない貴族の方が鼻が効くのか?
何でピンポイントで育成者を見つける事が出来るだよ!
そして何で、神候補を意のままに出来ると思うんだよ!

俺は頭が痛いと、手を額に当てて項垂れた。

俺達はまず、身を隠せる場所に移動して、レティの蛇眼で神候補の場所を探ることにした。

程なくして、一つの部屋にそれは居た。

豪華な部屋には似つかわしくない、厳つい檻の中。その中に、青い毛皮に金色の瞳をした狼がいた。

「やっと来たか。遅い!遅すぎる!さっさとここから出してくれ!」

俺は無言のまま、レティに目配せをしてその場を後にした。

視界が戻ると

「あれを助けても、保護したくないんだが?」

俺がそう言うと

「育成者無しの神候補も消滅の対象なの。だから、保護して欲しいなの」

「いやいやいや、邪神化してないじゃん!それなのに?」

ルルの言葉に俺がそう言うと

「僕たちはまだ候補だからね。育ててくれる人がいないと、はぐれ神として消滅対象になるんだよ」

「だったら新しい育成者を連れてくるとか、、」

ラグは首を振り

「育成者(選定者)の数は決められいる。途中で脱落しても、一度決まればそれは変えられない」

ラグの言葉に絶望していると

「ヨミは育成者なのだから、ワタシ達にとっては親よね?だったら子供の教育も親の努めよ?頑張って」

子育ての経験なんて無いよ。あったとしても覚えないし。
でも、なんにも悪くないのに、苦手な性格ってだけで消滅されては目覚めが悪い、、

「あーもー!わかったよ!保護するよ!」

悩みに悩みぬいて、俺は腹を括ることにした。
そんな俺の気持ちも知らないで、ラグ達はハイタッチをしていた。(レティは尻尾で)

その後は、隠匿のマントを纏って邸に浸入し、狼を助け、急いでセドリックさんの邸に転移した。




*****

「くそっ!絶対に許さねぇ。あいつを奪い返して仕返ししてやる!」

捕まってどこかに連れて行かれそうになったけど、なんとか逃げ出した。

なんの力もなく、役に立たなかったら売ったけど、元々あれは俺のだ。

この俺を騙してただでは済まさない。あれはあれで一応神だ、奴らに天罰を下してもらう。

俺がどう復讐するか考えていると、ゴーンゴーンという鐘の音が響いた。

すると次の瞬間、どこかの花畑にいた。
花の名前や種類はわからないが、二種類の花が咲いていた。

俺がキョロキョロと見渡していると、卵をくれた神と俺を選んだ神使が現れた。

「愚か者よ」

神はただ一言だけそう言うと、俺と神使の体が崩壊していった。

「え?」

何が何だかわからないまま、俺の意識はそこで途切れた。

*【花は、彼岸花と苧環(おだまき)】
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