3 / 9
置き去り 2
しおりを挟む「……ハハッ! ほんとに置いていきやがった! こりゃあ、ぼろ儲けだぜっ!」
――ん? なんですか? 人が感傷に浸ってる時にこのダニ声は。
その声の方に顔を向ければ、如何にも悪漢ですと言った感じ姿が目に入ってきました。
数は――三人ですか。
「妙な見れくれだが、それが気になんねぇぐらい上玉だぜっ」
「ああ! いい仕事だよ。今回はっ! しかも服の上からでも、でけぇってのがわかるぞ? あれ」
と言った感じのバカ三人。最後の一人は私の胸を指さしてヘラついてますねぇ。
「あーあれに雇われたって感じですか?」と聞けば、
「ああ? そうだよ。察しがいいじゃねか」
「それと、だ。あっちも今ごろ、俺たち仲間が楽しんでるはずだ」
と返ってくるので「へぇー……バカですねぇ」と返して後は無視する。
んーどうしようかぁ。あんまり美味しそうじゃないんですよねぇ。こいつら。と思っても向こうはもう私の上に誰が最初に乗るか相談中ですしねぇ。
「ほんっと――バカだねぇ」
そう、口にしながら背中、具体的には腰らへんから力を引き出す。
ズルズルって音立てて私の腰から生える大きな黒い蛇。数は六匹。
私は『ウシュムガル』と呼んでる大蛇兼触手である。
私の異変に気付いた一人が声を荒げて剣をこちらに向けるが、なんら脅威を感じません。
既にこちらは臨戦態勢。即時殲滅が可能な段階です。
「なっ! てめぇ! 魔法が使えるのか!!」
「いえ? 魔法なんてちゃちなもんじゃないですよ? 伸びるし、太さも大きさも思いのまま。非常に便利な私の力、です」
と微笑み返して「頭の部分を触手のようにもできるんですよ?」と言って変えて見せる。
「この状態を私は尻尾と呼んでますがね。かわいいでしょ?」
「何わけわかんねぇこと言ってんだっ!! おいっ! どうするっ!?」
「魔法が使えるなんて聞いてねぇぞ!」
「くそったれっ! 貧乏くじもいいとこじゃねぇか!」
おや? なんだかそれっぽく騒いでますが。
「何度も言いますが魔法じゃないですよ? ほら?」
「それがま――」
人を丸呑みできるぐらいにした蛇を、こちらを見て騒いでる一人に勢いよく伸ばして、そして巻き付け締めあげる。
「あー喋ってる途中ですがいいですよね? 蛇の捕食する様をご存知で?」
そのまま力んで男の体を締め、砕く。
骨の折れる乾いた音。
肉が潰れる水気を帯びた音。
声というか音に近い、聞くに堪えない断末魔。
いい感じに砕けたので頭から、バクンッと一口で喰う。で酒でも呷る様にして飲む。
「ふっふふざけるなっ! なななん――」
これも最後まで言わせず先程同じく、砕いて丸呑みに。
「あ、あああ、ああああ、たたたすけっ」
「おや? 先程の威勢はどこへ? そんなにへたり込んで、どうしたんです?」
「おお、俺は雇われただけだっ! だだから!?」
「これはまた不思議な事を言いますね? 雇われたんでしょう? 私を殺せと――違うので?」
最後に残った男に、そう語り掛けながら蛇(ウシュムガル)を巻き付けゆっくりと締め上げ持ち上げる。
「ち、ちがう! 殺せとは言われてない! たただっ――」
それから私の近くまで引き寄せニコリと笑いかける。
「ただ?」
「なっ嬲って傷物にしろって! 言われただけなんだ! だから!?」
「へー……でも。それって女からすると……殺される方がマシって感じ――じゃないですか?」
「い、い、いいい――」
恐怖か何か知りませんが、もはや何言ってるかわからない声を上げ、ガチガチと歯を鳴らす男……。
よく見たらまだ青年って感じですねぇと思っていると、地面に水を垂らしたような音が聞こえてきました。
目線を下げ音のなる地面を見ます。仄かに上がる湯気……
「……最悪です。何漏らしてるんですか!」と叫び名が汚物(青年)を放り捨てます。
急いで魔力で水を作って洗浄。
そして地面に打ち捨てられた青年を睨みます。
「この私の腕(ウシュムガル)の中でなんという暴挙を!」
ガタガタ震えて額を地面にこすり付け「すす、すいまませんん」と謝ってくる青年。
…………なんというか喰う気が失せましたね。ついでに殺す気も。
「はぁ……こんな命乞いも珍しいですね」
と盛大に溜息をつきました。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
前世は厳しい家族とお茶を極めたから、今世は優しい家族とお茶魔法極めます
初昔 茶ノ介
ファンタジー
代々続くお茶の名家、香坂家。そこに生まれ、小さな時から名家にふさわしくなるように厳しく指導を受けてきた香坂千景。
常にお茶のことを優先し、名家に恥じぬ実力を身につけた彼女は齢六十で人間国宝とまで言われる茶人となった。
しかし、身体は病魔に侵され、家族もおらず、また家の定める人にしか茶を入れてはならない生活に嫌気がさしていた。
そして、ある要人を持て成す席で、病状が悪化し命を落としてしまう。
そのまま消えるのかと思った千景は、目が覚めた時、自分の小さくなった手や見たことのない部屋、見たことのない人たちに囲まれて驚きを隠せなかった。
そこで周りの人達から公爵家の次女リーリフィアと呼ばれて……。
これは、前世で名家として厳しく指導を受けお茶を極めた千景が、異世界で公爵家次女リーリフィアとしてお茶魔法を極め優しい家族と幸せになるお話……。
ーーーーーーーー
のんびりと書いていきます。
よかったら楽しんでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる