末っ子神様の世界に転生した何の取り柄のない平凡な俺がちょっとだけ神様の手伝いをする

菻莅❝りんり❞

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10 狩りと神様のお願い

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今日は狩りの日。

 鍛冶組と装飾・服飾組が頑張って、一日で出来るだけの装備を整えてくれてた。といっても、ちょっと丈夫な布で作った服や、装飾の仕事場に置いてあったクズ魔石で作ったお守り。鍛冶場にあった大量の折れた剣などを一度溶かして打ち直した剣や弓矢などだ。
それでもないよりはましなので有り難く頂戴した。

皆に見送られなが教会を出て、街の外に出た。堂々表からではなく、こっそりと秘密の裏口からだ。
ここはトーダ達が暗殺者時代に使っていた所らしいけど、ここの事はトーダ達しか知らないから他の暗殺者の人たちとかち合う事はないそうだ。
それぞれで違う場所を見つけて誰にも教えないのが暗黙のルールだったからしい。
ここはトーダが見つけた場所だけど、トーダ達10人で共用していたそうだ。

そうしてやって来た森。鑑定くんが早速お仕事をした。近場の薬草を見つけてくれたのだ。
俺は嬉々として薬草を摘み始めた。教会に持ち帰って植え直すので土ごと取って、土魔法で土を固め崩れないようにしてそのままマジックバックへ
全ては取らず、同じ種類のものを5~6こずつ摘んだ。

俺が薬草摘みに夢中になっている間に何回か戦闘があったらしいが全然気づかなかった。
レジー達に呆れられつつ、トーダとアレンは解体を、レジーとジニーは回りの警戒をしていた。
俺は鑑定くんでまだ解体されてない魔物を見ている風を装い、解体から目を背けてた。グロは無理。

人との接触を避けつつ、森で魔物を狩ったり、薬草を摘んだりして、お昼も用意してもらったサンドイッチを食べ、夕方前まで頑張った。レジーやトーダ達が。

俺は、レジー達の動きの邪魔にならない程度に、レジー達に風魔法で結界もどきを張り、魔物が逃げないように土魔法の壁で囲ったりはしていた。
結界って言えば空間魔法かなって思ったけど、まだまだ魔法を上手く扱えないので、不安定な魔法をかけるのはやめた。

暗くなる前に教会に帰り、今日の成果を見せると皆喜んだ。今日は肉祭りだ!でも、野菜も食べような。大きくなれないぞ!

食堂のテーブルに所狭しと並べられた肉に皆の目は釘付けだ。肉と野菜を別々にすれば野菜だけが残ると思ったので、野菜で肉をサンドするのように肉の下と上に野菜を細かく切ってまぶしてる。

レジーとトーダの合図で全員が肉に群がった。俺はこの争奪戦に参加できず、人が少ないところの肉を渡り歩くしかなかった。

神様が出てこなくなって数日。俺は畑や家畜小屋の手伝いや狩りをしつつ、魔法の訓練もした。全魔法が使えるって言っても、コントロールが難しいから色々試してた。

数日の間に服飾組が頑張ってくれて、一人あたり10枚ずつ服と下着ができた。
能力アップの効果か戦闘系のスキルをもつおチビ達以外全員から見習いの文字が消えていた。エドは一生懸命畑や家畜小屋の手伝いをしていたので、緑の手と育ての手のスキルを習得していた。

他の人も色々と手伝っていたのでスキルを習得していた。料理も料理人のスキルを持った人だけじゃなく、おチビ達以外で交代で作ってた。最初は料理人スキルを持った人が必ず一人は居るようにしていたけど、すぐに料理人(見習い)スキルを習得する人が多かったので、お役御免は早かった。

その分、他の事に手が回って元祖料理人組も無事別のスキルの習得に成功した。
俺はどんなに頑張っても、新しいスキルは覚えなかった。潜在能力アップよ、仕事してくれ。いや、他の皆にはしてるけど俺にも仕事してくれ。

その日の夜。久しぶりに神像の前で神様と対面した。寝ようとベッドに入る前に、神様から呼ばれたのだ。

「なんか、久しぶりだね。少しやつれた?」

神様でもやつれるもんなんだね。いっぱい考えてくれた証拠だね。
神様は口を閉ざしたまま、難しい顔をしていた。
俺も神様が口を開くのを待った。
立ったまま少しだけ眠っていた俺は神様の声で起きた。

「すみません。眠いですよね。実はミクリさんに謝罪とお願いがあります。すみません。私のミスで前世、ミクリさんを殺めた者の魂が現世に逃げました。そこでお願いです。ミクリさん、聖魔法の試練受けてください」

やっぱこーなるか。でもやつれるくらい考えて考えて出した答えなんだろう。はぁ、本当どこにフラグあったけ?

「分かった、と言いたいけど、試練てどんなことするの?知らないんだけど、それにここでの人助けは?」

俺がOKを出したと喜んだけど、すぐに否定に入り不安顔になった神様。その後試練の事を聞き、ここでの活動を問うとほっとしてた。神様でも百面相するんだな。

「はい。試練はアンデッドの浄化をすることです。暫定的に聖魔法をつけるので、私が用意したアンデッドを全て浄化して、聖魔法を完全に自分のモノにすればクリアです」

思ったより簡単そう?アンデッドは怖いけど。
そして俺はホラー系ダメなんだけど。

「俺が思ってたよりは過酷と思えないけど」

「内容だけ聞けばそうでしょうが、ミクリさんってネタバラシ大丈夫な人ですか?」

「内容によるが、今は聞いてみたい」

そう、俺はネタバラシに抵抗はない。先の展開が分かってたとしても平気で続きが見れる。
例えるなら、攻略本を見ながらゲームしてるみたいな?ネタバラシって攻略本を見ながら見てる感じ。分かるかな?

「では、私が用意するアンデッドは全部で一万体。そこには、レイスなど物理不可のモノのいます。そして、ほぼ不眠不休での戦いになります。命の危険があれば私が強制的にその場から脱出させ、暫定的に付けている聖魔法も外します」

ふ、不眠不休ー!それは過酷だ。いつ終わるとしれないアンデッドの浄化をし続けないといけないなんて。

「なぁ、神様。不眠不休だとすぐに魔力切れにならないか?」

「多めにマジックポーションと中級ポーションは用意してます。自分達のタイミングで摂取してもらってます」

だよな。そこんとこは考えてるよな。良かった

「試練は俺一人でしないといけないのか」

「いいえ。何人でも構いません。一人が聖魔法を覚えて、他の人は一緒に戦うって言うのでも構いません。さすがに一人で不眠不休は辛いかと、中にはそういう人もいましたけど、すぐに脱出させることになりましたし」

「試練の事はこのくらいかな?で、人助けはどうするの」

「善良な魂の持ち主に接触をすれば分かるように、ここの子達に直感スキルを付与します。保護するかはここの子達に任せます」

任せると言う割には、保護すると信じてる顔だな。はぁ、いやだなぁ。ここでのんびりしてたかったなぁ。でも、神様が困ってんなら仕方ないか。

「わかった。でもレジー達に相談してみるよ。また勝手したら怒られるからな」

「はい。決まりましたらここに来てください。試練の場にお連れしますから。では、ミクリさん。おやすみなさい」

「ああ、おやすみなさい。神様」

神様が消えて、俺は部屋に戻りすぐに眠りについた。
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