子猫が鳴けば・・・

菻莅❝りんり❞

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3 始まりの話 2

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青年は咲の観察に集中するため、星の時間を止めままにした。

そして五年。大学生だった咲を観察した事で、この女性ならと納得した。

それから、咲をルーベルに呼ぶ為の準備と目的が達成された時に元の世界に戻す為の召喚陣の構築を済ませ、いざ召喚!ってなった時にタイミング悪く同期が駆け込んで来ては、何もない所で躓き、召喚中の青年に激突し、その衝撃で召喚陣の構築の(重要な部分の)一部を踏ん張りの効かなかった足で消してしまい、本来なら魂と体を一緒に転移させるはずが、あちらの世界での❝有馬 咲❞という人物の存在の消滅&体の消失という最悪の結果になった。

今の咲は、魂に記憶されている有馬 咲の姿を形どっているだけにすぎない。もちろん飲み食いもできる。

で。今まで無視していたが、青年の隣には土下座しているもう一人の青年がいた。

容姿は、最初の青年は銀の長髪に赤紫の目。
土下座の青年は金の短髪に青紫の目。
正反対の色と言うか、逆に似たような色と言うか。なんかなぁ~って感じだ。(どんな感じだよ!)

「大変申し訳ありませんでした」

私は3個目の大福(その前にケーキを2つ、煎餅を1枚、いちご大福にたい焼きを食べた)を食べ終わり、5杯目のお茶(今飲んでいるのは玄米茶)を飲み干すと

「悪気があってしたことではないのでもういいです。頭を上げてください。これ以上はお茶が不味くなります。あっ、次はウーロン茶お願いします」

((どの口が言う!そしてまだ飲むのか!))

2人の心の声がハモった瞬間だった。

今度は3人で仲良くお茶をしつつ、私が召喚された理由を聞いた。

「端的に言えば、こいつがイタズラで召喚した魂の人物が、人様の世界を勝手にオトメゲームと勘違いして、ルーベルの世界の一国をめちゃくちゃにしたあげく、触れてはいけないものに触れたせいで、ルーベルと言う星そのものを破滅しかけたという事です。
しかもお約束のように、その魂には魅了と魅惑という厄介な属性が付いていたんですよ!」

ダン!と、湯呑みをテーブルに勢いよくぶつけた。

金髪の青年は肩身が狭いのか、180くらいありそうなデカい体を丸めていた。

銀髪の青年は、私の観察をしつつもちゃっかり地球の文化を学んで(堪能して)いたようだ。

私個人は、乙女ゲームなんてものはしたことがない。
まぁ、異世界物のWeb小説やマンガを読んでいたくらいかな。

で。そんな私に、そのヒロイン気取りを止めつつ、星の破滅に繋がる厄災の人物のお守りをして欲しいと言うのがお願いらしい、、、、、

むりじゃない?ってかなんで私だったの?

「本来だったらそのまま転移てもらうつもりだったのだが、こうなってしまっては仕方ない。ルーベルに適した体を作るゆえ、お主の希望を聞こうかの」

銀髪の青年よ。若干その言葉使いは無理がないか?

言葉使いに若干の違和感を感じつつも、本人が気に入っているならとあえてツッコむのは止めた。

「そうだね~。もう人間でいるのは嫌かな?人間関係めんどいし、働きたくないし、働きたくない」

「なんでそれを2回言ったの?え?それ大事な事なの?」

金髪よ、うるさいよ。あんな所に勤めてみ?働く意欲なんて無くすよ?でも働かないとお金が入らない。お金が無いと生活出来ない!なら働くしかない!あんな地獄、二度と味わいたくない!

次期社長の心遣いには感謝するけど、1週間の有給後は辞める方向に舵を切っていたよ、私は!

思い出しただけでもイライラしてきた。

「おぉ~。どす黒い感情を抱いている見たいだけど、逆に魂が光輝き出したぁ~」

「あの特殊体質に創世神様は目を付けたし、僕も彼女ならもしかしてって、思ったんだよ」

私がこのイライラをどうしようかと悩んでいた時、私の後ろでは金銀コンビがそんな事をコソコソと話していた。

そして、あーでもないこ~でもないと意見を言って、最終的に決まったのが子猫だった。
どんな流れかと言うと、一部を抜粋して

「人間以外。勿論獣人とかエルフとかも含まれているからね」

「そうね。なら動物なんてどうかな?
は?そんな大きいのは嫌よ。せめて小動物」

「小動物って言ってんでしょ!なんでカエルやトカゲなの?バカでしょ、あんた!」

「大多数の人に可愛がられるような動物がいいわね」

と言う流れで子猫に落ち着いた。色に関しては特にこだわりはなかったので、適当に頷いていた。

だけど、金銀コンビの色を指定された時だけは断固して拒否した。だってあまりも目立つ色すぎるから

「では、彼とのファーストコンタクトの場所へ送るの。名前は自分で決めるか、彼にでも付けもらうとよい。そして子猫よ。お主は我の眷属としたでの。ちーととやらになっておる。色々なことが出来るが、やり過ぎには注意するようにな。それから」

「いつでも連絡出来るんだからそのくらいにしろ。見た目は子猫でも、もうさ、、」

「み゛ゃっ!」

「いって!」

女の年齢に触れるな!バカモノ!そんなヤツには私のこの爪が唸るぞ!シャキーン!!

銀髪の青年は、どこか恐ろしいものを見る目で私を見た。そして

「んん。では健闘を祈る」

そうして、第一話の冒頭に戻る。
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