末っ子神様の世界に転生した何の取り柄のない平凡な俺がちょっとだけ神様の手伝いをする

菻莅❝りんり❞

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7 お叱り

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 神様の所から戻ってきた俺の目に最初に写ったのは神像だった。冷たい石像で微笑んでいるはずなのに、俺の目には困った子を見ているような顔に見えた。ボーと眺めていると

「気がついたか?だったらちゃんと俺達に説明してくれないか、ミクリ?」

 怒気を含んだ静かなレジーの声が聞こえた。横たわったまま顔を声の方に向けると、レジー組のおチビ達は泣いていて、あやしながらも俺に怒ってる顔を向けてた。元暗殺者組は、俺が気がついたのに安堵しつつも、場の空気に居心地悪そうに少し離れた所で集まってた。

 俺は体を起こしてその場で正座して頭を下げた。

「心配かけてごめんなさい。説明するのでまず、食べ物ください。お腹すきました」

 朝食べただけで空腹の中、追手から逃げるために全力疾走。そこに魔法を連発。空腹は限界です。
 俺は頭を上げレジーを見上げた。レジーは一つため息を吐くと、

「パミル、セルディ、庭から果物取ってきて。ここではなんだから食堂に行くぞ。そこの人達も着いてきて」

 レジーは元暗殺者組を見て言って、皆を連れて食堂に行った。料理人組は果物を取りに庭へ走って行った。
 元暗殺者組は、戸惑っていて行動が出来ずにその場に留まっていた。俺は立ち上がり、元暗殺者組の所に行き少年の背中を押しつつ、

「ほら、行くぞ。それとごめんな、俺がへましたせいで心配させて。そのせいであいつらと一緒って言うのは、居づらかったろ?」

 元暗殺者組がレジー達から離れた所に居たのはそう言うとこだと思った。後、自分達が暗殺者だったことも加味されているんだろうな。

 戸惑いつつも、自分の意志で歩きだした少年に他の子供達も着いて歩きだした。俺は少年の隣を歩きつつ、食堂までの道を案内した。少年は

「助かって本当に良かった。確かに君は神様から愛されているんだね。それにここも。ここに入った途端暖かいモノに包み込まれた感じがした」

 少年の言葉に後ろの子供達も頷いてた。俺はそんなもの感じなかったけどなぁ?
 他愛もない話をしつつ食堂に着くと、レジー達はすでに椅子に座って待ってた。俺達が食堂に着いたと同時に、パミルとセルディが切った果物を盛った皿と取り皿を持ってきた。

 食堂は大きな丸いテーブルが6つ並んでる。1つに10人前後は座れるだろう。その一番奥にレジーが一人で座っていて、後の子達はその手前の机に座っていた。
 小さい子も居るから詰めれば座れないとこもないかな。

 他のテーブルから椅子を持ってきていたのか、レジーの座るテーブルには人数分の椅子が用意されていた。
 俺達は適当に座り、パミルが置いてくれた果物に早速手を伸ばした。セルディが持っていた皿はもう一つのテーブルに置かれ、おチビ達がレジーを見ていたので、レジーが促したら全員手を伸ばし食べた。

 なんか勝手に食べて悪かったかな?でも、あまりにもお腹が空いていて我慢で来なかった。
 元暗殺者組のおチビ達が食べたそうにしていたので、適当に選んでおチビ達の皿に置いた。おチビ達は少年を見上げた。少年は俺を見たので

「ここにあるのは、皆で食べる分だ。遠慮せず食え。今日から皆もここに住むんだから」

 その言葉に、少年はおチビ達に食べていいと頷いた。おチビ達は嬉しそうに果物に食らいつき、美味しいと初めて笑顔を見せた。それに続いて元暗殺者組全員、果物に手を伸ばした。
今まで黙って見ていたレジーが、

「腹は落ち着いたか?じゃ、説明してもらおうか」

 まだ怒っているみたいだ。ううっ、前世大人な俺が子供相手にビビるなんて情けないなぁ。

「えーと、俺が出ていたのは神様からこの子達を頼まれたからです。レジー達は忙しそうだったから俺の部屋のドアにメモ紙を貼っていたんだけど、どうやら剥がれ落ちて、誰かに捨てられたって神様が言ってた」

 メモ紙の話しに、エルが「あっ」と声を出し、走って食堂から出ていった。もしかしたらメモを捨てたのはエルなのかな?
 どうやらそうだったらしくて、エルがメモ紙を持って帰ってきた。

 メモ紙を俺達のテーブルに置き、他の子達も集まり覗き込んだ。

 [神様から依頼されたので、出掛けきます]

 確かに俺が書いたメモだった。エルは申し訳なさそうに「ごめんなさい」と言った。

「いや、エルは悪くない。こんな紙切れだけで残して、誰にも言わずに出掛けたミクリが悪い」

「ごめんなさい。エルもごめんな」

 この言葉しか出てこなかった。

「で、その人達はどんな人達なんだ。スラムの孤児にしては、雰囲気がなんか違う気がする」

 レジーは勘が鋭いな。レジーの言葉に元暗殺者組は身構えた。そんな元暗殺者組を見て俺は

「この子達がどういう子達なのか知っても、偏見なく見てもらいたい。数居る子供達のなか、この10人は神様が認めた子達だから」

「ああ、慣れるまで時間がかかるかもしれないが、ミクリとミクリの神様は信じてる」

 レジーの言葉にレジー組の子供達は笑顔で頷いた。元暗殺者組はそれでも緊張を解けないでいた。仕方ないにても、年長組はすでに人を殺めているのかもしれなく、おチビ達だって幼いながらにも、自分達が何をさせられているのか理解しているのかもしれない。

「この子達は貴族が暗殺者にするために集めた子達だ。そんな中、この10人は悪意に染まることなく、心と身体を削っていたんだと思う。他にも同じような子供達が居たけど、神様が言うにはここの加護に弾かれると」

 多分珍しい事ではなかったのだろう。レジー達は暗殺者にさせられたと言っても、驚くでもなく、嫌悪するでもなく聞いていたがレジーが、

「神様はミクリにちゃんと暗殺者を育てる施設だって言ってたって事だよな」

「うん、今回は危険かもって。気をつけてって」

「危険だと聞いていたのに、何の相談もなく単独で動いたと?」

 レジーから怒気が漏れているような?赤いもやみたいなのがレジーから出ていた。鑑定くん、そんなもの見せないで!

「う、うん。いくらここが安全だとしても、レジーやジニーを連れていけば、他の子達は不安がると思ったし、行きは良くても帰りは大所帯になるから、単身の方が動きやすいかなぁって」

 俺が言えば言うほど、赤いもやが大きくなってきているのが見え、最後の方の声は小さくなった。

 バン!
「ふざけるな!お前俺に何て言った?神様から助けて欲しいと言われた子達を救う手伝いをして欲しいって言ったよな!置いて行くなら俺達は何のためにここに居る?助けが要らないなら何のために俺達を連れてきた!」

 俺に取ってはその場しのぎの言葉だったけど、レジー達はちゃんと俺を手伝う事を考えてくれてたらしい。レジー組の子供達は悲しそうに俺を見ていた。

「ごめん。レジー達の気持ち考えなかった。確かにレジー達をここに連れて来たのは俺だけど、レジー達の中に入って行けなくて、一人で輪の外から眺めている感じだったら、レジー達に頼るって発想、本当はなかった。ごめん」

 レジーは席を離れ、俺のところまで来ると、俺を抱きしめ

「俺達もごめん。まさかそんなこと思ってるなんて思わなかった。俺達はミクリの事ちゃんと仲間と認めてる。ミクリもそうだと勝手に思ってた。ごめん」

「あっ、うん。分かったから、ちょっと離れて。なんか恥ずかしい」

レジーの拘束から抜け出し、改めて皆を見ると、困った子をみる目をした年長組や、やれやれと呆れた顔の年中組、おチビ達は、?って感じの顔だった。

「これからはちゃんと言え。ここの守りも、ミクリの護衛も、有り難いことに手は足りそうだしな」

そう言って、元暗殺者組を見た。元暗殺者組も頷き同意した。
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