19 / 28
19 魔法の強化をしよう
しおりを挟む
俺が魔法の事を説明し終えると、トーダ達は驚いた顔をしていた。
「俺達にもミクリのような魔法が使える?イメージ?いったいどういう事だ?」
パミルが混乱したように聞いてきたが、静かに瞑想するみたいに目を閉じていたトーダとレジーが同時に目を開けた。
「なるほど、本能に刷り込まれているか」
「確かに、ミクリが使っているような魔法の知識はあるみたいだ」
どうやら冷静に、自分の中にある魔法の知識を確認していたようだ。アレン達もトーダ達の真似をして、自分の中にある魔法の知識を確認しだした。パミルも遅れて確認しだした。
パミル、セルディ、ミーナ、ランカはうまく確認出来なかったみたいだけど、トーダ達にコツを教わったらすぐに分かるようになった。
なんだかんだと、ハイスペ揃いだよなここ。
「知識として分かっても、やっぱりどういうモノなのかがいまいちよく分からないよ」
アレンの言葉に皆が困った顔で頷いた。
「だから皆に残ってもらったんだ。たぶん庭に修練場が出来ていると思うからいってみようか」
そうして、食堂をかだ付け食器を洗い礼拝堂へ向かった。扉の横に案内図があるので確認すると、やっぱり出来てた、修練場。
修練場のある場所は左側の鍛冶場の手前側だった。建物はそこまで大きくなかったのに、中に入れば見た目以上の広さと高さがあった。しかも鑑定くんによれば“防音・防魔法完備。どんな大技を出してもびくともしない”との事だ。
「言いたいことがあるかもしれないが、これに関しては俺に聞かれても分からない。ここでの不思議な事は全部“神様の加護があるから”で納得してくれ」
本当に分からないんだから仕方ない。俺が色々聞きたいくらいだよ。
「で、皆に残ってもらったのはほかでもない、魔法をちゃんと扱えるようになってもらうためだ。まずは、防御魔法から」
そう言って俺は壁を出した。
「これなら簡単だろう?協会の壁も、街を囲ってる壁も見ているし触ってるんだから。それをイメージすればいいだけだ」
そうして次々と皆が壁を作っていった。そこに俺が極微量の魔力を込めたファイヤーボールをぶつけていけば、全員の壁が簡単に壊れた。
「ただイメージすればいいだけじゃない。強度や威力なんかも考えてイメージしないと、今みたいにすぐに壊れる。俺は武器が使えないから、魔法を人一倍頑張った。だけど俺は、俺やトーダ達は早くても来年には、神様の頼みごとで旅立たないといけなくなる。守りの魔法も攻撃の魔法も、レジー達の身を守るためにも必要なモノだ。俺の代わりにここでの人助けをしてもらうしね」
今まで以上に守るべき者が増えていく。そんなとき、強力な魔法が使えれば確実に守れる。
「レジー達が魔法を完璧に覚えれば、下の子達にも教えられる。俺は人に何かを教えるのは苦手だから、察しのいい皆を選んだ」
「まぁ、ミクリらしいっちゃ、ミクリらしいな。じゃ、ミクリ先生?よろしく」
ジニーはいたずらっ子のような顔をして言った。
この日から午前中は魔法の訓練。昼は狩りか、狩りに行かない日は、それぞれの仕事の手伝いや旅立ちに向けての必要な物の製作や準備をして過ごした。
午前中だけと短い時間の中、ハイスペ連中はやってのけた。俺が教えられる全ての魔法を2カ月で覚えた。正確には一月半で覚え、残りの半月は実戦形式の模擬試合をしていた。勿論、俺は不参加だ。魔法だけでの打ち合いなら、参加していたかもだけど、魔法も武器もじゃ俺には無理だ。
早いもので11の刻も半ばまできた。外はすっかり冬。少し前まで、狩りの時に冬毛になった鳥の魔物や、換毛期の魔物に重点を置き冬に備えていたため、皆に冬用の洋服がちゃんと回った。
毛糸でセーターやマフラー、手袋なんかも作ってくれていた。
着々と準備が整っていく中、またまた俺は年長組を集めた。今度は俺の部屋だ。
「忙しい中、集まってもらったのは誰も頓着していない、皆の誕生日についてだ。俺は自分の誕生日なんて知らないけど、覚えている人いる?」
皆は顔を見合せ、首を振った。
「だったら全員の誕生日を同じ日にして、一緒に年を取るようにしよう。形だけでも祝ってた方が自分の年齢って分かりやすくなるしね。で、いつがいい?」
「誕生日なんて今まで考えたこともなかったな」
「そうね。その日その日を生きるのに精一杯だったものね」
あれー?何で皆、暗くなるの?えーと、、
「自分の幸、不幸は自分次第。って誰かが言っていたような気がする。今皆はどう?幸せ?不幸?」
「今の生活で不幸なら、俺達に幸せなんて無いだろうな」
「うん。今は幸せだよ」
皆笑顔で頷いてる。
「だったら過去より未来を見よう。過去はどうしよも出来ない。けどこれからは先は笑顔でいようよ」
コソコソ「まったく。ミクリはいつも突然、突拍子も無いことを言うよな。それでこっちの調子を狂わすから、毒気を抜かれる」
コソコソ「トーダ達もか?俺達の時もだったぞ。これを天然でやるからたちが悪い」
おーい、言いたい事はハッキリ言ってくれー。
俺以外には聞こえているらしく、クスクスと笑っている。しかも頷きあってもいる。
「もー!なんなのさ!言いたいことがあるなら言って」
「大した事じゃないよ。それより誕生日だっけ?皆、いつがいい?」
思いっきりはぐらかされた。俺はブーたれながらも、皆と一緒に考えた。
なかなか意見がでない中、ミーナが
「1の刻の1がいいんじゃないかな?小さい子達にも覚えやすいし、何よりここは神様に一番近い場所だもの」
「なるほど、祈りの日か」
祈りの日とは、一年の初めに神様に供物を捧げ、一年の感謝と祈願をする日の事。
「うん、いいね。じゃ決まり。俺達の誕生日は1の刻の1。祈りの日だし、料理も豪華にやろう」
旅立ちの前に楽しい思い出が出来そうだ。
「俺達にもミクリのような魔法が使える?イメージ?いったいどういう事だ?」
パミルが混乱したように聞いてきたが、静かに瞑想するみたいに目を閉じていたトーダとレジーが同時に目を開けた。
「なるほど、本能に刷り込まれているか」
「確かに、ミクリが使っているような魔法の知識はあるみたいだ」
どうやら冷静に、自分の中にある魔法の知識を確認していたようだ。アレン達もトーダ達の真似をして、自分の中にある魔法の知識を確認しだした。パミルも遅れて確認しだした。
パミル、セルディ、ミーナ、ランカはうまく確認出来なかったみたいだけど、トーダ達にコツを教わったらすぐに分かるようになった。
なんだかんだと、ハイスペ揃いだよなここ。
「知識として分かっても、やっぱりどういうモノなのかがいまいちよく分からないよ」
アレンの言葉に皆が困った顔で頷いた。
「だから皆に残ってもらったんだ。たぶん庭に修練場が出来ていると思うからいってみようか」
そうして、食堂をかだ付け食器を洗い礼拝堂へ向かった。扉の横に案内図があるので確認すると、やっぱり出来てた、修練場。
修練場のある場所は左側の鍛冶場の手前側だった。建物はそこまで大きくなかったのに、中に入れば見た目以上の広さと高さがあった。しかも鑑定くんによれば“防音・防魔法完備。どんな大技を出してもびくともしない”との事だ。
「言いたいことがあるかもしれないが、これに関しては俺に聞かれても分からない。ここでの不思議な事は全部“神様の加護があるから”で納得してくれ」
本当に分からないんだから仕方ない。俺が色々聞きたいくらいだよ。
「で、皆に残ってもらったのはほかでもない、魔法をちゃんと扱えるようになってもらうためだ。まずは、防御魔法から」
そう言って俺は壁を出した。
「これなら簡単だろう?協会の壁も、街を囲ってる壁も見ているし触ってるんだから。それをイメージすればいいだけだ」
そうして次々と皆が壁を作っていった。そこに俺が極微量の魔力を込めたファイヤーボールをぶつけていけば、全員の壁が簡単に壊れた。
「ただイメージすればいいだけじゃない。強度や威力なんかも考えてイメージしないと、今みたいにすぐに壊れる。俺は武器が使えないから、魔法を人一倍頑張った。だけど俺は、俺やトーダ達は早くても来年には、神様の頼みごとで旅立たないといけなくなる。守りの魔法も攻撃の魔法も、レジー達の身を守るためにも必要なモノだ。俺の代わりにここでの人助けをしてもらうしね」
今まで以上に守るべき者が増えていく。そんなとき、強力な魔法が使えれば確実に守れる。
「レジー達が魔法を完璧に覚えれば、下の子達にも教えられる。俺は人に何かを教えるのは苦手だから、察しのいい皆を選んだ」
「まぁ、ミクリらしいっちゃ、ミクリらしいな。じゃ、ミクリ先生?よろしく」
ジニーはいたずらっ子のような顔をして言った。
この日から午前中は魔法の訓練。昼は狩りか、狩りに行かない日は、それぞれの仕事の手伝いや旅立ちに向けての必要な物の製作や準備をして過ごした。
午前中だけと短い時間の中、ハイスペ連中はやってのけた。俺が教えられる全ての魔法を2カ月で覚えた。正確には一月半で覚え、残りの半月は実戦形式の模擬試合をしていた。勿論、俺は不参加だ。魔法だけでの打ち合いなら、参加していたかもだけど、魔法も武器もじゃ俺には無理だ。
早いもので11の刻も半ばまできた。外はすっかり冬。少し前まで、狩りの時に冬毛になった鳥の魔物や、換毛期の魔物に重点を置き冬に備えていたため、皆に冬用の洋服がちゃんと回った。
毛糸でセーターやマフラー、手袋なんかも作ってくれていた。
着々と準備が整っていく中、またまた俺は年長組を集めた。今度は俺の部屋だ。
「忙しい中、集まってもらったのは誰も頓着していない、皆の誕生日についてだ。俺は自分の誕生日なんて知らないけど、覚えている人いる?」
皆は顔を見合せ、首を振った。
「だったら全員の誕生日を同じ日にして、一緒に年を取るようにしよう。形だけでも祝ってた方が自分の年齢って分かりやすくなるしね。で、いつがいい?」
「誕生日なんて今まで考えたこともなかったな」
「そうね。その日その日を生きるのに精一杯だったものね」
あれー?何で皆、暗くなるの?えーと、、
「自分の幸、不幸は自分次第。って誰かが言っていたような気がする。今皆はどう?幸せ?不幸?」
「今の生活で不幸なら、俺達に幸せなんて無いだろうな」
「うん。今は幸せだよ」
皆笑顔で頷いてる。
「だったら過去より未来を見よう。過去はどうしよも出来ない。けどこれからは先は笑顔でいようよ」
コソコソ「まったく。ミクリはいつも突然、突拍子も無いことを言うよな。それでこっちの調子を狂わすから、毒気を抜かれる」
コソコソ「トーダ達もか?俺達の時もだったぞ。これを天然でやるからたちが悪い」
おーい、言いたい事はハッキリ言ってくれー。
俺以外には聞こえているらしく、クスクスと笑っている。しかも頷きあってもいる。
「もー!なんなのさ!言いたいことがあるなら言って」
「大した事じゃないよ。それより誕生日だっけ?皆、いつがいい?」
思いっきりはぐらかされた。俺はブーたれながらも、皆と一緒に考えた。
なかなか意見がでない中、ミーナが
「1の刻の1がいいんじゃないかな?小さい子達にも覚えやすいし、何よりここは神様に一番近い場所だもの」
「なるほど、祈りの日か」
祈りの日とは、一年の初めに神様に供物を捧げ、一年の感謝と祈願をする日の事。
「うん、いいね。じゃ決まり。俺達の誕生日は1の刻の1。祈りの日だし、料理も豪華にやろう」
旅立ちの前に楽しい思い出が出来そうだ。
32
あなたにおすすめの小説
元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。
いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。
そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。
【第二章】
原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。
原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。
42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。
町島航太
ファンタジー
かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。
しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。
失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。
だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる