知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞

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閑話 姉神様ーユーリの結末ー

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いつものように、ただおしゃべりをしていただけだった。なのに、いつもあの人は私を怒鳴る。
そう、今だって

「ちょっとユーリ!いい加減にして!いつもいつも人の恋人にちょっかいかけないで!テオもテオよ!」

「そう怒るなよ。話していただけで、別に浮気をしてる訳じゃないだろう?」

「そんなに近づかなくてもいいじゃない!話すだけで、なんで髪を触るのよ!」

なぜか私は、家族以外の女性から嫌われてしまう。妹曰く

「お姉ちゃんの振るまいがそうさせているの。私だって、お姉ちゃんがお姉ちゃんじゃなきゃ、関わりたくない人、No.1だもん」

らしい。でも、私は普通にしているだけなのに、何がいけないのかしら?

同性からは嫌われ避けられてしまうので、必然的に私の交友関係は異性になる。

私が女だから、男性の人達は親切にしてくれる。
でも、そういう行動も、同性から更に嫌われる要因だと、妹に言われた。

だから、なるべく出来る事はやろうとするけど、私にやれることが少なく、結局は男性に頼ってしまう。

また別の日。私が何も無いところで躓いて、たまたま一緒にいたテオに、抱き止められているところを彼女に見られ、また怒られた。

「はぁ。クレハ、いい加減にしろ。俺とユーリはただの友人で、それ以上でも以下でもない。今のだって、ユーリがわざと躓いたなんて言ったけど、隣を歩いていた俺が、わざとかどうかなんて見てればわかる。言いがかりをつけるな。クレハにはがっかりだ。もう別れよう」

「なっ。待ってよ!嫌よ。私はあなたが好きだから、だから」

「嫉妬したと?好きだから、俺の友人を貶めることをしてもいいと?きみがそんな人だとは思わなかった。本当、がっかりだ。ユーリ、行こう」

その日の夜、妹に今日の事を話すと

「お姉ちゃん、、、。これで何組目よ。このクラッシャーが。しかも、相手が時と運命の女神クレハなんて。最近、邪神化してるって噂あったけど、原因お姉ちゃんだったんだ。嫌な予感がするのは、気のせいかな?」

妹の予感は正しく、次の日からクレハによる嫌がらせが始まった。

嫌がらせをされる度、テオをはじめとした男神達が私を庇ってくれるけど、庇われれば庇われるほど、嫌がらせはエスカレートして、とうとうクレハは邪神にまで身を落としてしまった。

私の家族が、何とかクレハの邪神化を止めるために手を尽くしていたけど、全く聞く耳を持たなかったらしい。

邪神は滅するのが神界のルール。クレハを捕らえるために、神殺しと呼ばれる死神が召集された。

いち早く、死神の存在に気づいたクレハは、私の前に現れると

「絶対にあんただけは許さない!どんなことをしても絶対にあんたを苦しめてやる!覚悟しとけ」

そう言って、私の前から走り去った彼女は、その後、ヴァルの世界に逃げ込んだみたいだけど、ヴァル達の協力の元、無事捕まえるとこに成功したみたい。

だけど、捕まえる途中で、抵抗したクレハがヴァルの世界の気象システムを破壊してしまい、今はその復旧作業をしていると聞いている。

クレハのその後がどうなったのか、私達中級の神は知らされない。はずなのだけど、ある日、仕事中に家族に呼び戻されて帰ってみると、鬼の形相をした、おばあちゃんとお母さん、それに妹が仁王立ちで待ち構えていた。

お父さんとお兄ちゃんは、隅のほうでまるで、気配を消すみたいにたたずんでいた。

「お姉ちゃん、ここに正座して」

「え?ここ」

三人同時に頷いた。あまりの形相に文句もそこそこに、そのまま正座した。

私が正座するのと同時に、三人からのお説教が始まった。

なんと、クレハは魂の一部を切り離し、ヴァルの世界の下界に逃げ、転生した元地球の彼の番に取りついているとの事。

しかも、元女神の力で時間を遡り、幼い番に取りついたため、魂が融合仕掛かっていて、切り離せなく、番を殺すしか方法はないということらしい。

クレハの最後の言葉がよみがえる。
“どんなことをしても絶対にあんたを苦しめてやる!”

「お姉ちゃんは、どれだけあの人に迷惑をかければ気が済むの?今回は直接じゃないけど、間接的にはお姉ちゃんが関わってる!私言ったよね?いくら友人でも、異性と接するときは節度を持てって!さんざん言ってきたよね!」

わからない。私は私なりに、ちゃんと節度を持て接していたのに。
何が悪いの?どうすればよかったの?

「私は、悪くないわ」

思わずそう口走ってしまった。慌てて口を押さえたけれど、

「私の育て方が悪かったのかしら。ユーリ、千年の眠りの刑を与える。異世界の彼を含め、数人に加護を与えているからね。その加護が途切れないような罰はこれくらいだもの」

「ユーリ。その眠りの間、何が悪かったのか、反省することだね。ワタシの力で見せてあげるよ。夢見の力でね。目が覚めたとき、ユーリが理解しているのを期待するよ」

私が反論する間もなく、眠りに落とされた。

「お姉ちゃん。お姉ちゃんのせいであの人は番を失うことになるって、ちゃんとわかってる?ヴァルに考えがあるみたいだから、お姉ちゃんの分も私が協力してくる。おばあちゃんもお母さんもお父さんもお兄ちゃんも、協力してくれるって。だから、お姉ちゃんはちゃんと自分と向き合ってね」

深い深い眠りについた私には、妹の言葉は聞こえなかった。そして、元地球の彼がどうなったのかも、私は知らない。

私はその間、何度も何度も私の今までの行いを、俯瞰して見せられていた。
そして千年後、私は静かに眠りから覚めた。
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