邪な令嬢ちゃん

ますくばろん

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置き去り 2

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「……ハハッ! ほんとに置いていきやがった! こりゃあ、ぼろ儲けだぜっ!」

 ――ん? なんですか? 人が感傷に浸ってる時にこのダニ声は。

 その声の方に顔を向ければ、如何にも悪漢ですと言った感じ姿が目に入ってきました。

 数は――三人ですか。

「妙な見れくれだが、それが気になんねぇぐらい上玉だぜっ」
「ああ! いい仕事だよ。今回はっ! しかも服の上からでも、でけぇってのがわかるぞ? あれ」

 と言った感じのバカ三人。最後の一人は私の胸を指さしてヘラついてますねぇ。

「あーあれに雇われたって感じですか?」と聞けば、

「ああ? そうだよ。察しがいいじゃねか」
「それと、だ。あっちも今ごろ、俺たち仲間が楽しんでるはずだ」

 と返ってくるので「へぇー……バカですねぇ」と返して後は無視する。

 んーどうしようかぁ。あんまり美味しそうじゃないんですよねぇ。。と思っても向こうはもう私の上に誰が最初に乗るか相談中ですしねぇ。

「ほんっと――バカだねぇ」

 そう、口にしながら背中、具体的には腰らへんから力を引き出す。
 ズルズルって音立てて私の腰から生える大きな黒い蛇。数は六匹。
 私は『ウシュムガル』と呼んでる大蛇兼触手である。

 私の異変に気付いた一人が声を荒げて剣をこちらに向けるが、なんら脅威を感じません。
 既にこちらは臨戦態勢。即時殲滅が可能な段階です。

「なっ! てめぇ! 魔法が使えるのか!!」
「いえ? 魔法なんてちゃちなもんじゃないですよ? 伸びるし、太さも大きさも思いのまま。非常に便利な私の力、です」

 と微笑み返して「頭の部分を触手のようにもできるんですよ?」と言って変えて見せる。

「この状態を私は尻尾と呼んでますがね。かわいいでしょ?」
「何わけわかんねぇこと言ってんだっ!! おいっ! どうするっ!?」
「魔法が使えるなんて聞いてねぇぞ!」
「くそったれっ! 貧乏くじもいいとこじゃねぇか!」

 おや? なんだかそれっぽく騒いでますが。

「何度も言いますが魔法じゃないですよ? ほら?」
「それがま――」

 人を丸呑みできるぐらいにした蛇を、こちらを見て騒いでる一人に勢いよく伸ばして、そして巻き付け締めあげる。

「あー喋ってる途中ですがいいですよね? 蛇の捕食する様をご存知で?」

 そのまま力んで男の体を締め、砕く。

 骨の折れる乾いた音。
 肉が潰れる水気を帯びた音。
 声というか音に近い、聞くに堪えない断末魔。

 いい感じに砕けたので頭から、バクンッと一口で喰う。で酒でも呷る様にして

「ふっふふざけるなっ! なななん――」

 これも最後まで言わせず先程同じく、砕いて丸呑みに。

「あ、あああ、ああああ、たたたすけっ」
「おや? 先程の威勢はどこへ? そんなにへたり込んで、どうしたんです?」
「おお、俺は雇われただけだっ! だだから!?」
「これはまた不思議な事を言いますね? 雇われたんでしょう? 私を殺せと――違うので?」

 最後に残った男に、そう語り掛けながら蛇(ウシュムガル)を巻き付けゆっくりと締め上げ持ち上げる。

「ち、ちがう! 殺せとは言われてない! たただっ――」

 それから私の近くまで引き寄せニコリと笑いかける。

「ただ?」
「なっ嬲って傷物にしろって! 言われただけなんだ! だから!?」
「へー……でも。それって女からすると……殺される方がマシって感じ――じゃないですか?」
「い、い、いいい――」

 恐怖か何か知りませんが、もはや何言ってるかわからない声を上げ、ガチガチと歯を鳴らす男……。
 よく見たらまだ青年って感じですねぇと思っていると、地面に水を垂らしたような音が聞こえてきました。

 目線を下げ音のなる地面を見ます。仄かに上がる湯気……

「……最悪です。何漏らしてるんですか!」と叫び名が汚物(青年)を放り捨てます。

 急いで魔力で水を作って洗浄。
 そして地面に打ち捨てられた青年を睨みます。

「この私の腕(ウシュムガル)の中でなんという暴挙を!」

 ガタガタ震えて額を地面にこすり付け「すす、すいまませんん」と謝ってくる青年。

 …………なんというか喰う気が失せましたね。ついでに殺す気も。

「はぁ……こんな命乞いも珍しいですね」

 と盛大に溜息をつきました。
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