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17  大人の話し合い

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いきなりハビス国王陛下が現れて、王子の護衛の人達は慌てて騎士の礼を取った。王子は我が意を得たりとふんぞり返った。

「ようこそ、国王陛下。平民の身ゆえ、礼儀がなっていないのは、平にご容赦下さい」

地面に跪き頭を下げた。

「おい、平民!父上の許しもなくしゃべるな!」

お前が黙れ!

「よい、面を上げ立たれよ」

俺は立ち上がり、ハビス国王陛下を見て、一礼した。

「久しいの、ネフィラ国王よ。そなたはよい国民を持ったな。まさか、離れた地にて、こうして顔を見て会話が出来ようとはな」

「ふん、羨ましかろう?やらんぞ。サビアがこちらにちょっかいをかけてるのを黙認にて、ハイエナのように、残り物をかっさらおうとしている卑怯者にはな」

あの王様?貴族特有の回りくどい言い方はどうしたの?まさかのド直球で文句言うなんて、、

「はぁー、そなたは相変わらずなようだな。宰相も頭を抱えてるぞ。、、ローズベリー辺境伯も相変わらずか」

領主様って笑い上戸だったけ?宰相っぽい人は頭も抱えてるけど、胃が痛そうだね?後で黄緑に頼んで胃に優しい薬草を寄越してもらおう。

「父上、早くあの平民を処刑して、ここを取り戻しましょう」

「はぁー、誰かこれに猿ぐつわをして、取り押さえよ」

「え?え?父上?どうし、わっ!俺を誰だと思ってる、離せ、はなんんんー」

王様の命令だもんね。王子より上の人からの命令だから、誰も王子の言うことは聞かない。
数人がかりで取り押さえ、うるさい口は塞がれた。これで、静かになるかな?

「そこのものよ、今もここの出来事は流れているのか」

「はい。まさかここまでの大事になるとは思って無かったですが、今後の為に、他の国の方にも知ってもらおうと思っての事だったのですが、今は止めるタイミングが分からなく、そのままです」

銀の提案で、どうすればマスターと認められたか一度で分かるようにとスクリーンを用いる事で知らせる事にしたのに、まさか○か王子が来るとは誰も予想出来なかった。しかも、保護者も出てくるし

「そうか。ここまで国の恥を晒せば、今さら止めたとて手遅れだろうな。しかし、ネフィラ国王よ。そなたは今、ローズベリー辺境伯領にいるのだよな?王都からはかなり離れているはずだが?」

金のマスターの魔道具の転移陣だろうな。前に領主様に数枚渡したし。

「そこのバカ王子が言うとこの、お前達の先祖の遺品のひとつのお陰よ」

あっ、俺があえて簿かしてた言葉を、、まぁ他国とはいえ、王子より王様のほうが偉いし、いっか。

「故人の意思で、遺品の持ち主はマスターであるリュートだ。ワシはリュートの好意で使わせてもらっているだけだ」

いや、俺は領主様に渡したけど、陛下には渡してないよ?引きつりそうな顔を必死になって耐えていたけど、耐えられて無かったらしく

「リュートとやらは変な顔になっておるが?実際の所は、ローズベリー辺境伯が許可したのだろうな」

領主様ごめんなさい。王様すみません。俺には顔に出さないようにするのは無理でした。

「しかし、そうなるとブーレアがうるさくなりそうだな」

「わたさないよ?」

うん?銀か?あまりにも小さな声だったので俺以外には聞こえなかったらしい。俺もちゃんとは聞き取れなかった。

「戦争をして、なんになる?罪の無い国民の多くが死に、未来ある若者が死に、国が疲弊するだけだ。何も得るものはない。失うだけだ」

「まぁな。救いなのは、次代の王太子達が争いを止める方面で動いていると言うことだが、何せ集まれないのが問題よな」

あれ?難しい話してるなぁと思って聞いてたけど、なんかこっちに話向いてる?
俺がなにかを言う前に、

「わたさない!金のマスターの魔道具はお前らみたいなのには絶対渡さない!」

銀の怒りにダンジョンが反応して、モンスターが暴れだした。ただし、コア内のモンスターは俺が押さえている。ダンジョン内に響く怒号にハビス国王陛下達が緊張してるがわかった。

「銀、落ち着け。ハビス国王陛下は匂わしただけで、断言はしていない」

「分かってるよ。金のマスターが言っていたもん。言質を取られないように、断言はさせる言い方するから面倒臭いって!」

コア内のモンスターも今にも襲いかかりそうなのを押さえ、銀も宥めと俺があたふたしていたら

「ハビス国王よ、言葉を間違えたな。コアを怒らすとは。リュートがいなければお前達はすでに死んでいるぞ?」

青い顔をして、騎士達に護られてるハビス国王陛下が

「いや、すまなかった。どうか怒りを静めてもらえないか。次代達は本当に世を憂いてる。私たちがなし得なかった事をやってくれると、本当に思っているのだ。リュートとやら、どうか協力してはもらえないか」

お偉いさんのお願いは、命令に等しいと昔誰かがぼやいていたな。銀ではなく、俺に言うって事はそう言う事なのかな?

「領主様。領主様から見て、王太子様達はどうですか?不敬を承知で言えば、今ここで俺が信頼できるのは領主様です。領主様の意見が知りたいです」

周りが不敬だなんだとうるさい。だからそう言っただろうが。平民にしたら雲の上人より、近くの領主様のほうが信用出来るんだよ!

「そうだな。うちの王太子はこのタヌキよりよほど国の事、世界の事を考えてるな」

「ローズベリー辺境伯。いくらご学友でも、言葉が過ぎますよ?それにこの方よりタヌキのほうがよほど可愛らしいです」

「バレット(宰相)、お前も言葉が過ぎるぞ」

随分気安いなぁと思ってたら、学友だったんだ。

「えーと、つまり信頼にたる人物だと?他国の方はどうです?」

「うん?王太子が前に言っていたが、同じような考え方をしているから、ちゃんと話し合えれば、自分達の代には戦争を無くせるかもと言っていたな」

俺は領主様の事を信じてる。その領主様が信頼にたる人物だと言うのなら大丈夫だろう。

「銀。この通信装置は登録した本人しか起動できない。王太子様達だけしか使わないと誓ってもらえればどうだ?そしてもし、約束を違えば、、、スタンビードを起こせばいい」

スタンビードといえば周りがざわめいた。

「それは、脅しか?」

ハビス国王陛下が怖い顔をして聞いてきた。

「どう取ってもらっても構いません。ただ、俺は戦争で両親を失いました。領民の3分1の子供は戦争で両親を失った孤児です。領主様初め、領民の人達が優しい人達だから、俺たち孤児は他の領地の人達よりもまともな暮らしが出来ているんです。王太子様達が戦争を無くすと言うのなら、喜んで俺は協力しますよ」

ネフィラ国の人達も、ハビス国の人達も何も言えなくなり黙ってしまった。
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